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空き家率の都道府県マップ、20年の推移を図解で解説【2026年】

空き家率の都道府県マップ、20年の推移を図解で解説
楓

「空き家率は上がったのか」という問いには、20年5回分の調査結果と47都道府県のタイルマップを並べてみるのが近道です。全体率の動きだけでなく、4区分内訳と地域差を一緒に見ると、緩やかな数字の裏で何が深く動いてきたかが見えてきます。

全国の空き家率は2023年(令和5年)に13.8%と過去最高を記録しました。総務省統計局「住宅・土地統計調査」によれば、20年前の2003年(平成15年)の12.2%から+1.6ポイントの上昇です。空き家数は659万戸から900万戸へ、20年で241万戸増えました。一方、空き家全体の42.8%を占める「賃貸・売却用や二次的住宅を除く空き家」(俗に「放置空き家」)は20年で約1.8倍(212→385万戸)に膨らんでいます。

本記事では、総務省統計局の令和5年住宅・土地統計調査(住宅数概数集計R6.4.30公表/住宅及び世帯に関する基本集計R6.9.25公表)の確報値を主軸に、全国20年5回分の推移・4区分内訳・47都道府県タイルマップ・10年推移などの複数の図解で空き家率の20年を整理します。最後に、国土交通省の改正空家法(令和5年12月13日施行)と野村総合研究所の2043年予測(民間推計)まで接続し、20年後にどうなる見通しかも示します。

EVIDENCE / 可視化pediaの結論

空き家率は20年で12.2%から13.8%へ。何が変わり、何が変わらなかったのか。

空き家率自体の上昇は緩やか。一方、放置空き家は20年で1.8倍に。

Past 2003 — 20年前・起点 12.2% 空き家 659万戸/総住宅 5,389万戸 Baseline / 起点
Now 2023 — 過去最高 13.8% 空き家 900万戸/総住宅 6,502万戸 Highest / 過去最高
2003 起点 2013 13.5% 2018 13.6% 2023 過去最高

Source

総務省統計局「住宅・土地統計調査」住宅数概数集計(速報集計)R6.4.30公表/住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)R6.9.25公表

楓の整理
この記事の要点

◆ 全国の空き家率は2023年に13.8%と過去最高。20年前(2003年)の12.2%から+1.6ポイント上昇しています。
◆ 「賃貸・売却用や二次的住宅を除く空き家(放置空き家)」は20年で約1.8倍(212→385万戸)。空き家全体の42.8%を占めます。
◆ 47都道府県別では和歌山・徳島が21.2%で最高、沖縄9.3%・埼玉9.4%が最低。西日本+過疎地域と首都圏の二極構造が10年で固定化されています。

出典:総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査」住宅数概数集計(速報集計)R6.4.30公表/住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)R6.9.25公表。NRI予測は野村総合研究所(2024.6.13)。

本記事は楓が調査・編集しています。掲載情報は執筆時点のものです。数値・制度・サービス内容は変更される場合があるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。

全国の空き家率は20年で12.2%→13.8%|過去最高に到達

楓

20年5回分の調査結果を1本の折れ線で並べると、全体率と「放置空き家率」の関係が一目でわかります。緩やかに上昇する2本のカーブが、それぞれ別の社会を映しています。

全国の空き家率 20年推移|2003〜2023 単位:% / 出典:総務省統計局「住宅・土地統計調査」(住宅数概数集計・基本集計) 0 4 8 12 16 2003 2008 2013 2018 2023 13.8% 12.2% 5.9% 3.9% 空き家率(全体) 賃貸・売却用や二次的住宅を除く空き家率(=放置空き家) ▼ 2023年・空き家率13.8%は過去最高 / 放置空き家率5.9%も過去最高

総務省統計局「住宅・土地統計調査」によれば、全国の空き家率は2003年(平成15年)の12.2%から、2008年13.1%、2013年13.5%、2018年13.6%、2023年(令和5年)13.8%と、20年5回の調査すべてで上昇を続けています。2023年は過去最高で、20年前と比べ+1.6ポイントの上昇です。空き家数で見ると、659万戸(2003年)から900万戸(2023年)へ、20年で241万戸(1.37倍)増えています。

