
「クルマを一番持っている県はどこか」という問いには、世帯あたりの普及台数を地図とランキングで並べて見るのが近道です。実数の保有台数ではなく、1世帯が何台持っているかで見ると、ふだんの印象とは違う県が上位に並びます。
「クルマ社会」という言葉から思い浮かぶ県と、実際に世帯あたりの保有台数が多い県は、必ずしも一致しません。一般財団法人自動車検査登録情報協会の令和7年版データによれば、世帯あたり自家用乗用車の普及台数が最も多いのは福井県の1.670台で、最も少ない東京都の0.405台とは約4.1倍の差があります。世帯あたりで見ると、保有台数の多い大都市圏ほど普及台数は低く、地方ほど高いという逆転した分布が浮かび上がります。
本記事では、令和7年(2025年)3月末時点の最新確定データをもとに、47都道府県の世帯あたり普及台数を全国地図のコロプレス・上位下位ランキング・保有台数との乖離図・全国平均の推移・1台未満地域の地図・全47県順位一覧という複数の図解で整理します。実数の保有台数と世帯あたりの普及台数を分けて見ることで、どの地域でクルマが生活に密着しているのかを観察していきます。
日本でクルマを一番持っているのはどの県か。世帯あたりの保有台数で見ると、地図はどんな濃淡を描くのか。
世帯あたり普及台数の全国1位は福井県の1.670台。最下位の東京都0.405台とは約4.1倍の差があります。
本記事は楓が調査・編集しています。掲載情報は執筆時点のものです。数値・制度・サービス内容は変更される場合があるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。
世帯あたり普及台数を地図で見る|地方ほど多く都市圏ほど少ない

47都道府県の普及台数は、表で並べるより地図に塗ると地域のまとまりが見えてきます。色が濃い県ほど世帯あたり台数が多く、淡い県ほど少ない、という濃淡で全国の分布を見ていきます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
地図に塗り分けると、世帯あたり普及台数の高い地域がはっきりと浮かびます。最も濃い1.50台以上の県は、福井・山形・富山・群馬・栃木・長野・福島・茨城・岐阜・新潟の10県で、北陸・北関東・東北南部・甲信越に集中しています。一方、最も淡い0.90台未満の地域は、東京・大阪・神奈川・京都・兵庫・埼玉・千葉と北海道で、色の濃淡は三大都市圏で淡く、地方圏で濃いという地理的なまとまりを描いています。
普及台数の全国平均は1.009台です。地図の濃い県はいずれも全国平均を大きく上回り、淡い県は下回っています。世帯あたりの台数は、人口密度や鉄道網の充実度といった地域構造と対応した分布を示しており、地図上では「日本海側と内陸で濃く、太平洋ベルトの大都市で淡い」という観察的なパターンとして読み取れます。
上位10県と下位8都道府県|福井1.670台と東京0.405台の距離

地図でつかんだ濃淡を、今度は数値の順位で見てみます。上位10県と下位8都道府県を横棒で並べ、全国平均1.009台の線を引くと、上位群と下位群がどれだけ離れているかが一目で並びます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
世帯あたり普及台数の上位は、1位福井県1.670台、2位山形県1.617台、3位富山県1.616台、4位群馬県1.558台、5位栃木県1.537台と続きます。上位10県はいずれも1.49台以上で、全国平均1.009台を大きく上回ります。上位3県の福井・山形・富山はいずれも北陸・東北で、1世帯がおよそ1.6台以上を保有している計算です。
下位は、47位東京都0.405台、46位大阪府0.611台、45位神奈川県0.664台、44位京都府0.784台、43位兵庫県0.880台の順です。1位福井県と最下位東京都の差は約4.1倍にのぼります。下位8都道府県はいずれも1台未満で、三大都市圏と北海道が並びます。鉄道やバスといった公共交通の利用環境が整い、駐車場のコストも高い大都市圏では、世帯あたりの保有台数が低く出る分布になっています。
保有台数は多いのに世帯あたりは低い|愛知・東京のねじれ

世帯あたりの普及台数と、実数としての保有台数は、別の指標です。横軸に世帯あたり台数、縦軸に保有台数(万台)を取って散布図にすると、両者がずれている県が見えてきます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
保有台数(絶対数)で見ると、最も多いのは愛知県の423万台で、これは全国最多です。しかし世帯あたり普及台数では愛知県は1.209台で全国31位にとどまります。同様に、東京都は保有台数311万台と全国上位ながら、世帯あたりでは0.405台と全国最下位です。人口と世帯が多い都市圏は、保有台数の総数は大きくても、世帯あたりで割ると平均を下回るという、実数と1世帯あたりのねじれが生じています。
散布図で全国平均1.009台の縦線を引くと、愛知・東京・神奈川・大阪・埼玉・福岡といった保有台数の多い県の多くが、線の左側(世帯あたりが低い側)に位置していることがわかります。逆に福井・群馬・茨城のように保有台数の総数は中位でも、世帯あたりでは大きく右側に振れる県もあります。クルマの多さを「総数」で見るか「世帯あたり」で見るかによって、上位に並ぶ県が入れ替わる構造がこの図から読み取れます。
全国平均は12年連続で減少|1.037台から1.009台への推移

