
「日本の英語力は世界で何位か」という問いは、1か国だけの数字を見るより、アジア各国と並べて順位とスコアを比べるのが近道です。同じ非英語圏アジアのなかでの位置を1枚に並べると、ふだん見えにくい差の大きさがはっきりと浮かびます。
「日本人は英語が苦手」とよく言われますが、国際的な指標ではどの位置にあるのでしょうか。EF Education First が2025年11月19日に公表した「EF英語能力指数(EF EPI)2025年版」(第15回調査)によれば、日本は世界123カ国・地域中96位、スコアは446でした。これはアジア平均の477、世界平均の488をいずれも下回る水準です。
同じアジアで最上位のマレーシアは24位(スコア581)、フィリピンは28位(569)と、日本とは大きな差がついています。EFの能力レベル区分では、日本は最下層の「非常に低い」帯に分類されました。一方で、日本の順位は2018年49位から下がる一方で、同じ期間に対象国・地域数は88から123へと増えており、順位の数字だけを英語力の低下と単純に等しくは扱えません。
本記事では、EF公式のレポートとプレスリリースという一次情報をもとに、アジア24カ国の並列ランキング、順位推移と対象国数の重ね描き、4技能の内訳、世界123カ国の地図、国内の地域差を、複数の図解で整理します。順位という1つの数字を、複数の角度から並べ直して観察していきます。
非英語圏のなかで、日本の英語力は何位なのか。
EF EPI 2025年版(123カ国・地域)で日本は96位。アジア最上位のマレーシアとは域内で72ランクの差がある。
同じ非英語圏アジアで72ランク差(日本のスコア446はアジア平均477を下回る)
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アジア24カ国で見る日本の位置|マレーシア24位・日本96位

アジア各国を順位順に縦に並べ、スコアを横棒にすると、日本がどのあたりに位置するかが一目で並びます。上位グループと下位グループのあいだに、日本がどう挟まれているかが見えてきます。
EF EPI 2025年版のアジア地域表で、最上位はマレーシアの24位(スコア581)です。続いてフィリピン28位(569)、香港39位(538)、韓国48位(522)が上位グループを形成します。これらはいずれも世界順位でも50位以内に入り、能力レベルで「標準」以上に分類される国・地域です。
日本は96位(446)で、アジア25カ国・地域のなかでは18番目に位置します。日本より下にはミャンマー99位(444)、キルギス101位(443)、カザフスタン107位(417)、タイ116位(402)、そして最下位のカンボジア123位(390)が並びます。アジア最上位のマレーシアとは72ランク、スコアにして135ポイントの差があり、日本はアジアの下位グループに位置しています。
注意したいのは、過去のアジア比較で上位に入っていたシンガポールが、2025年版の123カ国ランキング表には掲載されていない点です。このため「アジア最上位=マレーシア」という整理は2025年版に限った見方になります。ランキングは対象国の入れ替えによっても順位が動くため、年版をまたいだ比較には注意が必要です。
順位は下がったのか|2018年49位から2025年96位への推移

順位の推移を折れ線で、対象国・地域数を棒で重ねると、「順位が下がった」という事実と「母数が増えた」という事実が同じ画面に並びます。2つを切り離さずに見るのが大切です。
EF EPIで日本の順位は、2018年の49位から2019年53位、2021年78位、2023年87位、2024年92位、そして2025年は96位と、数字の上では下がり続けています。スコアでも近年は低下傾向にあり、2024年の454から2025年は446へと8ポイント下がりました。
ただし同じ期間に、調査の対象国・地域数は2018年の88から2025年の123へと増えています。母数が増えれば、同じ実力でも順位の数字は下がりやすくなります。順位が35下がったという変化のうち、どれだけが実力の変化で、どれだけが母数増加によるものかは、順位の数字だけからは切り分けられません。
さらにEF EPIは、2025年版から生産スキル(話す・書く)にAIによる自動評価を初めて導入しました。採点方式が変わると、年版をまたいだスコアの比較には不連続が生じる可能性があります。順位とスコアの推移は、対象国数の増加とAI評価の導入という2つの要因を併せて読む必要があります。
4技能のどこに差があるか|受容454・437と生産394・393

4技能を「受容(読む・聞く)」と「生産(書く・話す)」に分けて横棒で並べると、どの技能で差がついているかがそのまま見えてきます。
EF EPI 2025年版の日本の4技能スコアは、リーディング454、リスニング437、ライティング394、スピーキング393でした。読む・聞くという受容スキルが相対的に高く、書く・話すという生産スキルが低いという内訳になっています。
最も高いリーディング454と最も低いスピーキング393の差は61ポイントで、受容スキルが高く生産スキルが低い内訳です。EF EPI分析チーム責任者のケイト・ベル氏は、日本について「読む・聞くと比べて、話す・書くのスコアが相対的に伸びにくい傾向があり、今回のAI評価によってその差がより明確になった」と述べています。これは観察された傾向の説明であり、原因や対策の評価ではありません。
世界123カ国の英語力マップ|日本の色はどこにあるか