一方、空き家のなかでも「賃貸・売却用や二次的住宅(別荘等)を除く空き家」を別の線で並べると、上昇カーブはより急になります。2003年は3.9%・212万戸でしたが、2023年には5.9%・385万戸へ、20年で+2.0ポイント・約1.8倍の伸びです。空き家率全体の動きが緩やかでも、市場に出ていない居住用途で活用されていない空き家は、20年で全国の住宅100戸あたり3.9戸から5.9戸へと存在感を増し続けています。これは日経新聞が2024年に「放置空き家1.8倍」と報じた指標と同じものです。

5回の調査のいずれでも空き家率は前回を上回り、減少に転じた回はありません。長期で見ると、空き家率の上昇は短期的な変動ではなく、構造的なトレンドとして20年続いてきたことになります。

空き家4区分の20年推移|放置空き家が20年で約1.8倍に

楓

4区分(賃貸用・売却用・二次的住宅・その他)の折れ線を1枚に重ねると、空き家率全体の緩やかな上昇の裏で、どの区分が増え、どの区分が減ったのかがはっきり見えてきます。

空き家4区分の20年推移|放置空き家が突出して増加 単位:万戸 / 出典:総務省統計局「住宅・土地統計調査」付表1 0 100 200 300 400 500 2003 2008 2013 2018 2023 443万戸 385万戸(+82%) 38万戸(-23%) 33万戸 その他(放置空き家) 賃貸用 二次的住宅 売却用 ▼ その他空き家(放置型)は20年で約1.8倍(212→385万戸)|他区分は横ばい〜減少

空き家を4区分に分けてみると、20年の動きは区分ごとにまったく異なります。賃貸用の空き家は2003年の367.5万戸から2023年の443.3万戸へ+20.6%の緩やかな増加、売却用は30.3万戸から32.7万戸で+7.9%とほぼ横ばい、二次的住宅(別荘等)は49.8万戸から38.3万戸へ-23.1%の減少です。

これに対し、「賃貸・売却用や二次的住宅を除く空き家」(俗称「放置空き家」)は211.8万戸から385.3万戸へ+82.0%・約1.8倍と他区分を圧倒する増加を記録しています。4区分のうち放置空き家だけが突出して増えてきたことが、空き家率全体の上昇カーブを支えてきた構造です。R5時点の空き家900万戸のうち、放置空き家は385万戸で42.8%を占めます。

R5(2023年)空き家4区分の構成|放置空き家が42.8%を占める 単位:万戸 / 出典:総務省統計局「住宅・土地統計調査」 空き家 900万戸 (R5・2023) 賃貸用 443.3万戸(49.3%) その他(放置空き家) 385.3万戸(42.8%) 二次的住宅(別荘等) 38.3万戸(4.3%) 売却用 32.7万戸(3.6%) ▼ 空き家全体の42.8%が「賃貸・売却用や二次的住宅を除く空き家(放置空き家)」

ドーナツで構成を見ると、R5時点では賃貸用が49.3%で最大ですが、その他(放置)が42.8%とほぼ拮抗しています。一方、別荘等の二次的住宅は4.3%、売却用は3.6%にとどまります。20年前(2003年)の同じ4区分構成では、賃貸用が55.7%、放置空き家が32.1%、別荘等が7.6%、売却用が4.6%でした。賃貸用の比率が低下し、放置空き家の比率が10ポイント以上上昇するという形で、4区分内訳の重心が動いてきた20年でした。

