
楓
ふるさと納税のお金の流れは、受入額・控除額・差引額の3枚の地図を並べて見るのが近道です。どの地域に寄附が集まり、どの地域で控除が大きいのか、色の分布から構図が浮かびます。
総務省の「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和7年度実施)」によると、2024年度(令和6年度)のふるさと納税受入額は1兆2,728億円で過去最高を更新しました。一方、2024年の寄附に対応する住民税控除額(2025年度課税)は8,710億円、控除適用者数は1,080万人でいずれも過去最多です。受入額と控除額の差引で見ると、流出超過は東京都など8都府県、流入超過は北海道など39道県に分かれています。
本記事では、総務省の一次データをもとに、受入額・控除額・差引額の3枚の47都道府県マップと、17年分の全国推移、募集経費の内訳図解でふるさと納税のお金の流れを整理します。差引額は編集部の試算値で、対象期間の取り方や地方交付税による補填を含まない単純計算である点も、図解とあわせて確認していきます。
ふるさと納税のお金は、どこから出て、どこへ流れているのでしょうか?
差引で流出超過は8都府県、流入超過は39道県。受入は地方に、控除は大都市圏に分布している。
東京都の差引額(受入額−住民税控除額)
▲2,015億円
受入146億円 − 控除2,161億円(受入は2024年度、控除は2025年度課税・筆者試算)
流出超過
8都府県
東京・神奈川・埼玉・大阪・愛知・千葉・広島・奈良
流入超過
39道県
最大は北海道の+1,569億円
全国の受入総額(2024年度)
1.27兆円
1兆2,728億円・過去最高を更新
この記事の要点
◆ 2024年度の受入額は1兆2,728億円で過去最高。上位は北海道1,800億円・宮崎583億円・兵庫582億円と地方の道県に分布しています。
◆ 2025年度課税の住民税控除額は8,710億円。東京都だけで2,161億円と全国の約25%を占め、大都市圏に集中しています。
◆ 受入額と控除額の差引(筆者試算)では、流出超過は東京都など8都府県、流入超過は北海道など39道県でした。
出典:総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和7年度実施)」(2025年7月31日公表)。差引額は同調査の2表から編集部が算出した試算値です。
本記事は楓が調査・編集しています。掲載情報は執筆時点のものです。数値・制度・サービス内容は変更される場合があるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。
流入:受入額はどの道県に集まったか

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受入額は表よりタイルマップで見ると、色の濃い道県がどの地方に集まっているかがひと目で分かります。まずは寄附が届く側の分布から確認していきます。
出典:総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和7年度実施)」(2025年7月31日公表)
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
2024年度の受入額を47都道府県別に見ると、最も大きいのは北海道の1,800億円で、全国計1兆2,728億円の約14%を占めます。次いで宮崎県583億円、兵庫県582億円、福岡県560億円、静岡県534億円の順でした。受入額の上位は、北海道や九州をはじめとする地方の道県に分布しています。一方、最も小さいのは徳島県の43億円で、奈良県44億円、富山県46億円が続きます。
なお、兵庫県の582億円には宝塚市の257億円が含まれます。宝塚市の受入額のうち約254億円は市民2人から市立病院への寄附であることが調査に注記されており、返礼品を通じた通常の寄附集めとは性質が異なる特殊要因です。順位の数字を読む際には、この点を分けて確認しておく必要があります。
この地図の要点
◆ 受入額の上位5は北海道1,800億円・宮崎583億円・兵庫582億円・福岡560億円・静岡534億円です。
◆ 兵庫県の受入額には宝塚市の特殊要因(市民2人からの約254億円の寄附)が含まれます。
◆ 最大の北海道と最小の徳島県(43億円)の間には約42倍の開きがあります。
出典:総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和7年度実施)」(2025年7月31日公表)。
流出:控除額はどの都府県で大きいか

