
「がんは何人に一人?」という問いには、まず「何を数えた数字か」を確かめてから部位別の図を見るのが近道です。診断される確率と亡くなる確率を分けて並べると、よく聞く「2人に1人」の意味がはっきりします。
国立がん研究センターの統計によると、日本人が一生のうちにがんと診断される確率は、2023年のデータで男性61.1%、女性50.1%です。男女とも、およそ2人に1人が一生のうちに一度はがんと診断される計算です。一方、がんで亡くなる確率は2024年のデータで男性24.4%(4人に1人)、女性17.2%(6人に1人)で、診断される確率とは別の数字です。
本記事では、国立がん研究センター「がん情報サービス」の最新がん統計(罹患は2023年の全国がん登録、死亡は2024年の人口動態統計)をもとに、部位別の「何人に1人」、1年間に診断された数の上位10部位、診断される確率と亡くなる確率の違いを図解で整理します。2023年に診断されたがんは993,469例で、約32秒に1例の割合です(編集部試算)。
日本人が一生のうちにがんと診断される確率は?
2023年のデータでは男性61.1%、女性50.1%で、どちらもおよそ2人に1人です。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
本記事は楓が調査・編集しています。掲載情報は執筆時点のものです。数値・制度・サービス内容は変更される場合があるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。
がんになるのは何人に一人か|男性61.1%・女性50.1%

「2人に1人」は、0歳の100人が一生を過ごしたときに何人ががんと診断されるかを数えた値です。人の形を100個並べると、診断される人数と亡くなる人数の違いを目で追えます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
国立がん研究センターが公表する「生涯累積罹患リスク」は、一生のうちにがんと診断される確率です。ある年の年齢階級別の罹患率と死亡率から生命表の手法で計算し、0歳の100人の集団が年をとる中で何人ががんと診断されるかを数えています。2023年のデータでは、男性61.1%、女性50.1%でした。
この値はある年の年齢別の罹患率などをもとに計算した数字で、1人ひとりの将来を予測するものではありません。また、計算には年齢ごとの死亡率も使うため、寿命の長さとも関わる指標です。日本人の寿命の移り変わりは平均寿命の推移を図解した記事で整理しています。
よく似た言葉に「罹患数」と「罹患率」があります。罹患数は1年間に新たに診断された数で、2023年は993,469例でした。罹患率は人口10万人あたりの数で、2023年は798.9例です。累積罹患リスクはこの2つと違い、「一生のうちに」の確率を表します。図の人数は、確率を100人あたりに置き換えた目安です。
部位別に見ると|乳がんは女性の8人に1人、前立腺がんは男性の9人に1人

