
「失業率が高い時代」「低い時代」と言われても、どの数字と比べての話なのかは意外と共有されていません。1953年からの年平均をひと続きの折れ線にすると、いまの位置がそのまま見えてきます。
日本の完全失業率は、2025年(令和7年)平均で2.5%でした。前年と同率です。総務省統計局の労働力調査でさかのぼれる年平均の系列は1953年(昭和28年)から続いており、この73年間で最も高かったのは2002年の5.4%、最も低かったのは1.1%(1964年・1969年・1970年)でした。73年間の振れ幅は4.3ポイントで、2025年の2.5%はその範囲の下寄りに位置しています。
2025年平均の完全失業者は176万人、労働力人口は7004万人でした。労働力人口を完全失業者で割ると39.8となり、働く意思のある人のおよそ40人に1人が完全失業者という計算になります(編集部試算)。過去最高だった2002年は労働力人口6689万人に対して完全失業者359万人で、およそ19人に1人でした。
本記事では、完全失業率と完全失業者数の73年、年齢階級別の58年、2025年の11地域の差、求職理由別の11年を、同じ設計の図解で並べます。扱うのは年平均・原数値の系列で、報道でよく使われる月次の季節調整値とは別の系列です。数え方の違いが読み取りを変えるため、系列の性質を先に示してから推移を追っていきます。
日本の失業率は、73年間でどこまで振れてきたのでしょうか。
日本の完全失業率は2025年平均で2.5%。過去最高は2002年の5.4%でした。
出典:総務省統計局「労働力調査(基本集計)2025年(令和7年)平均結果」(2026年1月30日公表)
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
本記事は楓が調査・編集しています。掲載情報は執筆時点のものです。数値・制度・サービス内容は変更される場合があるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。
完全失業率の73年|1953年の1.9%から2025年の2.5%まで

73年分の完全失業率は、表よりも1本の折れ線で見ると山と谷の位置がそのまま並びます。どこで上がり、どこで下がったのかを、まず全体の形で確認します。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
1953年の完全失業率は1.9%でした。1950年代後半から1960年代にかけては1%台の年が続き、1964年・1969年・1970年には1.1%を記録しています。1.2%以下だった年は1964年・1965年・1968年・1969年・1970年・1971年の6か年です。73年の系列のうち、最も低い水準はこの時期に集中しています。
1970年代に入ると水準が切り上がります。1975年は1.9%、1980年は2.0%、1985年は2.6%、1990年は2.1%でした。1990年代後半からは上昇が続き、1998年に4.1%、1999年と2000年に4.7%、2001年に5.0%となります。そして2002年に5.4%となり、73年の系列で最も高い値を記録しました。この前後の経済環境は失われた30年を5つの数字で見た記事でも整理しています。
2002年以降は低下が続き、2007年には3.9%まで下がりました。2009年と2010年は5.1%で、5.0%以上だった年は2001年・2002年・2003年・2009年・2010年の5か年です。2014年3.6%、2019年2.4%と低下したあと、2020年と2021年は2.8%、2022年と2023年は2.6%、2024年と2025年は2.5%で推移しています。2.5%という水準は、1955年・1988年・1993年にも記録されています。
完全失業者数で見る73年|同じ2.5%でも人数は変わる

率だけを見ていると見落としやすいのが、母数である労働力人口の大きさです。同じ年目盛で人数の推移を並べると、率の形とは少し違う輪郭が現れます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
完全失業者数は、1953年に75万人でした。73年の系列で最も少なかったのは1964年の54万人で、この年の労働力人口は4710万人、完全失業率は1.1%です。最も多かったのは2002年の359万人で、労働力人口は6689万人、完全失業率は5.4%でした。
2025年の完全失業者は176万人で、前年と同数でした。労働力人口は7004万人と3年連続で増加し、就業者は6828万人と5年連続で増加しています。完全失業率が同じ2.5%でも、母数が違えば人数は変わります。1993年の完全失業率も2.5%でしたが、このときの完全失業者は166万人、労働力人口は6615万人でした。
率と人数を並べると、1990年代後半から2000年代前半にかけての上昇は両方の系列で同じ形をしています。一方で1960年代の低水準期は、率では谷が深く見える一方、人数では50万人台から60万人台の狭い帯にとどまります。労働力人口が4700万人前後だった時期と7000万人台の現在とでは、同じ1ポイントが指す人数が異なるためです。
年齢階級別の完全失業率|1968年からの58年で見える差

