
紅葉が遅くなったかどうかは、1年ごとの印象より、73年分の観測を1本ずつの棒で並べて見るのが近道です。平年との差を上下の棒で表すと、どの時期から後ろにずれ始めたのかが見えてきます。
気象庁が全国51地点で観測している「かえでの紅葉日」は、標本木全体を眺めたときに大部分の葉が紅色に変わった最初の日で、観光案内の見頃そのものではありません。この紅葉日は、全国平均で10年あたり3.1日程度の割合で遅くなっています(1953〜2024年、気象庁)。最初の10年(1953〜62年)と最近10年(2016〜25年)の平均を比べると、紅葉日の差は約16日、2週間あまりです(📊筆者試算:16.3÷7≒2.3週)。
本記事では、気象庁の生物季節観測累年表(2026年3月19日時点・2025年まで)と、文部科学省・気象庁「日本の気候変動2025」をもとに、73年分の全国平年差を年ごとの縦棒で並べます。あわせて10年ごとの平均、30年平均で比べた35地点の変化、遅かった年と早かった年、春のさくらとの違いを図解で確認していきます。
紅葉の時期は、73年の観測でどれだけ遅くなったのでしょうか。
かえでの紅葉日は、最初の10年より最近10年が約16日遅くなっています。
かえでの紅葉日(全国51地点) ▲3.1日 1953〜2024年の長期変化傾向 気象庁 公表値
かえでの紅葉日(全国平均) ▲16日 −14.0日(1953〜62)→ +2.3日(2016〜25) 2週間あまり
本記事は楓が調査・編集しています。掲載情報は執筆時点のものです。数値・制度・サービス内容は変更される場合があるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。
気象庁の「紅葉日」とは? 見頃と同じ?

数字を読む前に、気象庁が何を「紅葉日」と決めているのかを図で整理しておきます。観測の決まりを押さえておくと、見頃との違いも区別しやすくなります。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
気象庁の紅葉日は、観測する木(標本木)をあらかじめ決めておき、その木全体を眺めたときに大部分の葉が紅色に変わった最初の日を記録したものです。対象は主にいろはかえでで、いろはかえでが生育しない地域では、やまもみじ・おおもみじ・いたやかえでを観測しています。紅葉日は、色づきが木全体に行きわたった最初の日を示す日付で、見頃の期間そのものを示すものではありません。
観測は1953年に全国で統一した方法で始まりました。2021年1月には、標本木の確保が難しくなってきたことなどから、観測の対象が植物の6種目9現象に絞られましたが、かえでの紅葉はその中に含まれ、観測が続いています。民間の見頃予想の中には、この標本木の基準を使って予想日を出しているものもあります。
73年の全国平均で、紅葉日はどう動いた?

73年の動きは、平年より早い年と遅い年を上下の縦棒に分け、5年移動平均の線を重ねると、年ごとの揺れと長い傾向を同時に追えます。
出典:気象庁「生物季節観測累年表(かえでの紅葉)」(令和8年3月19日時点)
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
全国平年差は、各地点の紅葉日と、その地点の平年値(1991〜2020年の平均)との差を求め、観測のあった地点で平均した値です。1953年は平年より16.9日早く、観測を始めてからしばらくは、平年より2週間前後早い年が続きました。最も早かったのは1955年の−17.7日です。
縦棒を追うと、平年より遅い年は1990年に初めて現れます。1953〜1989年の37年間はすべて平年より早く、1990〜2025年の36年間では24回が平年より遅い年でした。ただし、平年は1991〜2020年の平均なので、観測の前半がマイナスになりやすい点に注意が必要です。
1953年以降で最も遅かったのは2024年の+7.5日で、2025年は+1.8日でした。年ごとの値は上下に揺れますが、5年移動平均の線は1955年の−15.8日から、1985年は−7.6日、2005年は+2.3日へと上がっています。
気象庁は、かえでの紅葉日が全国平均で10年あたり3.1日程度の割合で遅くなっていると評価しています(1953〜2024年)。この傾向について気象庁は、現象が現れる前の平均気温との相関が高く、長期的な気温上昇が影響していると考えられると説明しています。
10年ごとに見ると、どこで大きく変わった?

1年ごとの値だけでは揺れが大きいので、10年ごとの平均にまとめると、どの年代で段差が大きかったのかがはっきりします。
出典:気象庁「生物季節観測累年表(かえでの紅葉)」(令和8年3月19日時点)
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
10年ごとの平均を見ると、1953〜59年は−14.9日、1960年代は−13.5日、1970年代は−11.2日、1980年代は−7.7日でした。1990年代は−1.7日となり、2000年代は+0.2日、2010年代は+1.2日、2020〜25年は+3.2日です。隣り合う期間の差が最も大きいのは、1980年代から1990年代への6.0日です。
期間の区切り方を変え、観測を始めた最初の10年(1953〜62年)と最近10年(2016〜25年)で比べると、平年差は−14.0日から+2.3日へと移り、差は約16日です。どちらの期間にも観測がそろっている地点だけに絞って計算しても、差はほぼ同じでした。
30年平均で比べると、何地点が遅くなった?

