
「日本の再エネは多いのか少ないのか」という問いには、主要国を同じものさしの横棒で並べるのが近道です。国際比較の1枚と国内推移の1枚を分けて重ねると、日本の位置と歩みの両方がはっきり見えてきます。
日本の再生可能エネルギーは、世界と比べて多いのでしょうか、少ないのでしょうか。世界各国の電力データを集計する英国のシンクタンクEmberによれば、2024年の日本の再エネ電力比率は23.2%。ドイツの57.4%と比べると半分以下で、その差は約2.5倍です。太陽光は世界上位の規模に育った一方で、風力は1%にとどまりG7平均の12%と大きな開きがあるというのが、いまの日本の再エネの構造です。
本記事では、Ember「Global Electricity Review 2025」、IEA「Global Energy Review 2025」、資源エネルギー庁「総合エネルギー統計(2024年度確報)」という一次統計を、主要国の横棒比較・国内推移の折れ線・電源別の内訳・政府目標との距離という複数の図解で整理します。国際統計(暦年)と国内統計(年度)は集計基準が異なるため、図ごとに使い分けて明示していきます。
日本の再生可能エネルギー電力比率は、世界の中でどの水準にあるのでしょうか?
2024年の日本の再エネ電力比率は23.2%。ドイツ(57.4%)の半分以下で、主要先進国の中では低い水準にあります。
その差約2.5倍(57.4%÷23.2%≒2.47・2024年)
本記事は楓が調査・編集しています。掲載情報は執筆時点のものです。数値・制度・サービス内容は変更される場合があるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。
主要国の再生可能エネルギー電力比率を比較|2024年

国ごとの再エネ比率は、数字の一覧表よりも横棒を1本ずつ並べる方が、日本の位置がひと目で定まります。欧州の上位国から世界平均、そして日本まで、同じ「発電電力量に占める割合」というものさしで比べてみます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
2024年の再エネ電力比率を主要国で並べると、上位は欧州勢が占めます。デンマーク88%、オーストリア86.7%、ポルトガル85.2%と8割を超える国が続き、スウェーデンは69.5%。ドイツ57.4%、スペイン57.2%、イギリス51.5%と、欧州の主要国では発電の半分以上を再エネが担う水準に達しています(Ember・暦年)。
一方、日本は23.2%で、アメリカの23%(IEA)とほぼ同じ水準です。世界平均は33%(IEA)ですから、日本とアメリカは、主要先進国の中で世界平均を下回る下位圏に位置しています。なお、フランスの26%は原子力が68%を超えるという電源構成の違いが背景にあり、再エネ比率の低さがそのまま化石燃料への依存を意味するわけではありません。
この図の数値は、Emberが集計する暦年・発電電力量ベースの国際統計です。日本の国内公式統計(総合エネルギー統計・年度)では2024年度の再エネ比率は23.1%と近い値になりますが、対象期間と集計手法が異なる別の統計です。両者の使い分けは記事末のファクトチェック欄に整理しています。
G7でみる日本|太陽光は世界4位、風力は1%

再エネの合計だけでは、日本の再エネの形は見えてきません。太陽光と風力を分けて並べると、世界上位の電源と、開きの大きい電源がはっきり分かれます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
日本の太陽光比率は10%で、世界平均の6.9%を上回っています(2024年・Ember)。太陽光は日本の中で最大のクリーン電源であり、発電量の規模では中国・アメリカ・インドに次ぐ世界4位です。国土に対する導入密度の高さは、FIT制度以降の積み上げの結果として国際的にも上位にあります。
対照的なのが風力です。日本の風力比率は1%にとどまり、G7平均の12%とは12倍の開きがあります。太陽光は世界上位、風力はG7平均と桁違いの差という2層構造が、合計23.2%という数字の内側にあります。
風力の開きが生じた原因を1つに特定できる統計はありません。エネルギー白書2025は洋上風力の案件形成と導入拡大を政策課題として挙げており、Emberも日本の風力比率がG7平均と開いている事実を指摘しています。本記事では要因の断定はせず、電源別の開きという観察事実の提示にとどめます。
日本の再エネ比率はどう推移してきたか|2010年度から2024年度

推移は折れ線が最も素直に伝わります。2012年のFIT制度開始の位置に点線を置くと、線の傾きが変わり始めた時期と制度の始まりが重なって見えます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
国内の公式統計で見ると、日本の再エネ電力比率(水力含む・年度)は2010年度の9.5%から2024年度の23.1%へ、14年間で13.6ポイント上昇しました。2024年度は前年度から0.2ポイントの微増で、発電電力量は9,911億kWh(前年度比+0.4%)、原子力9.4%と合わせた非化石電源比率は32.5%となっています(確報)。
推移の転換点は2012年7月に始まったFIT制度(固定価格買取制度)です。太陽光の発電量は2010年度の35億kWhから2024年度の981億kWhへと約28倍に拡大し、比率上昇の主役となりました。一方で近年は上昇ペースが緩やかになっており、2023年度から2024年度の伸びは0.2ポイントです。
日本の再エネの内訳|何が電気をつくっているか