部位別の確率は、男女の横棒を並べると、性別によって高い部位が入れ替わる様子が見えます。横棒の右にある「何人に1人」もあわせて見てください。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
部位別の生涯累積罹患リスクでは、男性で最も高いのは前立腺の11.2%(9人に1人)、女性で最も高いのは乳房の11.8%(8人に1人)です。男女で最も診断される確率が高い部位は異なり、どちらも性別に特有の部位が1位です。男性は続いて大腸9.6%(10人に1人)、肺9.1%(11人に1人)、胃8.0%(13人に1人)の順です。
女性は乳房に続いて、大腸7.9%(13人に1人)、肺4.8%(21人に1人)、胃3.9%(26人に1人)と並びます。大腸は結腸と直腸を合わせた値で、男女とも上位に入ります。膵臓は男性2.7%(37人に1人)、女性2.7%(36人に1人)で、男女の値がほぼ同じ部位です。
子宮は女性3.6%(28人に1人)で、内訳は子宮体部2.3%(43人に1人)、子宮頸部1.3%(79人に1人)です。卵巣は1.6%(64人に1人)でした。血液のがんでは、悪性リンパ腫が男性2.3%・女性2.0%、白血病が男性1.1%(91人に1人)・女性0.8%(131人に1人)です。甲状腺は女性1.5%(68人に1人)が男性0.5%(192人に1人)を上回ります。
図に載せなかった部位も含め、国立がん研究センターが公表する19区分の値を一覧にまとめます。「亡くなる」は2024年データの累積死亡リスクで、「-」は対象外の性別です。
診断=一生のうちに診断される確率(2023年データ)/亡くなる=がんで亡くなる確率(2024年データ)
| 部位 | 男性 診断 | 女性 診断 | 男性 亡くなる | 女性 亡くなる |
|---|---|---|---|---|
| 全がん | 61.1%2人に1人 | 50.1%2人に1人 | 24.4%4人に1人 | 17.2%6人に1人 |
| 食道 | 2.3%43人に1人 | 0.6%179人に1人 | 0.9%107人に1人 | 0.2%452人に1人 |
| 胃 | 8.0%13人に1人 | 3.9%26人に1人 | 2.7%37人に1人 | 1.4%73人に1人 |
| 結腸 | 6.0%17人に1人 | 5.7%18人に1人 | 2.1%48人に1人 | 2.0%50人に1人 |
| 直腸 | 3.6%28人に1人 | 2.2%45人に1人 | 1.1%91人に1人 | 0.7%154人に1人 |
| 大腸 | 9.6%10人に1人 | 7.9%13人に1人 | 3.2%31人に1人 | 2.7%37人に1人 |
| 肝臓 | 2.5%39人に1人 | 1.2%83人に1人 | 1.7%60人に1人 | 0.8%131人に1人 |
| 胆のう・胆管 | 1.3%76人に1人 | 1.1%89人に1人 | 1.0%99人に1人 | 0.8%121人に1人 |
| 膵臓 | 2.7%37人に1人 | 2.7%36人に1人 | 2.2%45人に1人 | 2.2%45人に1人 |
| 肺 | 9.1%11人に1人 | 4.8%21人に1人 | 5.7%18人に1人 | 2.4%41人に1人 |
| 乳房(女性) | - | 11.8%8人に1人 | - | 1.7%58人に1人 |
| 子宮 | - | 3.6%28人に1人 | - | 0.8%127人に1人 |
| 子宮頸部 | - | 1.3%79人に1人 | - | 0.3%325人に1人 |
| 子宮体部 | - | 2.3%43人に1人 | - | 0.3%288人に1人 |
| 卵巣 | - | 1.6%64人に1人 | - | 0.6%176人に1人 |
| 前立腺 | 11.2%9人に1人 | - | 1.5%66人に1人 | - |
| 甲状腺 | 0.5%192人に1人 | 1.5%68人に1人 | 0.1%1524人に1人 | 0.1%750人に1人 |
| 悪性リンパ腫 | 2.3%43人に1人 | 2.0%49人に1人 | 0.8%118人に1人 | 0.7%153人に1人 |
| 白血病 | 1.1%91人に1人 | 0.8%131人に1人 | 0.7%149人に1人 | 0.4%236人に1人 |
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
1年間に診断される数|大腸がん15.4万例が最多

「何人に1人」という確率とは別に、1年間に実際に診断された数を部位ごとに男女で積み上げると、件数の大きさを比べられます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
2023年に新たに診断されたがんは993,469例(男性556,059例、女性437,406例)でした。部位別で最も多いのは大腸の154,039例(約15.4万例)で、肺123,989例、胃104,864例、乳房103,424例、前立腺102,094例と続きます。上位5部位を合わせると、全体の約59%を占めます(編集部試算)。
男女別の順位は異なります。男性は前立腺、大腸、肺、胃、膵臓の順、女性は乳房、大腸、肺、胃、子宮の順です。乳房のがんは男性でも832例が診断されています。なお、罹患数は「例」で数えるため、同じ人が別の部位のがんと診断されると2例になります。
1年間の993,469例を時間に置き換えると、1日あたり約2,700例、約32秒に1例の割合でがんと診断されている計算になります(編集部試算)。ここでの「1例」は診断の件数で、1人の人を指すとは限りません。
診断される確率と亡くなる確率の違い|全がんで男性61.1%と24.4%

