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1時間50mm以上の大雨は増えたか?50年の観測回数を図解【2026年】

1時間50mm以上の大雨は増えたか?50年の観測回数を図解
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楓
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「大雨は増えたのか」という問いは、年ごとの発生回数を50年分並べた棒グラフと、気象庁が公表している10年平均の2本の線で見るのが近道です。年ごとの上下が大きい系列だからこそ、平均の線を重ねると変化の向きが見えてきます。

「1時間50mm以上」の雨は、気象庁の予報用語で「非常に激しい雨」にあたります。滝のように降り、傘は全く役に立たなくなる雨です。気象庁「日本の気候変動2025」によれば、全国のアメダスで観測されたこの雨の年間発生回数(約1,300地点あたりに換算)は、1976〜1985年の平均が約226回、2015〜2024年の平均が約334回で、気象庁はこれを約1.5倍・統計的に有意な増加としています。最初の10年に2回起きていた雨が、最近の10年には3回起きている計算です。

同じ報告書は、1時間降水量80mm以上は約1.7倍、日降水量400mm以上は約2.1倍と、強い雨ほど倍率が大きいことも公表しています。一方で気象庁は、極端な雨は発生頻度が少なく観測期間も1976年以降と短いことから、傾向を確実に捉えるには今後のデータの蓄積が必要だとも記しています。

本記事では、気象庁の極端現象ページのCSV(1976〜2025年の年別値)と「日本の気候変動2025」表5-1.1、予報用語「雨の強さと降り方」を一次情報として、1時間50mm以上の年別推移、80mm以上・100mm以上の推移、閾値別の倍率、年降水量との対置、雨の降らない日の変化を図解で整理します。判定の言葉は気象庁の表現をそのまま使い、増減の原因には踏み込みません。

EVIDENCE / 可視化pediaの結論

滝のように降る「1時間50mm以上」の雨は、全国でどれくらい増えたのでしょうか。

10年平均で約226回から約334回へ、約1.5倍の増加です。

1976〜1985年|統計期間の最初の10年 約226回 全国アメダス(1,300地点あたり)1時間降水量50mm以上の年間発生回数の10年平均 基準 / 1976〜1985年平均
2015〜2024年|最近10年 約334回 全国アメダス(1,300地点あたり)1時間降水量50mm以上の年間発生回数の10年平均 約1.5倍 / 増加している
1976 統計開始 1985 約226 2004 最多 2024 約334

Source

気象庁「日本の気候変動2025」本編 表5-1.1/詳細編 図5.2.3(統計期間1976〜2024年)

楓の整理
この記事の要点

◆ 全国アメダス(1,300地点あたり)の1時間降水量50mm以上の年間発生回数は、1976〜1985年の平均約226回から2015〜2024年の平均約334回へ、気象庁の判定で約1.5倍・統計的に有意に増加しています。
◆ 80mm以上は約14回→約24回(約1.7倍)、日降水量400mm以上は約6.4日→約14日(約2.1倍)で、強い雨ほど倍率が大きくなっています。
◆ 同じ気象庁の指標でも、日本の年降水量(1898年〜)には約130年間で変化傾向が確認できず、雨の降らない日は100年あたり9.2日増えています。観測期間の短さから、気象庁は今後のデータの蓄積が必要だとしています。

出典:気象庁「日本の気候変動2025」(2025年3月公表・統計期間1976〜2024年)/気象庁「大雨や猛暑日など(極端現象)のこれまでの変化」CSV(1976〜2025年)/気象庁「雨の強さと降り方」。

本記事は楓が調査・編集しています。掲載情報は執筆時点のものです。数値・制度・サービス内容は変更される場合があるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。

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「1時間50mm以上」はどんな雨か|気象庁の予報用語では「非常に激しい雨」

楓
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推移を見る前に、数えている雨の強さを揃えておきます。気象庁の「雨の強さと降り方」は1時間雨量を5段階に分けているので、階段の形で並べると、本記事が扱う雨がどの段から上なのかがひと目で分かります。

