
市町村ごとの治安を見るときは、件数の多い順と、人口あたりの発生率の高い順を分けて見るのが近道です。地図とランキングを並べると、同じ県の中でも地域によって見え方が変わることがはっきりします。
茨城県の刑法犯認知件数は、2025年(令和7年)の年間確定値で19,273件でした。前年の21,094件から1,821件、率にして8.6%減っています。県全体を人口千人あたりに直すと約6.9件ですが、この数字は市町村ごとに大きく開きがあり、どの指標で見るかによって上位の顔ぶれが変わります。
本記事では、茨城県警察が公表した市町村別の認知件数・犯罪率(令和7年12月末・確定値)をもとに、県内44市町村(32市10町2村)の犯罪件数と人口あたりの発生率を地図とランキングで整理します。掲載する率と順位はすべて県警の公表値と一致することを確認済みです。件数で見るか発生率で見るかで像がどう変わるかを、中立に観察していきます。
なお全国的に見ると、茨城県は人口あたりの発生率が上位圏にある県です。全国では何位かは「都道府県 犯罪率ランキング【2026年】」で確認できます。
茨城県の犯罪は、市町村ごとにどれくらい違う?
件数で見ると水戸市など大きな市が上位だが、人口あたりの発生率では県南・鹿行の市が上位に来て、顔ぶれが入れ替わる。
本記事は楓が調査・編集しています。掲載情報は執筆時点のものです。数値・制度・サービス内容は変更される場合があるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。
茨城県全体の犯罪はどう動いてきたか

まず県全体の流れを押さえておきます。市町村別の細かい話に入る前に、茨城県全体の件数が直近5年でどう動いたのかを見ておくと、いまの水準の意味がつかみやすくなります。
茨城県の刑法犯認知件数は、2021年(令和3年)の14,277件を直近の底に、2022年15,986件、2023年19,767件、2024年21,094件と3年連続で増えました。2025年(令和7年)は19,273件と、3年続いた増加から減少に転じました。県内の認知件数が2万件を下回るのは、2023年以来2年ぶりです。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
内訳では窃盗犯が14,179件と全体の約74%を占めます。手口別では万引き(2,485件)や自転車盗(2,295件)の件数が大きな項目です。なお検挙率は2024年の29.4%から2025年は41.4%へ12.0ポイント上がっていますが、本記事の主役は認知件数と発生率のため、県全体の文脈として触れるにとどめます。
認知件数が多いのはどの市町村か

ここからが市町村別の話です。最初は単純に、件数そのものが多いのはどこか、を見ていきます。件数は人口の多さがそのまま反映されやすい指標です。
2025年の認知件数を市町村別に見ると、最も多いのは水戸市の2,111件でした。次いでつくば市1,769件、土浦市1,231件、古河市998件と続きます。件数の上位はいずれも人口規模の大きい市で占められています。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
一方で、上位への集中はゆるやかです。水戸市とつくば市の2市を合わせても、市町村帰属分19,147件の約20%にとどまります。上位5市まで広げても約36%で、件数が特定の市に集まりすぎず、県内に分散している構成です。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
発生率が高いのはどの市町村か

次に、人口の大きさの影響を取り除いた「人口あたりの発生率」で見ます。件数を人口で割ると、街の大きさに関係なく、住む人あたりでどれくらい起きているかを比べられます。
人口千人あたりの発生率(犯罪率)で並べ替えると、上位の顔ぶれが変わります。最も高いのは稲敷市の9.283で、鹿嶋市8.720、土浦市8.661、結城市8.210、筑西市8.151と続きます。この順位は茨城県警察が公表する公式のワースト順位と同一です。
地図にすると、発生率の地域差が面で見えてきます。県南・鹿行・県西で色が濃く、日立市や大子町のある県北では色が薄くなっています。どの地域で人口あたりの発生率が高いのかを、市町村名のランキングと地図の両方で確認できます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
「件数」と「発生率」で顔ぶれが入れ替わる

