
「県民食はどの県が1位か」という問いには、品目ごとの上位都市を表に並べ、全国平均との倍率で比べるのが近道です。47都市の食料費と10品目の支出を1枚ずつ図にすると、品目ごとに1位の都市がはっきり分かれる様子が見えてきます。
「県民食」と言えば、宇都宮の餃子、水戸の納豆、仙台の牛タンなどが思い浮かぶ方も多いかもしれません。総務省「家計調査」の2023〜2025年平均ランキングで都市ごとの支出を比べると、本記事で取り上げた10品目のうち6品目で、1位の都市が全国平均の2倍を超えていました。最も差が大きいのは広島市のかき(貝)で、年間2,112円は全国平均748円の2.82倍です。
食料費の総額でも都市による差があります。2023〜2025年平均の1世帯当たり食料費は、東京都区部が128.6万円で最も多く、松山市が94.0万円で最も少ない都市でした。1日あたりに直すと東京都区部は約3,524円、松山市は約2,576円で、差は1日約950円になります。
本記事では、総務省「家計調査」の品目別ランキング(2023〜2025年平均)と各年の結果(e-Stat)、統計局の解説資料「家計簿からみたファミリーライフ」を用い、食料費のタイルマップ、10品目×上位5市の表、餃子と中華そば(外食)の都市別推移、都市ごとの代表品目、倍率の横棒で整理します。タイトルでは検索の言葉に合わせて「県民食」「県」と書いていますが、家計調査の集計単位は県全体ではなく、都道府県庁所在市47市と政令指定都市5市の計52市です。
なお、本記事は2026年10月に家計調査の原本と全ての数値を照合し直し、誤っていた数値と図解を修正しました。
47都道府県庁所在市の食料品支出には、品目ごとにどれだけの地域差があるのか。
10品目のうち6品目で、1位の都市が全国平均の2倍を超える。最大は広島市のかき(貝)。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
本記事は楓が調査・編集しています。掲載情報は執筆時点のものです。数値・制度・サービス内容は変更される場合があるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。
47都市の食料費を地図で見る|最多は東京都区部、最少は松山市

47都道府県庁所在市の食料費をタイルマップに並べると、首都圏の4市と名古屋市・富山市が最も濃い色になり、松山市・那覇市・大分市・和歌山市が最も淡い色になります。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
2023〜2025年平均の1世帯当たり食料費は、東京都区部が128.6万円で最も多く、さいたま市124.1万円、千葉市118.9万円、横浜市118.6万円、富山市117.4万円が続きました。最も少ないのは松山市の94.0万円で、那覇市94.5万円、大分市97.1万円、和歌山市99.3万円の4市が100万円を下回っています。全国平均は108.6万円です。
上位8市には首都圏の4市のほか、富山市・名古屋市・京都市・山形市が入りました。下位8市は四国・九州・沖縄の5市と、和歌山市・札幌市・鳥取市です。最多の東京都区部と最少の松山市の差は年間約34.6万円で、1.37倍の開きがあります。
家計調査の食料費は、1世帯当たりの金額です。世帯の人数や年齢構成、物価水準の違いもそのまま含んでいるため、地域ごとの暮らしぶりの違いを示す目安として見るのが適しています。次の見出しからは、品目ごとの支出を比べていきます。
10品目×上位5市の表|品目ごとに1位の都市が分かれる