「1時間50mm以上」はどんな雨か|気象庁「雨の強さと降り方」の5段階 本記事が数えているのは、右の2段(1時間50mm以上)の雨です。空欄は気象庁の表でも空欄。 10〜20mm未満 足元がぬれる ザーザーと降る やや強い雨 20〜30mm未満 傘をさしていてもぬれる どしゃ降り 強い雨 30〜50mm未満 道路が川のようになる ように降る バケツをひっくり返した 激しい雨 50〜80mm未満 車の運転は危険 傘は全く役に立たなくなる (ゴーゴーと降り続く) 滝のように降る 非常に激しい雨 80mm以上 圧迫感がある。恐怖を感ずる 息苦しくなるような 猛烈な雨 本記事が数えている雨(1時間50mm以上) ※ 気象庁の表の「予報用語」「人の受けるイメージ」「人への影響」「車に乗っていて」から抜粋。空欄の項目は補っていません。 出典:気象庁「雨の強さと降り方」(予報用語) ※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
出典:気象庁「雨の強さと降り方」(予報用語)
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。

気象庁の予報用語では、1時間雨量が10mm以上20mm未満を「やや強い雨」、20mm以上30mm未満を「強い雨」、30mm以上50mm未満を「激しい雨」と呼びます。50mm以上80mm未満が「非常に激しい雨」で、人の受けるイメージは「滝のように降る(ゴーゴーと降り続く)」、人への影響は「傘は全く役に立たなくなる」、車に乗っていては「車の運転は危険」と記されています。

80mm以上は「猛烈な雨」で、「息苦しくなるような圧迫感がある。恐怖を感ずる」というイメージだけが示され、屋外の様子などの欄は気象庁の表でも空欄です。本記事が数えているのは、この5段階のうち「非常に激しい雨」と「猛烈な雨」、つまり1時間50mm以上の雨です。1時間50mm以上の雨は、道路が川のようになる「激しい雨」よりさらに1段強い雨にあたります。

1時間50mm程度の雨で道路のアンダーパスがどこまで冠水しうるかは、国土交通省の資料をもとに別の記事「アンダーパスはなぜ冠水する?水深別の危険を図解」で整理しています。本記事はその雨が全国で年に何回観測されたか、という回数の側を見ていきます。

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1時間50mm以上の年間発生回数はどう推移したか|1976〜2025年の50年

楓
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主役の図解です。棒は各年の回数、点線は気象庁が公表した10年平均です。年ごとの上下がとても大きいので、1年だけを取り出さず、平均の線がどこにあるかを見比べてください。

1時間降水量50mm以上の年間発生回数|1976〜2025年 全国アメダス・1,300地点あたりに換算した回数。横線は気象庁が公表した10年平均。 0 100 200 300 400 回 1976 1985 1995 2005 2015 2025 2015〜2024年の平均 約334回 1976〜1985年の平均 約226回 2025年 331回 棒:各年の回数 1976年 統計開始(約800地点) 2004年 統計期間で最多 463回 ※ 1976年当初は約800地点。気象庁は全ての年を1,300地点あたりに換算して比較しています。2004年は統計期間中で最も多い年。 出典:気象庁「大雨や猛暑日など(極端現象)のこれまでの変化」CSV/10年平均は「日本の気候変動2025」表5-1.1 ※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
出典:気象庁「大雨や猛暑日など(極端現象)のこれまでの変化」CSV(1976〜2025年)/10年平均は気象庁「日本の気候変動2025」本編 表5-1.1
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。

気象庁の極端現象ページが配布しているCSVによれば、全国アメダス(1,300地点あたりに換算)の1時間降水量50mm以上の年間発生回数は、統計が始まった1976年に286回、最も多かった2004年に463回、最も少なかった1996年に123回でした。直近の2025年は331回です。年ごとの振れ幅が200回以上ある系列で、1年だけを取り出して増減を語ることはできません。

そこで気象庁は10年平均で比べています。「日本の気候変動2025」の表5-1.1では、1976〜1985年の平均が約226回、2015〜2024年の平均が約334回とされ、変化傾向は「増加している」、倍率は「約1.5倍」です。気象庁のCSVの年別値から可視化pedia編集部が同じ期間の平均を計算すると226.0回と333.5回になり、四捨五入で公表値と一致しました(📊筆者試算)。

CSVには2025年の値も含まれているため、1年ずらした2016〜2025年の平均も計算できます。編集部の試算では339.7回で、2015〜2024年の公表値より少し大きい値です。ただし本記事の主役数値は、気象庁が正式に公表した2015〜2024年の約334回を用います。