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控除額のマップは、受入額のマップと色の系統を変えています。朱系が受入、紺青系が控除です。2枚を見比べると、濃い色の位置がほぼ入れ替わっていることが分かります。
出典:総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和7年度実施)」(2025年7月31日公表)
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
2024年1〜12月の寄附に対応する住民税控除額(2025年度課税)は、全国で8,710億円でした。最も大きいのは東京都の2,161億円で、全国の約25%を占めます。次いで神奈川県902億円、大阪府690億円、愛知県626億円、埼玉県506億円と続きました。控除額の上位5都府県だけで全国の半分以上(約56%)を占め、大都市圏への集中がはっきり表れています。
控除適用者数は全国で1,080万人と過去最多を更新しました。このうち東京都の適用者数は約200万人で、全国の約19%にあたります。控除額の大きい都府県は、納税者の多い大都市圏にそのまま並んでおり、受入額の地図とは色の濃い場所がほぼ入れ替わる分布になっています。
差引:8都府県の流出超過と39道県の流入超過

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3枚目は受入額から控除額を引いた差引マップです。朱が流出超過、深緑が流入超過で、0を境に色の系統が切り替わります。編集部の試算値なので、あわせて前提も確認してください。
出典:総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和7年度実施)」(2025年7月31日公表)の2表より編集部算出
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
受入額(2024年度)から控除額(2025年度課税)を差し引くと、マイナスとなる流出超過は東京都・神奈川県・埼玉県・大阪府・愛知県・千葉県・広島県・奈良県の8都府県でした。最大は東京都の2,015億円の流出超過で、受入146億円に対して控除2,161億円という構図です。残る39道県はすべて流入超過で、最大は北海道の1,569億円でした。
流出超過の規模は、東京2,015億円、神奈川682億円、埼玉382億円、大阪293億円、愛知280億円、千葉261億円、広島77億円、奈良41億円です。一方、流入超過の上位は北海道1,569億円、宮崎551億円、山梨421億円、山形420億円、鹿児島382億円でした。受入は地方に、控除は大都市圏に分かれているため、差引の地図では両者の対比が色の分かれ目として表れます。
この差引はあくまで単純計算です。受入額は2024年度、控除額は2024年の寄附に係る2025年度課税で、対象期間が完全には一致しません。また、住民税の減収分は地方交付税で75%が補填される制度(不交付団体を除く)があり、募集経費も含んでいません。報道機関などが公表する市区町村別の「実質収支」とは指標の定義が異なる点にご注意ください。
差引額の3つの前提
前提1. 受入額は2024年度の決算額、控除額は2025年度課税分で、対象期間が完全には一致しない単純差引です。
前提2. 住民税の減収分は地方交付税により75%が補填される制度があります(不交付団体を除く)。本試算はこの補填を含みません。
前提3. 返礼品調達などの募集経費(受入額比46.4%)も含みません。自治体の実質的な収支を示す指標とは定義が異なります。
全国推移:17年でどう拡大したか

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推移は受入側と控除側の2枚に分けています。棒が金額、破線が件数や人数です。17年分を並べると、2015年度前後を境に規模が急拡大した波形が見えてきます。
出典:総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和7年度実施)」(2025年7月31日公表)
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
受入額は2008年度の81億円から2024年度の1兆2,728億円へと拡大しました。2015年度に1,653億円と前年度の4倍を超え、以降も増加が続いています。2024年度は受入額が過去最高を更新した一方、受入件数は5,879万件と前年度の5,895万件からわずかに減少しました。受入額を件数で割った1件当たりの金額は、前年度の約1.9万円から約2.2万円に上がっています(編集部算出)。
出典:総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和7年度実施)」(2025年7月31日公表)
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
控除側も同じ形で拡大しています。控除額は2009年度課税の19億円から2025年度課税の8,710億円へ、控除適用者数は3.3万人から1,080万人へ増えました。控除額・適用者数はいずれも過去最多の更新が続いています。なお、2012年度課税には210億円と突出した年がありますが、これは東日本大震災の翌年度課税にあたる年です。
受入額の中身:経費46.4%という構造

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最後は受入額の中身です。寄附として集まった金額のうち、どれだけが募集の経費に使われているかを、帯と横棒で示しました。
出典:総務省「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和7年度実施)」(2025年7月31日公表)
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
2024年度の受入額1兆2,728億円に対し、募集に要した費用の合計は5,901億円で、受入額比46.4%でした。内訳は返礼品の調達3,208億円(25.2%)、事務等1,676億円(13.2%)、返礼品の送付733億円(5.8%)、決済218億円(1.7%)、広報66億円(0.5%)です。寄附額のうち約46%が経費に、約54%が自治体の財源相当分にあたる構造です。
経費のうちポータルサイト運営事業者への支払は1,656億円で、寄附金額比13.0%にあたります。経費合計の受入額比は、前年度の48.6%から46.4%へ2.2ポイント低下しました。
楓のまとめ|受入は地方に、控除は大都市圏に分布している