代表的な10品目について、上位5市の支出と全国平均に対する倍率を1枚の表に並べました。品目ごとに、上位に並ぶ地域の顔ぶれが入れ替わります。
10品目の上位5市と全国平均比(2023〜2025年平均・1世帯当たり年間支出)
| 品目 | 1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | 全国平均 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| かまぼこ | 仙台市 8,056円 2.51倍 | 長崎市 6,400円 1.99倍 | 富山市 5,831円 1.81倍 | 山口市 3,965円 1.23倍 | 福島市 3,688円 1.15倍 | 3,214円 |
| 塩さけ | 新潟市 5,104円 2.02倍 | 秋田市 4,699円 1.86倍 | 長野市 4,541円 1.79倍 | 山形市 4,504円 1.78倍 | 盛岡市 4,151円 1.64倍 | 2,530円 |
| ぎょうざ | 浜松市 4,051円 2.04倍 | 宮崎市 3,478円 1.75倍 | 宇都宮市 3,192円 1.61倍 | 大津市 2,455円 1.24倍 | さいたま市 2,412円 1.22倍 | 1,984円 |
| 中華そば(外食) | 山形市 21,695円 2.48倍 | 新潟市 16,863円 1.93倍 | 仙台市 14,207円 1.62倍 | 宇都宮市 13,592円 1.55倍 | 富山市 13,507円 1.54倍 | 8,752円 |
| 納豆 | 福島市 7,102円 1.49倍 | 盛岡市 6,950円 1.46倍 | 秋田市 6,875円 1.44倍 | 水戸市 6,797円 1.43倍 | 青森市 6,732円 1.41倍 | 4,759円 |
| 食パン | 神戸市 14,550円 1.36倍 | 奈良市 12,998円 1.21倍 | 京都市 12,914円 1.21倍 | 堺市 12,703円 1.19倍 | 大阪市 12,669円 1.18倍 | 10,713円 |
| 緑茶 | 静岡市 7,697円 2.42倍 | 浜松市 5,804円 1.82倍 | 宮崎市 5,266円 1.65倍 | 佐賀市 4,648円 1.46倍 | 長崎市 4,635円 1.45倍 | 3,187円 |
| かき(貝) | 広島市 2,112円 2.82倍 | 高松市 1,336円 1.79倍 | 神戸市 1,221円 1.63倍 | 岡山市 1,166円 1.56倍 | 仙台市 982円 1.31倍 | 748円 |
| 米 | 浜松市 39,473円 1.31倍 | 札幌市 35,984円 1.20倍 | 静岡市 35,031円 1.16倍 | 福井市 34,718円 1.15倍 | 那覇市 34,632円 1.15倍 | 30,111円 |
| コーヒー | 大津市 10,396円 1.24倍 | 京都市 10,149円 1.21倍 | 水戸市 9,749円 1.16倍 | 東京都区部 9,679円 1.15倍 | 神戸市 9,641円 1.15倍 | 8,389円 |
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
加工品では、かまぼこが仙台市8,056円(2.51倍)、長崎市6,400円、富山市5,831円の順でした。塩さけは新潟市が5,104円(2.02倍)で1位、秋田市・長野市・山形市・盛岡市が続きます。食パンは神戸市が14,550円(1.36倍)で1位で、食パンの上位5市は、奈良市・京都市・堺市・大阪市を含めてすべて関西の市です。
外食と飲料では、中華そば(外食)が山形市21,695円(2.48倍)、新潟市、仙台市、宇都宮市、富山市の順です。緑茶は静岡市7,697円(2.42倍)、浜松市、宮崎市、佐賀市、長崎市の順でした。コーヒーは大津市10,396円(1.24倍)、京都市、水戸市、東京都区部、神戸市で、1位と5位の差は755円にとどまります。
生鮮品と主食では、かき(貝)が広島市2,112円(2.82倍)、高松市、神戸市、岡山市、仙台市の順です。米は浜松市39,473円(1.31倍)、札幌市、静岡市、福井市、那覇市でした。納豆は福島市7,102円(1.49倍)が1位で、納豆の上位5市は、水戸市を除いて東北の市が占めています。
餃子の1位はどこか|2024年は浜松市、宮崎市・宇都宮市が続く

2024年の餃子の支出を都道府県庁所在市のタイルマップで見たうえで、地図の下の順位表で浜松市を含む52市の順位を確かめます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
2024年のぎょうざの年間支出は、政令指定都市の浜松市が4,066円で1位、宮崎市3,517円、宇都宮市2,801円が続きました。全国平均は1,984円です。4位以下はさいたま市2,393円、福岡市2,383円、大津市2,344円、大阪市2,238円、福島市2,220円と続き、3位の宇都宮市と4位のさいたま市の間には408円の開きがあります。
都道府県庁所在市の47市に限ると、1位は宮崎市、2位は宇都宮市です。最も少ないのは高知市の1,105円でした。なお、家計調査の「ぎょうざ」は生ぎょうざや焼きぎょうざなどの購入額で、冷凍品は「冷凍調理食品」に、中華料理店での外食は「中華食」に分類されるため含まれません。
2014〜2024年の推移|1位は3市で入れ替わる
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
2014〜2024年の11年間で1位になったのは、浜松市が7回、宇都宮市が2回、宮崎市が2回でした。宇都宮市は2017年と2019年(4,358円)に1位、浜松市は2020年に3,765円で1位、宮崎市は2021年に4,184円で1位(2000年以降で初めて)になり、2022年も1位でした。2023年と2024年は浜松市が1位です。
11年間の1位は浜松市・宇都宮市・宮崎市の3市に限られ、その中で順位が年ごとに入れ替わっています。2025年も浜松市が4,046円で1位となり、3年連続の1位でした。
中華そば(外食)は山形市|2024年は22,389円で3年連続1位

