
日本の電気がいまどの電源からどれだけつくられているかは、大区分の積み上げと細区分の階層を1枚に並べて見るのが近道です。最新の合計数値と詳細内訳を二段重ねにすると、構造の輪郭がはっきり見えてきます。
日本の電源構成は、2024年度確報で火力67.5%・再エネ23.1%・原子力9.4%という分布です。経済産業省が2026年4月に公表した「令和6年度エネルギー需給実績(確報)」によれば、発電電力量は9,911億kWh、非化石電源比率(再エネ+原子力)は32.5%と、東日本大震災以降で初めて30%を超えた水準が定着しつつあります。細区分の内訳(2023年度確報)を見ると、火力の内側ではLNG32.9%が単体最大シェア、再エネは太陽光9.8%を筆頭に水力・バイオマス・風力・地熱の5電源で構成されています。震災以降で初めて非化石電源比率が30%を超えた一方、依然として電源の3分の2が火力で構成されているのが、いまの日本の電源構成の構造です。
本記事では、経済産業省「エネルギー需給実績(確報)」、資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」「エネルギー白書2025」、第7次エネルギー基本計画(2025年2月閣議決定)などの一次情報を、階層内訳図・燃料別横棒・電源別バー・推移エリアチャート・実績/目標比較・主要国比較といった6枚の図解で整理します。最新の合計数値と詳細内訳のハイブリッド表示、1990年代以降の推移と2040年度目標の連結、国際比較の3軸で、日本の電源構成を観察していきます。
日本の電気は、いま、どの電源からどれだけつくられているのか。
2024年度の発電電力量9,911億kWhの内訳は火力67.5%・再エネ23.1%・原子力9.4%。非化石電源比率は32.5%まで上昇しました。
※細区分は2023年度確報値
本記事は楓が調査・編集しています。掲載情報は執筆時点のものです。数値・制度・サービス内容は変更される場合があるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。
日本の電源構成、最新2024年度の全体像

最新の大区分と詳細な内訳を1枚にまとめて見るには、上段に2024年度の3区分・下段に2023年度の細区分8電源を並べた階層内訳図が読みやすいです。合計と内側の構造を縦に通して観察できます。
経済産業省・資源エネルギー庁が2026年4月14日に公表した「令和6年度(2024年度)エネルギー需給実績(確報)」によれば、2024年度の発電電力量は前年度比0.4%増の9,911億kWhとなりました。電源別の構成は火力(バイオマス除く)67.5%・再生可能エネルギー(水力含む)23.1%・原子力9.4%で、非化石電源比率は前年度の31.4%から32.5%へと1.1ポイント上昇しています。火力は2年連続で低下し、再エネと原子力はいずれも前年度比で上昇しました。
細区分(2023年度確報)まで降りて見ると、火力68.6%の内側はLNG(液化天然ガス)32.9%・石炭28.3%・石油等7.4%、再エネ22.9%の内側は太陽光9.8%・水力7.6%・バイオマス4.1%・風力1.1%・地熱0.3%という構成です。単体最大はLNG(32.9%)で、これに石炭(28.3%)が続き、火力2燃料だけで電源全体の約61%を占めます。非化石電源側では太陽光が再エネ内で最大となり、原子力は2014年度のゼロ底から再稼働で回復した位置にあります。
なお本記事では、最新の合計数値は2024年度確報(2026年4月公表)、細区分の内訳は2023年度確報(2025年4月公表)を採用しています。2024年度の細区分(LNG・石炭などの内訳)は確報資料には含まれるものの、本記事執筆時点の公表スニペットでは2023年度確報値が引き続き標準参照値として使われているため、図脚注で年度を明示して整理しています。
火力発電の内訳|LNG・石炭・石油等の3燃料を観察する