約334回を1年365日で割ると1日あたり約0.9回です。1,300地点あたりに換算した値であることを前提にすれば、「全国のどこかで、ほぼ毎日1回、滝のような雨が観測されている」という水準にあたります(📊筆者試算)。

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80mm以上・100mm以上はどう推移したか|「猛烈な雨」の回数

楓
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同じCSVには80mm以上と100mm以上の系列もあります。回数の桁が違うので縦軸を0〜45回に取り直し、2本の折れ線で並べました。前の図と縦軸の目盛りが違う点に注意してください。

1時間降水量80mm以上・100mm以上の年間発生回数|1976〜2025年 全国アメダス・1,300地点あたりに換算。50mm以上(前図)とは縦軸のスケールが異なります(0〜45回)。 80mm以上(猛烈な雨) 100mm以上 80mm以上の10年平均(気象庁公表値) 0 10 20 30 40 回 1976 1985 1995 2005 2015 2025 1976〜85年 約14回 2015〜24年 約24回 2025年 35回 2025年 9回 80mm以上 100mm以上 1999年 41回 80mm以上は約1.7倍 ※ 気象庁は80mm以上を「増加している」、100mm以上を「増加傾向が現れている」と判定しています(表5-1.1)。 出典:気象庁「大雨や猛暑日など(極端現象)のこれまでの変化」CSV/10年平均は「日本の気候変動2025」表5-1.1 ※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
出典:気象庁「大雨や猛暑日など(極端現象)のこれまでの変化」CSV(1976〜2025年)/10年平均は気象庁「日本の気候変動2025」本編 表5-1.1
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。

1時間降水量80mm以上、予報用語で「猛烈な雨」にあたる回数は、1976〜1985年の平均が約14回、2015〜2024年の平均が約24回で、気象庁の判定は「増加している」、倍率は約1.7倍です。年別に見ると最も多かったのは1999年の41回、2025年は35回でした。

100mm以上になると回数はさらに少なく、1976〜1985年の平均が約2.2回、2015〜2024年の平均が約4.0回です。倍率は約1.8倍ですが、気象庁の判定語は「増加している」ではなく「増加傾向が現れている」です。年別の値は0回の年が7回あり、最も多い年でも9回にとどまります。倍率が大きくても、回数の少ない指標には「増加傾向が現れている」という判定語が付いています。

編集部で表5-1.1の公表値から倍率を計算し直すと、約24÷約14は約1.7倍、約4.0÷約2.2は約1.8倍で、いずれも気象庁の表記と一致します(📊筆者試算・丸め前の値で計算しているため、指標によっては0.1の差が出ることがあります)。

閾値別に倍率を並べる|強い雨ほど倍率が大きい

楓
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この記事でいちばん見てほしい図です。1時間降水量と日降水量の6つの閾値について、最初の10年と最近10年の平均を対にして並べ、右端に倍率と気象庁の判定語を添えました。対の中だけで長さを比べる図です。

強い雨ほど倍率が大きい|閾値別の10年平均の比較(1976〜85年→2015〜24年) 各対の中で最近10年を100%とした相対長。指標ごとにスケールが異なるため、対の間で長さは比べられません。 1976〜1985年の平均 2015〜2024年の平均 倍率/気象庁の判定語 1時間降水量50mm以上 約226回 約334回 約1.5倍 増加している 1時間降水量80mm以上 約14回 約24回 約1.7倍 増加している 1時間降水量100mm以上 約2.2回 約4.0回 約1.8倍 増加傾向が現れている 日降水量200mm以上 約160日 約247日 約1.5倍 増加傾向が現れている 日降水量300mm以上 約28日 約55日 約1.9倍 増加している 日降水量400mm以上 約6.4日 約14日 約2.1倍 増加している ※ 1時間・3時間降水量は「回数」、日降水量は「日数」。3時間降水量の3指標は本文の表に掲載。 出典:気象庁「日本の気候変動2025」本編 表5-1.1(統計期間1976〜2024年) ※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
出典:気象庁「日本の気候変動2025」本編 表5-1.1(統計期間1976〜2024年・全国アメダス1,300地点あたり)
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。