中華そばの外食も、上位3市の推移を折れ線で並べると、2022年以降に山形市が他の2市から離れていく形が見えてきます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
中華そば(外食)の年間支出は、山形市が2013年から2020年まで8年連続で1位でした。2021年は新潟市が1位となり、2022年に山形市が1位に戻っています。2024年は山形市が22,389円で3年連続の1位、新潟市16,292円、仙台市15,534円が続きました。山形市の値は全国平均8,663円の2.58倍です。
2022年に623円だった山形市と新潟市の差は、2024年には6,097円まで広がっています。山形市の支出は2022年の13,196円から2年で約1.7倍になり、2024年の時点で2000年以降の最高額でした。2025年は25,102円とさらに増え、4年連続の1位です。
47都市の代表品目|統計局が都市ごとに挙げる品目

統計局は、都市ごとに全国で上位の品目を、地域の特徴を踏まえて表にまとめています。47都市分をカードにして並べました。
都道府県庁所在市ごとの主な品目(全国で上位の品目・2023〜2025年平均)
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
統計局の「家計簿からみたファミリーライフ」第2章は、2023〜2025年平均の品目別の年間支出金額または購入数量が全国で上位の主な品目を、都道府県庁所在市ごとにまとめています。例えば、札幌市は「さけ」「他の生鮮肉(羊肉など)」「ほたて貝」、青森市は「りんご」、宇都宮市は「いちご」「洋食(外食)」「ぎょうざ」、静岡市は「まぐろ」「しらす干し」「緑茶」、広島市は「かき(貝)」「ソース」、長崎市は「カステラ」「あじ」「かまぼこ」が挙げられています。
表には名産品として知られる品目だけでなく、さいたま市のブロッコリーや千葉市のレタスのような日常の食材も並んでいます。同じ品目が複数の都市に現れる例もあり、紅茶は横浜市と神戸市、あじは松江市・山口市・長崎市の表に入っています。
倍率で見る地域差|6品目で1位の都市が全国平均の2倍を超える

1位の都市の支出を全国平均で割った倍率を横棒で並べると、地域差の大きい品目と小さい品目が分かれます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
倍率が最も高いのは広島市のかき(貝)で2.82倍でした。次いでかまぼこ(仙台市)2.51倍、中華そば(外食)(山形市)2.48倍、緑茶(静岡市)2.42倍、ぎょうざ(浜松市)2.04倍、塩さけ(新潟市)2.02倍と、6品目が2倍を超えています。2倍を超える品目は、生鮮魚介・加工品・外食・飲料と種類がさまざまです。
一方、納豆(福島市)は1.49倍、食パン(神戸市)は1.36倍、米(浜松市)は1.31倍、コーヒー(大津市)は1.24倍で、1.5倍を下回りました。米のような主食は、1位の都市でも全国平均の1.3倍ほどにとどまっています。
データの出典と集計対象について|「県民食」表記の前提

家計調査は県全体ではなく、都道府県庁所在市と政令指定都市の世帯を集計した調査です。本記事の数字の前提を整理します。
本記事の品目別の数値は、総務省「家計調査」の二人以上の世帯を、都道府県庁所在市47市と政令指定都市5市(川崎市・相模原市・浜松市・堺市・北九州市)の計52市ごとに集計したものです。県全体の支出ではなく、各市に住む世帯の支出を表しています。県内のほかの市町村の世帯は含まれていない点に注意が必要です。
集計期間は2種類あります。品目別ランキング・10品目の表・倍率・代表品目・食料費のタイルマップは、統計局のランキングと同じ2023〜2025年の3年平均です。餃子のタイルマップと、餃子・中華そば(外食)の推移は各年の値(単年)です。家計調査は世帯を抽出して調べる標本調査のため、1位と2位の差が小さい品目では、年によって順位が入れ替わることがあります。
楓のまとめ|品目ごとに1位の都市が分かれている

