
世界のインターネット普及率は、地域や所得によって大きく差があります。世界地図で地域ごとの濃淡を見て、地域別ランキングや所得階層別の棒グラフを並べると、ふだん一つの数字で語られがちな「世界の普及率」が、いくつもの層に分かれている様子が見えてきます。
「世界のインターネット普及率」と聞くと一つの数字を思い浮かべがちですが、地域別に見ると景色は大きく変わります。国際電気通信連合(ITU)の2025年推計によれば、世界全体の普及率は74%で、利用者数は約60億人に達しました。一方で約22億人が依然オフラインのままです。地域別では独立国家共同体(CIS)の93%からアフリカの36%まで、約57ポイントの幅で分布しています。
本記事では、ITUの「Measuring Digital Development: Facts and Figures 2025」をもとに、世界全体の普及率、ITRが定める6地域区分での地域差、所得階層別の格差、都市と農村の格差を、世界地図コロプレスと複数の棒グラフで整理します。因果や将来予測ではなく、2025年推計時点で観察される数値の並びと差を、そのまま見ていきます。
世界のインターネット普及率は、地域によってどれだけ差があるのか。
世界全体では74%。地域別ではCISの93%からアフリカの36%まで、約57ポイントの幅で分布しています。
本記事は楓が調査・編集しています。掲載情報は執筆時点のものです。数値・制度・サービス内容は変更される場合があるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。
世界全体の普及率|74%・約60億人が利用し、約22億人がオフライン

まず世界全体の数字を押さえます。普及率と利用者数、そしてオフライン人口を一つの円で見ると、世界がどのくらい「つながっている」のかの全体像がつかめます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
ITUの2025年推計では、世界人口に占めるインターネット利用者の割合は74%でした。利用者数に直すと約60億人で、2024年の約57.8億人から増加しています。世界人口の約4分の3がオンラインに到達した計算になります。
一方で、依然としてオフラインの人口は約22億人と推計されています。ITUによれば、オフライン人口の96%は低所得国と中所得国に暮らしています。つながっていない人々が特定の所得層に偏って残っている、という分布です。
年あたりの成長率は2025年で3.3%と、前年の2.9%から上昇しました。世界全体としては利用者が増え続けていますが、その内訳を地域・所得・居住地で分けると、後述するように一様ではない差が見えてきます。
地域別の普及率|CIS93%からアフリカ36%まで、ITUの6地域区分で見る

次に、ITUが定める6つの地域区分で普及率を見ます。世界地図で色の濃淡を眺めてから、地域別ランキングの棒グラフで順番に並べると、地域差の大きさが二つの角度から確認できます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
ITUは世界を6つの地域に分けて普及率を集計しています。2025年推計では、独立国家共同体(CIS)が93%、欧州が92%、南北アメリカが88%と、いずれも9割前後に達しています。ITUが「普遍的な接続」の目安とする普及率95%に近づいているのは、CISと欧州の2地域です。
中位に位置するのがアジア太平洋の77%とアラブ諸国の70%で、いずれも世界平均の74%前後の水準です。ITUによれば、アジア太平洋地域は2019年の50%から2025年の77%へと、6年で27ポイント上昇しています。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
6地域を普及率の高い順に並べると、最下位はアフリカの36%です。最上位のCIS(93%)との差は約57ポイントにのぼります。アフリカは2019年からの6年間で11ポイント改善していますが、他地域との水準差は大きいままです。
このように、世界平均74%という一つの数字の内側には、9割を超える地域と、3割台にとどまる地域が同時に存在しています。地域別の棒グラフに世界平均の線を重ねると、平均を上回る地域と下回る地域が、はっきりと分かれて並びます。
所得階層別の格差|高所得国94%に対し、低所得国は23%

