
日本の祝日数と有給休暇の取得率は、世界の中で同じ位置にあるわけではありません。祝日数の世界比較と、有給取得率のランキングを並べると、日本の『休む日』をめぐる位置関係がはっきり見えてきます。
日本の法定祝日は16日で、米国の連邦祝日11日、英国(イングランド・ウェールズ)の bank holiday 8日、ドイツの連邦祝日9日と比べると上位級に並びます。一方、エクスペディアの世界11地域有給休暇・国際比較調査2024では、日本の有給休暇取得率は63%で同調査の11地域中最下位という結果が出ています。祝日数では世界上位、有給取得率では世界最下位という対照的な姿が、同じ国の中で並んでいるのが、いまの日本の「休む」をめぐる構造です。
本記事では、内閣府「国民の祝日について」、JETROの世界各国祝祭日(2026年版)、エクスペディア「世界11地域 有給休暇・国際比較調査2024」などの一次情報を、主要20カ国の横棒チャート・日本の祝日16日の年間カレンダー・1948年から2026年までの78年推移・支給×取得の2軸プロット・月別ヒートマップ・実総休日合計のスタック横棒といった複数の図解で整理します。一つの指標だけでなく複数の角度から重ねることで、「日本人は休みすぎ/休めていない」のどちらの単純化にも回収されない構造を観察していきます。
日本の「休む日」、祝日数と有給取得率では世界のどこに位置しているのか。
法定祝日は16日で世界上位、有給休暇取得率は63%で世界最下位。
同じ国の「休む」を構成する2指標で 祝日数はG7最多/取得率は11地域最下位
本記事は楓が調査・編集しています。掲載情報は執筆時点のものです。数値・制度・サービス内容は変更される場合があるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。
日本の祝日数、世界の中での位置|主要20カ国の横並び比較

主要20カ国の祝日数を横棒で並べると、宗教暦圏を除けば日本は先進国で最多級にいることが一目で見えてきます。G7だけで比べても、日本が他の6カ国を上回ります。
JETROの各国祝祭日(2026年版)と内閣府の発表から主要20カ国の法定祝日数を集計すると、宗教暦の影響で日数が大きく変動するミャンマー(約30日)、イスラエル(約27日)、イラン・スリランカ(各約25日)、インド(中央政府指定で約21日)の上位グループに次いで、日本は16日でタイと並ぶ位置にあります。宗教暦圏を除けば、日本の祝日数は世界の中でも最多級の水準にあることがわかります。
G7内での比較|日本16・米国11・英国8
G7のなかで比べると、祝日数は日本16・カナダ11・米国11・フランス11・イタリア12・ドイツ9・英国(イングランド・ウェールズ)8の順に並びます。米国・カナダ・フランスが11日で同列、英国が最少の8日です。日本16日はG7の他6カ国の最大値(イタリア12)と比べても4日多く、G7内でも単独首位の位置にあります。主要なアジア国でも、韓国15・中国11・タイ16・シンガポール11・ベトナム11と並べると、タイと並んで最多級です。
ただし、横棒で並べただけでは「日本が祝日に恵まれている」とは断定できません。米国・英国・ドイツは振替休日や州・地域別の追加祝日があり、実際に企業が休業する日数は表示値より多くなる地域もあります。逆に、ミャンマー・イスラエル・イランの上位グループは宗教暦による変動を含み、年により±数日のブレが生じます。横棒チャートは「法定祝日のカウント」という一つの指標で並べたもので、実態の休日との一致度は国により異なる点には注意が必要です。
日本の祝日 16日 年間配置|3つの集積期に8日が集中

