
市町村ごとの治安を見るときは、件数の多い順と、人口あたりの発生率の高い順を分けて見るのが近道です。千葉県は地図とランキングを並べると、湾岸の都市部と県東部・南部で見え方が変わることがはっきりします。
千葉県の刑法犯認知件数は、2025年(令和7年)の年間確定値で39,976件でした。前年の38,394件から1,582件、率にして4.1%増えています。県内では約13分に1件のペースで認知された計算です。県全体を人口千人あたりに直すと約6.4件ですが、この数字は市町村ごとに大きく開きがあり、どの指標で見るかによって上位の顔ぶれが変わります。
本記事では、千葉県警察が公表した市町村別の認知件数(令和7年 年間確定値)と、同じ県警の犯罪発生率表が用いる千葉県毎月常住人口(令和8年1月1日現在)を組み合わせて、県内54市町村の犯罪件数と人口千人あたりの発生率を地図とランキングで整理します。件数で見るか発生率で見るかで像がどう変わるかを、順番に観察していきます。
千葉県が全国では何位かは「都道府県 犯罪率ランキング【2026年】」で確認できます。
千葉県の犯罪は、市町村ごとにどれくらい違う?
件数で見ると東京湾岸の大都市が上位だが、人口あたりの発生率では県東部・南部の市町が上位に来て、顔ぶれが入れ替わる。
本記事は楓が調査・編集しています。掲載情報は執筆時点のものです。数値・制度・サービス内容は変更される場合があるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。
千葉県全体の犯罪はどう動いてきたか

まず県全体の長い流れを押さえておきます。市町村別の話に入る前に、県全体の件数がどの局面にあるのかを見ておくと、いまの水準の意味がつかみやすくなります。
千葉県の刑法犯認知件数は、戦後最悪を記録した平成14年(2002年)をピークに長く減少が続きました。令和3年(2021年)の32,638件まで19年連続で減少し、令和4年から増加に転じています。2016年の57,277件と比べると、直近の水準はなお3割ほど下回っています。
増加は令和4年から令和7年まで4年連続です。2023年は37,538件、2024年は38,394件、2025年は39,976件と推移しました。歴史的には低い水準にありながら、直近では増えているという二つの動きが同時に起きている局面です。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
認知件数が多いのはどの市町村か

ここからが市町村別の話です。最初は単純に、件数そのものが多いのはどこかを見ていきます。件数は人口の多さがそのまま反映されやすい指標です。
2025年の認知件数を市町村別に見ると、最も多いのは千葉市の7,287件でした。次いで船橋市4,144件、松戸市2,914件、市川市2,900件、柏市2,778件と続きます。件数の上位は、東京湾岸や東葛地域など人口規模の大きい市で占められています。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
件数の偏りはかなり大きく、千葉市と船橋市の2市だけで市町村分の約29%を占めます。上位5市まで広げると、約50%がこの5市に集中している計算です。人口が集まる都市部に件数も集まる、という関係がはっきり出ています。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
発生率が高いのはどの市町村か

次に、人口の大きさの影響を取り除いた「人口あたりの発生率」で見ます。件数を人口で割ると、街の大きさに関係なく、住む人あたりでどれくらい起きているかを比べられます。
人口千人あたりの発生率(犯罪率)で並べ替えると、上位の顔ぶれが大きく変わります。最も高いのは勝浦市の9.38で、東金市8.87、芝山町8.77、酒々井町8.71、山武市8.47と続きます。件数では上位に入らなかった県東部・南部の市町が、発生率では上位に並びます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
地図で見ると、濃い色は九十九里から県東部にかけてと、外房の勝浦市などに分布しています。一方で、成田市(8.25)・習志野市(7.47)・千葉市(7.38)のように、件数の上位10に入る市が発生率でも上位10に残っている点も目を引きます。規模の大きい市がすべて中位以下に沈むわけではありません。
「件数」と「発生率」で顔ぶれが入れ替わる