火力の内側で3燃料がどの割合で並んでいるかは、横棒チャートで一目で揃えるのが向いています。比率の差と、CO2排出原単位の差を同じ高さの行で見比べると、燃料間の関係が読み取りやすくなります。
火力の内訳を2023年度確報で見ると、LNG(液化天然ガス)32.9%・石炭28.3%・石油等7.4%という順です。LNGは単体電源として最大シェアで、火力(バイオマス除く)68.6%の約半分を占めます。LNGと石炭の2燃料を合わせると電源全体の約61%にのぼり、いまも日本の電気の主力は化石燃料の2本柱で構成されています。
CO2排出原単位(発電1kWhあたりの二酸化炭素排出量)は、電気事業連合会が公表する代表値で石炭が約864 g-CO2/kWh、LNGが約476、石油等が約700とされています。石炭はLNGの約1.8倍のCO2を排出する一方、LNGは化石燃料の中で最も排出原単位が低いという構造で、震災後にLNG比率を引き上げてきたことが電力部門のCO2削減に寄与してきた背景があります。一方で、LNGも石炭も化石燃料である点は変わらず、非化石電源比率の上昇は再エネと原子力の拡大によって進んでいる形です。
石油等7.4%は、揚水発電と並ぶピーク時調整電源としての役割を残しつつ、経年で減少傾向にあります。日本の火力発電は1990年代まで石油主体だったものが、2000年代以降にLNGと石炭への置き換えが進み、現在の3燃料配分に落ち着いてきました。火力の内側の構造変化は、震災以降の脱原子力期間の電力供給を支えながら、その後の非化石化政策へとつながる軌道を描いています。
再エネ発電の内訳|太陽光が最大、10年で約8倍に拡大

再エネ22.9%の内側を5電源に分けると、それぞれの量の差がはっきりします。左側に内訳の横棒、右側に太陽光だけを取り出した10年推移を並べると、再エネ拡大の主役と速度が同時に観察できます。
再エネ22.9%(2023年度確報・水力含む)の内訳は、太陽光9.8%・水力7.6%・バイオマス4.1%・風力1.1%・地熱0.3%という5電源構成です。最大は太陽光で、再エネ全体の約43%を占めます。古くからの再エネである水力は7.6%でほぼ横ばい、バイオマスは輸入木質ペレットを中心に4.1%、風力と地熱は合わせて1.4%という分布です。
太陽光の伸びはこの10年で最も顕著です。資源エネルギー庁の時系列表によれば、太陽光発電の比率は2013年度の1.2%から2023年度の9.8%へと、10年で約8倍に拡大しました。主な背景には、2012年7月に始まった固定価格買取制度(FIT制度)があります。発電事業者が一定価格で電気を売れる制度のもと、住宅用・産業用ともに導入が進み、再エネの伸びを牽引してきました。
風力と地熱の比率が低い背景には、それぞれの開発条件があります。風力は陸上中心で、洋上風力は規制整備と送電網接続の整備段階にあります。地熱は資源量自体は世界有数とされる一方、有望地が国立公園内に多く規制との折り合いで開発が進みにくいという構造があります。水力は既存ダムの容量に依存する性質上、新規開発の余地が限られ、結果として既存設備の安定運用にとどまっています。再エネの内側の構成は、各電源の技術・制度・地理条件の総体として現れています。
1990年代からの電源構成推移|震災が変えた構造