診断される確率と亡くなる確率の間隔は、部位によって大きく違います。2つの点を線で結ぶと、その幅の違いが一目で並びます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
がんで亡くなる確率(累積死亡リスク)は、2024年のデータで男性24.4%(4人に1人)、女性17.2%(6人に1人)です。「2人に1人」は一生のうちにがんと診断される確率で、がんで亡くなる確率は男性で4人に1人、女性で6人に1人です。2つの数字は対象年が異なるため、本記事では差や比を計算していません。
部位別に見ると、乳房は診断される確率11.8%に対して亡くなる確率1.7%、前立腺は11.2%に対して1.5%です。一方、膵臓は診断される確率が男女とも2.7%、亡くなる確率が男女とも2.2%で、2つの点が近い位置にあります。肺は男性で診断9.1%、亡くなる5.7%でした。
2024年のがんによる死亡は384,111人で、死亡全体1,605,378人の23.9%を占め、死因の第1位です。部位別の死亡数は肺、大腸、膵臓、胃、肝臓の順で、罹患数で最も多い大腸と、死亡数で最も多い肺は異なります。死因全体の長期的な移り変わりは日本人の死因の推移を図解した記事で整理しています。
楓のまとめ|数字で整理する「がんは何人に一人」

ここまでの図を、確率・件数・亡くなる確率の3つに分けて整理します。どの数字が何を数えているかを分けておくと、ほかの記事やニュースで見かける数字も読み比べやすくなります。
「がんは何人に一人か」という問いは、どの数字を見るかで答え方が変わります。本記事で並べた数字を、観察した事実として3点に整理しておきます。
「2人に1人」「8人に1人」といった数字は、どれも「一生のうちに診断される確率」という同じ物差しで計算されています。1年間の件数や亡くなる確率とは数えているものが異なるため、確率か件数か、診断か死亡か、何年のデータかを分けて見ると、同じ「がんは何人に一人」でも意味の違いが読み取れます。
よくある質問(FAQ)

がんの統計の数字を読むときは、「診断される」か「亡くなる」か、「一生のうち」か「1年間」かの2点をまず確認してください。
Q1. がんになるのは何人に一人ですか?
国立がん研究センターの統計では、一生のうちにがんと診断される確率は男性61.1%、女性50.1%(2023年データ)で、どちらも約2人に1人です。0歳の100人が一生を過ごしたとき、男性では約61人、女性では約50人ががんと診断される計算になります。1人ひとりの将来を予測する数字ではありません。
Q2. 「2人に1人ががんで亡くなる」は本当ですか?
いいえ。2人に1人は、一生のうちにがんと「診断される」確率です。がんで亡くなる確率は、2024年のデータで男性24.4%(4人に1人)、女性17.2%(6人に1人)です。なお、2018年に診断された人の5年相対生存率は64.8%と公表されています。5年相対生存率は、診断から5年後に生存している人の割合を、日本人全体で5年後に生存している人の割合と比べた値です。
Q3. 乳がんは何人に一人ですか?
女性の8人に1人(11.8%・2023年データ)で、女性の部位別では最も高い値です。2023年に乳房のがんと診断された数は女性102,592例、男性832例でした。乳房のがんで亡くなる確率は、女性で1.7%(58人に1人・2024年データ)です。
Q4. 子宮頸がんや大腸がんは何人に一人ですか?
子宮頸がんは女性の79人に1人(1.3%)、子宮体がんは43人に1人(2.3%)です。大腸がんは男性の10人に1人(9.6%)、女性の13人に1人(7.9%)でした。いずれも2023年データの生涯累積罹患リスクで、19区分の値は本文の一覧表にまとめています。
Q5. 年齢別の値や、がんについての相談先はありますか?
年齢階級別の罹患率は、国立がん研究センター「がん情報サービス」のがん統計(集計表やグラフデータベース)で公開されています。がんについての相談先として、全国のがん診療連携拠点病院などに「がん相談支援センター」が置かれており、患者や家族に限らず無料で利用できると案内されています。案内ページは、この記事のファクトチェック欄の公式情報源に掲載しています。
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