
連続年数は、36回分を1年1マスに並べると数えやすくなります。受賞のあった年となかった年を塗り分けると、どこからどこまで続いているかが1枚で見えてきます。
イグノーベル賞を、日本人は何年連続で受賞しているのでしょうか。主催者 Improbable Research の受賞者一覧を可視化pedia編集部が1件ずつ数えると、日本人研究者を含む賞は2007年から2026年まで20年連続で出ています。1991年の第1回から2026年の第36回までの36回では、29の年に計32件ありました。36回のうち約8割の年にあたります(29÷36=80.6%)。
イグノーベル賞(イグ・ノーベル賞、Ig Nobel Prize)は、Improbable Research が主催し、1991年から毎年贈っている賞です。主催者は受賞者一覧のページで「人々をまず笑わせ、次に考えさせる業績」に贈る賞と説明しています(編集部訳)。2026年の授賞式は9月3日にスイスのチューリヒで開かれました。
主催者は、国別や国籍別の集計を公表していません。この記事の連続年数と件数は、受賞者一覧をもとにした編集部の集計です。受賞のあった年と分野を、36回分のマスの図、分野別の横棒、年代別の一覧表で整理します。
イグノーベル賞を、日本人は何年連続で受賞しているのでしょうか。主催者の受賞者一覧を1件ずつ数えて確かめます。
2007年から2026年まで20年連続。36回のうち29の年で受賞があります。
本記事は楓が調査・編集しています。掲載情報は執筆時点のものです。数値・制度・サービス内容は変更される場合があるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。
36回の授賞式を1枚に|受賞のあった年は29、なかった年は7

まず36回分を年代ごとの4段に並べます。塗ったマスが受賞のあった年、白いマスがなかった年です。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
イグノーベル賞の授賞式は、1991年の第1回から2026年の第36回まで毎年1回開かれてきました。主催者の受賞者一覧を1件ずつ確かめると、日本人研究者を含む賞があった年は29、なかった年は7です。36回のうち約8割の年で、1件以上の賞が出ています。
該当する賞がなかった年は、1991年、1993年、1994年、1998年、2000年、2001年、2006年です。7つのうち6つは2001年までにあり、2006年を最後に、2007年以降は毎年1件以上あります。一覧で最初に確認できるのは1992年の医学賞で、足のにおいの原因となる化合物を調べた研究でした。
同じ年に2つの賞があったのは、1997年、2005年、2013年の3回です。1997年は生物学賞と経済学賞、2005年は生物学賞と栄養学賞、2013年は医学賞と化学賞でした。この記事では1つの賞を1件と数え、共同受賞者が何人いても件数は変えていません。
続いた年数を比べる|2007年からの20年が最も長い

次に、賞のある年が何年続いたかを区間ごとの横棒にします。5本の長さを並べると、現在の区間の位置づけが分かります。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
賞のある年が続いた区間は、36回のなかに5つあります。1992年の1年、1995〜1997年の3年、1999年の1年、2002〜2005年の4年、そして2007〜2026年の20年です。現在の区間は20年で、それ以前の最長は2002〜2005年の4年でした。
20年という長さは、36回の歴史の半分を超えます(20÷36=55.6%)。2007年の化学賞から2026年の医学賞まで、毎年1件以上の賞が主催者の一覧に載っています。2026年の医学賞は、1977年に日本語で発表された、鼻のかみ方についての論文が対象でした。
なお、日本科学未来館は2026年9月7日の発表で「日本人研究者による20年連続受賞」としています。主催者自身は連続年数を発表していません。この記事の20年は、後半で示す数え方に沿って受賞者一覧から数えた結果です。
分野別に見る|17種類の賞のうち化学賞が6件