表5-1.1の9指標のうち、1時間降水量の3閾値と日降水量の3閾値を対比バーにしました。1時間50mm以上が約1.5倍、80mm以上が約1.7倍、100mm以上が約1.8倍、日降水量200mm以上が約1.5倍、300mm以上が約1.9倍、400mm以上が約2.1倍です。同じ時間幅の中で比べると、閾値が高いほど倍率が大きくなる並びになっています。気象庁も詳細編で「より強い雨ほど頻度の増加率が高い」と記しています。

判定語は2種類あります。「増加している」が7指標、「増加傾向が現れている」が1時間100mm以上と日降水量200mm以上の2指標です。倍率の大きさと判定語の強さは必ずしも対応していません。100mm以上は約1.8倍でも「増加傾向が現れている」、日降水量200mm以上は約1.5倍でも同じ判定です。

図に載せていない3時間降水量の3指標も含めた表5-1.1の全9行を、次の表にまとめます。1時間・3時間降水量は「回数」、日降水量は「日数」で単位が異なります。同じ日に複数の地点で観測されれば回数は複数になる点にも注意が必要です。

極端な大雨の変化(1976〜2024年)|表5-1.1 の全9指標

全国アメダス・1,300地点あたりに換算。「約」は気象庁の表記どおり。倍率は気象庁の公表値。

指標判定語1976〜85年
の平均
2015〜24年
の平均
倍率
1時間降水量50mm以上増加している約226回約334回約1.5倍
1時間降水量80mm以上増加している約14回約24回約1.7倍
1時間降水量100mm以上増加傾向が現れている約2.2回約4.0回約1.8倍
3時間降水量100mm以上増加している約155回約248回約1.6倍
3時間降水量150mm以上増加している約19回約33回約1.8倍
3時間降水量200mm以上増加している約2.8回約5.6回約2.0倍
日降水量200mm以上増加傾向が現れている約160日約247日約1.5倍
日降水量300mm以上増加している約28日約55日約1.9倍
日降水量400mm以上増加している約6.4日約14日約2.1倍
出典:気象庁「日本の気候変動2025」本編 表5-1.1(2025年3月26日公表・統計期間1976〜2024年)
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。

年降水量には変化傾向が確認できない|同じ気象庁の別の指標

楓
楓

「年間の雨の量」と「短時間の強い雨の回数」は別の指標です。同じ報告書の中で、気象庁がそれぞれにどんな判定語を付けているかを、左右のパネルに並べて置きました。

同じ気象庁の2つの指標|年降水量と1時間50mm以上の回数 「日本の気候変動2025」が別々の指標として公表している判定語を並べています。 日本の年降水量 全国51観測地点・1898年〜(統計期間 約130年) 変化傾向は 確認できない (気象庁の判定語) 年々の変動が大きく、130年間の傾向は確認できない 1時間降水量50mm以上の年間発生回数 全国アメダス約1,300地点・1976年〜(統計期間 約50年) 約226回 1976〜85年 約334回 2015〜24年 約1.5倍 増加している (気象庁の判定語) ※ 気象庁は年降水量について「1980年以降の統計では増加傾向が現れている」とも記しており、本図は約130年の判定語を示しています。 出典:気象庁「日本の気候変動2025」本編 第5章(5.1・表5-1.1) ※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
出典:気象庁「日本の気候変動2025」本編 第5章(5.1 および 表5-1.1)
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。

「日本の気候変動2025」は、全国51観測地点の1898年以降のデータについて、日本の年降水量は「過去約130年間では変化傾向は確認できない」としています。年々の変動が大きいことが理由として記され、地方ごとに平均した年降水量にも変化傾向は確認できない、と続きます。

同じ報告書が、1976年以降のアメダスについては1時間50mm以上の回数を「増加している」と判定しています。年間の雨の総量には130年間の傾向が確認できない一方で、短時間に強く降る雨の回数は増えている、という2つの事実が並んでいます。楓はこれを一つの言葉にまとめず、気象庁が別々の指標として公表していることをそのまま伝えます。

なお年降水量について気象庁は「1980年以降の統計では増加傾向が現れている」とも記しています。統計期間の取り方で判定語が変わる指標であることは、読み方の前提として押さえておきたい点です。

