日本の離婚率、戦後80年の推移を図解【2026年】

「日本の離婚は本当に増えているのか」という問いには、戦後80年の推移グラフと年齢階級別離婚率の折れ線を並べて見比べるのが近道です。長期の減少トレンドと直近の再上昇を1枚に重ねると、ふだん見えにくい「全体は減っているのに熟年離婚が増えている」という構造変化が浮かびます。
「離婚は増えている」という体感が広がる一方で、客観データは長期的な減少を示しています。厚生労働省の人口動態統計によれば、離婚件数は2002年(平成14年)の289,836組をピークに減少傾向となり、2024年(令和6年)は185,904組(離婚率1.55)でピーク比約64%まで縮小しました。一方、2023年からは2年連続で増加に転じ、2024年は前年比+2,090組を記録しています。長期の大幅減少と、直近2年の再上昇が同時並行で進んでいるのが、いまの日本の離婚をめぐる構造です。
本記事では、厚生労働省の令和6年人口動態統計(確定数)、人口動態統計特殊報告「離婚に関する統計」、e-Statの都道府県別データといった一次情報を、推移チャート・47都道府県タイルマップ・同居期間別スタックエリアといった複数の図解で整理します。戦後80年の長期トレンドと現在の地域差・年齢構造を別の角度から重ねることで、「日本の離婚」の景色がどう変わってきたのかを観察していきます。
日本の離婚は本当に増えているのか?
2002年のピークから件数は約36%減。ただし2年連続で再上昇に転じている。
本記事は楓が調査・編集しています。掲載情報は執筆時点のものです。数値・制度・サービス内容は変更される場合があるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。
戦後78年の離婚率推移|4つのマイルストーンで見る波形

78年分の推移は、表よりも折れ線グラフで見ると、ピーク・谷・現在地が一目で並びます。二つの山と一つの谷を経て、現在地がどこにあるかを波形のかたちで確かめます。
厚生労働省の人口動態統計によれば、離婚件数は1947年(昭和22年)の79,551組(離婚率1.02)から始まり、戦後復興期に向けて緩やかに減少しました。1963年(昭和38年)には離婚率0.73で戦後最低を記録し、これが第一の節目です。その後1964年以降は毎年増加に転じ、1983年(昭和58年)に離婚率1.51で第一の小ピークを迎えます。1984年からいったん減少しましたが、平成に入り再び上昇に転じ、1998年(平成10年)には離婚率1.94と明治32年以降の最高を更新しました。
そして2002年(平成14年)に離婚件数289,836組・離婚率2.30で、第二次大戦後の最大ピークに到達します。これが第三の節目で、戦後の離婚増加の頂点を表す数字です。2003年以降は減少局面に入り、2010年代には離婚件数は20万組台前半まで縮小しました。新型コロナウイルス流行期の2020年は193,253組(離婚率1.57)、2022年(令和4年)は179,099組(離婚率1.47)で直近の最低を記録します。
2023年・2024年は再び増加に転じ、2024年(令和6年)は185,904組・離婚率1.55となりました。これが第四の節目で、長期トレンドの中の現在地です。2002年ピーク比では約64%の水準にまで縮小したものの、2年連続の増加が続いており、底からの戻りが進む局面に入っています。客観データだけを並べてみると、日本の離婚は「22年で大幅減少・2年で底からの戻り」という二重の動きを同時に抱えていることがわかります。
47都道府県マップで見る2024年の離婚率|沖縄2.24と富山1.13で約2倍

