
「水質AAの海水浴場はどこに多いのか」という問いは、47都道府県の該当数を地図と一覧で並べると見通しがよくなります。数の多い県と、数は少なくても全部がAAの県を分けて見ると、分布のかたちが浮かびます。
環境省は2025年(令和7年)の遊泳期間前に全国の水浴場で実施された水質調査の結果を、2025年6月30日に公表しました。調査結果が得られた744か所のうち、最上位の「水質AA」に該当したのは471か所で、全体の63%にあたります。水質AAの該当数が最も多かったのは静岡県の39か所、次いで新潟県の38か所、兵庫県の32か所と続きました。調査した744か所のうち「不適」と判定された水浴場は0か所で、すべてが「適」または「可」の水質でした。
本記事では、環境省「令和7年度 水浴場(開設前)の水質調査結果」と参考資料-1(都道府県別集計表)・参考資料-2(特に良好な水浴場)、および各都道府県の公表データをもとに、47都道府県の水質AA該当数の分布に加えて、具体的にどの海水浴場が水質AAに該当したのかを、「特に良好」な11か所の詳細や主要県の実名リストで整理します。なお本調査は遊泳期間が始まる前の「開設前」調査であり、調査対象には海水浴場のほか湖沼・河川の水浴場も含まれます。
2025年の調査で、最上位「水質AA」に該当した水浴場は全国にどれだけあったのか。
調査744か所のうち水質AAは471か所。最も多いのは静岡県39か所、次いで新潟県38か所。
本記事は楓が調査・編集しています。掲載情報は執筆時点のものです。数値・制度・調査内容は変更される場合があるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。
全国744か所のうち水質AAは471か所、最多は静岡39・新潟38

まずは水質AAの該当数が多い順に、上位15の都道府県を横棒で並べます。静岡と新潟が頭ひとつ抜けて、そこから兵庫・山口へと続く並びが見えてきます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
環境省が2025年に公表した調査結果によると、全国744か所の水浴場のうち、最上位の「水質AA」に該当したのは471か所でした。割合にすると全体の約63%にあたります。水質区分は上から「適(AA・A)」「可(B・C)」「不適」の順で、AAとAを合わせた「適」は602か所(81%)、「不適」は0か所でした。調査した744か所のすべてが「適」または「可」の水質に収まり、「不適」はひとつもありませんでした。
水質AAの該当数を都道府県別にみると、最も多かったのは静岡県の39か所です。静岡県は調査した52か所のうち39か所がAAに該当しました。次いで新潟県が38か所(調査53か所中)、兵庫県が32か所(同37か所中)、山口県が29か所(同37か所中)と続きます。上位には調査した水浴場の数自体が多い県が並び、海岸線が長く水浴場を多く抱える県ほど、AA該当の絶対数も大きくなる傾向がうかがえます。
水質AAの多い県は静岡・新潟・兵庫・山口に集まる

該当数を地図の色の濃さで表すと、数の多い県がどの地方に集まっているかが面で見えてきます。色のついていない関東内陸の県は、調査対象となる水浴場がない地域です。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
水質AAの該当数を都道府県の形に重ねて塗り分けると、色の濃い県は本州の沿岸部に集まっています。最も濃い静岡県(39か所)と新潟県(38か所)を中心に、近畿の兵庫県(32か所)、中国地方の山口県(29か所)、四国の愛媛県(21か所)、九州の長崎県・鹿児島県(ともに17か所)、紀伊半島の和歌山県(16か所)などが続きます。日本海側と太平洋側の両方に、水質AAの該当数が多い県が分かれて分布している様子が読み取れます。
一方で、栃木県・群馬県・埼玉県・山梨県の4県は地図上で空白になっています。これらは海に面しておらず、調査対象となる湖沼・河川の水浴場の該当もなかったため、今回の調査対象に含まれていません。また、岐阜県・大阪府・奈良県・香川県の4県は水浴場はあるものの、水質AAに該当した水浴場が0か所で、最も淡い色で示しています。地図では「調査対象なし」の4県と「AA該当が0」の4県を、それぞれ別の塗り方で区別しています。
数は少なくても全水浴場がAAの県が7つある