賞の名前ごとに件数を数えて横棒にしました。2件以上の6分野を棒で、1件ずつの11分野を名前の一覧で示します。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
32件を賞の名前で分けると17種類になります。最も多いのは化学賞の6件で、生物学賞が5件、医学賞が4件と続きます。平和賞、栄養学賞、音響賞が各2件で、残りの11分野は1件ずつです。上位の3分野を合わせると15件になります。
化学賞の年は1999年、2003年、2007年、2011年、2013年、2019年です。生物学賞は1997年、2005年、2009年、2017年、2025年、医学賞は1992年、2013年、2015年、2026年でした。同じ分野の賞が2年続いた例はありません。
賞の名前は固定されていません。主催者の一覧には、交通計画賞、知覚賞、動力学賞のように、その年の研究に合わせた名前が並びます。1件ずつの11分野には、心理学賞や経済学賞のほか、こうした名前の賞が含まれます。
年代別の件数|2010年代は10回すべてで受賞

年代ごとの件数を縦棒にします。2020年代は2026年までの7回分なので、ほかの年代と回数が違う点に注意して見てください。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
年代別では、1990年代が6件(9回のうち5回)、2000年代が8件(10回のうち7回)、2010年代が11件(10回のうち10回)、2020年代が7件(7回のうち7回)です。2010年代以降の17回は、すべての年に1件以上の賞があります。
2020年代の7件は、2020年から2026年までの7回分の数字です。10回分がそろった年代とは授賞式の回数が違うので、棒の高さだけでは比べられません。1990年代も、第1回が1991年なので9回分です。
全32件の一覧|年・賞・受賞者と対象の研究