47都道府県の地域差は、表や横棒よりタイルマップで見ると地理的な偏りが浮かびます。色の濃いタイルがどの地方に集まっているかが、ひと目で確認できます。
2024年(令和6年)確定値による都道府県別離婚率(人口千対)を見ると、最も高いのは沖縄県の2.24、最も低いのは富山県の1.13で、その差は約2.0倍に達します。最高値の沖縄県は全国平均1.55の約1.45倍、最低値の富山県は約0.73倍と、同じ国の中でも地域による開きは大きい状態です。上位は沖縄県(2.24)、大阪府(1.79)、福岡県(1.79)、北海道(1.76)、宮崎県(1.74)の順に並び、九州・四国・北海道エリアと大都市圏が高めの傾向にあります。
逆に下位には富山県(1.13)、秋田県(1.17)、山形県(1.18)と、北陸・東北日本海側の県が並びます。新潟・福井・石川といった日本海側の各県も同様に低めの傾向で、北陸地方の3世代同居率の高さなど、家族構造との関連が指摘されています。東京都は1.52で全国20位と全国平均(1.55)と同水準で、都市部だからといって離婚率が突出して高いわけではありません。
離婚件数で見ると、人口の多い東京都・大阪府・神奈川県が上位ですが、人口千対の離婚率で見ると順位が大きく変わるのが特徴です。離婚率は人口規模の影響を受けにくい指標で、結婚・離婚にまつわる地域文化や経済構造を反映しやすい一方で、都道府県の単年値は時系列で比較する際にぶれが生じやすい点には注意が必要です。次の見出しでは、こうした地域差とは別の軸である「同居期間」の構造変化を見ていきます。
同居期間別の構成変化|「5年未満」の縮小と「20年以上」の拡大

同居期間別の構成比は、各年の離婚を「結婚から何年で別れたか」で輪切りにする見方です。100%スタックエリアで並べると、層の厚みの変化が時間とともに動いていく姿が見えます。
同居期間別の構成比を1950年から2024年までスタックエリアで並べると、二つの大きな変化が現れます。最も顕著なのは、同居期間「5年未満」の比率が1997年(平成9年)の40.1%でピークに達し、2024年(令和6年)には27.8%まで低下したことです。早期離婚の比重が約30年で12.3ポイント縮小したのは、構成比としてかなり大きな動きです。これは結婚そのものが晩婚化していること、若年層の結婚件数が減っていることが背景にあります。
もう一つの大きな変化は、同居期間「20年以上」の比率が長期的に拡大している点です。1950年代には約12%だった比率が、2024年には22.9%(40,686組)まで上昇しました。約75年で比率はおよそ2倍に膨らんだ計算です。これがいわゆる「熟年離婚」の長期増加で、子育てが一段落した夫婦の離婚が、件数全体に占めるシェアを着実に広げてきました。
つまり同居期間別の構成比からは、「離婚総件数は2002年以降に減少」しているにもかかわらず、その内訳は「短期間で別れる若い夫婦の比率が縮み、長く連れ添った夫婦が別れる比率が広がる」方向に動いてきたことがわかります。同じ「離婚」という現象でも、その中身は約75年で姿を変えてきました。次の見出しでは、離婚を「どの方法で成立させたか」という視点から、もう一つの構造を確認します。
離婚の種類別の推移|「協議離婚 約88%」の安定構造

離婚の種類別の構成比は、件数や率では見えない制度面の特徴を映します。100%スタックバーで並べると、戦後一貫して変わらない安定した形が現れます。
2024年(令和6年)の離婚を種類別に見ると、協議離婚162,682組(87.5%)、調停離婚14,260組(7.7%)、審判離婚4,626組(2.5%)、裁判離婚1,948組(1.0%)、和解離婚2,378組(1.3%)、認諾離婚10組(0.0%)という構成です。夫婦の話し合いで離婚届を提出するだけで成立する協議離婚が約88%を占めるのが、戦後一貫して続く日本の離婚制度の最大の特徴です。協議離婚で合意できなかった場合に家庭裁判所での調停・審判・裁判へと進みますが、こちらは合計しても全体の約12%にとどまります。
1950年代と比較すると、当時は協議離婚が約96%、調停・裁判系の合計が約4%でした。約75年で協議離婚の比率は8ポイント程度下がり、調停・審判・裁判系がやや増えていますが、それでも「ほぼすべての離婚が協議で成立する」構造そのものは大きくは変わっていません。離婚件数の総数が10万組台で推移していた1950年代も、ピーク期の29万組弱だった2002年も、現在の19万組弱まで減った2024年も、構成比の主役はずっと協議離婚です。
協議離婚は法的な離婚原因を問われず、夫婦の合意さえあれば離婚届を役所に提出して成立する仕組みです。これはアメリカやヨーロッパの一部で必要となる「裁判による離婚原因の認定」と異なり、日本独自に近い柔軟な仕組みです。「件数は変わるが構成比は変わらない」というこの安定構造は、離婚をめぐる景色を考える上でひとつの重要な前提になります。次の見出しでは、件数や率とは別の「特殊離婚率」という指標で、「3組に1組」という表現の根拠を確認します。
「3組に1組」の根拠|特殊離婚率と普通離婚率の違い