全国平均だけでは、一部の地点の動きに引っ張られている可能性が残ります。地点ごとに2つの30年平均を点と線で結ぶと、ずれの向きがそろっているかを1枚で確かめられます。
出典:気象庁「生物季節観測累年表(かえでの紅葉)」(令和8年3月19日時点)
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
気象庁は、さくらの開花日について、1961〜1990年と1991〜2020年の2つの30年平均を地点ごとに比べています。本記事では同じ比べ方をかえでの紅葉日に当てはめ、どちらの期間にも20年以上の観測がある35地点で計算しました。35地点すべてで、1991〜2020年の平均のほうが紅葉日が遅くなっています。
ずれ幅の中央値は10日で、最も小さいのは神戸と広島の+1日でした。北海道から九州まで、紅葉日が早くなった地点は1つもありません。東京・京都・大阪などは、どちらかの期間の観測が20年に満たないため、この比較には含めていません。
なお、観測値には標本木の植え替えや、観測場所(構内か付近か)、対象種(いろはかえでか、代わりに観測する種か)の変更が含まれます。地点ごとの差は、こうした観測条件の違いも含んだ値として読む必要があります。
遅かった年・早かった年はいつ?

遅かった年と早かった年を左右に並べると、それぞれの上位10年がどの時期に集まっているかが一目で分かります。
出典:気象庁「生物季節観測累年表(かえでの紅葉)」(令和8年3月19日時点)
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
73年の全国平年差を並べ替えると、平年より遅かった上位10年は2024年(+7.5日)、2006年、2011年、2004年、2023年と続き、すべて1998年以降に集まっています。平年より早かった上位10年は1955年(−17.7日)、1963年、1953年と続き、すべて1974年以前です。
上位10年は、1つ1つの年の値を並べたものです。単年の値だけで長い傾向を判断するのではなく、年ごとの推移の図や10年ごとの平均の図とあわせて読むことで、動きの向きを確かめられます。
春のさくらと比べると?

同じ生物季節観測のさくらと並べると、秋の紅葉日と春の開花日で、変化の向きと速さが違うことが見えてきます。
出典:文部科学省・気象庁「日本の気候変動2025」
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
文部科学省と気象庁の「日本の気候変動2025」では、1953〜2024年の変化として、さくらの開花日は10年あたり1.2日程度早く、かえでの紅葉日は10年あたり3.1日程度遅くなっていると示されています。観測地点数は、さくらが58地点、かえでが51地点です。
春のさくらは早い方向へ、秋のかえでは遅い方向へ動いており、変化の速さを比べると、紅葉日はさくら開花日の約2.6倍です(📊筆者試算:3.1÷1.2≒2.6)。さくらの開花日の推移は「桜の開花日、全国73年の推移をデータで解説【2026年】」で詳しく図解しています。
年ごとの数値一覧

