
「どの市町村が増えて、どこが減ったのか」を知るには、県全体の数字を眺めるより、市区町村ごとに色を塗り分けた地図を1枚見るのが近道です。増減の地理的な偏りが、面ではっきりと浮かびます。
埼玉県の人口は、令和7年(2025年)国勢調査の速報集計で7,287,169人となりました。前回の令和2年(2020年)から57,596人(-0.78%)の減少で、大正9年に調査が始まって以来、埼玉県の人口が前回調査を下回ったのは今回が初めてです。長く続いた人口増加の局面が、今回反転した形になります。
市区町村別に見ると、人口が増えたのは63市区町村のうち10市町だけでした。残る53市区町村は人口が減っています。増えた市町は東京に近い県南部に偏り、減少率の大きい自治体は西部の秩父地域などに集まるという、地理的な二極化が読み取れます。
本記事では、埼玉県の令和7年国勢調査速報をもとに、県全体の人口がどう動いたか、どの市区町村が増えてどこが減ったかを、市区町村別の地図や増減ランキングなど複数の図解で整理します。価値判断や原因の断定は加えず、データが示す分布のパターンだけを観察していきます。
埼玉県の人口は、市町村ごとにどう動いたのか。
県全体は調査開始以来初めて減少。増えた市町は10、減ったのは53市区町村に分かれた。
本記事は楓が調査・編集しています。掲載情報は執筆時点のものです。数値・制度・サービス内容は変更される場合があるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。
県全体の人口は「増加」から「減少」へ転じた

まずは県全体の動きから見ます。前回(2020年)と今回(2025年)の人口を並べると、増加から減少への転換がひと目で分かります。
埼玉県の人口は、前回の令和2年(2020年)には7,344,765人で、その前の調査からは1.1%の増加でした。今回の令和7年(2025年)は7,287,169人で、前回比-0.78%の減少です。増加が続いていた局面から、今回はじめて減少へと転じたことになります。
総務省統計局の人口速報集計でも、埼玉県は「1.1%の増加から0.8%の減少へ転換した」県の一つとして整理されています。同じく増加から減少に転じた県は全国で6県あり、埼玉県はそのうちの一つにあたります。
一方で、世帯数は3,285,878世帯と前回より3.9%増えました。人口が減っているのに世帯数は増えるという動きが同時に起きており、1世帯あたりの人員が小さくなる傾向が数値の上では確認できます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
人口が増えた市町村は、東京に近い南部に偏っている

次に、市区町村ごとの増減を地図で見ます。色だけで塗り分け、地名は右側の上位リストで補っています。どの地域が増えてどこが減ったか、面で捉えてみてください。
市区町村別の増減率を地図にすると、人口が増えた市町村は、川口市や戸田市に近い県の南東部、東京と接するエリアに集まっていることが分かります。増加率が最も高いのは朝霞市で+4.27%、次いで蕨市+1.65%、さいたま市+1.59%、草加市+1.13%と続きます。
増加した10市町のうち、比企地域の滑川町(+0.89%)を除く9市町は、いずれも県南部から東京近接エリアに位置しています。鉄道で都心へ通いやすい地域に人口が集まる動きが、増減の地図に表れている形です。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
減少率が大きいのは西部・秩父地域に集まる

減少率の大きい自治体がどこに集まっているか、構成と合わせて見ていきます。増加と減少の数のバランスも押さえておきましょう。
減少率が最も大きいのは東秩父村で-15.36%、次いで小鹿野町-13.70%、長瀞町-10.37%、横瀬町-9.42%、皆野町-9.37%と続きます。減少率の上位は、秩父地域や比企地域といった県西部から山間部の町村に集中しています。5%以上減少した自治体は16市町村ありました。
数のバランスで見ると、増えたのは63市区町村のうち10市町で、全体の約16%にとどまります。残る53市区町村、およそ84%で人口が減少しました。県全体の人口減少は、一部地域だけでなく多くの市区町村に広がっている動きだと分かります。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
「率」で見るか「数」で見るかで、上位の顔ぶれが変わる

増減率のランキングと、増減を実数(人)で見たランキングは、上位の顔ぶれが入れ替わります。同じデータでも見方を変えると違う姿が見えてきます。
増減を実数(人)で見ると、最も減ったのは春日部市で6,975人減、次いで熊谷市6,153人減、狭山市5,948人減と続きます。いずれも中核市の規模を持つ市です。一方、減少率が最も大きかった東秩父村は、率では-15.36%でも実数では416人の減少にとどまります。
率で見ると小さな町村が上位に並び、実数で見ると人口規模の大きい市が上位に並ぶという違いがあります。増加側も同じで、率1位は朝霞市ですが、実数で最も増えたのはさいたま市の20,991人増でした。率と数のどちらで見るかによって、増減の「主役」は入れ替わります。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
人口規模そのものを見ると、さいたま市が1,345,016人と突出しており、川口市592,007人、川越市354,793人、所沢市342,575人、越谷市341,602人が続きます。県人口の93.6%は市部に集まっており、減少率の大きい町村部の人口は県全体の1割に満たない規模です。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
楓のまとめ|増減は地理的に二極化し、世帯は逆に増えている

ここまで見てきた図解を、3つの観察事実として整理しておきます。価値判断や予測は加えず、データが示したパターンだけをまとめます。
埼玉県の令和7年国勢調査速報が示したのは、県全体の人口がはじめて減少に転じたという事実と、その減少が市区町村ごとに大きく違う形で進んでいるという事実でした。増減の地図は、地域によってはっきりと色が分かれています。
3つの観察を重ねると、埼玉県の人口は、東京に近い南部で増え、西部の山間地域で減るという地理的な二極化が進みながら、県全体としては減少局面に入ったという姿が見えてきます。世帯数が増えていることも合わせると、人口の総数だけでは捉えきれない変化が同時に起きていることが、データから読み取れます。
よくある質問(FAQ)

人口のデータを読むときは、速報か確報か、率か実数か、区別か市単位かといった前提をそろえて見ると、誤解が少なくなります。よく寄せられる疑問を整理しました。
Q1. この数字は確定値ですか?
今回紹介した数値は、令和7年国勢調査の速報集計です。県内の市町村から提出された要計表を基に埼玉県が集計したもので、総務省統計局が公表する速報集計とは一致しない場合があります。より精度の高い確報値は令和8年(2026年)9月に公表される予定です。本記事の数値は、その時点で更新される可能性があります。
Q2. さいたま市の区ごとの数字はありますか?
速報集計にはさいたま市10行政区の内訳もあります。本記事は県全体の傾向を見るため、さいたま市を1つの市として集計していますが、区ごとに見ると差があります。たとえば大宮区は+6.39%と区の中で最も増えた一方、岩槻区は-1.16%と減少しており、同じ市内でも地域によって動きが異なります。
Q3. 人口が減ったのに世帯数が増えたのはなぜですか?
本記事は観察に徹するため断定はしませんが、数値の上では、人口が減りながら世帯数が増える背景に、1世帯あたりの人員が小さくなる動き(単身世帯や少人数世帯の増加)が同時に進んでいることが確認できます。県全体で世帯数は前回比+3.9%増えており、人口の総数とは異なる方向の変化が起きています。
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