
「銀行の店舗とATMはどれだけ減ったのか」を確かめるには、ATMの台数と店舗数を別々の図に分けて見るのが近道です。2つは数えている金融機関の範囲も時点も違うので、同じ軸に重ねずに並べると、動き方の違いがはっきり見えます。
銀行の店舗数とATMは、同じ動き方をしていません。全国銀行協会の「決済統計年報」によると、金融機関のCD(現金自動支払機)・ATM設置台数は、2001年9月末の117,658台から2025年9月末は82,932台になりました。24年間で34,726台、率にして29.5%の減少で、2001年にあった10台のうち約3台が減った計算です(編集部試算)。
一方、同協会の「全国銀行財務諸表分析」に載る全国銀行の店舗数は、2005年度末の13,617店に対して2025年度末は13,682店で、ほぼ同じ水準です。2000年度末の15,315店と比べると、1,633店少なくなっています。ただしこの店舗数は届け出上の数で、建物のある店舗の数とは数え方が違います。
本記事では、ATMの年別の推移、業態別の内訳、店舗数の6時点、そして「店舗数」と「ATMの台数」がそれぞれ何を数えた数字なのかを、図解で順に整理します。ATMの台数は都市銀行や信用金庫など9業態を足した数で、ゆうちょ銀行とコンビニのATMは入っていません。
銀行の店舗とATMは、どれだけ減ったのでしょうか。全国銀行協会の統計で、ATMの台数と店舗数を並べて確かめます。
金融機関のATMは24年で約3割減。全国銀行の店舗数は2005年度末からほぼ同じ水準です。
TIMELINEの数値は金融機関のCD・ATM設置台数(万台・各年9月末)。※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
本記事は楓が調査・編集しています。掲載情報は執筆時点のものです。数値・制度・サービス内容は変更される場合があるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。
金融機関のATM設置台数の推移|2001年から2025年まで

25年分の台数は、表よりも1本の折れ線で見ると動き方の区切りが分かります。減って、いったん増えて、横ばいが続き、また減るという4つの区間が、線の傾きに表れます。
出典:全国銀行協会「決済統計年報」(2001〜2025年版)業態別CD・ATM設置状況等
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
金融機関のCD・ATM設置台数は、2001年9月末が117,658台でした。そこから2005年9月末の109,898台まで4年続けて減り、この間の減少は7,760台です。全国銀行協会のサイトに掲載されている決済統計年報は2001年版が最も古く、それより前の年の台数はこの記事では扱っていません。
2006年からは増加に転じ、2008年9月末には112,853台になりました。その後の2009年から2017年までは、109,095台から112,674台の幅におさまっています。9年間の動きが3,579台の幅にとどまり、線はほぼ水平に見えます。
前年を下回るのは2014年から12年連続です。なかでも2018年から2024年までは、毎年2,000台を超えて減りました。減少が最も大きかったのは2021年9月末で、前年より4,879台少なくなっています。2022年9月末には89,232台となり、2001年以降で初めて9万台を下回りました。2025年9月末は82,932台で、前年からの減少は687台です。
台数とあわせて、CD・ATMを設置している店舗の数(設置店舗数)も少なくなっています。2001年9月末の37,094か所から、2025年9月末は23,889か所になりました。台数を設置店舗数で割ると、1か所あたりは2001年が約3.2台、2011年が約3.7台、2025年が約3.5台です(編集部試算)。
業態別に見るATMの台数|都市銀行・地方銀行・信用金庫ほか

9つの業態を6本の線にまとめると、台数の多い順と、線の傾きの違いが同時に見えます。同じ25年でも、業態によって線の形はそろっていません。
出典:全国銀行協会「決済統計年報」(2001〜2025年版)業態別CD・ATM設置状況等
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
2025年9月末の台数を業態別に見ると、最も多いのは地方銀行の28,134台です。信用金庫が16,971台、都市銀行が16,771台、系統農協・信漁連が10,703台、第二地方銀行(統計の表記は「地方銀行Ⅱ」)が6,562台と続きます。信託銀行・信用組合・労働金庫などその他の業態は、計3,791台でした。
2001年9月末からの減少数が最も大きいのは都市銀行で、29,447台から16,771台へ12,676台減りました。全体の減少34,726台のうち、都市銀行・地方銀行・第二地方銀行の3業態の減少が26,711台を占めます(編集部試算)。
信用金庫は2001年の19,621台から2025年は16,971台で、減少は2,650台です。2001年には都市銀行より9,826台少なかった信用金庫が、2024年9月末に2001年以降で初めて都市銀行を上回り、2025年は200台多くなっています。系統農協・信漁連は13,433台から10,703台へ、2,730台の減少でした。
業態の区分は、各年の決済統計年報の表に従っています。銀行が合併したり別の業態に移ったりした年は、その銀行の台数が業態のあいだで移ります。業態ごとの増減には、こうした区分の移動も含まれています。
全国銀行の店舗数の推移|2000年度末から2025年度末の6時点