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3枚の地図と推移、経費の内訳をひと通り並べました。制度の良し悪しではなく、お金の流れがどう分布しているかを、3つの観察事実に整理します。
「ふるさと納税のお金は、どこから出て、どこへ流れているのでしょうか」という問いに対して、本記事の図解は受入・控除・差引の3つの分布を示してきました。数値の評価や制度の是非には踏み込まず、地図と推移から読み取れる分布を観察事実として整理しておきます。
3つの観察事実
観察1. 2024年度の受入額は1兆2,728億円で過去最高を更新しました。受入額の上位は北海道1,800億円、宮崎583億円など、地方の道県に分布しています。
観察2. 2025年度課税の控除額は8,710億円で、東京都だけで2,161億円と全国の約25%を占めます。上位は東京・神奈川・大阪・愛知・埼玉と大都市圏に並びます。
観察3. 受入額と控除額の差引(筆者試算)では、流出超過は8都府県、流入超過は39道県でした。差引は対象期間が完全には一致しない単純計算で、交付税補填や募集経費を含みません。
3つの観察事実を重ねると、受入は地方に、控除は大都市圏に分かれて分布しているという対比が、ふるさと納税のお金の流れの基本形として浮かびます。同じ制度でも、受入側の地図と控除側の地図では色の濃い場所がほぼ入れ替わります。この分布は毎年7月末に公表される総務省の現況調査で更新されていきます。
よくある質問(FAQ)

楓
差引の数字を読むときは、対象期間・交付税補填・募集経費の3点をセットで確認してください。この3点で数字の意味が変わります。
Q1. 受入額と控除額は、なぜ対象期間が違うのですか?
ふるさと納税の寄附は、寄附をした年の翌年度の住民税から控除される仕組みのためです。本記事の受入額は2024年度(2024年4月〜2025年3月)の決算額、控除額は2024年1〜12月の寄附に係る2025年度課税分(2025年6月1日時点の課税状況)で、総務省の調査でもこの2系列が同時に公表されています。両者は対象期間が完全には一致しないため、差引はあくまで目安の単純計算になります。
Q2. 差引がマイナスの自治体では、税収の減少分はどうなるのですか?
住民税の控除による減収分は、地方交付税によって75%が補填される制度があります(地方交付税の不交付団体を除く)。このため、本記事の差引額がそのまま自治体の財政上の減少額になるわけではありません。報道機関などが公表する市区町村別の「実質収支」は、経費や交付税補填を織り込んだ指標で、本記事の単純差引とは定義が異なります。
Q3. 2025年10月に始まったポイント付与の禁止とは何ですか?
総務省の告示改正により、2025年10月から、ポータルサイトなどが寄附に伴ってポイント等を付与する形での寄附募集が禁止されました。制度上の変更として確定している事実です。本記事のデータは2024年度受入・2025年度課税分のため、この変更は数値に反映されていません。今後の変化は次回以降の現況調査で確認できます。
🔍 この記事のファクトチェックについて

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当サイトはファクトチェックを実施しています。このページのファクトチェックのエビデンスを以下に掲載します。
記事内の主要な数値・事実について、公式サイトおよび一次情報源を用いて確認しています。一次情報源で確認済みの項目には「✅ 一次確認」を、確認の度合いに応じて4段階のバッジを表示しています。
✅ 一次確認:公式発表・省庁・原典で直接確認
🔍 二次確認:報道など二次情報で確認
📊 筆者試算:一次データを基にした独自計算
⚠ 要確認:状況により変わるもの
📊 筆者試算
受入額−控除額の差引47都道府県分(流出超過8都府県・流入超過39道県・東京都▲2,015億円)。公表2表からの単純差引で、期間の非一致・交付税補填・経費は含みません
算出根拠:同調査の受入額表・控除額表 →