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年収の平均値と中央値、その差を分布データで図解【2026年】

年収の平均値と中央値、その差を分布データで図解
楓

「平均年収」と「真ん中の年収」は、同じ「年収」という言葉でも大きく違います。実際の所得分布をヒストグラムで描き、そこに平均値と中央値の2本の線を重ねると、両者がずれる理由が一目で見えてきます。

「日本人の平均年収」という数字を見て、自分の実感とずれていると感じたことはないでしょうか。厚生労働省の2024年国民生活基礎調査によれば、2023年(令和5年)の1世帯あたり所得は、平均値が536万円、所得順に並べた真ん中(中央値)が410万円で、その差は126万円にのぼります。

この差は、所得分布が低い側に山をもち、高い側へ長く裾を引く形(右歪み)をしていることから生まれます。少数の高所得世帯が平均値を押し上げるため、平均所得を下回る世帯は全体の61.9%を占めます。「平均的な世帯」は、実は多数派ではありません。

本記事では、厚生労働省の国民生活基礎調査や国税庁の民間給与実態統計調査といった一次情報をもとに、所得分布ヒストグラムや年齢階級別の所得カーブなど複数の図解で、平均値と中央値がなぜずれるのかを整理します。あわせて、混同されがちな「世帯の所得」と「個人の給与」の違いまで見ていきます。

EVIDENCE / 可視化pediaの結論

日本の年収は「平均」と「真ん中」で、どれくらい違うのか。

2023年の世帯所得は、平均536万円、真ん中は410万円。その差は126万円です。

中央値 410万円 世帯を所得順に並べた真ん中(2023年の世帯所得) 中央値
VS
平均値 536万円 全世帯の所得を合計して割った値(2023年の世帯所得) 平均値

平均値と中央値の差は 126万円

SOURCE

厚生労働省「2024年 国民生活基礎調査の概況」(2025年7月4日公表・2023年の所得)

楓の整理
この記事の要点

◆ 2023年の世帯所得は、平均値536万円・中央値410万円で、その差は126万円。中央値は平均値の約76%にとどまります。
◆ 所得分布は右に長い裾を引くため、平均所得を下回る世帯が61.9%を占めます。最も多い所得層は100~300万円です。
◆ 「世帯の所得(厚労省)」と「個人の給与(国税庁)」は母集団が異なり、直接は比べられません。

出典:厚生労働省「2024年 国民生活基礎調査の概況」(2025年7月4日公表・2023年の所得)。個人給与は国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」(2025年9月公表)に基づきます。

本記事は楓が調査・編集しています。掲載情報は執筆時点のものです。数値・制度・サービス内容は変更される場合があるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。

平均値と中央値は何が違うのか、まず所得の「山」を見る

楓

所得の分布は、表ではなくヒストグラムで見ると「山の位置」が一目でわかります。そこに平均と中央値の2本の線を重ねてみましょう。

世帯所得の分布と「平均値・中央値」の位置 単位:相対度数(%) / 横軸:所得金額階級(万円) / 出典:厚労省 2024年 国民生活基礎調査 図9 0 4 8 12 16 6.7 14.4 14.4 13.1 9.9 8.5 7.6 5.4 4.4 3.3 ~100 500 900 1300 1700 2000~ 中央値 410万円 平均 536万円 ■ 平均536万円を下回る世帯が 61.9% 分布は左に山があり右へ長く裾を引くため、少数の高所得世帯が平均値を押し上げる

出典:厚生労働省「2024年 国民生活基礎調査の概況」(図9)
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。

平均値と中央値は、どちらも「代表的な値」を表しますが、計算の仕方が違います。平均値は、すべての世帯の所得を足し合わせて世帯数で割った値です。一方の中央値は、世帯を所得の低い順に並べたときにちょうど真ん中に位置する世帯の値です。

このグラフは、厚生労働省の2024年国民生活基礎調査から、所得金額階級別の世帯の割合(相対度数)をソースのまま描いたものです。世帯数の山は100~300万円のあたりにあり、そこから高所得側へと長く裾を引いていることが見てとれます。分布が左右対称なら平均値と中央値は重なりますが、このように右へ裾を引く分布では、両者がずれます。

実際、2023年の世帯所得は平均値536万円、中央値410万円で、その差は126万円でした。グラフでは、中央値の線が分布の山に近い位置にあるのに対し、平均値の線はそれより右側(高い側)にずれて位置しています。少数の高所得世帯が平均値を右へ引っ張ることで、平均と中央値の間に隔たりが生まれていると読み取れます。