47都道府県別では和歌山・徳島が21.2%|首都圏は10%前後で安定

楓

47都道府県の空き家率を1枚のタイルマップに並べると、地理上の濃淡が一目でわかります。西日本+過疎地域と首都圏の二極の輪郭が、色の分布で浮かんできます。

47都道府県の空き家率 │ 令和5年(2023年)住宅・土地統計調査 最高:和歌山県・徳島県 21.2% 最低:沖縄県 9.3% 最高と最低の差は 11.9pt 📖 凡例 / HOW TO READ タイル色=早期化の度合い(5階調) ← 空き家率が高い 空き家率が低い → 20.0 以上 (最も高い) 18.0 〜 20.0 未満 15.0 〜 18.0 未満 12.0 〜 15.0 未満 12 未満 (最も低い) データ出所 公式 =住宅・土地統計調査 確報値 独自 北海道 15.6% 青森 16.7% 秋田 15.7% 岩手 17.3% 山形 13.5% 宮城 12.4% 福島 15.2% 沖縄 9.3% 石川 15.6% 富山 14.7% 新潟 15.3% 福井 15.5% 岐阜 16.0% 長野 20.0% 山梨 20.5% 愛知 11.8% 静岡 16.6% 群馬 16.7% 栃木 16.9% 埼玉 9.4% 茨城 14.1% 東京 11.0% 神奈川 9.8% 千葉 12.3% 滋賀 12.1% 京都 13.1% 兵庫 13.8% 大阪 14.3% 奈良 14.6% 三重 16.4% 和歌山 21.2% 鳥取 15.8% 島根 17.0% 岡山 16.4% 広島 15.8% 山口 19.4% 香川 18.5% 愛媛 19.8% 徳島 21.2% 高知 20.3% 福岡 12.3% 長崎 17.3% 佐賀 14.5% 大分 19.1% 熊本 15.0% 宮崎 16.3% 鹿児島 20.4% ▼ 空き家率が高い上位8県 1. 沖縄 公式 9.3% 2. 埼玉 公式 9.4% 3. 神奈川 公式 9.8% 4. 東京 公式 11.0% 5. 愛知 公式 11.8% 6. 滋賀 公式 12.1% 7. 千葉 公式 12.3% 8. 福岡 公式 12.3% ▲ 空き家率が低い下位8県 1. 徳島 公式 21.2% 2. 和歌山 公式 21.2% 3. 山梨 公式 20.5% 4. 鹿児島 公式 20.4% 5. 高知 公式 20.3% 6. 長野 公式 20.0% 7. 愛媛 公式 19.8% 8. 山口 公式 19.4% (出典)総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)」(令和6年9月25日公表) (注)住宅総数に占める空き家の割合。賃貸用・売却用・二次的住宅(別荘)を含む。和歌山県と徳島県が21.2%で同率1位。

R5(2023年)時点の47都道府県別空き家率を見ると、最も高いのは和歌山県と徳島県でいずれも21.2%、次いで山梨県20.5%、鹿児島県20.4%、高知県20.3%、長野県20.0%と続きます。空き家率20%超は6県で、空き家4戸のうち1戸近くが空き家という水準です。10位までを見ると、四国・九州・中国地方の西日本に集中しています。

一方、最も低いのは沖縄県9.3%で、次いで埼玉県9.4%、神奈川県9.8%、東京都11.0%、愛知県11.8%と続きます。最高の和歌山・徳島(21.2%)と最低の沖縄(9.3%)の差は11.9ポイントで、47県の空き家率は2倍以上の地域差を抱えています。下位5県のうち4県は首都圏・近畿圏・中京圏の人口集中地域で、人口流入が継続的にある地域では空き家率が抑えられている構造が見えます。

地方ブロック別で整理すると、四国4県(徳島21.2・愛媛19.8・高知20.3・香川18.5)の平均は19.95%、東北6県(青森16.7・岩手17.3・宮城12.4・秋田15.7・山形13.5・福島15.2)の平均は15.13%、関東1都6県(茨城14.1・栃木16.9・群馬16.7・埼玉9.4・千葉12.3・東京11.0・神奈川9.8)の平均は12.89%です。同じ地域ブロック内でも県によって差はありますが、ブロックレベルでも明瞭な傾斜が存在しています。

上位5県・下位5県の10年推移|地域差は10年で固定化

楓

上位5県と下位5県の10年推移(2013→2018→2023)を別々のパネルで並べると、地域差が縮まったのか広がったのかが見えてきます。10年前の出発地点と現在地を比べる図解です。