雨の降らない日は100年あたり9.2日増えている

雨の降らない日は増えている|100年あたり+9.2日 日降水量1.0mm未満の日の年間日数。全国51観測地点・1901〜2024年。気象庁の判定語は「増加している」。 1年 = 365日 +9.2日 100年あたりの増加率 (右下の濃い9個+点線1個の一部) 気象庁は「雨の降らない日の日数は増加している。増加率は100年当たり9.2日」と記しています。 年降水量には変化傾向が確認できない一方で、雨の降らない日は増え、強い雨の回数も増えています(同報告書)。 ※ 図のドットは1年365日を表し、色の付いたドットが増加分を示す概念図です。年別の日数データは本記事では扱っていません。 出典:気象庁「日本の気候変動2025」本編 5.1(全国51観測地点・1901〜2024年) ※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
出典:気象庁「日本の気候変動2025」本編 5.1(全国51観測地点・日降水量1.0mm未満の日数・1901〜2024年)
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。

年降水量に変化傾向が確認できない中で、気象庁は雨の降る日数の指標も公表しています。日降水量1.0mm未満の日、つまり雨の降らない日の年間日数は、1901〜2024年の統計で「増加している」と判定され、増加率は100年あたり9.2日です。

1年365日を上の図のドットで表すと、100年で増えた9.2日は右下の色の付いた部分にあたります。年降水量、雨の降らない日、強い雨の回数の3つは、気象庁がそれぞれ別の指標として公表しているものです。本記事ではその3点を並べるにとどめ、まとめの言葉は付けません。

年別の発生回数一覧|1976〜2025年の50年分

楓
楓

気象庁のCSVをそのまま一覧にしました。タブで1時間50mm以上、80mm以上、100mm以上を切り替えられます。生まれた年や覚えている年の回数を、公表値の10年平均と見比べてみてください。

1時間降水量50mm以上の年間発生回数(全国アメダス・1,300地点あたりに換算)。10年ごとの5ブロックに折り返しています。

年回年回年回年回年回
19762861986134199612320063092016334
19772201987245199723020072522017327
19781891988326199843020083302018350
19792931989247199935720092202019377
19802031990383200031820102722020345
19811821991203200126820113582021279
19822991992146200222520123672022382
19832411993333200323620133082023326
19841431994171200446320143092024346
19852041995206200525220152692025331

1時間降水量80mm以上の年間発生回数(全国アメダス・1,300地点あたりに換算)。

年回年回年回年回年回
197625198611199614200629201627
197721198720199712200718201721
19788198838199836200824201820
197915198919199941200915201927
198012199015200012201021202035
19818199116200128201128202113
19822019928200215201220202230
198313199315200320201332202317
1984719948200431201421202423
198510199512200511201526202535

1時間降水量100mm以上の年間発生回数(全国アメダス・1,300地点あたりに換算)。

年回年回年回年回年回
1976019861199632006620165
1977619872199732007020173
1978119889199852008420185
1979219895199992009320194
1980119901200072010220205
1981019912200172011720212
1982619920200222012320225
1983419930200352013820234
1984019940200472014220242
1985219951200522015520259
出典:気象庁「大雨や猛暑日など(極端現象)のこれまでの変化」CSV(1976〜2025年・1,300地点あたりに換算)
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。

一覧で見ると、300回を超えた年は1976〜1985年の10年間では0回ですが、2016〜2025年の10年間では9回あります。逆に200回を下回った年は最初の10年に3回あり、最近10年には1回もありません。平均が動いただけでなく、少ない年の底も上がっているのが年別一覧から読み取れる点です(📊筆者試算・CSVの年別値を数えたもの)。

80mm以上と100mm以上の一覧は、値が小さいぶん年ごとの振れが目立ちます。気象庁が100mm以上に「増加している」ではなく「増加傾向が現れている」という判定語を付けていることは、この一覧の並びと合わせて読むと確認しやすくなります。

観測の仕組みと気象庁の留保|約800地点から約1,300地点へ

楓
楓

最後に、数字を読むうえで欠かせない前提を整理します。統計期間はいつからか、地点数はどう変わったか、そして気象庁自身がこの数字にどんな留保を付けているかの3点です。