所得の分布はなぜ右に裾を引くのか、平均以下が61.9%という事実

楓

「平均以下」と「平均超」を一本の帯で分けてみると、どちらが多数派かが見えてきます。境界は、平均値の536万円です。

平均所得を境にした世帯の割合 単位:% / 出典:厚労省 2024年 国民生活基礎調査 図9 平均以下の世帯 61.9% 平均超 38.1% 境界=平均536万円 最も多い所得層は「100〜200万円」「200〜300万円」がともに14.4% 「平均的な世帯」は、実は多数派ではありません

出典:厚生労働省「2024年 国民生活基礎調査の概況」(図9)
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。

所得金額階級を見ると、最も多いのは「100~200万円未満」と「200~300万円未満」で、いずれも14.4%と同率で最多でした。次いで「300~400万円未満」が13.1%です。つまり、多くの世帯は平均値536万円より低い階級に集まっています。

この分布を平均値で二つに分けると、平均所得金額を下回る世帯は61.9%、上回る世帯は38.1%となります。平均を下回る側が6割を超えるため、「平均的な世帯」は多数派ではないことが、この数字からわかります。平均という一点だけを見ていると、分布の大半がそれより低い位置にあるという事実が見えにくくなります。

この「平均以下が多数派」という状態は、日本が特別なわけではなく、右に裾を引く分布では数学的に自然に起こる現象です。所得のように下限(0万円)があって上限が大きく開く分布では、一部の大きな値が平均を上へ引き上げるため、平均より下の人数のほうが多くなります。

平均値と中央値は、どちらも正しいという話

楓

「平均は嘘」「中央値こそ真実」という話を見かけますが、わたしはどちらが優れているとは考えません。役割の違いを、小さな例で見てみます。

平均値と中央値は、役割が違う どちらが正しいかではなく、見たいものによって使い分ける 平均値 すべてを足して世帯数で割った値 ● 分布全体の「重心」を表す ● 少数の極端な高所得に 引っ張られて上振れする 例:5世帯の所得 300 / 350 / 400 / 450 / 2000万 → 平均は 700万円(1世帯が押上げ) 中央値 所得順に並べた「真ん中」の値 ● 順位の中央を表す ● 極端な値が混じっても 動きにくい(外れ値に頑健) 例:同じ5世帯 300 / 350 / [400] / 450 / 2000万 → 中央値は 400万円(真ん中のまま)

出典:平均値・中央値の統計上の定義に基づく概念図
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。

例えば、5世帯の所得が300・350・400・450・2000万円だったとします。このとき平均値は700万円になりますが、それは1世帯の2000万円が全体を押し上げた結果です。一方、同じ五世帯の中央値は真ん中の400万円のままで、高所得の1世帯が加わっても動きません。

この例が示すように、平均値は外れ値に敏感で、中央値は外れ値に頑健です。どちらが正しいかではなく、見たいものによって使い分けるものです。社会全体の所得の重心を知りたいときは平均値が、「ちょうど真ん中の世帯」の実感に近い値を知りたいときは中央値が、それぞれ適しています。

だから、「平均年収が高すぎて実感と合わない」という感覚は、平均が間違っているということではありません。平均が高所得層に引き上げられているため、多くの人が「自分は平均より下」と感じるのは、右に裾を引く分布ではむしろ自然なことだと言えます。

平均値と中央値の差は、近年どう動いてきたか

楓

中央値と平均値の差が縮まっているのか、それとも開いたままなのか。両者の折れ線を並べて、近年の動きを見てみましょう。

平均値と中央値の差は、近年も縮まっていない 単位:万円 / 公式に中央値が確定している直近2調査 / 出典:厚労省 国民生活基礎調査 400 440 480 520 560 2022年の所得 (令和4年調査) 2023年の所得 (令和6年調査) 平均 536 中央値 410 差 126万円 平均値 中央値 平均は2022→2023で反転増、中央値も微増

出典:厚生労働省 国民生活基礎調査(令和4年調査・令和6年調査)
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。

中央値と平均値がともに公式に公表されている直近2調査を並べると、2022年の所得(令和4年調査)は平均値524万円・中央値405万円、2023年の所得(令和6年調査)は平均値536万円・中央値410万円でした。平均値は2022年から2023年にかけて反転して上昇し、中央値もわずかに上ています。