上位5県・下位5県の10年推移|2013→2018→2023 単位:% / 出典:総務省統計局「住宅・土地統計調査」概数集計(H25・H30・R5) ▼ 上位5県(高い) ▲ 下位5県(低い) 15 17 19 21 23 2013 2018 2023 8 9 10 11 12 13 2013 2018 2023 和歌山県(21.2) 徳島県(21.2) 山梨県(20.5) 鹿児島県(20.4) 高知県(20.3) 沖縄県(9.3) 埼玉県(9.4) 神奈川県(9.8) 東京都(11.0) 愛知県(11.8) ▼ 上位5県は10年前から既に高水準を維持/下位5県は10〜12%で安定(地域差は固定化)

R5時点の上位5県(和歌山・徳島・山梨・鹿児島・高知)の10年推移を見ると、いずれも2013年の時点で既に空き家率17〜22%の高水準にありました。和歌山県は2013年18.1%→2018年20.3%→2023年21.2%、徳島県は17.5→19.4→21.2と着実に上昇しています。一方、山梨県は2013年22.0→2018年21.3→2023年20.5とむしろ緩やかに低下しており、上位県のなかでも動きは一様ではありません。

対照的に、下位5県(沖縄・埼玉・神奈川・東京・愛知)はいずれも10年間で9〜12%台の狭い帯のなかで推移しています。沖縄は2013年10.4→2018年10.2→2023年9.3、埼玉は10.9→10.2→9.4と、10年でむしろ低下した県もあります。上位県と下位県の差は10年でほぼ縮まっておらず、空き家率の地域差は2013年時点から固定化された構造として続いているのが10年推移から読み取れる事実です。

上位5県の2013年→2023年の単純平均は18.5%→20.7%、下位5県は11.1%→10.3%。上位はゆるやかに上昇し、下位はゆるやかに下降しているため、上位と下位の差は10年で約7.4ポイントから10.4ポイントへ、わずかに拡大した形です。地域差は縮小ではなく、ゆっくりした拡大の方向に進んでいることになります。

住宅は20年で+21%、世帯は+19%|過剰供給が構造要因

楓

総住宅数と居住世帯あり住宅数を1枚に並べて、その差分を朱色で塗ると、空き家率上昇の構造的な背景がはっきり浮かびます。住宅供給と世帯需要のギャップが20年間どう開いてきたかの図解です。

総住宅数 vs 居住世帯あり住宅数の20年推移 単位:万戸 / 出典:総務省統計局「住宅・土地統計調査」付表1 4,500 5,000 5,500 6,000 6,500 2003 2008 2013 2018 2023 6,502 5,565 5,389 4,686 ←居住世帯なし(空き家等) 総住宅数(+1,113 / 20年で+21%) 居住世帯あり住宅数(+879 / 20年で+19%) ▼ 住宅数の増加(+21%)が世帯数の増加(+19%)を恒常的に上回る20年だった

総住宅数は2003年の5,389万戸から2023年の6,502万戸へ、20年で1,113万戸(+20.7%)増加しました。これに対し、居住世帯あり住宅数は4,686万戸から5,565万戸へ、879万戸(+18.8%)の増加にとどまっています。住宅増加が世帯増加を恒常的に上回り続けた20年だったということです。

差分を取ると、住宅と世帯の差分は2003年の703万戸から、2023年の937万戸へ、20年で234万戸広がりました。この差分が「居住世帯のない住宅」(≒空き家+建築中等)にあたります。空き家900万戸は、需要が消えたから生まれたのではなく、住宅供給が世帯増加を恒常的に上回り続けた結果の累積です

住宅着工は減速していますが、構造的には需要を上回り続ける供給が空き家を生み出す状況が続いています。野村総合研究所(2024.6.13)の推計でも、2040年度の新設住宅着工戸数は2023年度比約27%減の58万戸まで縮む見通しですが、これは「住宅増加が世帯増加を上回る」状況の解消とは別の話です。住宅ストックの除却(取り壊し)水準が大きく変わらない限り、住宅数と世帯数のギャップは縮みにくい構造が続きます。