店舗数は、年度末の時点ごとに棒を立てて業態別に積むと、全体の高さと内訳の入れ替わりが一度に見えます。ここから先は対象が全国銀行(2025年度は107行)に変わり、時点も年度末になります。
出典:全国銀行協会「全国銀行財務諸表分析」全国銀行資本金、店舗数、銀行代理業者数、役職員数一覧表(2000・2005・2010・2015・2020・2025年度)
農林中金総合研究所の論文によると、この店舗数には、別の店舗の建物に移った店舗内店舗やネット支店も1店舗として数えられています。対象の銀行数は合併などで年度により違います(2025年度は107行)。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
全国銀行協会の「全国銀行財務諸表分析」には、銀行ごとの店舗数を並べた一覧表があります。全国銀行の合計は、2000年度末(2001年3月末)が15,315店、2005年度末が13,617店でした。この5年間で1,698店少なくなっています。
2005年度末より後は、2010年度末が13,460店、2015年度末が13,767店、2020年度末が13,717店、2025年度末が13,682店です。2005年度末から2025年度末までの5時点は、13,460店から13,767店の幅におさまっています。2025年度末は、2005年度末より65店多い数でした。
業態別では動きが分かれます。第二地方銀行は2000年度末の4,000店から2025年度末は2,650店になりました。地方銀行は7,904店から7,880店、都市銀行は2,928店から2,861店です。この2業態は2005年度末にいったん少なくなり、2025年度末は2000年度末に近い数になっています。
この表を読むときの注意点が3つあります。店舗数には海外の支店と出張所が含まれ、2025年度末は国内が13,515店、海外が167店です。対象の銀行数は、2000年度末の136行から2025年度末は107行に変わっています。また2000年度末の表は、注記で5つの銀行を含まないとされています。
「店舗数」に数えられているもの|届け出上の店舗と建物のある店舗

店舗数が何を数えた数字なのかは、定義をカードで横に並べると違いが分かります。同じ「店舗」という言葉でも、数え方が2通りあります。
「店舗数」の2つの数え方
左は全国銀行、右は信用金庫や農協なども含む民間金融機関計で、対象が違います。2つの数の差し引きはできません。
届け出上の店舗数
13,682店
2025年度末・全国銀行107行
数えているもの:本支店と出張所の数(海外の167店を含む)。店舗の外に置かれたATMコーナーは含みません。
集計:全国銀行協会「全国銀行財務諸表分析」の一覧表
建物のある店舗(推計)
29,869 → 27,128店
2015年度末 → 2020年度末・民間金融機関計(9.2%減)
数えているもの:店舗内店舗とネット支店を除いた、建物があり物理的にアクセスできる店舗。
集計:農林中金総合研究所の推計(対象は都銀・地銀・信用金庫・信用組合・労働金庫・農協)
店舗内店舗として再編された店舗の数(農林中金総合研究所の推計)
| 業態(論文の区分) | 2015年度末 | 2020年度末 |
|---|---|---|
| 都銀 | 221 | 334 |
| 地銀 | 655 | 1,396 |
| 信用金庫 | 84 | 204 |
出典:農林中金総合研究所『農林金融』2021年10月号「数量的に分析した金融機関の店舗の変化」第2表・第3表(推計の元資料は日本金融通信社『日本金融名鑑』、全国銀行協会「金融機関・店舗情報」)
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
全国銀行協会の一覧表の店舗数は、本支店と出張所の数です。農林中金総合研究所の論文(『農林金融』2021年10月号)は、この店舗数に「店舗内店舗」と「ネット支店」も数えられていると整理しています。店舗内店舗は、ある支店が別の支店の建物の中に移り、店名と店番を残す形です。
同じ論文は、店舗内店舗とネット支店を除いた「建物があり物理的にアクセスできる店舗」の数を推計しています。農林中金総合研究所の推計では、建物のある店舗は民間金融機関計で2015年度末の29,869から2020年度末は27,128になり、9.2%減っています。この数は都銀・地銀・信用金庫・信用組合・労働金庫・農協の計で、全国銀行だけの数ではありません。
同研究所の推計では、店舗内店舗の数は2015年度末から2020年度末のあいだに、都銀が221から334、地銀が655から1,396、信用金庫が84から204になっています。推計の対象は2020年度末までです。2021年度以降の建物のある店舗の数は、この推計では分かりません。
ATMの数え方は1つではない|金融機関・ゆうちょ銀行・コンビニ