この記事でいちばん見てほしいのがここです。件数の順位と発生率の順位を並べると、同じ県の中でも上位の顔ぶれが大きく入れ替わることが分かります。
件数1位の千葉市は、発生率では7.38で54市町村中の9位です。逆に発生率1位の勝浦市は、件数では139件で39位にとどまります。定住人口約1.5万人の勝浦市と、人口約99万人の千葉市が、指標を替えると位置を入れ替える形です。規模で見るか密度で見るかで、順位が大きく動きます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
件数と発生率の両方で上位10に入るのは、千葉市のほかに成田市と習志野市です。成田市は空港を抱える交通の拠点、習志野市は湾岸の住宅都市で、規模と密度の両面で高い水準にあります。一方で多くの市町村は、どちらか一方だけで上位に来ます。どちらの指標を選ぶかで、見える「治安の地図」が変わるということです。
ここまでは上位を中心に見てきましたが、お住まいの市町村が県内で何位なのかは、次の一覧表で確認できます。全54市町村を「発生率が高い順」と「認知件数が多い順」の2つのタブに分けて収録しました。タブを切り替えると、同じ市町村でも件数の順位と発生率の順位がどれだけ違うかを見比べられます。
千葉県 全54市町村 犯罪ランキング一覧(2025年)
タブで「発生率が高い順」と「認知件数が多い順」を切り替えられます。お住まいの市町村が県内で何位かを、両方の指標で確認できます。
| 順位 | 市町村 | 発生率 | 件数 |
|---|---|---|---|
| 1 | 勝浦市 | 9.38 | 139 |
| 2 | 東金市 | 8.87 | 501 |
| 3 | 芝山町 | 8.77 | 57 |
| 4 | 酒々井町 | 8.71 | 175 |
| 5 | 山武市 | 8.47 | 382 |
| 6 | 成田市 | 8.25 | 1,107 |
| 7 | 旭市 | 7.77 | 466 |
| 8 | 習志野市 | 7.47 | 1,315 |
| 9 | 千葉市 | 7.38 | 7,287 |
| 10 | 横芝光町 | 7.37 | 151 |
| 11 | 八街市 | 7.33 | 479 |
| 12 | 東庄町 | 7.30 | 87 |
| 13 | 白子町 | 7.28 | 69 |
| 14 | いすみ市 | 7.10 | 230 |
| 15 | 印西市 | 7.04 | 771 |
| 16 | 一宮町 | 7.03 | 84 |
| 17 | 富里市 | 6.87 | 341 |
| 18 | 匝瑳市 | 6.83 | 219 |
| 19 | 九十九里町 | 6.82 | 88 |
| 20 | 八千代市 | 6.59 | 1,359 |
| 21 | 茂原市 | 6.57 | 548 |
| 22 | 大多喜町 | 6.47 | 51 |
| 23 | 香取市 | 6.44 | 428 |
| 24 | 野田市 | 6.43 | 975 |
| 25 | 銚子市 | 6.39 | 332 |
| 26 | 船橋市 | 6.37 | 4,144 |
| 27 | 柏市 | 6.34 | 2,778 |
| 28 | 長柄町 | 6.28 | 38 |
| 29 | 多古町 | 6.27 | 78 |
| 30 | 浦安市 | 6.21 | 1,073 |
| 31 | 市原市 | 6.09 | 1,587 |
| 32 | 四街道市 | 6.08 | 578 |
| 33 | 長生村 | 6.07 | 78 |
| 34 | 松戸市 | 5.81 | 2,914 |
| 35 | 市川市 | 5.76 | 2,900 |
| 36 | 木更津市 | 5.73 | 785 |
| 37 | 鎌ケ谷市 | 5.68 | 625 |
| 38 | 君津市 | 5.57 | 433 |
| 39 | 館山市 | 5.35 | 225 |
| 40 | 白井市 | 5.20 | 317 |
| 41 | 長南町 | 5.04 | 32 |
| 42 | 鴨川市 | 4.99 | 147 |
| 43 | 睦沢町 | 4.94 | 31 |
| 44 | 袖ケ浦市 | 4.92 | 320 |
| 45 | 佐倉市 | 4.83 | 788 |
| 46 | 富津市 | 4.78 | 184 |
| 47 | 御宿町 | 4.77 | 30 |
| 48 | 我孫子市 | 4.71 | 617 |
| 49 | 南房総市 | 4.55 | 146 |
| 50 | 栄町 | 4.41 | 85 |
| 51 | 流山市 | 4.26 | 919 |
| 52 | 大網白里市 | 4.22 | 195 |
| 53 | 神崎町 | 4.18 | 23 |
| 54 | 鋸南町 | 2.80 | 17 |
| 順位 | 市町村 | 件数 | 発生率 |
|---|---|---|---|
| 1 | 千葉市 | 7,287 | 7.38 |
| 2 | 船橋市 | 4,144 | 6.37 |
| 3 | 松戸市 | 2,914 | 5.81 |
| 4 | 市川市 | 2,900 | 5.76 |
| 5 | 柏市 | 2,778 | 6.34 |
| 6 | 市原市 | 1,587 | 6.09 |
| 7 | 八千代市 | 1,359 | 6.59 |
| 8 | 習志野市 | 1,315 | 7.47 |
| 9 | 成田市 | 1,107 | 8.25 |
| 10 | 浦安市 | 1,073 | 6.21 |
| 11 | 野田市 | 975 | 6.43 |
| 12 | 流山市 | 919 | 4.26 |
| 13 | 佐倉市 | 788 | 4.83 |
| 14 | 木更津市 | 785 | 5.73 |
| 15 | 印西市 | 771 | 7.04 |
| 16 | 鎌ケ谷市 | 625 | 5.68 |
| 17 | 我孫子市 | 617 | 4.71 |
| 18 | 四街道市 | 578 | 6.08 |
| 19 | 茂原市 | 548 | 6.57 |
| 20 | 東金市 | 501 | 8.87 |
| 21 | 八街市 | 479 | 7.33 |
| 22 | 旭市 | 466 | 7.77 |
| 23 | 君津市 | 433 | 5.57 |
| 24 | 香取市 | 428 | 6.44 |
| 25 | 山武市 | 382 | 8.47 |
| 26 | 富里市 | 341 | 6.87 |
| 27 | 銚子市 | 332 | 6.39 |
| 28 | 袖ケ浦市 | 320 | 4.92 |
| 29 | 白井市 | 317 | 5.20 |
| 30 | いすみ市 | 230 | 7.10 |
| 31 | 館山市 | 225 | 5.35 |
| 32 | 匝瑳市 | 219 | 6.83 |
| 33 | 大網白里市 | 195 | 4.22 |
| 34 | 富津市 | 184 | 4.78 |
| 35 | 酒々井町 | 175 | 8.71 |
| 36 | 横芝光町 | 151 | 7.37 |
| 37 | 鴨川市 | 147 | 4.99 |
| 38 | 南房総市 | 146 | 4.55 |
| 39 | 勝浦市 | 139 | 9.38 |
| 40 | 九十九里町 | 88 | 6.82 |
| 41 | 東庄町 | 87 | 7.30 |
| 42 | 栄町 | 85 | 4.41 |
| 43 | 一宮町 | 84 | 7.03 |
| 44 | 多古町 | 78 | 6.27 |
| 44 | 長生村 | 78 | 6.07 |
| 46 | 白子町 | 69 | 7.28 |
| 47 | 芝山町 | 57 | 8.77 |
| 48 | 大多喜町 | 51 | 6.47 |
| 49 | 長柄町 | 38 | 6.28 |
| 50 | 長南町 | 32 | 5.04 |
| 51 | 睦沢町 | 31 | 4.94 |
| 52 | 御宿町 | 30 | 4.77 |
| 53 | 神崎町 | 23 | 4.18 |
| 54 | 鋸南町 | 17 | 2.80 |
発生率は人口千人あたりの件数。同じ値の場合は同順位とし、千葉市は6区を市単位に統合しています。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
発生率が低いのはどの市町村か