2023年改正空家法と20年後の予測|「危険な空き家」は2倍以上の見込み

楓

空き家対策の制度面と、20年後の予測値を重ねて見ると、現在地と将来地点がつながった景色が見えてきます。最後にこの2つを並べて整理します。

国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」(令和5年法律第50号)は、令和5年(2023年)12月13日に施行されました。この改正で新設されたのが「管理不全空家」の制度です。それまでの「特定空家」(倒壊等の危険性が認められる空家)に加え、放置すれば特定空家になるおそれがある段階で、市町村が指導・勧告できる範囲が広がりました。勧告を受けた管理不全空家の敷地は、固定資産税の住宅用地特例(敷地面積200㎡まで6分の1)が解除される可能性があるため、所有者には早期の管理改善や活用検討のインセンティブが生じます。

20年後の予測としては、野村総合研究所が2024年6月13日に公表した「2040年の住宅市場と課題~『危険な空き家』倍増の恐れ、空き家問題は次のステージへ~」が参考になります。NRIは住宅・土地統計調査のR5確報をもとに2028~2043年の空き家数と空き家率を推計し、2043年の空き家率は約25%(4戸に1戸)に達する見込みと試算しています(民間推計)。

建て方別では、共同住宅と長屋建の空き家率は減少する見通しの一方、一戸建ての空き家は急増し、2043年には2023年の2.6倍になるとNRIは予測しています。一戸建ての空き家は腐朽・破損ありの割合が相対的に高いため、安全上の問題が大きい「腐朽・破損ありの一戸建空き家」は82万戸(2023年)から165万戸(2043年)へ、約2倍に増える見通しです。空き家全体の総数の増加が緩やかになるなかで、「危険な空き家」の増加という新たな課題が顕在化する局面に入っている、というのがNRI予測の核心です。20年後にどう備えるかが、いまの空き家問題を考えるうえでの実質的な論点になります。

楓のまとめ|全体率の緩やかな上昇の裏で、放置空き家が約1.8倍に増えた20年

楓

ここまでの全国推移と4区分内訳、47都道府県の地域差を一通り並べると、空き家率の20年を3つの観察事実として整理できます。

「空き家率は20年で12.2%から13.8%へ。何が変わり、何が変わらなかったのか」という問いに対して、本記事で並べた図解は、空き家率全体の緩やかな上昇の裏で、内訳の構造変化と地域差の固定化が同時に進んできたことを示してきました。期間の取り方・区分の選び方・地域の見方、それぞれが違う物語を語ります。データそのものに優劣をつけるのではなく、見え方の違いを観察事実として整理しておきます。

楓の観察整理
3つの観察事実

観察1. 20年で空き家率自体は12.2%→13.8%と+1.6ポイントの緩やかな上昇に見えます。しかし4区分内訳で分けると、賃貸用は+21%、別荘等は-23%、売却用は横ばい、一方で「賃貸・売却用や二次的住宅を除く空き家(放置空き家)」は+82%・約1.8倍と他区分を圧倒します。全体平均の動きの裏で、内訳の構造変化は深く進行している局面です。

観察2. 空き家率の地域差は10年前から既に存在し、10年でほぼ固定化されました。和歌山・徳島(21.2%)と沖縄・埼玉(9〜9.4%)の差は2013年時点から既に大きく、その差は10年で拡大ではなく固定化の方向に進んでいます。上位の地方県では空き家率は緩やかに上昇、首都圏の下位県では空き家数自体は増えても率は10%前後で安定しています。

観察3. 住宅は世帯より早く増え続け、空き家を構造的に生み出した20年でした。総住宅数は20年で1,113万戸増(+21%)、これに対し居住世帯あり住宅は879万戸増(+19%)。住宅供給が需要を恒常的に上回ったことで、空き家900万戸という現在地が形成されています。

3つの観察事実を重ねて読むと、いまの空き家率13.8%という数字は、賃貸用の緩やかな増加と放置空き家の急増、住宅供給の継続的な世帯超過、地域差の固定化が、20年かけて積み重なった結果として整理できます。「空き家率は上がったのか」への答えは、見ている指標が全体率なのか・内訳なのか・どの地域なのかで変わる、という観察事実そのものが、いまの空き家をめぐる景色を最もよく映しています。20年後(2043年)には空き家率が約25%に達する見通しというNRI推計まで含めて、「現在地と20年後」をつなぐ視点が、これからの空き家問題を考えるうえで役立ちます。

よくある質問(FAQ)

楓

空き家率の数字を読むときは、調査範囲・区分・地域単位の3点をセットで確認してください。同じデータでも、この3点が変わるだけで読み取れる物語が変わります。

Q1. 空き家率が最も高い都道府県はどこですか?