35年の推移をスタックエリアチャートで見ると、各層の厚みが時間とともに伸び縮みする様子が一望できます。震災を境に原子力の層が一度ほぼ消え、再エネの層が下から押し上げてくる動きが浮かびます。
1990〜2024年度の電源構成推移を3層(火力/原子力/再エネ)で重ねると、日本の電源構成は2つの大きな転換点を通ってきたことがわかります。1つ目は2000年前後の原子力ピークで、当時の原子力比率は約30%まで上昇し、火力60%・再エネ約10%という構成でした。2つ目は2011年3月の東日本大震災です。震災翌年の2012年度には原子力比率は約2%へ急減し、その代替として火力が約87%まで上昇しました。
2014年度には全国の原発が一時停止し、原子力発電電力量はゼロを記録しました。これにより火力比率は約88%に達し、燃料費の急増と貿易収支の悪化、CO2排出量の増加といった副作用が同時進行しました。その後、2015年度から原発の再稼働が段階的に進み、原子力比率は徐々に回復、2023年度には8.5%、2024年度には9.4%まで戻っています。
再エネ層は、FIT制度開始(2012年7月)以降に下から押し上げる動きで拡大してきました。2013年度の約11%から2023年度の22.9%、2024年度の23.1%へと、10年余で比率が約2倍に拡大しています。非化石電源比率は2023年度に震災以降初めて30%を超え、2024年度には32.5%まで上昇しました。震災で大きく崩れた構造が、再エネ拡大と原発再稼働の二方向から少しずつ戻りつつあるのが、過去10年余の動きです。
2030・2040年度目標と現状のギャップ|再エネが最大電源に

実績と目標は、年度ラベルを横に揃えた3列の積み上げ棒で並べると、層の厚みの変化が時間軸に沿って読めます。2023年度の現状から2040年度の目標に向かって、各層の高さがどう動くかを観察します。
資源エネルギー庁が示す2030年度目標は2021年10月に閣議決定された第6次エネルギー基本計画によるもので、火力約41%・原子力20〜22%・再エネ36〜38%という構成です。2023年度実績(火力68.6%・原子力8.5%・再エネ22.9%)と比べると、再エネを1.5倍以上に、原子力を約2.5倍に拡大し、火力を約4割減らす設計になっています。
2025年2月18日に閣議決定された第7次エネルギー基本計画は、2040年度を新たな目標年とし、再エネ4〜5割・原子力約2割・火力3〜4割を掲げました。再エネを4〜5割に位置づけたのは、エネルギー基本計画として初めて「再エネを最大電源として位置づける」枠組みであり、政策上の重要な転換点とされています。あわせて、発電電力量自体もデータセンター需要や脱炭素関連の電化進展により、1.1〜1.2兆kWh級への拡大が想定されています。
ただし、目標と現状のギャップは依然として大きく、再エネを2040年度に4〜5割まで引き上げるには、太陽光・風力の新規導入、送電網の整備、蓄電池の拡充、需要側の需給調整など複数の課題を並行して進める必要があるとされます。原子力についても、現在稼働中の14基(2026年初時点)に加えて、新増設の議論や既存炉の運転期間延長の整理が進められています。火力は水素・アンモニアなどの脱炭素燃料への置換が想定されており、各電源の比率は単純な「シェア争い」ではなく、技術・制度・社会的合意の総和として変わっていく構造があります。
主要国との比較で見る日本の電源構成

各国の電源構成を同じ3層で並べると、それぞれの国の選択が直接見比べられます。日本のバーを強調枠で囲うと、自国がどの位置にあるかが瞬時に把握できます。
IEA(国際エネルギー機関)が公表するWorld Energy Balances(2022年実績ベース)で主要国の電源構成を見ると、各国の資源賦存条件と政策選択の差が一望できます。日本の火力比率73%は、G7主要国の中で最も高い水準にあります。アメリカは火力60%・原子力18%・再エネ22%、中国は火力66%(うち石炭が約61%)・原子力5%・再エネ30%という構成です。
ヨーロッパ各国は再エネと原子力の比率が高く、ドイツは火力47%・再エネ47%で、再エネ内訳は風力22%・太陽光11%が中心です。フランスは原子力大国として知られ、原子力62%・火力11%・再エネ26%で、原子力依存度が世界最高水準にあります。イギリスは火力42%・原子力14%・再エネ44%で、ガス発電と風力発電の組み合わせが特徴です。
豊富な水資源を持つカナダ(再エネ68%・うち水力61%)とブラジル(再エネ82%・うち水力61%)は、水力中心の再エネ構造を持ちます。これらの国は地形・降水量・河川条件に恵まれ、大規模水力を電源の主力として運用してきました。電源構成は単純に「進んでいる・遅れている」で並べられるものではなく、各国の資源・国土・政策の総合的な選択として形づくられていることが、横並びの比較から見えてきます。
楓のまとめ|大区分・細区分・推移・目標・国際比較で見えた構造