ここまでは令和7年の断面を見てきました。次に、全国平均が時間とともにどう動いてきたかを折れ線で確認します。近年の推移には、一貫した方向性が見えてきます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
全国平均の世帯あたり普及台数は、令和3年の1.037台から、令和4年1.032台、令和5年1.025台、令和6年1.016台、令和7年1.009台へと、年々わずかずつ低下しています。令和7年の1.009台は前年から0.007台の減少で、これで12年連続の減少となりました。普及台数は平成18年(2006年)の1.112台が過去最高で、そこから長期的に低下傾向が続いています。
世帯あたり普及台数の低下は、保有台数そのものの減少だけでなく、世帯数の増え方とのバランスでも決まります。単身世帯の増加などで世帯数が増えると、保有台数が横ばいでも1世帯あたりの台数は下がります。令和7年時点の保有台数合計は約6,183万台、世帯数合計は約6,129万世帯で、台数と世帯数がほぼ拮抗する水準まで近づいています。全国平均が1.0台付近で推移しているのは、こうした台数と世帯数の関係を反映した結果です。
1世帯1台に満たない8都道府県|三大都市圏と北海道

全国平均が1.0台付近とはいえ、1台に満たない地域は限られています。普及台数が0.99台以下の8都道府県を地図でハイライトすると、どこに集まっているかがはっきりします。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
世帯あたり普及台数が1台未満なのは、東京・大阪・神奈川・京都・兵庫・埼玉・千葉の7都府県と北海道の、計8都道府県です。1台未満の地域はいずれも三大都市圏(首都圏・近畿圏)と北海道に集中しており、残る39県はすべて1台以上が普及しています。
これら8都道府県のうち、北海道を除く7都府県は人口集中地域です。鉄道やバスの路線網が密で、通勤・通学や日常の移動を公共交通でまかないやすい環境にあります。北海道は人口密度こそ低いものの、札幌都市圏に人口が集中していることが全道平均を押し下げる方向に働いていると考えられます。地図で見ると、1台未満の地域は面積としては全国のごく一部で、世帯あたりの普及が大都市圏に固有の現象であることが視覚的にわかります。
全47都道府県の順位一覧|自分の県の位置を確認する

最後に、全47都道府県の順位を一覧表にまとめます。自分の住む県が何位なのか、全国平均と比べて多いのか少ないのかを、この表で確認できます。
| 順位 | 都道府県 | 普及台数 |
|---|---|---|
| 1 | 福井 | 1.670 |
| 2 | 山形 | 1.617 |
| 3 | 富山 | 1.616 |
| 4 | 群馬 | 1.558 |
| 5 | 栃木 | 1.537 |
| 6 | 長野 | 1.532 |
| 7 | 福島 | 1.510 |
| 8 | 茨城 | 1.508 |
| 9 | 岐阜 | 1.506 |
| 10 | 新潟 | 1.497 |
| 11 | 山梨 | 1.494 |
| 12 | 佐賀 | 1.470 |
| 13 | 石川 | 1.450 |
| 14 | 鳥取 | 1.431 |
| 15 | 三重 | 1.414 |
| 16 | 島根 | 1.384 |
| 17 | 岩手 | 1.369 |
| 18 | 秋田 | 1.360 |
| 19 | 静岡 | 1.344 |
| 20 | 徳島 | 1.337 |
| 21 | 岡山 | 1.331 |
| 22 | 滋賀 | 1.318 |
| 23 | 香川 | 1.311 |
| 24 | 沖縄 | 1.286 |
| 25 | 熊本 | 1.283 |
| 26 | 宮崎 | 1.271 |
| 27 | 大分 | 1.261 |
| 28 | 宮城 | 1.234 |
| 29 | 山口 | 1.233 |
| 30 | 和歌山 | 1.221 |
| 31 | 愛知 | 1.209 |
| 32 | 青森 | 1.209 |
| 33 | 鹿児島 | 1.183 |
| 34 | 高知 | 1.129 |
| 35 | 愛媛 | 1.129 |
| 36 | 長崎 | 1.099 |
| 37 | 広島 | 1.086 |
| 38 | 奈良 | 1.060 |
| 39 | 福岡 | 1.032 |
| 40 | 北海道 | 0.986 |
| 41 | 千葉 | 0.921 |
| 42 | 埼玉 | 0.915 |
| 43 | 兵庫 | 0.880 |
| 44 | 京都 | 0.784 |
| 45 | 神奈川 | 0.664 |
| 46 | 大阪 | 0.611 |
| 47 | 東京 | 0.405 |
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
一覧表で全国平均1.009台を境に見ると、平均以上の県が39、平均未満が8都道府県という分布です。39県が全国平均を上回り、平均を下回るのは三大都市圏と北海道の8都道府県のみという偏りが、順位表からも確認できます。中央値にあたる県はおおむね1.2台前後で、半数以上の県が1.2台を超えています。
順位の動きを前年と比べると、上位・下位の顔ぶれは大きく変わっていません。1位福井県は前年も1位、最下位東京都も前年から変わらず47位です。中位では山形県が前年3位から2位へ、富山県が2位から3位へ入れ替わるなど、近接した県のあいだで小幅な順位変動が見られます。全体としては、地方圏で多く都市圏で少ないという基本的な分布が、年をまたいでも安定して続いていることが一覧から読み取れます。
楓のまとめ|世帯あたりで見ると地方と都市圏の関係が逆転する