ATMの台数は、どこが集計した数字かで範囲が変わります。3つの数をカードで並べ、足し合わせずにそのまま見比べます。
ATMの3つの数
3つは集計した機関も時点も違うので、合計していません。
金融機関のCD・ATM(9業態)
82,932台
2025年9月末
数えているもの:都市銀行・地方銀行・信用金庫・農協など9業態の金融機関が設置するCD・ATM。
出典:全国銀行協会「決済統計年報」
ゆうちょ銀行のATM
31,172台
2025年3月末
数えているもの:ゆうちょ銀行のCD・ATM設置台数。9業態の合計とは別枠の参考値です。
出典:全国銀行協会「決済統計年報」の参考欄(元の資料は同行の統合報告書)
セブン銀行のATM(国内)
27,990台
2025年3月末
数えているもの:セブン銀行が国内に設置しているATM。
出典:セブン銀行の公表値
3つは集計した機関も時点も違うため、合計していません。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
ここまで見てきた82,932台は、都市銀行から系統農協・信漁連までの9業態の金融機関が設置しているCD・ATMの数です。決済統計年報の同じ表には、参考としてゆうちょ銀行の台数が別枠で載っています。2025年3月末で31,172台で、9業態の合計には入っていません。
表の9業態には、コンビニなどのATMを運営する銀行の区分がありません。たとえばセブン銀行は、国内のATM設置台数を2025年3月末現在で27,990台と公表しています。この台数も、82,932台とは別の数字です。
3つの数は、集計した機関も時点も違います。9業態は9月末、ゆうちょ銀行とセブン銀行は3月末の数字です。本記事では、3つを足した数や互いの割合は計算していません。
年別・業態別の数値を一覧で確認する

図で見た数字を、表でも確認できるようにしました。タブを切り替えると、ATMの年別、ATMの業態別、店舗数の業態別の3つの表が開きます。
金融機関のCD・ATM設置台数と、CD・ATMを設置している店舗の数(9業態の合計・各年9月末)。前年差は編集部試算です。
| 年 (9月末) | 設置台数 (台) | 前年差 (台) | 設置店舗数 (か所) |
|---|---|---|---|
| 2001年 | 117,658 | (起点) | 37,094 |
| 2002年 | 115,700 | −1,958 | 35,948 |
| 2003年 | 112,698 | −3,002 | 34,710 |
| 2004年 | 110,202 | −2,496 | 33,481 |
| 2005年 | 109,898 | −304 | 32,588 |
| 2006年 | 110,670 | +772 | 32,043 |
| 2007年 | 112,304 | +1,634 | 31,460 |
| 2008年 | 112,853 | +549 | 30,899 |
| 2009年 | 112,674 | −179 | 30,326 |
| 2010年 | 111,963 | −711 | 30,075 |
| 2011年 | 111,392 | −571 | 30,119 |
| 2012年 | 110,654 | −738 | 29,802 |
| 2013年 | 111,198 | +544 | 29,666 |
| 2014年 | 110,061 | −1,137 | 29,494 |
| 2015年 | 109,505 | −556 | 29,291 |
| 2016年 | 109,445 | −60 | 29,044 |
| 2017年 | 109,095 | −350 | 28,802 |
| 2018年 | 106,994 | −2,101 | 28,516 |
| 2019年 | 102,656 | −4,338 | 28,035 |
| 2020年 | 97,895 | −4,761 | 27,159 |
| 2021年 | 93,016 | −4,879 | 26,245 |
| 2022年 | 89,232 | −3,784 | 25,262 |
| 2023年 | 86,095 | −3,137 | 24,709 |
| 2024年 | 83,619 | −2,476 | 24,127 |
| 2025年 | 82,932 | −687 | 23,889 |
業態別のCD・ATM設置台数(各年9月末・単位は台)。増減は2001年と2025年の差で、編集部試算です。長信銀・商中は長期信用銀行と商工組合中央金庫です。
| 業態 | 2001年 | 2011年 | 2025年 | 増減 |
|---|---|---|---|---|
| 都市銀行 | 29,447 | 25,641 | 16,771 | −12,676 |
| 地方銀行 | 35,681 | 35,204 | 28,134 | −7,547 |
| 第二地方 銀行 | 13,050 | 13,013 | 6,562 | −6,488 |
| 信用金庫 | 19,621 | 19,884 | 16,971 | −2,650 |
| 系統農協 ・信漁連 | 13,433 | 12,463 | 10,703 | −2,730 |
| 信用組合 | 2,867 | 2,249 | 2,119 | −748 |
| 労働金庫 | 2,352 | 1,953 | 1,433 | −919 |
| 信託銀行 | 975 | 550 | 239 | −736 |
| 長信銀 ・商中 | 232 | 435 | 0 | −232 |
| 合計 | 117,658 | 111,392 | 82,932 | −34,726 |
全国銀行の店舗数(各年度末・単位は店・海外を含む)。その他は長期信用銀行、SBI新生銀行(旧新生銀行)、あおぞら銀行です。2000年度末の表は5つの銀行を含みません。
| 業態 | 2000 年度末 | 2010 年度末 | 2020 年度末 | 2025 年度末 |
|---|---|---|---|---|
| 都市銀行 | 2,928 | 2,489 | 2,836 | 2,861 |
| 地方銀行 | 7,904 | 7,493 | 7,756 | 7,880 |
| 第二地方 銀行 | 4,000 | 3,138 | 2,805 | 2,650 |
| 信託銀行 | 443 | 277 | 273 | 245 |
| その他 | 40 | 63 | 47 | 46 |
| 全国銀行計 | 15,315 | 13,460 | 13,717 | 13,682 |
| うち国内 | 15,089 | 13,322 | 13,544 | 13,515 |
| 対象の 銀行数 | 136行 | 119行 | 111行 | 107行 |
出典:全国銀行協会「全国銀行財務諸表分析」全国銀行資本金、店舗数、銀行代理業者数、役職員数一覧表(2000・2005・2010・2015・2020・2025年度)
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
表の数値は全国銀行協会の公表資料の値で、前年差と増減は編集部が計算しました。ATMの表は各年9月末、店舗数の表は各年度末の数字です。店舗数の表は、6時点のうち2000・2010・2020・2025年度末の4時点を載せています。
楓のまとめ|ATMは約3割減、届け出上の店舗数は2005年度末からほぼ同じ水準