該当「数」と該当「率」は別の指標です。横軸に数、縦軸に率を取って点で置くと、「数が多い県」と「率が高い県」が必ずしも同じではないことが見えてきます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
水質AAの該当「数」と、調査した水浴場に占めるAAの「率」を合わせてみると、二つの面が浮かびます。横軸に該当数、縦軸にAA率を取って都道府県を点で置くと、右上に位置する静岡県・新潟県・兵庫県は「数が多く、率も高い」県です。一方、グラフの上端に並ぶ岩手県・滋賀県・島根県・徳島県・福岡県・熊本県・大分県の7県は、調査したすべての水浴場が水質AAに該当しており、AA率は100%です。これら7県はいずれも調査数が6〜15か所と比較的少なく、該当「数」では上位に入らない一方、該当「率」では最上位に並びます。
たとえば徳島県と熊本県はどちらも調査6か所すべてがAAで、率は100%ですが、数としては6か所です。これに対し、千葉県は調査49か所のうちAAが15か所で、数では上位に入るものの率は30.6%にとどまります。同じ「水質AA」を見ても、分母となる調査数を一緒に確認しないと、数の多さと率の高さを取り違えてしまう可能性があります。数と率はどちらが優れているという関係ではなく、別々の角度から水質の状況を示す指標として並べて読むのが適切です。
「特に良好」な水質の海水浴場11か所はここ|沼津・恩納村ほか

水質AAの中でも、COD(化学的酸素要求量)の平均が特に低い水浴場は「特に良好」として区別されます。今回該当した11か所を、所在地と特徴つきで具体的に見ていきます。
出典:環境省「令和7年度 水質が特に良好な水浴場(開設前)」参考資料-2(所在地)。特徴は各自治体・観光情報の公開情報を可視化pedia編集部が要約。
※ 「特に良好」は水質区分(COD平均0.5mg/L以下)に基づく区別で、海水浴場としての快適さや人気を順位づけたものではありません。
環境省は、水質AAの水浴場のうちCOD(化学的酸素要求量)の平均値が0.5mg/L以下のものを「特に良好な水質」として参考資料に示しています。2025年の調査では、この「特に良好」に該当したのは全国で11か所でした。内訳をみると、静岡県沼津市が5か所で最も多く、次いで沖縄県恩納村が4か所です。沼津市は大瀬・島郷・千本浜・井田・平沢(らららサンビーチ)の5か所、恩納村は万座ビーチ・サンマリーナ・タイガービーチ・ルネッサンスの4か所でした。残りは秋田県仙北市の田沢湖(湖水浴場)と、東京都三宅村の大久保浜が各1か所でした。
「特に良好」の11か所は、駿河湾に面した沼津市と、沖縄本島の恩納村という二つの地域に集中しています。沼津市の海水浴場が並ぶ背景には、駿河湾の水深が深いことや、富士山系の湧水が流れ込むことがしばしば指摘されます。秋田県の田沢湖は海ではなく湖の水浴場で、今回の調査が海水浴場だけでなく湖沼・河川の水浴場も対象としていることを示す例です。なお、これらは水質区分(COD等の測定値)に基づく区別であり、水浴場としての総合的な快適さや人気を順位づけたものではありません。
具体的にどこ?水質AAに該当した主な海水浴場(県別)

「結局どの海水浴場がAAなの?」という方へ。AA該当数の多い静岡や、関東・関西の主要県について、環境省と各県のデータで水質AAと判定された海水浴場の実名を地域別に挙げます。
※ 掲載は各都道府県・環境省が公表した令和7年度(開設前)調査で「水質AA」と判定された海水浴場の一部です。AA該当数の多い県でも全件は掲載しきれないため、代表例を抜粋しています。最新の判定・開設状況は各自治体の公式情報をご確認ください。
※ 本リストは環境省・各県データで水質AAに該当した事実を示すもので、海水浴場としての優劣や推奨を示すものではありません。
水質AAに該当した海水浴場を具体的にみると、AA数が全国最多の静岡県では、伊豆半島の有名な浜の多くが該当しています。下田市の吉佐美大浜・田牛・九十浜、南伊豆町の弓ヶ浜・子浦、河津町の今井浜・河津浜、西伊豆の岩地・松崎・石部、そして沼津市の大瀬・千本浜などです。伊豆半島は県内52か所のうち39か所がAAという、全国でも有数の水質AAが集まる地域になっています。
関東では、神奈川県の鎌倉市・由比ガ浜や腰越、三浦半島・葉山の逗子・一色・森戸などがAAに該当しました。神奈川県は県内22か所のうち11か所がAAです。関西では、和歌山県が県内20か所のうち16か所がAAで、白浜町の白良浜、和歌山市の片男波・浪早ビーチなどが含まれます。ここに挙げたのは代表例で、AA該当数の多い県では全件を載せきれないため抜粋しています。お住まいの地域の最新の判定と開設状況は、各都道府県の公式発表でご確認ください。
特に良好な水質の割合は前年から増えた