ここまでの図解を並べると、品目ごとに違う都市が1位に立つ形が見えてきます。3つの観察事実に整理します。
「県民食はどの県が1位か」という問いに対して、本記事で並べた図解は、品目ごとに1位の都市が分かれ、その差の大きさも品目によって違うことを示してきました。データに優劣をつけるのではなく、見え方の違いを観察事実として整理しておきます。
3つの観察事実を重ねると、「県民食」の地域差は品目ごとに大きさが違い、餃子のように1位が入れ替わる品目もあれば、中華そば(外食)のように同じ都市が続けて1位になる品目もあります。品目別の順位は毎年の家計調査で更新されるため、最新の結果で確かめることをおすすめします。
よくある質問(FAQ)

家計調査の「県民食」データを読むときは、集計の単位(都市)・期間(3年平均か単年か)・対象(二人以上の世帯)の3点をセットで確認してください。
Q1. このデータは「都道府県別」ですか?
いいえ。総務省「家計調査」の地域別の結果は、都道府県庁所在市47市と政令指定都市5市(川崎市・相模原市・浜松市・堺市・北九州市)の二人以上の世帯を集計したものです。県全体の支出ではなく、各市の世帯の支出を表しているため、「県民食」という言葉も「県庁所在市の世帯の食卓の傾向」と読むのがデータに沿った読み方です。
Q2. 「県民食 1位」はどの都市ですか?
品目によって異なります。2023〜2025年平均では、かまぼこは仙台市(全国平均の2.51倍)、塩さけは新潟市(2.02倍)、食パンは神戸市(1.36倍)、ぎょうざは浜松市(2.04倍)、中華そば(外食)は山形市(2.48倍)、納豆は福島市、かき(貝)は広島市、米は浜松市、緑茶は静岡市、コーヒーは大津市が1位でした。
Q3. 餃子の街は本当はどこですか?
家計調査のぎょうざの年間支出では、浜松市・宇都宮市・宮崎市の3市が年ごとに1位を入れ替えています。2014〜2024年の11年間では浜松市が7回、宇都宮市が2回、宮崎市が2回1位になりました。2024年は浜松市が4,066円で2年連続の1位、2025年も浜松市が4,046円で1位です。「餃子の街」を決める公的な定義はなく、年や集計方法によって1位は変わります。
Q4. 中華そば(外食)は、なぜ山形市が1位なのですか?
家計調査の数値から理由までは分かりません。数値で確かめられるのは、山形市が2013年から2020年まで8年連続で1位、2021年は新潟市が1位、2022年から再び山形市が1位という順位の動きです。2024年の山形市は22,389円で、全国平均8,663円の2.58倍でした。
Q5. このデータはいつのものですか?
品目別ランキング・10品目の表・倍率・代表品目・食料費のタイルマップは2023〜2025年の3年平均です。餃子のタイルマップは2024年、餃子と中華そば(外食)の推移は2014〜2024年の各年の値です。数値は2026年10月に家計調査の公表値で確認しました。
Q6. 食料費の全国平均はいくらですか?
2024年の二人以上の世帯では、食料は1か月平均89,936円、年間で約108万円でした。消費支出は1か月平均300,243円で、統計局が公表するエンゲル係数(消費支出に占める食料費の割合)は28.3%です。2023〜2025年平均の都市別では、東京都区部の128.6万円が最も多く、松山市の94.0万円が最も少ない値でした。
🔍 この記事のファクトチェックについて

当サイトはファクトチェックを実施しています。このページのファクトチェックのエビデンスを以下に掲載します。
総務省「家計調査」の原本と照合し、次の4点の誤りを修正しました。
あわせて、推定値で作図していたタイルマップと推移図を原本の値に置き換え、出典を確認できない記述を削除しました。お詫びして訂正します。