この記事でいちばん見てほしいのがここです。件数の順位と発生率の順位を並べると、同じ県の中でも上位の市町村が入れ替わることが分かります。
件数1位の水戸市は、発生率では7.916で44市町村中10位です。逆に発生率1位の稲敷市は、件数では335件で20位にとどまります。件数2位のつくば市も発生率は6.796で24位と、県全体の6.868を下回ります。規模で見るか密度で見るかで、上位の顔ぶれが大きく入れ替わります。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
両方のランキングで上位に入る例が土浦市と筑西市です。土浦市は件数3位かつ発生率3位、筑西市は件数5位かつ発生率5位で、規模と密度の両面で高い水準にあります。一方で水戸市やつくば市のように、件数上位の大きな市が発生率では中位以下に散らばる度合いが大きいのが、茨城県の構成の特徴です。
ここまでは上位を中心に見てきましたが、お住まいの市町村が県内で何位なのかは、全体の一覧で確認できます。次の表に、全44市町村の発生率の高い順と、認知件数の多い順を収録しました。発生率順は県警公表の公式順位と同一であることを、再計算と順位の再構成で確認済みです。
茨城県 全44市町村 犯罪ランキング一覧(2025年)
タブで「発生率が高い順」と「認知件数が多い順」を切り替えられます。発生率順は茨城県警察が公表する公式のワースト順位と同一です。お住まいの市町村が県内で何位かを、両方の指標で確認できます。
| 順位 | 市町村 | 発生率 | 件数 |
|---|---|---|---|
| 1 | 稲敷市 | 9.283 | 335 |
| 2 | 鹿嶋市 | 8.720 | 564 |
| 3 | 土浦市 | 8.661 | 1,231 |
| 4 | 結城市 | 8.210 | 401 |
| 5 | 筑西市 | 8.151 | 792 |
| 6 | 茨城町 | 8.138 | 243 |
| 7 | 常総市 | 7.967 | 468 |
| 8 | 桜川市 | 7.939 | 286 |
| 9 | 龍ケ崎市 | 7.920 | 591 |
| 10 | 水戸市 | 7.916 | 2,111 |
| 11 | 下妻市 | 7.895 | 327 |
| 12 | 小美玉市 | 7.878 | 370 |
| 13 | かすみがうら市 | 7.861 | 304 |
| 14 | 阿見町 | 7.820 | 393 |
| 15 | 石岡市 | 7.674 | 530 |
| 16 | 取手市 | 7.608 | 788 |
| 17 | 大洗町 | 7.434 | 109 |
| 18 | 鉾田市 | 7.315 | 324 |
| 19 | 美浦村 | 7.313 | 100 |
| 20 | 古河市 | 7.294 | 998 |
| 21 | 五霞町 | 7.218 | 55 |
| 22 | 境町 | 7.025 | 168 |
| 23 | 潮来市 | 6.965 | 181 |
| 24 | つくば市 | 6.796 | 1,769 |
| 25 | 笠間市 | 6.706 | 474 |
| 26 | 利根町 | 6.582 | 99 |
| 27 | 坂東市 | 6.574 | 334 |
| 28 | 守谷市 | 6.568 | 460 |
| 29 | 牛久市 | 6.425 | 537 |
| 30 | 行方市 | 6.235 | 186 |
| 31 | 那珂市 | 6.113 | 319 |
| 32 | 神栖市 | 6.092 | 571 |
| 33 | 高萩市 | 5.841 | 149 |
| 34 | 東海村 | 5.705 | 215 |
| 35 | 河内町 | 5.689 | 42 |
| 36 | 八千代町 | 5.560 | 113 |
| 37 | 城里町 | 5.232 | 88 |
| 38 | つくばみらい市 | 4.982 | 256 |
| 39 | ひたちなか市 | 4.733 | 724 |
| 40 | 常陸太田市 | 4.663 | 208 |
| 41 | 常陸大宮市 | 4.588 | 167 |
| 42 | 北茨城市 | 4.358 | 170 |
| 43 | 大子町 | 3.675 | 51 |
| 44 | 日立市 | 3.360 | 546 |
| 順位 | 市町村 | 件数 | 発生率 |
|---|---|---|---|
| 1 | 水戸市 | 2,111 | 7.916 |
| 2 | つくば市 | 1,769 | 6.796 |
| 3 | 土浦市 | 1,231 | 8.661 |
| 4 | 古河市 | 998 | 7.294 |
| 5 | 筑西市 | 792 | 8.151 |
| 6 | 取手市 | 788 | 7.608 |
| 7 | ひたちなか市 | 724 | 4.733 |
| 8 | 龍ケ崎市 | 591 | 7.920 |
| 9 | 神栖市 | 571 | 6.092 |
| 10 | 鹿嶋市 | 564 | 8.720 |
| 11 | 日立市 | 546 | 3.360 |
| 12 | 牛久市 | 537 | 6.425 |
| 13 | 石岡市 | 530 | 7.674 |
| 14 | 笠間市 | 474 | 6.706 |
| 15 | 常総市 | 468 | 7.967 |
| 16 | 守谷市 | 460 | 6.568 |
| 17 | 結城市 | 401 | 8.210 |
| 18 | 阿見町 | 393 | 7.820 |
| 19 | 小美玉市 | 370 | 7.878 |
| 20 | 稲敷市 | 335 | 9.283 |
| 21 | 坂東市 | 334 | 6.574 |
| 22 | 下妻市 | 327 | 7.895 |
| 23 | 鉾田市 | 324 | 7.315 |
| 24 | 那珂市 | 319 | 6.113 |
| 25 | かすみがうら市 | 304 | 7.861 |
| 26 | 桜川市 | 286 | 7.939 |
| 27 | つくばみらい市 | 256 | 4.982 |
| 28 | 茨城町 | 243 | 8.138 |
| 29 | 東海村 | 215 | 5.705 |
| 30 | 常陸太田市 | 208 | 4.663 |
| 31 | 行方市 | 186 | 6.235 |
| 32 | 潮来市 | 181 | 6.965 |
| 33 | 北茨城市 | 170 | 4.358 |
| 34 | 境町 | 168 | 7.025 |
| 35 | 常陸大宮市 | 167 | 4.588 |
| 36 | 高萩市 | 149 | 5.841 |
| 37 | 八千代町 | 113 | 5.560 |
| 38 | 大洗町 | 109 | 7.434 |
| 39 | 美浦村 | 100 | 7.313 |
| 40 | 利根町 | 99 | 6.582 |
| 41 | 城里町 | 88 | 5.232 |
| 42 | 五霞町 | 55 | 7.218 |
| 43 | 大子町 | 51 | 3.675 |
| 44 | 河内町 | 42 | 5.689 |
発生率は人口千人あたりの件数(小数第3位)。発生率順の順位は県警公表のワースト順位と同一で、件数順は同数の場合に同順位としています。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
発生率が低いのはどの市町村か