「3組に1組が離婚する」という表現には根拠となる試算があります。ただしその試算は、年間の婚姻件数と離婚件数を直接比べる単純な割り算でもあります。
「日本では3組に1組が離婚する」という表現の根拠としてしばしば引用されるのが、特殊離婚率です。これは年間の離婚件数を婚姻件数で割って算出した値で、2024年(令和6年)は185,904÷485,063=38.3%でした。単純な割り算で見ると、2024年に結婚した夫婦の数に対して、同じ年に離婚した夫婦の数は約3分の1強に相当する規模になっています。1990年の特殊離婚率は約21.8%で、1990年代以降は長期的に上昇傾向にありました。2002年には38.3%でいったんピークに達し、その後37%前後で推移しています。
ただし特殊離婚率は、その年に結婚した夫婦の3割が離婚することを意味するわけではありません。分母(婚姻件数)と分子(離婚件数)の対象となる夫婦は別の人たちで、しかも分母は婚姻件数の長期減少(昭和47年の約110万組→2024年の約48万組)に押し上げられて値が大きく見える構造です。「結婚した3組に1組が離婚する」をより正確に表現したいなら、厚生労働省が公表している生涯結婚回数の試算を使う必要があります。
厚生労働省の人口動態統計特殊報告では、年齢別の婚姻率と離婚率を一生分積み上げて、「生涯のうちに結婚・離婚する確率」を試算しています。令和2年の試算では、1人が一生に結婚する平均回数は男性0.79回・女性0.84回、平均離婚回数は男性0.26回・女性0.27回でした。離婚回数を結婚回数で割ると男性0.33・女性0.32となり、いずれも約3分の1です。「3組に1組」という表現は、この試算が指し示す数字とほぼ一致しています。一方で、人口千対で見る普通離婚率は2024年が1.55で、1990年代前半(1.28前後)と同水準まで戻っており、人口あたりの離婚は減っているという別の景色も同時に成立しています。
年齢階級別離婚率の長期推移|若年層の低下と高年層の上昇

年齢階級別の離婚率の動きを見ると、世代間で逆向きの変化が同時に進んでいる景色が浮かびます。若年層は下がり、中高年層は上がっているという二重のトレンドです。
妻の年齢階級別の離婚率(妻人口千対)を1980年から2024年まで並べてみると、世代によって大きく異なる動きが現れます。25〜29歳の層は2000年の16.0をピークに低下し、2024年は12.5まで下がっています。30〜34歳の層も2010年代の12.5前後をピークにわずかに低下傾向で、若年層全体としては離婚率の頭打ちあるいは緩やかな低下が続いています。若年層の離婚率の低下は、若年層自体の結婚率の低下と密接に関わっています。結婚する若い夫婦の数が減れば、離婚に至る若い夫婦の数も減るためです。
逆方向の動きを見せているのが50代以上の層です。50〜54歳の妻の離婚率は1980年の1.5から2024年の4.5へと約3倍に拡大しました。60〜64歳の層も0.7から2.8へと約4倍の上昇です。長く連れ添った夫婦の離婚は、件数だけでなく率の側でも継続的に増えてきました。これがいわゆる「熟年離婚」の長期増加で、同居期間20年以上の構成比が1950年代の約12%から2024年の22.9%まで広がってきた動きと整合的です。
世代間で逆向きの変化が同時に進む構造は、「日本の離婚は減っているのか・増えているのか」という単純な問いに、単一の答えを返しにくくしています。総件数は2002年比で約36%減少しており、人口千対の普通離婚率も1990年代前半まで戻っています。しかし、その内側では若年層の離婚減と高齢層の離婚増という、世代間の異なる流れが重なってきました。次の見出しでは、これら6点の図解から見えた構造を、観察事実として整理します。
楓のまとめ|長期減少・地域差・熟年離婚の3つの観察事実