32件すべてを年代別の表にまとめました。タブを切り替えると、それぞれの年代の賞を確認できます。
受賞者名は主催者一覧の表記(ローマ字)のまま載せ、4人以上の賞は先頭の1人と人数を示しています。対象の研究は、主催者一覧にある授賞の説明を編集部が短く訳したものです。研究の内容や結論については、一覧に書かれている範囲だけを載せています。
1990年代(1991〜1999年):6件・授賞式9回のうち5回
| 年 | 賞 | 受賞者と対象の研究 |
|---|---|---|
| 1992 | 医学賞 | F. Kanda ら6人 足のにおいの原因となる化合物を解明した研究 |
| 1995 | 心理学賞 | Shigeru Watanabe、Junko Sakamoto、Masumi Wakita ハトがピカソの絵とモネの絵を見分けられるよう訓練したこと |
| 1996 | 生物多様性賞 | Chonosuke Okamura 恐竜や馬など1,000種を超える絶滅した「ミニ種」の化石を発見したとする報告 |
| 1997 | 生物学賞 | T. Yagyu ら8人 味の異なるガムをかんでいるときの脳波を測定したこと |
| 1997 | 経済学賞 | Akihiro Yokoi、Aki Maita 「たまごっち」で、数百万人分の労働時間を仮想ペットの世話に向かわせたこと |
| 1999 | 化学賞 | Takeshi Makino 夫の下着に吹きかけて使う浮気検出スプレー「S-Check」に関わったこと |
2000年代(2000〜2009年):8件・授賞式10回のうち7回
| 年 | 賞 | 受賞者と対象の研究 |
|---|---|---|
| 2002 | 平和賞 | Keita Sato、Matsumi Suzuki、Norio Kogure 犬の鳴き声を人の言葉に置き換える機器「バウリンガル」の発明 |
| 2003 | 化学賞 | Yukio Hirose 金沢市にある、ハトが寄りつかない銅像の化学的な調査 |
| 2004 | 平和賞 | Daisuke Inoue カラオケの発明 |
| 2005 | 生物学賞 | Benjamin Smith ら5人(Yoji Hayasaka を含む) 131種のカエルがストレスを感じたときに出すにおいを嗅いで記録したこと |
| 2005 | 栄養学賞 | Yoshiro Nakamats 34年間にとったすべての食事を撮影し、分析したこと |
| 2007 | 化学賞 | Mayu Yamamoto 牛のふんからバニラの香り成分バニリンを取り出す方法の開発 |
| 2008 | 認知科学賞 | Toshiyuki Nakagaki ら6人 粘菌がパズルを解けることの発見 |
| 2009 | 生物学賞 | Fumiaki Taguchi、Song Guofu、Zhang Guanglei ジャイアントパンダのふんから取り出した細菌で、台所の生ごみを質量で90%以上減らせると示したこと |
2010年代(2010〜2019年):11件・授賞式10回のうち10回
| 年 | 賞 | 受賞者と対象の研究 |
|---|---|---|
| 2010 | 交通計画賞 | Toshiyuki Nakagaki ら9人 粘菌を使って鉄道網の最適な経路を求めたこと |
| 2011 | 化学賞 | Makoto Imai ら7人 火災などの際に眠っている人を起こせる空気中のわさびの濃度を求め、わさび警報装置を発明したこと |
| 2012 | 音響賞 | Kazutaka Kurihara、Koji Tsukada 自分の声をわずかに遅らせて聞かせ、発話を妨げる装置「スピーチジャマー」の開発 |
| 2013 | 医学賞 | Masateru Uchiyama ら7人 心臓移植をしたマウスにオペラを聴かせたときの影響を調べたこと |
| 2013 | 化学賞 | Shinsuke Imai ら7人 たまねぎで涙が出る生化学的な過程が、それまで考えられていたより複雑だと発見したこと |
| 2014 | 物理学賞 | Kiyoshi Mabuchi ら4人 床のバナナの皮を踏んだときの、靴と皮、皮と床のあいだの摩擦を測定したこと |
| 2015 | 医学賞 | Hajime Kimata と、Jaroslava Durdiaková ら7人のグループ 熱烈なキスなどの生物医学的な効果や影響を調べる実験 |
| 2016 | 知覚賞 | Atsuki Higashiyama、Kohei Adachi 前かがみになって股のあいだから見ると、物の見え方が変わるかどうかを調べたこと |
| 2017 | 生物学賞 | Kazunori Yoshizawa ら4人 洞窟にすむ昆虫で、雌にペニス、雄に膣があることの発見 |
| 2018 | 医学教育賞 | Akira Horiuchi 座った姿勢で自分自身に行った大腸内視鏡検査についての医学報告 |
| 2019 | 化学賞 | Shigeru Watanabe ら5人 典型的な5歳児が1日に出す唾液の総量を推定したこと |
2020年代(2020〜2026年):7件・授賞式7回のうち7回
| 年 | 賞 | 受賞者と対象の研究 |
|---|---|---|
| 2020 | 音響賞 | Stephan Reber ら5人(Takeshi Nishimura を含む) ヘリウムを多く含む空気で満たした気密室で、雌のヨウスコウワニに声を出させたこと |
| 2021 | 動力学賞 | Hisashi Murakami ら4人 歩行者どうしがときにぶつかる仕組みを調べる実験 |
| 2022 | 工学賞 | Gen Matsuzaki ら5人 つまみを回すときの最も効率のよい指の使い方を調べたこと |
| 2023 | 栄養学賞 | Homei Miyashita、Hiromi Nakamura 電気を流した箸やストローで食べ物の味がどう変わるかを調べる実験 |
| 2024 | 生理学賞 | Ryo Okabe ら11人 多くの哺乳類が肛門を通じて呼吸できることの発見 |
| 2025 | 生物学賞 | Tomoki Kojima ら11人 牛にシマウマのようなしま模様を塗ると、ハエに刺されにくくなるかを調べる実験 |
| 2026 | 医学賞 | 故 Tokuji Unno 鼻のかみ方を空気力学の面から調べた研究(1977年の日本語論文) |
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
一覧を通して見ると、対象は研究論文だけではありません。1997年の経済学賞は仮想ペットの玩具「たまごっち」、2002年の平和賞は犬の鳴き声を人の言葉に置き換える機器、2004年の平和賞はカラオケが対象でした。2008年と2010年には、粘菌を使った研究が別々の名前の賞で取り上げられています。
数え方で件数は変わる|この記事の集計ルール