世界地図を5段階で塗り分けると、英語力の高い地域と低い地域がまとまって見えてきます。日本がどの濃さで塗られているかを、世界全体のなかで確認できます。
EFの能力レベルは、スコア600以上が「非常に高い」、550〜599が「高い」、500〜549が「標準」、450〜499が「低い」、449以下が「非常に低い」の5段階です。上位はオランダ624、クロアチア617、オーストリア616、ドイツ615とヨーロッパ勢が占め、最上位12カ国がすべて600以上の「非常に高い」帯に入りました。
日本はスコア446で、最下層の「非常に低い」帯に分類され、世界平均488を42ポイント下回ります。地図上では、ヨーロッパの濃い色や東南アジアの一部と比べて、日本は薄い色で塗られています。EFはスコア446という値そのものよりも、世界平均488との差や、アジア域内での位置づけのほうが、英語力の現状を表す指標として読み取りやすいとしています。
国内にも地域差|最高の関東478と最低の中国地方436

英語力の差は国どうしだけでなく、国内の地域のあいだにもあります。EFが公表した国内の最高地域と最低地域を並べると、その開きが見えてきます。
EF EPI 2025年版のプレスリリースによれば、日本国内の地域別スコアで最も高いのは関東の478、最も低いのは中国地方の436でした。この差は42ポイントで、EFは「都市と地方で40ポイント超の差が発生し、英語格差が顕著」としています。
関東の478という値は、全国平均446よりは高いものの、EFの5段階では「低い」帯にとどまります。つまり国内で最も高い関東でも、世界基準では「低い」帯にとどまり、最低の中国地方との差は42ポイントあります。なお、国内8地域ブロックの中間の値は2025年版で個別に確認できる一次情報が限られるため、本記事ではEFが明示した最高・最低の2点のみを掲載しています。
EF EPIの経緯|2011年の初回調査から2025年まで

指標そのものの経緯を時系列で並べると、順位の数字がどんな条件の変化のなかで動いてきたかが見えてきます。
EF EPIは2011年に初回調査が公表され、以後毎年更新されています。2018年版で日本は49位(対象88カ国・地域)、その後2021年版で78位(112)、2024年版で92位(116)と順位を下げ、2025年版で96位(123)となりました。対象国数はこの間に着実に増えています。
2025年版では生産スキルへのAI自動評価が初めて導入され、受験者数は約220万人(2024年に実施したEF SET受験者)に達しました。EF EPIは国の代表抽出ではなく、EF SETを自発的に受験した人の集計であるため、指標の性格を理解したうえで順位を読むことが前提になります。
楓のまとめ|順位の数字は、実力・母数・指標の性格が重なっている

英語力ランキングを読むときは、順位の数字・対象国数・指標の性格の3点をセットで確認してください。同じ数字でも、この3点が変わるだけで読み取れる意味が変わります。
「日本の英語力は世界で何位か」という問いに対して、本記事で並べた図解は、96位という順位がいくつかの条件の上に成り立っていることを示してきました。データそのものに優劣をつけるのではなく、見え方の違いを観察事実として整理しておきます。
3つの観察事実を重ねて読むと、「日本の英語力は世界96位」という結論は、アジア域内での相対的な位置・対象国数の増加・指標の性格という複数の前提の上に成り立っていることがわかります。「日本の英語力は世界で何位か」への答えは、どの国と、どの年版で、どの指標で比べるかによって見え方が変わるという観察事実そのものが、いまの英語力ランキングをめぐる景色を最もよく映しています。
よくある質問(FAQ)

英語力ランキングを読むときに迷いやすい点を、観察事実の範囲で整理しておきます。
Q1. 日本の英語力は世界で何位ですか?
EF EPI 2025年版で、世界123カ国・地域中96位(スコア446)です。アジア平均477・世界平均488をいずれも下回り、EFの能力レベルでは最下層の「非常に低い」帯に分類されています。
Q2. EF EPIとは何の指標ですか?
EF Education First が2011年から毎年公表している英語能力指数です。EF SETという無料オンライン英語テストを自発的に受験した成人の結果を集計したもので、国の代表抽出ではありません。CEFRに準拠し、TOEFLやIELTSとも相関があるとされています。
Q3. アジアでの順位はどのくらいですか?
アジア最上位はマレーシア24位(581)、次いでフィリピン28位(569)です。日本は96位で、アジア25カ国・地域のなかでは18番目にあたり、下位グループに位置します。
Q4. 順位は本当に下がっているのですか?
数字の上では2018年49位から2025年96位へと低下しています。ただし対象国・地域数が88から123に増えており、母数の増加が順位の数字に影響します。さらに2025年版からAI評価が導入され、年版をまたいだ比較には不連続が生じうるため、単純な「英語力低下」とは言い切れません。
Q5. 4技能のどこが弱いのですか?
読む454・聞く437に対し、書く394・話す393と、受容スキルに比べ生産スキルが低い内訳です。最大差は61ポイントで、EFは話す・書くが相対的に伸びにくい傾向を指摘しています。
Q6. 国内に地域差はありますか?
EF EPI 2025年版では、国内地域別で関東478が最高、中国地方436が最低で、42ポイントの差があります。最も高い関東でも、世界基準では「低い」帯にとどまります。
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