水質AAの割合を前年と比べると、令和6年度から令和7年度にかけて少し増えています。これは推計ではなく、実際の調査結果どうしの比較です。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
水質AAに該当した水浴場の割合を前年と比べると、令和6年度(2024年)は調査759か所のうち429か所がAAで全体の57%、令和7年度(2025年)は調査744か所のうち471か所がAAで63%でした。割合にして6ポイント、該当数にして42か所の増加です。「適」(AA+A)の割合は両年度とも81%でほぼ横ばいでしたが、その内訳をみると「適」の中で最上位の「水質AA」が占める比重が前年より高まった形です。
環境省の過去10年間の推移をみると、「適」の割合はおおむね79〜84%の範囲で推移しており、年度ごとの大きな変動は見られません。その中で、令和6年度から令和7年度にかけては、特に良好な「水質AA」に該当する水浴場の割合が前年を上回りました。これは将来の予測ではなく、2か年の調査結果どうしを比較した実績値です。
47都道府県の水質区分 全一覧(AA数・AA率併記)

最後に、47都道府県すべての水質区分別の水浴場数を一覧にまとめます。お住まいの県の数値や、AA数とAA率の両方を確認できます。
| 都道府県 | 調査数 | AA | A | B | C | AA率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 北海道 | 35 | 12 | 2 | 21 | 0 | 34.3% |
| 青森県 | 20 | 8 | 0 | 10 | 2 | 40.0% |
| 岩手県 | 11 | 11 | 0 | 0 | 0 | 100.0% |
| 宮城県 | 13 | 1 | 3 | 9 | 0 | 7.7% |
| 秋田県 | 14 | 13 | 0 | 1 | 0 | 92.9% |
| 山形県 | 11 | 10 | 0 | 1 | 0 | 90.9% |
| 福島県 | 22 | 8 | 11 | 3 | 0 | 36.4% |
| 茨城県 | 16 | 6 | 9 | 1 | 0 | 37.5% |
| 千葉県 | 49 | 15 | 22 | 11 | 1 | 30.6% |
| 東京都 | 8 | 7 | 1 | 0 | 0 | 87.5% |
| 神奈川県 | 22 | 11 | 2 | 8 | 1 | 50.0% |
| 新潟県 | 53 | 38 | 3 | 12 | 0 | 71.7% |
| 富山県 | 7 | 3 | 3 | 1 | 0 | 42.9% |
| 石川県 | 19 | 11 | 8 | 0 | 0 | 57.9% |
| 福井県 | 12 | 11 | 1 | 0 | 0 | 91.7% |
| 長野県 | 3 | 2 | 1 | 0 | 0 | 66.7% |
| 岐阜県 | 3 | 0 | 3 | 0 | 0 | 0.0% |
| 静岡県 | 52 | 39 | 8 | 5 | 0 | 75.0% |
| 愛知県 | 22 | 4 | 0 | 18 | 0 | 18.2% |
| 三重県 | 19 | 5 | 6 | 8 | 0 | 26.3% |
| 滋賀県 | 4 | 4 | 0 | 0 | 0 | 100.0% |
| 京都府 | 23 | 11 | 12 | 0 | 0 | 47.8% |
| 大阪府 | 4 | 0 | 0 | 4 | 0 | 0.0% |
| 兵庫県 | 37 | 32 | 1 | 4 | 0 | 86.5% |
| 奈良県 | 9 | 0 | 8 | 1 | 0 | 0.0% |
| 和歌山県 | 20 | 16 | 4 | 0 | 0 | 80.0% |
| 鳥取県 | 9 | 8 | 1 | 0 | 0 | 88.9% |
| 島根県 | 15 | 15 | 0 | 0 | 0 | 100.0% |
| 岡山県 | 9 | 6 | 0 | 3 | 0 | 66.7% |
| 広島県 | 12 | 10 | 1 | 1 | 0 | 83.3% |
| 山口県 | 37 | 29 | 2 | 6 | 0 | 78.4% |
| 徳島県 | 6 | 6 | 0 | 0 | 0 | 100.0% |
| 香川県 | 3 | 0 | 0 | 3 | 0 | 0.0% |
| 愛媛県 | 25 | 21 | 4 | 0 | 0 | 84.0% |
| 高知県 | 6 | 4 | 2 | 0 | 0 | 66.7% |
| 福岡県 | 15 | 15 | 0 | 0 | 0 | 100.0% |
| 佐賀県 | 10 | 4 | 4 | 2 | 0 | 40.0% |
| 長崎県 | 20 | 17 | 2 | 1 | 0 | 85.0% |
| 熊本県 | 6 | 6 | 0 | 0 | 0 | 100.0% |
| 大分県 | 9 | 9 | 0 | 0 | 0 | 100.0% |
| 宮崎県 | 14 | 13 | 1 | 0 | 0 | 92.9% |
| 鹿児島県 | 23 | 17 | 2 | 3 | 0 | 73.9% |
| 沖縄県 | 17 | 13 | 4 | 0 | 0 | 76.5% |
| 栃木県 | 調査対象なし | |||||
| 群馬県 | 調査対象なし | |||||
| 埼玉県 | 調査対象なし | |||||
| 山梨県 | 調査対象なし | |||||
| 全国 | 744 | 471 | 131 | 137 | 4 | 63.3% |
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
47都道府県の水質区分別の水浴場数を一覧にすると、調査数・AA数・AA率の関係を県ごとに確認できます。調査数が多い県は新潟県(53か所)・静岡県(52か所)・千葉県(49か所)の順で、これらは海岸線が長く水浴場を多く抱える県です。AA率が100%(全水浴場がAA)の県は岩手・滋賀・島根・徳島・福岡・熊本・大分の7県でした。一方、栃木・群馬・埼玉・山梨の4県は海に面さず、対象となる水浴場がないため「調査対象なし」としています。全国の合計は調査744か所・AA471か所・AA率63.3%です。
楓のまとめ|水質AAの分布は沿岸の特定県に集まっている