日本の祝日16日を1年のカレンダーに並べてみると、ばらばらに分布しているのではなく、3つの集積期に8日が集中していて、残り8日が単発で配置されているのが見えてきます。
16日の月別分布と3集積期|GW・SW・年初
2026年の日本の祝日16日を年間カレンダーで俯瞰すると、ゴールデンウィーク(4月29日・5月3日・5月4日・5月5日)に4日、シルバーウィーク(9月21日・9月23日)に2日、年初(1月1日・1月12日)に2日と、3つの集積期に合計8日が集まっています。一方、建国記念の日(2/11)、天皇誕生日(2/23)、春分の日(3/20)、海の日(7/20)、山の日(8/11)、スポーツの日(10/12)、文化の日(11/3)、勤労感謝の日(11/23)の8日は単発で配置されています。「集積8日+単発8日」というのが日本の祝日16日のおおまかな構造です。
主要5カ国の月別集積パターン|国により大きく異なる
同じ俯瞰を日本・米国・英国・ドイツ・フランスの5カ国で月別ヒートマップにすると、集積パターンが国により大きく異なることが面で見えてきます。日本は4-5月(GW)・9月(SW)・11月の3集積期型、米国は11-12月(感謝祭・クリスマス)への集中型、英国は5月・8月・12月への分散型、ドイツは5月(メーデー・キリスト昇天祭・聖霊降臨祭月曜日)と12月(クリスマス2日)への集中、フランスは5月(メーデー・戦勝記念日・昇天祭・聖霊降臨祭月曜日)に4日が集中するパターンです。「祝日数」という一つの数字の裏には、どの時期にまとまって休むかの設計思想がそれぞれ反映されています。
日本の祝日 1948→2026 78年推移|9日からほぼ倍の16日へ

現在の日本の祝日16日は、ずっと16日だったわけではありません。1948年の祝日法施行時は9日でスタートし、7段階の改正を経て2016年に16日となりました。階段折れ線で見ると、78年の推移は一気にではなく刻むように増えています。
7段階で増えた祝日|1966・1967・1989・1996・2007・2016
日本の祝日数は、1948年(昭和23年)の祝日法施行時に9日(元日・成人の日・春分の日・天皇誕生日・憲法記念日・こどもの日・秋分の日・文化の日・勤労感謝の日)でスタートしました。1966年(昭和41年)に敬老の日・体育の日が施行されて11日となり、1967年(昭和42年)には建国記念の日が初めて休日となって12日に。1989年(平成元年)には昭和天皇崩御に伴い天皇誕生日が4月29日から12月23日に移り、4月29日は「みどりの日」となって13日に増えました。
1996年(平成8年)に海の日が施行されて14日、2007年(平成19年)に4月29日が「昭和の日」に再改称されて旧「みどりの日」が5月4日に移り、ネットで1日増えて15日、そして2016年(平成28年)に山の日が施行されて16日に到達しました。1948年の9日から2016年の16日まで、78年でほぼ倍に増えたのがいまの祝日数の経緯です。2016年以降は新規追加の祝日法改正はなく、現在まで16日で推移しています。
16日で打ち止めとなった背景|2016年以降の追加なし
2016年の山の日新設以降、新規の祝日追加は10年間で行われていません。一方、2019年5月1日の天皇即位の日や、2020年・2021年の東京五輪に伴うスポーツの日の移動など、既存祝日の移動・特例は続いており、運用面の調整は活発に行われています。祝日数の総量という意味では、戦後9日→16日まで段階的に増えてきた流れがいったん落ち着き、現在は「16日をどう配置するか」の議論が中心になっている形です。
「祝日数16日」と「有給取得率63%」の対比|世界11地域での位置