ここまでに並べた階層内訳・推移・目標・国際比較を一通り重ねると、日本の電源構成が「火力依存と非化石化の同時並行」という構造を持っていることが、図解の対比で確認できます。3つの観察事実に整理してみます。
「日本の電気はどの電源からどれだけつくられているのか」という問いに対して、本記事で並べた6枚の図解は、最新の合計数値・詳細内訳・35年の推移・目標との距離・国際比較という5つの方向から構造を映してきました。データそのものに価値判断をつけるのではなく、見えてきた構造を観察事実として整理しておきます。
3つの観察事実を重ねて読むと、いまの日本の電源構成は、震災で大きく崩れた構造が再エネ拡大と原発再稼働の二方向から戻りつつある一方で、依然として電源の3分の2が火力で構成されている、という二重の局面にあります。非化石電源比率の30%超え定着と、火力依存度のG7最高水準が同居している状態として整理できます。2040年度目標は、この二重の構造を再エネ中心の構成へ書き換える設計であり、達成までの道のりはまだ長いという観察事実そのものが、いまの電源構成をめぐる景色を最もよく映しています。
よくある質問(FAQ)

電源構成の数字を読むときは、年度・分類・国際比較のベースの3点をセットで確認してください。同じ数値でも、この3点が変わるだけで読み取れる物語が変わります。
Q1. 「電源構成」と「エネルギーミックス」は同じ意味ですか?
ほぼ同じ意味で使われますが、文脈によって使い分けられています。「電源構成」は経済産業省が「エネルギー需給実績」で使う統計用語で、発電電力量の電源別の割合を指します。「エネルギーミックス」は政策文脈での呼び名で、特に「エネルギー基本計画」の中で将来目標を語るときに使われます。たとえば「2024年度の電源構成は火力67.5%・再エネ23.1%」は実績の話、「2040年度のエネルギーミックス目標は再エネ4〜5割」は政策目標の話、という整理になります。本記事では実績は「電源構成」、目標は文脈に応じて両用語を使っています。
Q2. 火力発電の「LNG」「石炭」「石油等」のうち、CO2排出量が最も多いのはどれですか?
発電1kWhあたりのCO2排出量(排出原単位)で見ると、石炭が最も多く、約864 g-CO2/kWhとされています。次いで石油等が約700、LNGが約476で、石炭はLNGの約1.8倍のCO2を排出します。電気事業連合会が電力中央研究所推計値として公表している代表値ですが、発電所の効率や燃料の組成によって幅があります。震災後に日本がLNG比率を引き上げてきた背景には、化石燃料の中ではLNGが最も排出原単位が低いという構造があります。ただしLNGも化石燃料である点は変わらず、非化石化の中心は再エネと原子力の拡大に置かれています。
Q3. 日本の再エネ比率は、世界の中ではどの水準ですか?
IEA World Energy Balances(2022年実績)の主要国比較で見ると、日本の再エネ比率(約22%)はアメリカや中国と同程度で、G7主要国の中では中位寄りです。ドイツ(再エネ47%)やイギリス(44%)など欧州主要国はこれを上回り、水力資源に恵まれたカナダ(68%)・ブラジル(82%)はさらに高い水準にあります。一方、日本の火力比率73%はG7で最も高い水準で、化石燃料への依存度が国際的にも目立つ位置にあります。各国の電源構成は資源条件・国土条件・政策選択の総和として形づくられているため、単純な「進んでいる・遅れている」の評価ではなく、構造の違いとして観察することができます。
🔍 この記事のファクトチェックについて

当サイトはファクトチェックを実施しています。このページのファクトチェックのエビデンスを以下に掲載します。