最後に、発生率が低い側も見ておきます。高い側だけでなく低い側を見ると、率という指標の性質がより分かりやすくなります。
人口千人あたりの発生率が最も低いのは鋸南町の2.80で、県内で唯一の2点台です。神崎町4.18、大網白里市4.22、流山市4.26、栄町4.41と続きます。人口21.6万人の流山市が下位4位に入っており、大きな市ほど発生率が高いとは限りません。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
発生率の分母は定住人口(毎月常住人口)です。観光や空港利用などで来訪者が多い地域では、来訪者に関わる事案も定住人口で割るため、率が高く出やすい計算構造になっています。定住人口約1.5万人の観光地である勝浦市や、成田空港に隣接する芝山町の数値は、この構造も踏まえて読むのが安全です。
楓のまとめ|同じ県でも、見る指標で治安の地図は変わる
3つの観察を重ねると、「千葉県のどこで犯罪が多いか」という問いには、件数で答えるか発生率で答えるかで違う地図が現れることが分かります。件数なら湾岸の大都市、人口あたりの発生率なら県東部・南部の市町が上位に来て、同じ県でも見る指標によって治安の像が変わります。どちらか一方だけを見るのではなく、規模と密度の両方を並べて見ることが、データを正確に読む手がかりになります。
よくある質問(FAQ)

市町村別の治安データを読むときに迷いやすい点を、3つにまとめました。数値の確定度、件数と発生率の違い、千葉市の区別の扱いについてです。
Q1. この件数は確定値ですか?
刑法犯認知件数は令和7年(2025年)の年間確定値で、千葉県警察が公表したものです。ただし県警の資料には「犯罪統計については、速報値のため数値が変更されることがあります」という注記があり、後日修正される可能性はあります。犯罪率の分母は千葉県毎月常住人口(令和8年1月1日現在)で、県警の公式レート表と同じ基準です。
Q2. 「件数」と「発生率」はどう違いますか?
件数は、その市町村で1年間に認知された刑法犯の総数です。発生率(人口千対)は、その件数を人口で割って1,000を掛けた値で、人口規模の影響を取り除いて比べられます。人口の多い市は件数が多く出やすいため、街の大きさに関係なく比べたいときは発生率が使われます。
Q3. 千葉市の区ごとの数字はありますか?
千葉県警察のデータには、千葉市6区の内訳も含まれています。本記事では県全体の傾向を見るため、6区を合計して千葉市1市として集計しています(6区合計で7,287件)。区別では中央区の2,430件が最も多くなっています。
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