内訳は比率だけでなく億kWhの実量で並べると、電源ごとの規模感がそのまま伝わります。最も大きい太陽光と、最も小さい地熱では25倍の開きがあります。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
2024年度の再エネ発電量2,286億kWhの内訳は、太陽光981億kWh(総発電の9.9%)、水力735億kWh(7.4%)、バイオマス414億kWh(4.2%)、風力117億kWh(1.2%)、地熱39億kWh(0.4%)です。太陽光と水力の2電源で再エネ全体の75%を占めています(確報)。
伸び率で見ると、風力は前年度比+11.3%、地熱は+13.8%と2桁の増加を示していますが、規模はまだ小さく、比率への寄与は限られています。水力は前年度比1.8%減で、渇水などの気象条件により年ごとの変動がある電源です。国際比較で開きが大きかった風力の規模感が、この内訳からも確認できます。
世界全体ではどうなっているか|再エネは発電の3分の1へ

世界平均は、日本の位置を測るもう1つのものさしです。石炭・再エネ・原子力という大きな区分で見てから、再エネ33%の内側を分けてみます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
IEAによれば、2024年の世界の電源構成は石炭35%、再エネ33%、原子力9%で、残りは天然ガスなどの化石燃料です。再エネ33%の内訳は水力14%、風力8%、太陽光7%、バイオエネルギー等3%。世界平均では風力が太陽光を上回っており、風力1%の日本とは構成の形が異なります。
最新の動向として、Emberの集計では2025年に世界の再エネ比率が33.8%となり、石炭の33.0%を100年ぶりに上回ったと報告されています。世界平均で見ても、再エネはすでに発電の約3分の1を占める主要電源になっています。
目標との距離|2030年度36〜38%・2040年度4〜5割

目標は点ではなく帯で示しています。達成できるかどうかを占う図ではなく、現在地から目標までの距離を測るための図です。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
第6次エネルギー基本計画(2021年10月閣議決定)は、2030年度の再エネ電力比率を36〜38%程度と見込んでいます。2024年度の実績23.1%からは12.9〜14.9ポイントの距離があり、残る期間は6年度分です。参考として、直近14年間の上昇幅は13.6ポイントでした。
さらに第7次エネルギー基本計画(2025年2月閣議決定)は、2040年度の再エネ比率を4〜5割程度と見通しています。本記事は達成可否の予測はせず、現在地23.1%と2つの目標帯の距離を図示するにとどめます。距離をどう埋めるかの政策論は、エネルギー白書などの一次資料をあわせてご覧ください。
楓のまとめ|合計・内訳・時間軸の3枚で見る日本の位置

ここまでの図解を一通り並べると、日本の再エネの位置は「合計」「内訳」「時間軸」の3つの見方で違う表情を見せることが確認できます。3つの観察事実に整理してみます。
「日本の再エネは多いのか少ないのか」という問いに対して、本記事で並べた図解は、どのものさしで測るかによって答えの表情が変わることを示してきました。国際比較の合計値・電源別の内訳・国内の時間軸、それぞれが違う物語を語ります。データに優劣をつけるのではなく、見え方の違いを観察事実として整理しておきます。
3つの観察事実を重ねて読むと、日本の再エネは「世界の中では低い水準にあるが、国内の時間軸では着実に伸びてきた」という2つの事実が同時に成立していることがわかります。合計の国際順位・電源別の内訳・国内の推移という3枚の図を切り替えながら見ることが、日本の再エネの位置を数字で説明するいちばんの近道です。どの図も一次統計から作成していますので、出典とあわせてご活用ください。
よくある質問(FAQ)

再エネ比率のグラフを読むときは、暦年か年度か・水力を含むか・発電量か設備容量か、の3点をセットで確認してください。同じ「再エネ比率」でも、この3点が変わるだけで数値が変わります。
Q1. 日本の再エネ比率は世界で何位くらいですか?
厳密な順位は集計機関や対象国の範囲によって変わるため、本記事では順位表の形では示していません。位置づけとしては、2024年の日本の23.2%(Ember)は世界平均33%(IEA)を下回り、アメリカの23%とほぼ同水準です。デンマーク88%やドイツ57.4%といった欧州主要国とは大きな開きがあり、「世界平均未満・主要先進国の下位圏」というのがデータから言える位置です。
Q2. なぜ日本は風力が少ないのですか?
単一の原因を特定できる統計はありません。エネルギー白書2025は洋上風力の案件形成と導入拡大を今後の政策課題として挙げており、Emberは日本の風力1%がG7平均12%と開いている事実を指摘しています。導入に時間のかかる電源であること、適地や系統との調整が必要なことなど複数の要素が資料上で言及されていますが、本記事では要因の断定はせず、開きの大きさという観察事実の提示にとどめています。
Q3. 再エネ比率の最新データはどこで見られますか?
国内の公式値は、資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」で毎年4月に前々年度の確報が公表されます(2024年度確報は2026年4月14日公表)。国際比較はEmber「Global Electricity Review」(毎年4月頃・前年暦年)とIEA「Global Energy Review」が代表的です。国内統計は年度・国際統計は暦年という基準の違いがあるため、比較の際は対象期間の表記をご確認ください。
🔍 この記事のファクトチェックについて

当サイトはファクトチェックを実施しています。このページのファクトチェックのエビデンスを以下に掲載します。



