
ノーベル賞の賞金は、1つの数字だけでは答えにくい問いです。名目の額、貨幣価値をそろえた額、1人が受け取る額の3つを図に分けて見ると、整理しやすくなります。
ノーベル賞の賞金は、2026年は1賞あたり1,200万スウェーデン・クローナです。ノーベル財団が2026年9月18日に発表した額として報じられています。税関長公示相場(2026年10月4日〜10日適用、1クローナ=15.97円)で換算すると約1億9,164万円です(編集部試算)。共同受賞ではこの額を分けるため、1人が受け取るのは全額、1/2、1/3、1/4のいずれかになります。
1賞あたりの賞金額は、第1回の1901年は150,782クローナでした。財団の年別表にある2025年の1,100万クローナと比べると、名目の額は約73倍です(編集部試算)。本記事では、ノーベル財団が公表している1901年から2025年までの年別表をもとに、名目額の推移、貨幣価値をそろえた額の推移、共同受賞の分け方、円に換算した額を図解で整理します。
ノーベル賞の賞金は、いくらなのでしょうか。ノーベル財団の公表値で、1901年からの推移と共同受賞の分け方を確かめます。
2026年は1賞あたり1,200万クローナ。共同受賞では分けて受け取ります。
ノーベル賞 1賞あたりの賞金額 73倍 150,782クローナ(1901)→ 1,100万クローナ(2025) 名目 / Nominal
ノーベル賞 1賞あたりの賞金額 28% 財団が2025年12月の貨幣価値に換算した額の、1901年に対する割合 実質 / Real
本記事は楓が調査・編集しています。掲載情報は執筆時点のものです。数値・制度・サービス内容は変更される場合があるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。
1賞あたりの賞金額はどう推移してきたか|1901年から2026年

125年分の賞金額は、表よりも1本の折れ線にすると形がつかめます。前半は線が横軸に沿って低く続き、後半になって線が立ち上がります。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
ノーベル財団の年別表によると、1賞あたりの賞金額は1901年の150,782クローナから始まりました。その後は13万〜14万クローナ台の年が続き、1923年には114,935クローナと、125年のなかで最も小さい額になっています。100万クローナに届いたのは1981年です。
1980年代以降は、1年ごとの上がり幅が大きくなります。1990年は400万クローナ、1991年は600万クローナ、2000年は900万クローナで、2001年に初めて1,000万クローナに達しました。図では、1980年以前の線がほぼ横ばいに見え、それ以降に線が立ち上がる形になっています。
前年より額が下がった年は、125年のうち26回あります(編集部集計)。ただし1950年以降に限ると、下がったのは2012年の1回だけです。この年は1,000万クローナから800万クローナになりました。2026年の1賞あたり1,200万クローナは年別表にまだ載っていない額で、図では白抜きの点で示しています。
5つのノーベル賞と経済学賞
ノーベル賞は、物理学、化学、生理学・医学、文学、平和の5つの賞です。経済学賞の正式名称は「アルフレッド・ノーベル記念経済学スウェーデン国立銀行賞」で、1968年にスウェーデン国立銀行が設立し、1969年に第1回が授与されました。
このため、年別表の1901年から1968年までの期間に経済学賞はありません。ノーベル財団は、この賞を1901年から続くノーベル賞と同じ原則で授与すると説明しています。
貨幣価値をそろえると賞金はどう見えるか|1901年を100とした推移

名目の額だけでは、時代ごとのお金の価値の違いが入りません。財団が同じ貨幣価値にそろえて計算した列を使うと、折れ線は名目の図とは別の形になります。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
年別表には、各年の賞金額をノーベル財団が2025年12月の貨幣価値に換算した額と、それが1901年の何%にあたるかが載っています。本記事ではこの換算後の額を「実質の額」と呼びます。1901年の実質の額は10,833,458クローナで、これを100%としています。
実質の額は1902年に94%となり、その後は100%を下回る年が続きました。最も小さいのは1919年の3,006,134クローナで、1901年の28%です。翌1920年も28%でした。1901年の水準を初めて上回ったのは1991年の101%で、1902年から1990年までの89年間は1901年を下回っていました(編集部集計)。
最も大きいのは2001年の15,547,541クローナで、1901年の144%です。2012年から2016年は97〜98%で再び100%を下回り、2017年以降は100%を上回っています。2025年は102%でした。名目の図は右上がりに見えますが、実質の図では長い谷をはさんで1901年の水準に戻る形になっています。
なお、2026年の1賞あたり1,200万クローナは、年別表に換算後の額がまだないため、この図には入れていません。
2001年以降の賞金額|1,000万から800万、そして1,200万へ