ここまでに並べた6つの図解から見えてきた構造を、3つの観察事実として整理します。判断ではなく、データが示している事実そのものを淡々と並べるかたちです。
「日本の離婚率は戦後80年でどう動いてきたか」という問いに対して、本記事で並べた図解は、長期トレンド・地域差・年齢構造という三つの異なる軸が、それぞれ別の物語を語っていることを示してきました。期間の取り方・地域の取り方・年齢階級の取り方、それぞれが違う結論に導きます。データそのものに優劣をつけるのではなく、見え方の違いを観察事実として整理しておきます。
3つの観察事実を重ねて読むと、いまの日本の離婚は、「総件数の長期減少」「地理的な地域差」「年齢構造の世代間反転」という三つの動きが同時に進んでいる現象として整理できます。「離婚は増えたか、減ったか」への単純な答えは、どの指標を、どの期間で、どの世代で見ているかによって変わる、という観察事実そのものが、戦後80年の日本の離婚をめぐる景色を最もよく映しています。
よくある質問(FAQ)

離婚率のグラフを読むときは、期間の取り方・指標の選び方・年齢構造の3点をセットで確認してください。同じデータでも、この3点が変わるだけで読み取れる物語が変わります。
Q1. なぜ2002年が戦後最大のピークだったのですか?
1990年代以降の離婚率上昇には、複数の社会構造の変化が重なっています。女性の就業率上昇による経済的自立の進展、家族観の変化、年金分割制度の導入議論(2007年4月施行)に向けた離婚タイミングの集中、長期不況下の家計負担、いわゆる「離婚に対する社会的タブー」の薄れ、などです。これらが2000年前後にピークを迎えたことで、2002年の289,836組・離婚率2.30という戦後最大のピークが形成されました。2003年以降の減少は、婚姻件数自体の長期減少(晩婚化・未婚化)と、年金分割制度の導入で「待つ」需要が前倒しで消化されたことなどが背景にあります。
Q2. 「3組に1組が離婚する」は本当ですか?
表現の根拠となる数字は二つあります。一つは年間の離婚件数を婚姻件数で割った特殊離婚率で、2024年は約38.3%です。もう一つは厚生労働省の人口動態統計特殊報告における生涯結婚回数の試算で、こちらでは離婚回数÷結婚回数が男性0.33・女性0.32とほぼ3分の1です。どちらも「およそ3分の1」を示しますが、特殊離婚率は分母と分子の対象が別の夫婦であり、生涯試算は年齢別の婚姻率・離婚率を一生分積み上げた仮想計算です。「同じ年に結婚した3組のうち1組が将来離婚する」という単純な意味ではないことに注意が必要です。
Q3. 戦前の離婚率は今より高かったというのは本当ですか?
はい、明治時代の離婚率は現在より高水準でした。明治16年(1883年)の離婚率は3.39(人口千対)と記録されており、これは2002年戦後最大ピークの2.30を大きく上回ります。明治31年の民法施行までは離婚が比較的容易な慣行が続いていたためです。民法施行後は離婚率が低下し、戦前期は概ね0.7〜1.0程度で推移しました。戦後最低の1963年(離婚率0.73)はこの戦前水準とほぼ同じです。「戦後の離婚率上昇」は、長期歴史的に見ると「明治期の高水準からいったん下がり、戦後に戻ってきた」とも整理できます。詳細は厚生労働省「離婚に関する統計」(rikon_8)の超長期データをご参照ください。
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