楓の整理
観測の仕組み

◆ 統計期間は1976年以降。アメダス(地域気象観測システム)は気象庁の観測網で、降水量の観測地点は現在約1,300地点です。
◆ 1976年当初の地点数は約800。気象庁は全ての年の発生回数を1,300地点あたりの回数に換算して比較しています。
◆ 気象庁は「極端な降水は発生頻度が少なく、それに対してアメダスの観測期間は1976年以降と比較的短い期間に限られる」ことから、長期変化傾向を確実に捉えるには今後のデータの蓄積が必要だとしています。

出典:気象庁「日本の気候変動2025」本編 5.2/詳細編 5.2(脚注63・p.110)。

1時間50mm以上の回数は、アメダスの降水量観測地点で数えたものです。統計が始まった1976年当初の地点数は約800で、その後増えて現在は約1,300地点です。地点が増えれば観測される回数も増えやすくなるので、気象庁は全ての年の発生回数を1,300地点あたりの回数に換算したうえで比較しています。本記事の数値もすべてこの換算値です。

そのうえで気象庁は、詳細編で「極端な大雨の年間発生回数は統計的に有意に増加しており、より強い雨ほど頻度の増加率が高い」と記す一方、同じ段落で「これらの長期変化傾向を確実に捉えるためには今後のデータの蓄積が必要である」と留保を付けています。有意な増加という判定と、観測期間が短いという留保を、気象庁は対にして公表しています。

増加の背景については、気象庁が本編で「地球温暖化は既に、大雨の頻度と強度の増加に影響を及ぼしている」と見出しを立て、近年の大雨事例のいくつかについてイベント・アトリビューションを用いた解析結果を示しています。本記事はこの説明を気象庁の見解として紹介するにとどめ、楓自身は回数の推移という観察の範囲で記事を組み立てています。

楓のまとめ|10年平均で約1.5倍、強い雨ほど倍率が大きい

楓
楓

ここまでの推移と対比を一通り並べると、「増えたか」という問いには気象庁の判定語と数値でそのまま答えられます。3つの観察事実に整理してみます。

「1時間50mm以上の大雨は増えたか」という問いに、本記事で並べた図解は、気象庁が公表した10年平均と判定語で答えてきました。年ごとの振れ幅、閾値ごとの倍率、年降水量との違い、観測の仕組みと留保、それぞれが別の角度から同じ数字を照らしています。楓の評価を加えず、観察事実として整理しておきます。

楓の観察整理
3つの観察事実

観察1. 全国アメダス(1,300地点あたり)の1時間降水量50mm以上の年間発生回数は、1976〜1985年の平均約226回に対し、2015〜2024年の平均は約334回で、気象庁の判定は「増加している」、倍率は約1.5倍です。年別では2004年の463回が最も多く、2025年は331回でした。

観察2. 閾値が高いほど倍率は大きく、80mm以上が約1.7倍、100mm以上が約1.8倍、日降水量400mm以上が約2.1倍です。ただし100mm以上と日降水量200mm以上の判定語は「増加している」ではなく「増加傾向が現れている」で、倍率の大きさと判定語は必ずしも対応していません。

観察3. 同じ報告書で、日本の年降水量(1898年〜)には約130年間で変化傾向が確認できず、雨の降らない日は100年あたり9.2日増えています。地点数は約800から約1,300に増え、全ての年を1,300地点あたりに換算して比較しており、気象庁は今後のデータの蓄積が必要だとしています。

3つの観察事実を重ねると、「増えたか」という問いへの答えは、気象庁の10年平均で約226回から約334回へ、約1.5倍の「増加している」という判定です。同時に、その判定には観測期間が1976年以降と短いという留保が付いていて、気象庁は今後のデータの蓄積が必要だとしています。数値と判定語、そして留保を対にして読むことが、この統計の正確な読み方になります。

よくある質問(FAQ)

楓
楓

大雨の統計を読むときに迷いやすい点を、3つにまとめました。地点数の影響、「回数」と「日数」の違い、最新の数値をどこで確認できるかについてです。

Q1. 観測地点が約800から約1,300に増えたなら、回数が増えるのは当然ではありませんか?

地点が増えれば観測される回数が増えやすくなるのは確かです。気象庁はその影響を取り除くために、全ての年の発生回数を1,300地点あたりの回数に換算したうえで比較しています。本記事の約226回・約334回もその換算値です。換算の目的は地点数の増加による見かけの差を除くことで、気象庁はこの換算値について統計的に有意な増加と判定しています。

Q2. 「年間発生回数」と「年間日数」は何が違うのですか?