年齢階級別の系列は1968年から取れます。6つの階級を重ねると、どの年齢層がどれだけ離れているかが、線と線の間隔として見えてきます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
年齢階級別の完全失業率は1968年から公表されています。58年の全期間を通じて、15〜24歳が最も高い水準で推移しました。1968年の15〜24歳は1.8%で、総数の1.2%を0.6ポイント上回っています。2003年には10.1%となり、総数5.3%との差は4.8ポイントでした。
2025年平均を見ると、15〜24歳が3.8%、25〜34歳が3.3%、55〜64歳が2.6%、35〜44歳が2.3%、45〜54歳が2.0%、65歳以上が1.9%です。総数は2.5%でした。15〜24歳と総数の差は1.3ポイントで、6つの階級のうち最も大きい開きです。
階級ごとに山の高さと時期は少しずつ異なります。55〜64歳は2002年の5.9%が最も高く、2019年には2.1%まで下がり、2025年は2.6%でした。65歳以上は1969年と1970年の0.4%が最も低く、2009年の2.6%が最も高い値です。総数の折れ線は、これらを平均した位置を通っています。雇用の形そのものの変化は正規と非正規の雇用の40年推移で扱っています。
2025年の地域別完全失業率|11地域で最大1.1ポイントの差

地域別は11の区分で公表されています。降順の横棒に全国の水準を1本重ねると、どの地域が全国より上か下かが一目で並びます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
2025年平均の完全失業率を11地域区分で見ると、最も高いのは沖縄の3.2%、次いで東北2.9%、北海道2.8%です。最も低いのは北陸と四国の2.1%、次いで東海2.2%、北関東・甲信2.4%でした。最も高い沖縄と最も低い北陸・四国の差は1.1ポイントです。
前年と比べると、北海道・東北・北関東・甲信・北陸・東海・中国の6地域で上昇し、南関東・近畿・四国・九州の4地域で低下、沖縄は同率でした。全国平均と同じ2.5%だった地域は、南関東・中国・九州の3つです。なお都道府県別の完全失業率は四半期ごとのモデル推計値として別に公表される系列のため、本記事では扱いません。
求職理由別に見た完全失業者|2025年は自発的な離職が75万人

同じ完全失業者でも、仕事を探し始めた理由は一様ではありません。3つの区分を並べると、どの理由が増減の主な動きを作っているかが見えてきます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
2025年平均の完全失業者176万人を求職理由別に見ると、自発的な離職(自己都合)が75万人、新たに求職が48万人、非自発的な離職が41万人でした。非自発的な離職の内訳は、定年または雇用契約の満了が19万人、勤め先や事業の都合が22万人です。総数には求職理由不詳を含むため、内訳の合計とは一致しません。
2015年からの11年で見ると、3つの区分はいずれも2019年に最も少なくなり、2020年と2021年に増えたあと、再び減っています。2025年は3つの区分がすべて前年と同数でした。非自発的な離職は2015年の65万人から2025年の41万人へ、自発的な離職は90万人から75万人へと推移しています。賃金の側から見た推移は物価と賃金の30年推移にまとめています。
楓のまとめ|73年の失業率から読み取れる3つの観察事実

ここまでに並べた図解を通して見ると、率・人数・年齢・地域・理由のそれぞれが違う角度から同じ年を映していることがわかります。3つの観察事実に整理してみます。
「日本の失業率はいまどのあたりか」という問いに対して、本記事の図解は、見る指標と期間によって位置づけが変わることを示してきました。率で見るか人数で見るか、全体で見るか年齢や地域で分けるかによって、同じ2025年の景色が違って見えます。どれが正しいという話ではなく、それぞれが何を測っているのかを観察事実として整理しておきます。
3つの観察事実を重ねて読むと、完全失業率という1つの指標が、労働力人口という母数の変化と、年齢や地域といった内訳の広がりを同時に抱えていることがわかります。2.5%という値そのものよりも、その値がどの母数と内訳から生まれているかを見るほうが、系列の変化は追いやすくなります。73年分の折れ線は、そのための最も長い物差しとして使えます。
よくある質問(FAQ)

失業率のグラフを読むときは、系列の種類・期間の取り方・母数の3点をセットで確認してください。同じ「失業率」でも、この3点が変わると読み取れる内容が変わります。
Q1. 完全失業者とは、どのような人を指すのですか?
労働力調査では、次の3つの条件をすべて満たす人を完全失業者としています。仕事がなく調査週間中に少しも仕事をしなかったこと、仕事があればすぐ就ける状態であること、調査週間中に仕事を探す活動や事業を始める準備をしていたことの3点です。このため、働きたいと考えていても求職活動をしていない人は非労働力人口に分類され、完全失業者には含まれません。この定義はILOの国際基準に準拠したものです。
Q2. ニュースで見る失業率と、この記事の数字が違うのはなぜですか?
系列が異なるためです。本記事が扱うのは年平均・原数値の完全失業率で、報道で毎月伝えられるのは月次の季節調整値です。季節調整値は季節的な変動を取り除いた数値で、月ごとの動きを比べるために使われます。2025年平均は2.5%、2026年6月分の季節調整値も2.5%ですが、両者は作り方の違う数字なので、同じ折れ線に混ぜて並べることはしていません。
Q3. 都道府県別の失業率は、この記事では扱わないのですか?
扱っていません。労働力調査の基本集計で公表される地域別の完全失業率は、北海道から沖縄までの11地域区分までです。都道府県別の数値は、四半期ごとに「モデル推計値」として別に公表されており、全国や11地域の集計とは作り方が異なります。本記事では性質のそろった系列だけを並べる方針のため、11地域区分までを図解の対象としています。
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