ここまでの地図・ランキング・推移を一通り並べると、世帯あたりで見たクルマの普及が、保有台数の実数とは違う地域像を描くことが確認できます。3つの観察事実に整理してみます。
「クルマを一番持っている県はどこか」という問いに対して、本記事で並べた図解は、世帯あたりの普及台数で見ると地方圏が上位に並び、保有台数の多い大都市圏が下位に回るという逆転を示してきました。実数で見るか1世帯あたりで見るかによって、語られる地域像が変わります。データそのものに優劣をつけるのではなく、見え方の違いを観察事実として整理しておきます。
3つの観察事実を重ねて読むと、世帯あたりで見たクルマの普及は、保有台数の実数とは異なる地域像を映していることが浮かびます。地方圏で世帯あたり台数が多く、保有台数の多い大都市圏ほど世帯あたりでは少ないという逆転は、公共交通の利用環境と世帯構造の違いが重なって生まれている分布として整理できます。「クルマを一番持っている県はどこか」への答えは、保有台数の総数で見るか、1世帯あたりで見るかによって変わる、という観察事実そのものが、いまのクルマの普及をめぐる地域差を最もよく映しています。
よくある質問(FAQ)

クルマの普及データを読むときは、実数の保有台数か世帯あたりの普及台数か、どちらの指標を見ているかをまず確認してください。同じ「多い・少ない」でも、指標が変わると上位に並ぶ県が変わります。
Q1. 世帯あたり普及台数とは、どのように計算した数字ですか?
世帯あたり普及台数は、その都道府県の自家用乗用車の保有台数を、世帯数で割った値です。一般財団法人自動車検査登録情報協会が、自動車の保有台数(令和7年3月末現在)と、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和7年1月1日現在)の世帯数をもとに算出しています。たとえば全国では保有台数約6,183万台を世帯数約6,129万世帯で割り、全国平均1.009台となります。1世帯が平均で何台のクルマを持っているかを示す指標です。
Q2. 保有台数が多い愛知県や東京都が、なぜ上位ではないのですか?
保有台数の実数と、世帯あたりの普及台数が別の指標だからです。愛知県は保有台数423万台で全国最多ですが、世帯数も約350万世帯と多いため、世帯あたりでは1.209台で31位になります。東京都は保有台数311万台に対し世帯数が約768万世帯と非常に多く、世帯あたりでは0.405台で最下位です。人口と世帯が集中する都市圏では、総数が大きくても1世帯あたりで割ると平均を下回りやすい構造があります。
Q3. 世帯あたり普及台数が高い県は「クルマが必要な地域」といえますか?
普及台数の高さは、生活におけるクルマへの依存度の目安にはなりますが、必要性そのものを直接表す指標ではありません。上位の福井・山形・富山などは、鉄道やバスの路線が大都市圏ほど密ではなく、移動手段としてクルマの比重が高い地域とされます。ただし普及台数には、世帯人数や保有の習慣、所得水準などさまざまな要素が関わります。数字は「世帯あたりで何台持っているか」という事実を示すもので、地域の優劣や必要性の大小を断定するものではない、と読むのが適切です。
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当サイトはファクトチェックを実施しています。このページのファクトチェックのエビデンスを以下に掲載します。
本記事の地図は「地球地図日本(国土地理院)」をもとに作成しています。数値の一次出典は一般財団法人自動車検査登録情報協会「令和7年 自家用乗用車の世帯当たり普及台数」(令和7年3月末現在)、世帯数は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和7年1月1日現在)です。