最後に、この記事の数え方を3枚のカードで示します。何を1件と数えたかが分かると、ほかの記事の数字と見比べやすくなります。
主催者による国別の集計はありません
主催者の受賞者一覧は、賞ごとに受賞者名と対象の研究を載せています。2007年と、2012年以降のほとんどの賞には、角括弧で国名が添えられています。国別の件数や連続年数は公表されていません。
この記事の数え方
(1) 日本の報道機関が日本人の受賞として一覧に載せている賞のうち、主催者の一覧に同じ年・同じ賞があるものを数える。
(2) 1つの賞を1件とし、共同受賞者の人数は数えない。
(3) 2026年は、国名の表記が JAPAN のみの医学賞を数える。
国名に JAPAN を含む賞は、このほかに5件
2014年の公衆衛生賞、2015年の経営学賞、2018年の生殖医学賞、2023年の教育賞、2026年の化学賞です。いずれも上の数え方では数えていません。この5つの年にはすべて、数えた賞が別に1件以上あります。
どちらの数え方でも、2007年から2026年までの20年は毎年1件以上あります。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
主催者は国別の集計を出していないので、「日本人の受賞」が何件かは数える側のルールで決まります。この記事は、日本の報道で広く使われている数え方に合わせ、1つの賞を1件として、日本人研究者を含む賞を32件と数えました。受賞者一人ひとりの国籍は一覧からは分からず、この記事でも個別には判定していません。
主催者一覧の国名の表記に日本が含まれる賞は、数えた賞のほかに5件あります。2026年の化学賞はその1つで、日本科学未来館の発表は医学賞とあわせてこの賞も挙げています。数える範囲を広げると件数は増えますが、5件はどれも、数えた賞がすでにある年のものです。
連続年数は、どちらの数え方でも2007年から2026年までの20年です。件数を引用するときは、どのルールで数えた数字かをあわせて確認すると、記事ごとの違いを読み解けます。
楓のまとめ|20年連続は受賞者一覧から数えた数字

マスの図、区間の横棒、分野と年代の棒を並べてきました。最後に、一覧から確かめられたことを3点に整理します。
「何年連続で受賞しているのか」という問いへの答えは、主催者の受賞者一覧を数えることで確かめられます。36回分を並べると、賞のある年とない年、続いた区間、分野の分かれ方が、それぞれ別の図で見えてきました。
3つの観察を合わせると、「20年連続」は主催者の発表ではなく、受賞者一覧を一定のルールで数えたときに得られる数字だと分かります。数え方を示したうえで年・分野・件数を並べておくと、次の一覧が公表されたときにも同じ手順で確かめられます。
よくある質問(FAQ)

連続年数、主催者の集計、賞のなかった年について、よくある疑問を3つにまとめました。
Q1. イグノーベル賞を日本人は何年連続で受賞していますか?
主催者 Improbable Research の受賞者一覧を可視化pedia編集部が集計すると、日本人研究者を含む賞は2007年から2026年まで20年連続で出ています。1991年の第1回からの36回では、29の年に計32件です。主催者は連続年数を発表していないので、この記事では数え方のルールとあわせて示しています。
Q2. 主催者は国別の受賞件数を公表していますか?
公表していません。受賞者一覧には、2007年と2012年以降のほとんどの賞に角括弧で国名が添えられていますが、国別の件数や順位の集計はありません。国名の表記に JAPAN を含む賞は、この記事で数えた賞のほかに5件あります。
Q3. 日本人研究者を含む賞がなかった年はいつですか?
1991年、1993年、1994年、1998年、2000年、2001年、2006年の7つです。2007年以降は毎年1件以上あります。同じ年に2件あったのは1997年、2005年、2013年の3回です。
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