2001年以降は、年ごとの棒で並べると額が変わった年がひと目で分かります。同じ高さの棒が続き、ところどころで段が変わる形です。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
2001年から2011年までの11年間、1賞あたりの賞金額は1,000万クローナで変わりませんでした。2012年に800万クローナとなり、2016年まで5年間この額が続いています。年別表でみると、2012年は前年より200万クローナ、率にして20%少ない額です(編集部試算)。
1賞あたりの賞金額は、その後2017年に900万クローナ、2020年に1,000万クローナ、2023年に1,100万クローナとなりました。2026年は1賞あたり1,200万クローナで、2025年より100万クローナ、約9.1%多い額です(編集部試算)。2001年から2026年までの26年間で、額が変わったのは2012年、2017年、2020年、2023年、2026年の5回です。
共同受賞では賞金をどう分けるか|1人当たりは全額・1/2・1/3・1/4

分け方は、1本の帯を区切った図にすると比率がそのまま目に入ります。3人の場合に2通りの分け方があることも、帯を並べると見分けやすくなります。
共同受賞の分け方と1人当たりの額(2026年・1賞あたり1,200万クローナの場合)
帯の1本が1賞分の賞金です。区切りが受賞者ごとの取り分を表します。
1人で受賞
1人当たり 1,200万クローナ
2人で受賞
1人当たり 600万クローナ
3人で受賞(等分)
1人当たり 400万クローナ
3人で受賞(1/2と1/4ずつ)
1/2の人は 600万クローナ、1/4の人は 300万クローナ
ノーベル財団規約の要旨:賞金は、それぞれ受賞に値する2つの業績に等分できます。1つの業績が2人または3人によるものなら共同で授与します。3人を超えて分けることはありません。
| 2025年の賞 | 人数 | 配分 |
|---|---|---|
| 物理学賞 | 3人 | 1/3・1/3・1/3 |
| 生理学・医学賞 | 3人 | 1/3・1/3・1/3 |
| 経済学賞 | 3人 | 1/2・1/4・1/4 |
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
ノーベル財団の規約は、賞金の分け方を次のように定めています。賞金は、それぞれ受賞に値する2つの業績に等分することができます。1つの業績が2人または3人によるものであれば、賞は共同で授与されます。そして、賞金を3人を超えて分けることはありません。
この規定から、1人が受け取る割合は全額、1/2、1/3、1/4の4通りになります。3人で受賞する場合は、3人が1/3ずつ受け取る形と、1人が1/2、残る2人が1/4ずつ受け取る形の2通りがあります。2026年の1賞あたり1,200万クローナにあてはめると、1人当たりは1,200万、600万、400万、300万クローナのいずれかです(編集部試算)。
2025年の実例では、物理学賞と生理学・医学賞はいずれも3人が1/3ずつ、経済学賞は1人が1/2、2人が1/4ずつでした。どの割合になるかは、賞ごとに受賞者とあわせて発表されます。
円に換算するといくらか|換算日のレートで変わる

賞金はクローナで決められているので、円の額は換算する日によって変わります。どの日のどのレートで計算したかを、表と一緒に示します。
2026年の賞金を円に換算した額(配分別)
換算に使ったレート
1クローナ=15.97円
税関長公示相場(適用期間:2026年10月4日〜10月10日)
| 1人の取り分 | クローナ | 円(編集部試算) |
|---|---|---|
| 全額(単独受賞) | 12,000,000 | 約1億9,164万円 |
| 1/2 | 6,000,000 | 約9,582万円 |
| 1/3 | 4,000,000 | 約6,388万円 |
| 1/4 | 3,000,000 | 約4,791万円 |
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
賞金はスウェーデン・クローナで決められています。円での額は為替レートによって変わるため、本記事では税関長公示相場(関税定率法にもとづき財務省令で定める外国為替相場)を使って換算しました。2026年10月4日から10日に適用されるレートは、1クローナ=15.97円です。
このレートで計算すると、1賞あたり1,200万クローナは約1億9,164万円です。1人当たりでは、1/2なら約9,582万円、1/3なら約6,388万円、1/4なら約4,791万円になります(いずれも編集部試算、換算式は1,200万クローナ×割合×15.97円)。前の週(9月27日〜10月3日適用)のレートは1クローナ=15.89円で、同じ計算をすると全額は約1億9,068万円でした。
なお、日本の所得税法は第9条第1項第13号ホで、「ノーベル基金からノーベル賞として交付される金品」に所得税を課さないと定めています。
年別の賞金額を一覧で確かめる