R5(令和5年)住宅・土地統計調査では、和歌山県と徳島県が21.2%で同率1位です。次いで山梨県20.5%、鹿児島県20.4%、高知県20.3%、長野県20.0%と続き、空き家率20%を超える都道府県は6県です。R5時点では全国平均13.8%を上回る都道府県のほうが多く、空き家率が全国平均を下回るのは沖縄(9.3%)、埼玉(9.4%)、神奈川(9.8%)、東京(11.0%)、愛知(11.8%)、滋賀(12.1%)、千葉(12.3%)、福岡(12.3%)、宮城(12.4%)、京都(13.1%)の10都府県です。

Q2. 「放置空き家」とは何ですか?空き家率とどう違いますか?

「放置空き家」は俗称で、統計上は「賃貸・売却用や二次的住宅(別荘等)を除く空き家」のことです。賃貸市場や売却市場に出ておらず、別荘でもない、居住用途で活用されていない空き家を指します。R5時点で全国に385万戸あり、空き家全体(900万戸)の42.8%を占めます。20年前(2003年)の212万戸から1.8倍に増えた区分で、空き家率の上昇カーブの中心的な要因です。なお国土交通省・総務省の正式な統計用語では「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家」「その他の住宅」などと呼ばれ、「放置空き家」という用語自体は公式ではありません。

Q3. 空き家率は今後どうなる予測ですか?

野村総合研究所が2024年6月に公表した推計では、2043年(20年後)に空き家率は約25%(4戸に1戸)に達する見込みです(民間推計)。建て方別では共同住宅と長屋建ての空き家率は減少する一方、一戸建ての空き家は急増し、2043年には2023年の2.6倍に達する見通しです。安全上の問題が大きい「腐朽・破損ありの一戸建空き家」は2023年の82万戸から2043年の165万戸へ、約2倍に増えると推計されます。NRIはこれを「『危険な空き家』増加問題」と呼び、空き家問題は次のステージに移行していると整理しています。

🔍 この記事のファクトチェックについて

楓

当サイトはファクトチェックを実施しています。このページのファクトチェックのエビデンスを以下に掲載します。

この記事のファクトチェックについて
確認日:2026年5月

記事内の主要な数値・事実について、公式サイトおよび一次情報源を用いて確認しています。確認できた項目には「確認済み」、参考情報には「民間推計」を表示しています。

✅ 確認済み

令和5年(2023年)全国の空き家数 900万2千戸・空き家率13.8%・過去最高(賃貸・売却用や二次的住宅を除く空き家385万3千戸・5.9%)

総務省統計局「住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)」R6.9.25 →
✅ 確認済み

全国 空き家数の20年推移(2003 659万戸→2008 757万戸→2013 820万戸→2018 849万戸→2023 900万戸)

総務省統計局「住宅数概数集計(速報集計)」R6.4.30 付表1 →
✅ 確認済み

47都道府県別 空き家率(R5・2023年)最高 和歌山県・徳島県 21.2%/最低 沖縄県 9.3%

総務省統計局「住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)」R6.9.25 付表 →
✅ 確認済み

空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律(令和5年法律第50号)令和5年12月13日施行・「管理不全空家」制度新設

国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法」 →
⚠ 要確認

2043年空き家率予測 約25%(4戸に1戸)・一戸建空き家は2023年の2.6倍・腐朽破損ありの一戸建空き家は82万戸→165万戸(2倍)。民間推計・参考値。次回 R10(2028年)住宅・土地統計調査の結果公表でNRIが推計値を更新する見込み。

野村総合研究所「2040年の住宅市場と課題」2024.6.13 →
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