「日本は祝日上位/有給は世界最下位」という対照的な姿は、エクスペディアの2024年調査で明確に出ています。支給日数と取得日数を2軸プロットで並べると、日本の位置は他国とはっきり離れた場所にあります。
エクスペディア2024調査の結果|支給19日・取得12日
エクスペディアが2024年6月20日に発表した「世界11地域 有給休暇・国際比較調査2024」によると、2023年の日本で働く人の有給休暇の支給日数は平均19日、そのうち取得されたのは平均12日で、取得率は63%。これが世界11地域中で最も低い数値です。調査対象はアメリカ、イギリス、カナダ、メキシコ、フランス、ドイツ、オーストラリア、ニュージーランド、日本、香港、シンガポールの11カ国・地域、対象は11,580名で、ハリス・リサーチ・パートナーズが2024年3月26日から4月3日にオンラインで実施しました。
主要11カ国との支給×取得 2軸プロット|100%取得ラインからの距離
2軸プロットで主要7カ国の位置を確認すると、香港は支給26日・取得28日で取得率108%(前年分繰越含む)と100%ラインの上に、フランスは支給31日・取得29日で94%、ドイツは支給29日・取得27日で93%、英国は支給27日・取得25日で93%、米国は支給12日・取得11日で91%と、いずれも100%ラインに近い位置にあります。ニュージーランドは支給22日・取得19日で86%でワースト2位、そして日本は支給19日・取得12日で取得率63%と、他の6カ国から大きく離れた位置にプロットされます。エクスペディア調査では、日本で取得しない理由の上位は「人手不足など仕事の都合上難しい」が32%、「緊急時に取っておく」が31%でした。
「実総休日合計」で見た日本の位置|祝日+有給+週末で132日

祝日と有給を別々に見ると日本は上位と最下位の両極ですが、「祝日+有給取得+週末」の実総休日で重ねると、日本は先進国の中位に位置します。スタック横棒で見ると、各国の休日の内訳構成が国により大きく違うことも見えてきます。
主要10カ国の実総休日|フランス144・香港149・日本132
祝日数(JETRO 2026年版)、有給取得日数(エクスペディア2024)、週末104日(土日×52週)を3層スタックで合計すると、主要10カ国の実総休日は、香港149日(祝日17+有給28+週末104)、フランス144日(11+29+104)、ドイツ140日(9+27+104)、英国137日(8+25+104)、ニュージーランド135日(12+19+104)、日本・カナダ132日、シンガポール・オーストラリア129日、米国126日(11+11+104)と並びます。日本の実総休日132日は、主要10カ国中で中位の水準です。ここには祝日と週末・有給と週末が重なる日の除外が含まれていないため、実態は数日少なくなる可能性があります。
「休めていない/休みすぎ」論の限界|構成比が国により大きく異なる
3層スタックの内訳を見ると、日本は祝日16日・有給取得12日・週末104日と、祝日層の厚みが他国より突出している一方で有給取得層は薄く、フランス(祝日11・有給29)やドイツ(祝日9・有給27)とは内訳構成が大きく異なります。米国は祝日11・有給11と両層とも薄い構成、香港は祝日17・有給28と両層とも厚い構成です。「日本人は休めていない」「日本人は休みすぎ」という単純化は、3層の構成比を見ると、どちらも一面的であることがわかります。実総休日の総量では中位、有給取得率では最下位、祝日数では上位という3つの異なる位置を同時に抱えているのが、いまの日本の「休む」をめぐる構造です。
楓のまとめ|日本の「休む」をめぐる3つの観察事実

ここまで6つの図解で並べた数値を、3つの観察事実として整理しておきます。価値判断は加えず、データから見えた構造をそのまま並べる形です。
「日本人は休みすぎか/休めていないか」という問いに対して、本記事で並べた図解は、祝日・有給・週末という3つの層で異なる位置に日本があることを示してきました。一つの指標だけで結論を出すのではなく、データそのものに優劣をつけるのでもなく、見え方の違いを観察事実として整理しておきます。
3つの観察事実を重ねて読むと、いまの日本の「休む」は、祝日制度では世界上位の整備水準、有給取得率では世界最下位、78年間の積み重ねでは戦後の倍増という、性格の異なる3つの位置を同時に抱えていることが見えてきます。「祝日数は世界上位/有給取得率は世界最下位/78年で9日→16日へ倍増」の3つは、それぞれが独立した観察事実で、どれを軸に置くかで読み取れる景色が変わります。「日本の祝日数は多い/少ない」「有給取得は世界水準と比べてどうか」への答えは、どの指標を、どの期間で、どの層で見ているかで変わる、という観察事実そのものが、いまの日本の「休む」をめぐる景色を最もよく映しています。
よくある質問(FAQ)