注目したいのは、平均値と中央値の差(約126万円)は近年もほぼ同じ幅で推移していることです。平均と中央値が同じように動くということは、所得分布の形(右へ裾を引く形)そのものは、短期では大きくは変わっていないと読めます。なお、個人年収でよく語られる中央値とは異なり、ここでの中央値は「世帯の所得」の中央値である点に注意が必要です。

なお、国民生活基礎調査は3年ごとの大規模調査と中間年の簡易調査で構成され、年によって被災県の除外や調査未実施(2019年など)があります。そのため長期の時系列をたどるときは、年ごとの注記を確認しながら読む必要があります。ここでは、中央値が公式に明示されている直近2調査に絞って描いています。

年齢で見ると、所得のカーブは大きく変わる

楓

平均や中央値は「全世帯の混ぜこぜ」の数字です。世帯主の年齢で区切ると、所得の高さは山なりに変わります。

世帯主の年齢階級別 平均所得 単位:万円 / 出典:厚労省 2024年 国民生活基礎調査 図10 0 200 400 600 800 全世帯平均 536万円 336.4 29歳 以下 605.7 30代 739.8 40代 750.0 50代 612.1 60代 373.6 70歳 以上 50代が750万円で最も高く、29歳以下と70歳以上は半分以下にとどまる

出典:厚生労働省「2024年 国民生活基礎調査の概況」(図10)
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。

世帯主の年齢階級別に平均所得を見ると、50〜59歳が750.0万円で最も高く、40〜49歳が739.8万円でこれに続きます。一方、29歳以下は336.4万円、70歳以上は373.6万円と、ピーク世代の半分以下にとどまります。

このカーブからわかるのは、全世帯の平均536万円や中央値410万円は、年齢構成の影響を受けた値だということです。現役世代の多い世帯と、年金中心の高齢世帯では所得水準が大きく違い、高齢世帯が増えれば、それだけでも全体の中央値や平均は下に動きます。世帯単位の数字を読むときは、この年齢の偏りも頭に置いておくと、見誤りが減ります。

「世帯の所得」と「個人の給与」は別物、数字の出どころを確かめる

楓

ネットでは「平均年収」の数字がいくつも飛び交います。その多くは、出どころの違う調査が混ざっています。二つの調査を表で並べてみましょう。

「世帯の所得」と「個人の給与」は別物 母集団も対象も異なるため、同じ土俵で直接は比べられません 国民生活基礎調査 (厚生労働省) 民間給与実態統計調査 (国税庁) 対象の単位 世帯 個人 対象の範囲 すべての世帯 給与所得者(パート含む) 所得の範囲 稼働・年金・財産など全所得 給与・賞与のみ 代表値 平均536万円 / 中央値410万円 平均478万円 対象の年 2023年の所得 2024年分の給与 ネット上では両者が混同されがちですが、出どころの違う数字です

出典:厚生労働省 国民生活基礎調査 / 国税庁 民間給与実態統計調査
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。

世帯所得の平均536万円(厚労省)と、個人の給与の平均478万円(国税庁の令和6年分 民間給与実態統計調査)は、よく並べて語られますが、母集団が異なります。前者は「世帯」単位で稼働・年金・財産などすべての所得を含み、後者は「個人」の給与所得だけを対象とします。

だから、世帯所得と個人給与は、同じ土俵で直接比べられる数字ではありません。さらに、個人給与について「中央値は約407万円」などと語られることがありますが、国税庁の民間給与実態統計調査は個人給与の中央値を公表していません。ネットで流布する個人年収の中央値は、賃金構造基本統計調査の月収からの推計値が多く、出典を確かめることが大切です。

楓のまとめ

楓

ここまでの分布と比較を一通り並べると、平均値と中央値がずれる理由が、図解の対比で確認できます。3つの観察事実に整理してみます。

「日本人の年収」という一つのテーマに対して、本記事で並べた図解は、平均値と中央値が分布の上で異なる位置に立つことを示してきました。どの数字を、どの母集団で見るかで、読み取れる物語が変わります。数字そのものに優劣をつけるのではなく、見え方の違いを観察事実として整理しておきます。

楓の観察整理
3つの観察事実

観察1. 2023年の世帯所得は平均536万円・中央値410万円で、その差は126万円でした。中央値は平均の約76%にあたります。この差は、所得分布が右に長い裾を引き、少数の高所得世帯が平均値を押し上げることから生じています。