ここまでの図を並べると、「どれだけ減ったか」の答えは、ATMと店舗数で別々になります。3つの観察事実に整理します。
「銀行の店舗数とATMはどれだけ減ったか」という問いには、1つの数字では答えられません。ATMの台数、届け出上の店舗数、建物のある店舗の推計は、それぞれ対象の金融機関も時点も違います。数字ごとに範囲を確かめながら、観察事実として整理しておきます。
3つの観察を重ねると、ATMの台数は24年間で約3割減り、届け出上の店舗数は2005年度末からほぼ同じ水準という、動き方の違う2つの数字が並びます。どの数字も、何を数えたものか、いつの時点のものかを添えて読むと、見え方がそろいます。
街の店舗や施設の数の推移は、コンビニの店舗数、書店の数、図書館の数の記事でも図解しています。
よくある質問(FAQ)

銀行の店舗数やATMの台数を見るときは、どの金融機関を数えた数字か、いつの時点か、何を1と数えているかの3点をセットで確認してください。同じ「ATMの台数」でも、この3点が変わると数字が変わります。
Q1. 銀行のATMは全部で何台ありますか?
1つの統計で全体を数えた数字は、この記事で使った資料にはありません。全国銀行協会の決済統計年報では、9業態の金融機関のCD・ATMが2025年9月末で82,932台です。同じ表の参考欄にゆうちょ銀行が31,172台(2025年3月末)とあり、セブン銀行は国内27,990台(2025年3月末)と公表しています。集計した機関と時点が違うので、本記事では3つの数を足していません。
Q2. 銀行の店舗数は減っていないのですか?
数え方によって答えが変わります。全国銀行協会の一覧表では、全国銀行の店舗数は2005年度末の13,617店に対して2025年度末は13,682店です。一方、農林中金総合研究所は、店舗内店舗とネット支店を除いた建物のある店舗を推計し、民間金融機関計で2015年度末から2020年度末に9.2%減ったとしています。2つは対象の金融機関も数え方も違う数字です。
Q3. ATMの台数が最も多かったのはいつですか?
この記事で確認できる範囲では、2001年9月末の117,658台です。ただし、全国銀行協会のサイトに掲載されている決済統計年報は2001年版が最も古く、それより前の年とは比べられていません。2001年より前に台数がもっと多い年があったかどうかは、この資料からは分かりません。
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