ここまでの図解を一通り並べると、水質AAの該当数の分布と、数と率の二面性が見えてきます。観察された事実を3点に整理します。
「水質AAの海水浴場はどこに多いのか」という問いに対して、本記事で並べた図解は、該当数が本州沿岸の特定県に集まっていることと、数の多さと率の高さが必ずしも一致しないことを示してきました。数値そのものに優劣をつけるのではなく、観察された分布を事実として整理しておきます。
3つの観察事実を重ねて読むと、2025年の水浴場の水質は、最上位の「水質AA」に該当する数が静岡・新潟・兵庫・山口といった沿岸の特定県に集まる一方、調査数の少ない県では全水浴場がAAという高い率を示す、という二つの面を同時に持っていることがわかります。水質AAの分布は、該当「数」で見るか該当「率」で見るかによって浮かび上がる県が変わり、調査した744か所に「不適」が0か所だったという全体像とあわせて読むことが、データの読み方として近くなります。本記事の図解は観察された分布を示すもので、地域の水質の優劣や、海水浴場としての快適さを順位づけるものではありません。
よくある質問(FAQ)

水質の調査結果を読むときは、「いつの調査か」「数と率のどちらを見ているか」「対象は何か」の3点を確認すると、誤解が減ります。
Q1. 水質AAとはどのような区分ですか?
環境省の水浴場水質判定基準で最上位にあたる区分です。ふん便性大腸菌群数・油膜の有無・COD(化学的酸素要求量)・透明度の4項目で判定され、上から「適(AA・A)」「可(B・C)」「不適」に分かれます。各項目のすべてがAA基準を満たした水浴場が「水質AA」とされます。本記事は令和7年度(2025年)の開設前調査の結果をもとにしています。
Q2. 2025年で水質AAの海水浴場が最も多い県はどこですか?
静岡県で39か所でした。次いで新潟県38か所、兵庫県32か所、山口県29か所、愛媛県21か所と続きます。ただしこれは該当「数」の順位で、調査した水浴場に占めるAAの「率」でみると、岩手・滋賀・島根・徳島・福岡・熊本・大分の7県が100%となります。数と率は別の指標として分けて読むのが適切です。
Q3. この調査はいつ行われたものですか?
遊泳期間が始まる前の2025年4月上旬〜6月上旬に、各都道府県・市町村が実施した「開設前」の調査です。夏季の遊泳期間中の水質を示すものではなく、開設中の調査結果は別途公表されます。また調査対象には海水浴場のほか、湖沼・河川の水浴場も含まれます。秋田県の田沢湖が「特に良好」に入っているのは、湖の水浴場も対象に含まれるためです。
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