地域の次は、国の所得水準で分けて見ます。高所得国と低所得国、そして開発途上国グループを横棒で並べると、普及率が所得とどのように対応しているかが一目で分かります。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
所得階層別に見ると、差はさらに大きくなります。高所得国の普及率は94%で、ITUが目安とする95%の普遍的接続に迫っています。これに対して低所得国は23%にとどまり、高所得国と低所得国の間には約71ポイントの差があります。
開発途上国のグループでは、後発開発途上国(LDC)が34%、内陸開発途上国(LLDC)が38%でした。ITUによれば、これらの国々の2025年の年成長率はそれぞれ7.4%・5.5%と、多くの地域より高い水準にあります。成長率は高いものの、出発点の水準が低いため、現時点の普及率には大きな開きが残っています。
都市と農村の格差|都市部85%・農村部58%、27ポイントの差

最後に、同じ国の中でも分かれる「都市と農村」の差を見ます。二本の棒の高さを比べると、居住地によってどれだけ差があるのかが直感的につかめます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
世界全体で居住地別に見ると、都市部の普及率は85%、農村部は58%で、その差は27ポイントです。地域や所得だけでなく、同じ世界の中で都市に住むか農村に住むかによっても、接続状況に差が見られます。
年齢層別でも違いがあります。ITUによれば、15歳から24歳の若年層は82%が利用しているのに対し、それ以外の世代は72%でした。この年齢差はCISと欧州ではほぼ解消されている一方、世界全体ではまだ10ポイントの開きが残っています。
なお、モバイルブロードバンド網の人口カバー率は96%に達しており、ネットワークが届く範囲という意味では世界の大半が圏内にあります。一方で5Gの人口カバー率は55%で、高所得国の84%に対し低所得国は4%と、新しい世代の通信技術では再び大きな差が現れます。
楓のまとめ|一つの「74%」は、地域・所得・居住地で何層にも分かれている

ここまで世界全体・地域別・所得別・都市農村の4つの角度から普及率を並べてきました。最後に、観察された事実を3点に整理しておきます。
世界のインターネット普及率を一つの数字で語ると74%ですが、本記事で並べた図解は、その内側がいくつもの層に分かれていることを示してきました。地域・所得・居住地という切り口ごとに、数値の並びと差を観察事実として整理します。
3つの観察事実を重ねて読むと、「世界の普及率は74%」という一つの数字の背後に、地域・所得・居住地・技術世代という複数の切り口での差が同時に存在していることが分かります。どの切り口で、どの単位を見るかによって、見えてくる「世界のつながり方」は変わります。本記事で並べた図解は、その差を観察された事実としてそのまま示しています。
よくある質問(FAQ)

世界の普及率のデータを読むときは、いつの推計か・どの単位(地域か所得か)か・どの数え方かの3点をセットで確認してください。同じテーマでも、この3点が変わると数字が変わります。
Q1. 「世界のインターネット普及率」は資料によって数字が違うのはなぜですか?
推計の出どころと年版によって数字が変わるためです。本記事はITUの「Facts and Figures 2025」の推計(74%)を用いています。日本国内の一部の記事では67〜68%といった数字が使われることがありますが、これは古い年版や別の集計(DataReportal等)に基づくものです。また、ITUは前年値を遡及して改定することがあり、2024年値は当初の約57.8億人・71%が後に改定されています。どの推計機関の、どの年版かを確認することが、数字を読むうえでの出発点になります。
Q2. 普及率が高い地域は「進んでいる」、低い地域は「遅れている」と言えますか?
本記事では、普及率の高低をそのまま優劣の評価とはしていません。普及率は人口・所得・インフラの整備状況・地理的条件など複数の要因が反映された結果の数値で、一つの指標で地域の優劣を判断できるものではありません。たとえばアフリカは普及率36%ですが、2019年から6年間で11ポイント改善し、年成長率はむしろ多くの地域より高い水準にあります。ある時点の水準と、変化のペースは別の数字として読む必要があります。本記事は2025年推計時点で観察される数値の並びを示すものです。
Q3. 「普遍的な接続(95%)」とは何を指しますか?
ITUが普及率の到達目標の目安として用いる水準です。接続を望まない層が一定数いることを考慮し、普及率95%以上を「普遍的な接続」に近い状態とみなす慣例的な基準です。2025年推計でこの水準に近づいているのは、独立国家共同体(CIS)93%と欧州92%の2地域です。世界全体の74%や、低所得国の23%とは、まだ距離があります。
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