最後に、発生率が低い側も見ておきます。高い側だけでなく低い側を見ると、地域のまとまりがより分かりやすくなります。
人口千人あたりの発生率が最も低いのは日立市の3.360で、大子町3.675、北茨城市4.358、常陸大宮市4.588、常陸太田市4.663と続きます。下位10のうち5つを、日立市をはじめとする県北の市町が占めています。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
発生率は「認知件数÷定住人口×1,000」で計算されるため、来訪者の多い地域では来訪者に関わる事案も定住人口で割ることになり、率が高く出やすい計算構造があります。逆に人口16万人規模の日立市が県内で最も低い3.360である事実は、規模の大きな市でも率が低い場合があることを示しています。
楓のまとめ|同じ県でも、見る指標で治安の地図は変わる
3つの観察を重ねると、「茨城県のどこで犯罪が多いか」という問いには、件数で答えるか発生率で答えるかで違う地図が現れることが分かります。件数なら水戸市やつくば市、人口あたりの発生率なら稲敷市など県南・鹿行の市が上位に来て、同じ県でも見る指標によって治安の像が変わります。どちらか一方だけを見るのではなく、規模と密度の両方を並べて見ることが、データを正確に読む手がかりになります。
よくある質問(FAQ)

市町村別の治安データを読むときに迷いやすい点を、3つにまとめました。件数と発生率の違い、データの新しさ、順位の出どころについてです。
Q1. この件数は確定値ですか?
刑法犯認知件数は令和7年(2025年)の年間確定値で、茨城県警察が公表したPDFの表題にも「確定値」と明記されています。犯罪率の分母となる人口は、県警が公式犯罪率の算出に使っている「茨城県の人口と世帯(推計)」の令和7年1月1日現在の値です。件数・率・順位のいずれも県警の公表値をそのまま掲載しています。
Q2. 「件数」と「発生率」はどう違いますか?
件数は、その市町村で1年間に認知された刑法犯の総数です。発生率(人口千対)は、その件数を人口で割って1,000を掛けた値で、人口規模の影響を取り除いて比べられます。人口の多い市は件数が多く出やすいため、街の大きさに関係なく比べたいときは発生率が使われます。
Q3. この順位は茨城県警察の公表順位と同じですか?
はい。茨城県警察は市町村別の犯罪率(人口千人あたり)とワースト順位を公表しており、本記事の発生率順の一覧はその公式順位と同一です。編集部でも件数を人口で割って1,000を掛ける再計算と順位の再構成を行い、全44市町村で公表値と一致することを確認しています。
🔍 この記事のファクトチェックについて

当サイトはファクトチェックを実施しています。このページのファクトチェックのエビデンスを以下に掲載します。