観察2. 平均所得を下回る世帯は61.9%を占め、最も多い所得層は「100~200万円」「200~300万円」がともに14.4%でした。「平均的な世帯」は多数派ではなく、右歪みの分布では数学的に自然に起こる現象です。

観察3. 「世帯の所得(厚生労働省・平均536万円)」と「個人の給与(国税庁・平均478万円)」は、対象の単位も範囲も異なる別の調査です。同じ土俵で直接比較はできず、出どころを確かめて読む必要があります。

3つの観察事実を重ねて読むと、「平均年収」と「真ん中の年収」のずれは、所得分布の形から生まれる構造的な現象だと整理できます。平均は分布全体の重心を、中央値は順位の真ん中を見ています。どちらか一方が正しいのではなく、見たいものに応じて使い分けるものです。「日本人の年収」を読むときは、それが平均か中央値か、世帯か個人かを確かめるだけで、見える景色が変わってきます。

よくある質問(FAQ)

楓

年収のデータを読むときは、「平均か中央値か」「世帯か個人か」の2点をセットで確認してください。この2点が変わるだけで、読み取れる数字が変わります。

Q1. なぜ平均年収は中央値より高くなるのですか?

所得分布が、低い側に山をもち高い側へ長く裾を引く「右歪み」の形をしているためです。一部の高所得世帯が平均値を上へ引き上げる一方、順位の真ん中を見る中央値はその影響を受けにくいため、平均値が中央値より高くなります。2023年の世帯所得では、平均536万円に対し中央値410万円で、その差は126万円でした。

Q2. 「自分の年収は平均以下」と感じるのは普通のことですか?

右に裾を引く分布では、平均より下に位置する人のほうが多くなるのが自然です。2023年の世帯所得では、平均536万円を下回る世帯が61.9%を占め、最も多い所得層は100~300万円でした。「平均以下」と感じる人が多数派になるのは、分布の偏りから説明できる現象です。

Q3. 個人の年収の中央値はどこでわかりますか?

世帯所得の中央値は厚生労働省の国民生活基礎調査で公表されていますが、個人の給与については、国税庁の民間給与実態統計調査が中央値を公表していません(公表されるのは平均478万円など)。ネットで見かける「個人年収の中央値」の多くは、賃金構造基本統計調査の月収などからの推計値です。公式の公表値か推計値かを、出典で確かめると見誤りが減ります。

🔍 この記事のファクトチェックについて

楓

当サイトはファクトチェックを実施しています。このページのファクトチェックのエビデンスを以下に掲載します。

この記事のファクトチェックについて
確認日:2026年6月

記事内の主要な数値・事実について、公式サイトおよび一次情報源を用いて確認しています。確認できた項目には「確認済み」、最新情報を確認すべき項目には「要確認」を表示しています。

✅ 確認済み

2023年(令和5年)の1世帯あたり平均所得金額 536万円・中央値 410万円・平均以下の世帯 61.9%

厚生労働省「2024年 国民生活基礎調査の概況」(図9) →
✅ 確認済み

所得金額階級で最多は「100~200万円未満」「200~300万円未満」がともに14.4%、次いで300~400万円未満が13.1%

厚生労働省「2024年 国民生活基礎調査の概況」(図9) →
✅ 確認済み

世帯主の年齢階級別平均所得は50〜59歳が750.0万円で最高、29歳以下が336.4万円で最低

厚生労働省「2024年 国民生活基礎調査の概況」(図10) →
✅ 確認済み

2022年の所得(令和4年調査)の世帯所得中央値は405万円、平均は524.2万円

厚生労働省 国民生活基礎調査 結果一覧(e-Stat) →
✅ 確認済み

令和6年分の給与所得者の平均給与は478万円(男性587万円・女性333万円)

国税庁「令和6年分 民間給与実態統計調査」 →
⚠ 要確認

平均値と中央値の差「126万円」、中央値は平均の「約76%」は、公式2値からの算定値です(536-410=126、410÷536≈0.765)。

算定根拠を本文に明示。厚生労働省 概況 →
⚠ 要確認

個人給与の「中央値」は国税庁調査では公表されていません。ネットの推計値(約407万円等)は賃金構造基本統計の月収からの算出が多く、本記事では主役の数字にしていません。

変更の可能性あり。国税庁 民間給与実態統計調査 →
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