折れ線で見た額を、表でも確かめられるようにしました。年別の額、2001年以降の改定、配分別の1人当たり額の3つを、タブで切り替えて見られます。
図で見た数字を、表でも確認できるようにまとめました。1つ目のタブは10年ごとの年と額の節目になった年を抜き出した一覧、2つ目は2001年以降に額が変わった年、3つ目は2026年の賞金を配分別に分けた1人当たりの額です。
1賞あたりの賞金額(単位:クローナ)。10年ごとの年と、額の節目になった年を抜き出しています。右の2列はノーベル財団による換算です。
| 年 | 賞金額 | 2025年12月 の価値 | 1901年比 |
|---|---|---|---|
| 1901年 | 150,782 | 10,833,458 | 100% |
| 1910年 | 140,703 | 9,016,400 | 83% |
| 1919年 | 133,127 | 3,006,134 | 28% |
| 1920年 | 134,100 | 3,028,106 | 28% |
| 1923年 | 114,935 | 4,007,513 | 37% |
| 1930年 | 172,947 | 6,407,146 | 59% |
| 1940年 | 138,570 | 4,439,858 | 41% |
| 1950年 | 164,304 | 3,857,077 | 36% |
| 1960年 | 225,987 | 3,369,907 | 31% |
| 1970年 | 400,000 | 4,018,644 | 37% |
| 1980年 | 880,000 | 3,654,081 | 34% |
| 1981年 | 1,000,000 | 3,704,688 | 34% |
| 1990年 | 4,000,000 | 8,003,376 | 74% |
| 1991年 | 6,000,000 | 10,968,389 | 101% |
| 2000年 | 9,000,000 | 14,331,095 | 132% |
| 2001年 | 10,000,000 | 15,547,541 | 144% |
| 2010年 | 10,000,000 | 13,681,477 | 126% |
| 2012年 | 8,000,000 | 10,573,021 | 98% |
| 2017年 | 9,000,000 | 11,603,589 | 107% |
| 2020年 | 10,000,000 | 12,361,835 | 114% |
| 2023年 | 11,000,000 | 11,314,967 | 104% |
| 2025年 | 11,000,000 | 11,000,000 | 102% |
1賞あたりの賞金額が変わった年(単位:クローナ)。2026年は財団の発表額です。
| 年 | 賞金額 | 前の額 | 差 |
|---|---|---|---|
| 2001年 | 1,000万 | 900万 | +100万 |
| 2012年 | 800万 | 1,000万 | −200万 |
| 2017年 | 900万 | 800万 | +100万 |
| 2020年 | 1,000万 | 900万 | +100万 |
| 2023年 | 1,100万 | 1,000万 | +100万 |
| 2026年(発表額) | 1,200万 | 1,100万 | +100万 |
2026年の1賞あたり1,200万クローナを配分別に分けた額。円は1クローナ=15.97円(税関長公示相場・2026年10月4日〜10月10日適用)による編集部試算です。
| 配分 | クローナ | 円 |
|---|---|---|
| 全額 | 12,000,000 | 約1億9,164万円 |
| 1/2 | 6,000,000 | 約9,582万円 |
| 1/3 | 4,000,000 | 約6,388万円 |
| 1/4 | 3,000,000 | 約4,791万円 |
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
楓のまとめ|名目の額、実質の額、1人当たりの額を分けて見る

ここまでの図を並べると、同じ賞金でも見る角度によって数字が変わることが分かります。3つの観察事実に整理します。
「ノーベル賞の賞金はいくらか」という問いには、どの年の、どの単位の、誰が受け取る額かによって、いくつかの答え方があります。本記事で確認した数字を、評価を加えずに観察事実として並べておきます。
3つを重ねると、賞金の額は1つの数字ではなく、名目か実質か、1賞あたりか1人当たりかで読み方が変わることが分かります。2026年の1賞あたり1,200万クローナは、名目では125年あまりで最も大きい額で、3人で等分する場合の1人当たりは400万クローナ、約6,388万円です(円は編集部試算、2026年10月4日〜10日適用の公示相場1クローナ=15.97円による)。
よくある質問(FAQ)

賞金についてよく出てくる疑問を3つにまとめました。賞金の元になるお金、共同受賞の人数、円の額が場面ごとに違う点についてです。
Q1. ノーベル賞の賞金はどこから出ているのですか?
アルフレッド・ノーベルが1895年11月27日に署名した遺言にもとづき、遺産の大部分にあたる3,100万クローナ超が基金とされました。ノーベル財団はこの額を現在の約22億クローナに相当すると説明しています。財団の年別表では、投資されている資本の時価は2025年に6,743,994,000クローナ(約67億クローナ)です。
Q2. 4人以上が同時に1つの賞を受けることはありますか?
ノーベル財団の規約は、賞金を3人を超えて分けることはないと定めています。このため、1つの賞の賞金を分ける人数は最大3人です。3人の場合の配分は、1/3ずつ、または1/2・1/4・1/4のどちらかになります。
Q3. 円の額が記事や時期によって違うのはなぜですか?
賞金はクローナで決められており、円の額は換算に使うレートと日付で変わるためです。本記事では税関長公示相場を使い、2026年10月4日〜10日適用の1クローナ=15.97円で計算しました。前の週のレート(15.89円)では、1賞あたり1,200万クローナは約1億9,068万円になります。換算の日が変われば、円の額も変わります。
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