1時間降水量や3時間降水量の指標は「回数」で、同じ日に複数の地点で観測されればその数だけ回数が増えます。日降水量200mm以上などの指標は「日数」で、地点ごとに日単位で数えます。表5-1.1では1時間・3時間の指標が回、日降水量の指標が日と単位が分かれているため、本記事もその区別のまま表記しています。

Q3. 今後の推移や最新の数値はどこで確認できますか?

気象庁は「大雨や猛暑日など(極端現象)のこれまでの変化」のページで年別の図とCSVを更新しており、本記事の2025年までの年別値もそのCSVによるものです。10年平均と判定語は「日本の気候変動」報告書に掲載され、最新版は2025年3月公表の「日本の気候変動2025」です。今後の見通しについては本記事では扱わず、気象庁の公表を確認先として示すにとどめます。

🔍 この記事のファクトチェックについて

楓
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当サイトはファクトチェックを実施しています。このページのファクトチェックのエビデンスを以下に掲載します。

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この記事のファクトチェックについて
確認日:2026年9月

記事内の主要な数値・事実について、確認の度合いを4段階で示しています。

✅ 一次確認:公式発表・省庁・原典で直接確認 🔍 二次確認:報道など二次情報で確認 📊 筆者試算:一次データを基にした独自計算 ⚠ 要確認:状況により変わるもの
✅ 一次確認

1時間降水量50mm以上の年間発生回数:1976〜1985年平均 約226回・2015〜2024年平均 約334回・約1.5倍・判定「増加している」(表5-1.1・全9指標の数値と判定語)

気象庁「日本の気候変動2025」本編 第5章 表5-1.1 →
✅ 一次確認

「極端な大雨の年間発生回数は統計的に有意に増加しており、より強い雨ほど頻度の増加率が高い」/「今後のデータの蓄積が必要」(p.110)/地点数 約800→約1,300(脚注63)

気象庁「日本の気候変動2025」詳細編 第5章(PDF) →
✅ 一次確認

年別の発生回数(1976〜2025年・1時間50mm/80mm/100mm以上):2004年 463回(最多)・2025年 331回・80mm以上 1999年 41回・2025年 35回・100mm以上 2025年 9回

気象庁「大雨や猛暑日など(極端現象)のこれまでの変化」CSV →
✅ 一次確認

日本の年降水量(全国51地点・1898年〜)は「過去約130年間では変化傾向は確認できない」/雨の降らない日(日降水量1.0mm未満)の増加率は100年当たり9.2日/「地球温暖化は既に、大雨の頻度と強度の増加に影響を及ぼしている」

気象庁「日本の気候変動2025」本編 第5章 5.1・5.2 →
✅ 一次確認

1時間雨量50〜80mm未満=「非常に激しい雨」(滝のように降る・傘は全く役に立たなくなる・車の運転は危険)、80mm以上=「猛烈な雨」

気象庁「雨の強さと降り方」(予報用語) →
✅ 一次確認

公表日 2025年3月26日/正誤表(8件)に表5-1.1 の訂正なし

気象庁「日本の気候変動2025」総合ページ(正誤表) →
📊 筆者試算

CSVの年別値から10年平均を再計算:1976〜1985年=226.0回、2015〜2024年=333.5回(公表値 約226・約334 と四捨五入で一致)/2016〜2025年=339.7回/倍率 約334÷約226≒1.48倍・約24÷約14≒1.7倍・約14÷約6.4≒2.2倍(丸め前の値で計算)

気象庁 極端現象ページ CSV(編集部 集計) →
📊 筆者試算

実感換算:約334回÷365日≒1日あたり0.9回(1,300地点あたり換算値)/約334−約226=年に約108回の増加/300回以上の年数・200回未満の年数はCSVの年別値を数えたもの

気象庁「日本の気候変動2025」表5-1.1(編集部 集計) →
⚠ 要確認

年別値は気象庁の極端現象ページの更新時点の値です。2025年の値は同ページの最新更新に基づき、10年平均と判定語は「日本の気候変動」報告書の次回改訂で更新される可能性があります。

変更の可能性あり。気象庁 極端現象ページ →
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