
「サケの漁獲量が減った」という話は、数量だけを見ていると全体像がつかみにくくなります。量・1kgあたりの値・金額の3つを同じ記事のなかで並べると、それぞれ動く時期がずれていることが見えてきます。
北海道の「さけ」の漁獲量は、2003年(平成15年)の231,480トンが記録上の最多です。2025年(令和7年)の概報値は17,000トンで、ピーク年の7.3%にあたります。同じ期間に1kgあたりの浜値は177円から1,538円へ動きました。数量が7%台まで縮んだ一方で、1kgあたりの値は約8.7倍になっています。
この17,000トンを2026年7月時点の総人口1億2,293万人で割ると、1人あたり約138グラムです。80グラムの切り身なら約1.7切れ分にあたります。本記事では、北海道の「北海道水産現勢」と水産研究・教育機構の資料をもとに、漁獲量・1kgあたりの値・漁獲金額・回帰率・来遊数の内訳・北太平洋の国際比較という6つの図解で推移を整理します。原因の断定や将来の見通しは扱わず、公表されている数値の並びだけを観察します。
北海道の「さけ」の漁獲量は、どこまで減ったのか?
2025年は概報で17,000トン。ピーク2003年の7.3%です。
出典:北海道「北海道水産現勢」(1958年〜2024年 累年/2025年は概報値)/水産研究・教育機構/総務省統計局「人口推計」
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
本記事は楓が調査・編集しています。掲載情報は執筆時点のものです。数値・制度・サービス内容は変更される場合があるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。
北海道の「さけ」漁獲量はどこまで減ったか|1958年から2025年概報まで

68年分を1枚の折れ線にすると、積み上がっていった時期と下がっていった時期の位置関係がはっきりします。まずピークがどこにあるかを確かめてください。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
北海道の「さけ」漁獲量は、1958年(昭和33年)の28,720トンから記録が始まります。1970年代までは2万トン台から8万トン台で上下し、1985年(昭和60年)に104,724トンとはじめて10万トンを超えました。1990年代には18万トン台から19万トン台まで積み上がり、1997年(平成9年)は193,032トンを記録しています。
最も多かったのは2003年の231,480トンです。その後は10万トン台での推移が続き、2016年(平成28年)に82,432トン、2019年(令和元年)に51,380トンまで下がりました。2022年(令和4年)は83,772トンまで戻りましたが、2023年58,369トン、2024年46,657トンと続き、2025年の概報値は17,000トンでピーク年の7.3%になりました。
2025年の値は概報で、令和8年6月末現在で取りまとめられたものです。北海道は確報を2026年12月に公表する予定としており、今後の確定作業のなかで修正・訂正される場合があると注記しています。前年との対比は、概報の公表値で0.36と示されています。
量が減った年に、1kgあたりの値はどう動いたか

数量と単価は単位が違うので、左右2つの軸に分けて同じ枠に置きます。棒が縮んでいく年に、線がどちらへ動いているかを見てください。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
1kgあたりの値は、各年の漁獲金額を漁獲数量で割って編集部が算出したものです(2025年は概報の公表値)。1990年(平成2年)は464円、1995年(平成7年)は218円、2003年は177円でした。数量が最も多かった年の1kgあたりの値は、1970年以降で最も低い水準です。
2010年(平成22年)は363円、2015年(平成27年)は520円、2019年は582円と上がり、2021年(令和3年)に851円、2024年(令和6年)は1,056円になりました。2025年の概報値1,538円/kgは、2003年の177円と比べて約8.7倍にあたります。前年の1,056円と比べると約1.46倍です。
金額と1kgあたりの値はいずれも名目値で、物価の変動をならしていません。1970年代や1980年代の水準と比べるときは、名目値どうしの比較である点を含めて読む必要があります。
漁獲金額はいつ下がったか|2024年まで400億円台から650億円台

量が減っていれば金額も同じ形で減っている、と考えたくなります。金額を別の棒グラフにすると、動きが揃っていない区間が出てきます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
漁獲金額は、1990年が634.6億円、1995年が399.2億円、2003年が409.5億円でした。数量が最多だった2003年の金額は、数量が6割程度だった1990年を下回っています。数量の順位と金額の順位は一致していません。
2015年は610.3億円、2019年は298.9億円、2022年は649.3億円、2024年は492.5億円です。数量が46,657トンまで減った2024年の金額は、231,480トンだった2003年の409.5億円を上回っていました。
金額が大きく下がったのは2025年です。概報値は261.0億円で、前年との対比は0.53と示されています。数量の対比0.36に対して金額の対比は0.53で、下がり方の幅は同じではありません。
放流に対して帰ってきた割合|単純回帰率の37年