祝日と有給の比較を読むときは、対象範囲(法定/実態)と調査年、そして集計の基準(地域・州別の扱い・宗教暦変動の処理)の3点をセットで確認してください。同じテーマでも、この3点が変わるだけで数値が動きます。
Q1. 日本の祝日は世界で何番目に多いですか?
JETROの世界各国祝祭日(2026年版)と内閣府の発表をもとに主要20カ国で並べると、宗教暦の影響で日数変動の大きいミャンマー・イスラエル・イラン・スリランカ・インドの上位グループを除けば、日本は16日でタイと並んで最多級です。G7のなかでは単独首位で、米国11日・カナダ11日・フランス11日・イタリア12日・ドイツ9日・英国(イングランド・ウェールズ)8日と比べると、いずれの国よりも4〜8日多くなります。
Q2. なぜ日本の祝日は1948年の9日から16日に増えたのですか?
1948年の祝日法施行から2016年の山の日新設までに、7段階の改正で祝日が追加されました。1966年に敬老の日と体育の日(+2)、1967年に建国記念の日(+1)、1989年に天皇誕生日が12月23日に移って4月29日がみどりの日となり実質+1、1996年に海の日(+1)、2007年に4月29日が昭和の日に再改称されて旧みどりの日が5月4日に移って+1、2016年に山の日(+1)が施行されました。これらが祝日法とその改正法の沿革です。2016年以降は新規追加の改正は行われていません。
Q3. 日本の有給休暇取得率はなぜ世界最下位なのですか?
エクスペディアが2024年6月20日に発表した「世界11地域 有給休暇・国際比較調査2024」によると、日本で有給休暇を取得しない理由として最も多かったのは「人手不足など仕事の都合上難しい」が32%、次いで「緊急時に取っておく」が31%でした。一方、同調査では日本で働く人の47%が「休み不足を感じていない」と回答(11地域中最多)、56%が直近の休暇で「リフレッシュできた」と回答(同最多)しており、取得率の数値と主観的な満足度のあいだに差がある点も同時に示されています。
Q4. 祝日と有給と週末を合わせた「実総休日」で見ると日本はどの位置にいますか?
祝日数(JETRO 2026年版)、有給取得日数(エクスペディア2024)、週末104日(土日×52週)を3層スタックで合計すると、日本は132日(祝日16+有給12+週末104)で主要10カ国中の中位水準です。最多は香港149日、次いでフランス144日、ドイツ140日、英国137日、ニュージーランド135日。日本の下にはシンガポール・オーストラリア(129日)、米国(126日)が続きます。週末を除いた「祝日+有給取得」だけで比べると日本は28日で、フランス40日・香港45日とは差が大きく開きます。
Q5. 振替休日や国民の休日は祝日に含まれますか?
内閣府の定義では、「国民の祝日に関する法律」第2条で定められた16日が「国民の祝日」です。第3条に基づく「振替休日」(祝日が日曜と重なった場合の翌平日)や「国民の休日」(2つの祝日に挟まれた平日)は、祝日法上は「休日」として扱われ、第2条の祝日とは別カウントです。本記事の各図解では、JETROの祝祭日カウント方式に合わせて、振替休日を除く本祝日の数で集計しています。年により振替休日の発生数は異なりますが、第2条の16日自体は変わりません。
Q6. 2026年の日本の祝日は具体的に何月何日ですか?
2026年の日本の祝日16日は、元日(1/1)、成人の日(1/12)、建国記念の日(2/11)、天皇誕生日(2/23)、春分の日(3/20)、昭和の日(4/29)、憲法記念日(5/3)、みどりの日(5/4)、こどもの日(5/5)、海の日(7/20)、山の日(8/11)、敬老の日(9/21)、秋分の日(9/23)、スポーツの日(10/12)、文化の日(11/3)、勤労感謝の日(11/23)です。これら16日のうち、ゴールデンウィーク期(4/29・5/3・5/4・5/5)に4日、シルバーウィーク期(9/21・9/23)に2日、年初(1/1・1/12)に2日が集中し、残り8日は単発で配置されています。
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