年ごとの正確な値を確かめたいときは、この一覧表を使ってください。年代ごとのタブで切り替えられます。
年ごとの全国平年差と、その年に観測のあった地点数を一覧にしました。観測地点数は1953年の27地点から始まり、多い年で51地点、2025年は50地点です。地点数が年ごとに異なるため、各年の値は、その年に観測のあった地点の平均として読んでください。
| 年 | 全国平年差(日) | 観測地点数 |
|---|---|---|
| 1953年 | −16.9 | 27 |
| 1954年 | −14.9 | 29 |
| 1955年 | −17.7 | 34 |
| 1956年 | −13.5 | 36 |
| 1957年 | −15.8 | 38 |
| 1958年 | −14.9 | 35 |
| 1959年 | −10.4 | 29 |
| 1960年 | −12.4 | 32 |
| 1961年 | −11.1 | 36 |
| 1962年 | −12.5 | 33 |
| 1963年 | −17.2 | 33 |
| 1964年 | −14.4 | 30 |
| 1965年 | −12.0 | 29 |
| 1966年 | −11.7 | 30 |
| 1967年 | −14.5 | 30 |
| 1968年 | −13.8 | 32 |
| 1969年 | −14.7 | 29 |
| 1970年 | −12.8 | 29 |
| 1971年 | −13.6 | 30 |
| 1972年 | −12.3 | 29 |
| 1973年 | −13.6 | 28 |
| 1974年 | −15.8 | 31 |
| 1975年 | −9.4 | 34 |
| 1976年 | −13.7 | 36 |
| 1977年 | −5.2 | 36 |
| 年 | 全国平年差(日) | 観測地点数 |
|---|---|---|
| 1978年 | −10.2 | 40 |
| 1979年 | −5.0 | 40 |
| 1980年 | −10.9 | 37 |
| 1981年 | −12.2 | 41 |
| 1982年 | −6.0 | 42 |
| 1983年 | −9.5 | 43 |
| 1984年 | −8.0 | 44 |
| 1985年 | −5.5 | 41 |
| 1986年 | −11.0 | 46 |
| 1987年 | −4.2 | 47 |
| 1988年 | −7.0 | 46 |
| 1989年 | −2.5 | 48 |
| 1990年 | +1.4 | 48 |
| 1991年 | −4.3 | 44 |
| 1992年 | −4.6 | 47 |
| 1993年 | −2.5 | 50 |
| 1994年 | +1.9 | 49 |
| 1995年 | −4.2 | 50 |
| 1996年 | −3.0 | 49 |
| 1997年 | −5.3 | 49 |
| 1998年 | +2.7 | 50 |
| 1999年 | +1.3 | 47 |
| 2000年 | +1.2 | 50 |
| 2001年 | −3.5 | 51 |
| 年 | 全国平年差(日) | 観測地点数 |
|---|---|---|
| 2002年 | −7.0 | 50 |
| 2003年 | +1.1 | 50 |
| 2004年 | +3.5 | 47 |
| 2005年 | +1.9 | 51 |
| 2006年 | +4.7 | 48 |
| 2007年 | +0.6 | 48 |
| 2008年 | −0.7 | 49 |
| 2009年 | −0.2 | 50 |
| 2010年 | +0.8 | 51 |
| 2011年 | +4.3 | 50 |
| 2012年 | +0.7 | 48 |
| 2013年 | +0.7 | 50 |
| 2014年 | −0.7 | 47 |
| 2015年 | +2.9 | 50 |
| 2016年 | +0.2 | 47 |
| 2017年 | −2.5 | 48 |
| 2018年 | +2.5 | 47 |
| 2019年 | +3.0 | 48 |
| 2020年 | +3.0 | 48 |
| 2021年 | +0.8 | 49 |
| 2022年 | +3.0 | 50 |
| 2023年 | +3.4 | 49 |
| 2024年 | +7.5 | 50 |
| 2025年 | +1.8 | 50 |
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
季節の観測を別の角度から見たいときは、梅雨入り・梅雨明けの日付の推移を「梅雨入りと梅雨明け、74年の推移を地域別に図解【2026年】」で、気温の長期推移を「地球温暖化の推移を図解で解説|世界と日本の変化【2026年】」で確認できます。
楓のまとめ|かえでの紅葉日は、長い観測のなかで遅い側へ動いてきた

ここまでの図解を並べると、かえでの紅葉日が長い観測のなかで遅い側へ動いてきたことが確認できます。3つの観察事実に整理してみます。
「紅葉の見頃はどれだけ遅くなったか」という問いに対して、本記事では気象庁が観測する紅葉日の数値を、年ごと、10年ごと、地点ごとの3つの切り口で並べてきました。見頃そのものではなく、観測の決まりに沿って記録された日付の動きとして、観察事実を整理しておきます。
3つの観察事実を重ねると、かえでの紅葉日は、全国平均でも、地点ごとの30年平均でも、遅い側へ動いてきたことが読み取れます。観測値には標本木や観測場所の変更も含まれるため、1つの年や1つの地点ではなく、長い期間と多くの地点をまとめて見ることが、この数値を読むときの基本になります。
よくある質問(FAQ)

紅葉日のグラフを読むときは、何を観測した日なのか、どの平年と比べた差なのか、観測地点がそろっているかの3点をセットで確認してください。
Q1. 気象庁の紅葉日と、観光地の見頃は同じですか?
同じではありません。気象庁の紅葉日は、標本木全体を眺めたときに大部分の葉が紅色に変わった最初の日です。観光地で案内される見頃は、場所や樹種ごとに色づきの盛りを伝えるもので、決め方が異なります。民間の見頃予想の中には、気象庁の標本木の観測基準に基づいて予想日を出しているものもあります。
Q2. 観測している地点や木は、ずっと同じですか?
同じではありません。観測地点数は年によって異なり、1953年は27地点、多い年は51地点でした。標本木の植え替えや、観測場所・対象種の変更もあります。2021年1月の観測種目の見直し後も、かえでの紅葉は観測が続いています。気象庁はいちょうの黄葉も観測していますが、本記事ではかえでの紅葉日を扱っています。
Q3. 最新の観測結果はどこで確認できますか?
気象庁の「生物季節観測の情報」のページで、最近の観測データや、地点ごとの累年表を確認できます。本記事の数値は、2026年3月19日時点の累年表に収録された2025年までの値です。2026年秋の観測値は、累年表が更新された後に同じページで確認できます。
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