漁獲量は漁の状況にも左右されます。放流した数に対してどれだけ帰ってきたかを示す割合を並べると、別の角度から推移を確かめられます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
水産研究・教育機構は、4年前の年度の放流数に対する来遊数の割合を単純回帰率として公表しています。北海道は1996年度(平成8年度)の5.69%、2003年度の6.03%が高い水準でした。全国計では1996年度の4.52%が、掲載されている期間のなかで最も高い値です。
2010年代後半から数値は下がり、全国計は2017年度(平成29年度)に1.27%、2019年度に1.12%となりました。2025年度は北海道0.78%、全国計0.66%で、掲載されている1989年度以降で最も低い値です。本州計は0.04%でした。
この表は令和8年4月17日現在で確認された値であり、原典は今後の集計作業で変更になる場合があると注記しています。また放流数の年度は、稚魚が放流された年ではなく、その親が回帰して採卵した年度を指すと説明されています。
サケはどこに帰ってきているか|2024年漁期の来遊数

来遊数は、沿岸で獲れた数と川で捕らえた数の合計です。地域ごとに横棒で並べると、量がどこに集まっているかが一目で分かります。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
2024年漁期の総来遊数は17,903,599尾でした。うち北海道が17,695,327尾、本州が208,272尾です。編集部が算出すると、来遊数の98.8%が北海道、本州は1.2%という内訳になります。
北海道の内訳では、オホーツクが11,945,704尾で最も多く、根室3,125,630尾、日本海1,190,553尾、襟裳以東1,090,913尾、襟裳以西342,527尾と続きます。前年比は根室が113%で、それ以外の海区は59%から79%の範囲でした。
原典は、全国が前年比78%で低迷していること、本州は日本海地区での減少幅が大きく太平洋地域の低迷が継続していることを記述しています。あわせて2024年秋季について、9月上旬から高水温状態が継続したと記載しています。
北太平洋のなかの日本|2024年の国・地域別漁獲量

同じ海を回遊するサケは、日本以外の国でも獲られています。国・地域別の数字を並べると、日本の位置が確かめられます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
水産研究・教育機構の資料は、北太平洋溯河性魚類委員会(NPAFC)の統計を引用して、2024年のサケ商業漁獲量を全体18.4万トンと示しています。内訳はロシア7.2万トン、アラスカ5.8万トン、日本4.8万トンの順です。
米国西海岸は5,855トン、カナダは1,626トンでした。放流数は全体で34.9億尾、うち日本が11.6億尾、ロシアが14.5億尾と記載されています。原典は、ロシアは横ばい、アラスカと日本は減少、カナダと米国西海岸は増加と整理しています。
この4.8万トンはサケの商業漁獲量の統計であり、本記事の主系列である北海道水産現勢の「さけ」の水揚とは統計の体系が異なります。同じ図解のなかで足し合わせたり、直接引き比べたりはできない数値です。
楓のまとめ|量・値・金額の3つは同じ形では動いていない

ここまでの6枚を並べ直すと、数量・単価・金額・回帰率がそれぞれ違う形で動いていることが確かめられます。3つの観察事実に整理します。
「サケの漁獲量はどこまで減ったか」という問いに対して、本記事の図解は、数量・1kgあたりの値・漁獲金額・単純回帰率・来遊数という5つの並びを示してきました。どの指標を、どの期間で見るかによって、読み取れる形は変わります。数値の並びをそのまま観察事実として整理しておきます。
3つを重ねると、量の減り方・値の上がり方・金額が下がる時点が、それぞれ別のタイミングで現れていることが分かります。数量が7%台まで縮んだ2025年になって、金額もはじめて260億円台まで下がりました。2025年の値は概報で、確報は2026年12月に公表される予定です。確定作業のなかで数値が動く可能性を含めて読む必要があります。
よくある質問(FAQ)

統計を読むときは、対象の範囲・年の区分・確定の度合いの3点を確かめてください。同じ「サケ」でも、資料によって数え方が変わります。
Q1. 2025年の17,000トンという数字は確定値ですか?
概報値です。北海道は、令和7年1月から12月の生産高を令和8年6月末現在で取りまとめたものと注記しており、今後の確定作業で修正・訂正されることがあると記載しています。確報は2026年(令和8年)12月に公表される予定です。本記事の2025年の数量・金額・1kgあたりの値は、すべてこの概報値にもとづいています。
Q2. 北海道の漁獲量と、日本全体のサケの漁獲量は同じものですか?
別の統計です。本記事の主系列は「北海道水産現勢」による道内の「さけ」の水揚で、1958年から続く北海道の調査です。一方、水産研究・教育機構の資料が引用するNPAFC統計の日本4.8万トン(2024年)はサケの商業漁獲量で、集計の範囲と体系が異なります。同じ図解のなかで足し合わせることはできません。
Q3. 単純回帰率が下がると、漁獲量も同じだけ下がるのですか?
2つは別々に公表されている数値で、動き方も一致していません。単純回帰率は4年前の年度の放流数に対する来遊数の割合で、全国計は1996年度の4.52%から2025年度の0.66%まで下がりました。一方の漁獲量は2022年に83,772トンまで戻った年があり、回帰率とは異なる形をしています。本記事では両者の関係には踏み込まず、それぞれの数値の並びを示すにとどめます。
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