
「結婚と出産は50年でどう変わったか」を知るには、婚姻件数の推移と、初婚・出産年齢の上昇を1枚に重ねて見比べるのが近道です。件数の減少と年齢の後ろ倒しが、同じ時間軸で並行して進んできた様子がはっきりと浮かびます。
日本の婚姻件数は、1972年のピーク109.9万組から2024年の48.5万組へと、半世紀で半分以下に減りました。同じ50年間で、平均初婚年齢は妻が24.7歳から29.8歳へ、夫が27.0歳から31.1歳へと上昇し、第1子出生時の母の平均年齢も25.7歳から31.0歳へと5歳以上後ろ倒しになっています。婚姻件数の半減と、初婚・出産年齢の上昇が、同じ時間軸で並行して進んできたのが、この50年の結婚と出産をめぐる構造です。
本記事では、厚生労働省の人口動態統計(令和6年〈2024年〉概況・確定数)を一次情報として、婚姻件数の長期推移・夫妻の平均初婚年齢・出生順位別の母の平均年齢・47都道府県の地域差・3指標の同期・母の年齢階級別の出生構成といった複数の図解で整理します。件数と年齢という別々の指標を同じ時間軸に重ねることで、晩婚化と晩産化がどのように連動してきたのかを観察していきます。
結婚と出産は50年でどう変わったか?
件数は半減、第1子出生時の母年齢は5歳以上の後ろ倒し。
本記事は楓が調査・編集しています。掲載情報は執筆時点のものです。数値・制度・サービス内容は変更される場合があるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。
婚姻件数は50年でほぼ半減|1972年ピークから2024年へ

50年の推移は、表よりも長期の折れ線で見ると、ピーク・底・現在地の位置関係が一目で並びます。第2次ベビーブーム期の山から、その後の長い下り坂が見えてきます。
婚姻件数は戦後、第1次ベビーブーム世代が結婚適齢期を迎えた1972年に109.9万組のピークを記録しました。その後は増減を繰り返しながら減少傾向が続き、2024年は48.5万組です。基準とする1974年(100.0万組)と比べると、50年で51.5%減とほぼ半減した計算になります。なお2024年は前年比で2年ぶりに増加していますが、2023年の47.5万組は戦後最少で、長期トレンドとしては減少基調が続いています。婚姻件数の減少は、結婚適齢期人口そのものの縮小と、未婚化・晩婚化の進行が重なって生じています。
平均初婚年齢は夫妻ともに上昇|縮まる夫妻差

夫と妻の初婚年齢を2本の折れ線で並べ、間を塗ると、上昇のペースと夫妻差の縮小が同時に読み取れます。2本の線がじわじわと近づいていく様子に注目してください。
平均初婚年齢は、1975年に夫27.0歳・妻24.7歳だったものが、2024年には夫31.1歳・妻29.8歳へと上昇しました。50年間の上昇幅は妻が+5.1歳、夫が+4.1歳で、妻のほうが大きく上がっています。その結果、夫妻の年齢差は1985年の2.7歳から2024年の1.3歳へと縮まりました。1990年代半ば以降は上昇ペースが速まり、特に妻の初婚年齢が大きく動いています。初婚年齢の上昇は、進学率の上昇や就業期間の長期化、結婚に対する価値観の変化などが背景にあるとされ、次にみる出産年齢の上昇とも密接につながっています。
第1子出生時の母の年齢は5歳超の後ろ倒し|出生順位別の晩産化

出生順位別に母の平均年齢を3本の折れ線で並べると、第1子・第2子・第3子がそろって上に移動してきたことがわかります。30歳の参照線をいつ越えたかにも注目してください。
第1子出生時の母の平均年齢は、1975年の25.7歳から2024年の31.0歳へと、50年で5.3歳上昇しました。第1子の母の年齢が30歳を超えたのは2011年で、以降は31歳前後で推移しています。第2子(2024年33.1歳)、第3子(同34.2歳)も同様に後ろ倒しが進んでおり、出生順位が上がるほど母の年齢も高くなる関係は保たれたまま、全体が上方にシフトしました。初婚年齢の上昇と出産年齢の上昇はほぼ並行しており、晩婚化が晩産化につながる流れが数字に表れています。
妻の初婚年齢は都道府県でどう違う?|最高30.7歳〜最低28.9歳

47都道府県の妻の平均初婚年齢を日本地図のタイルで塗り分けると、どの地域で晩婚化が進んでいるかが一目でわかります。色が濃いほど初婚年齢が高い県です。
2024年の妻の平均初婚年齢を都道府県別にみると、最も高いのは東京都の30.7歳、次いで神奈川県30.3歳で、埼玉・千葉・京都が30.0歳と続きます。最も低いのは福井県・香川県の28.9歳で、鳥取県・愛媛県が29.0歳です。上位は大都市圏に集中し、下位は北陸・四国などに多くみられます。ただし最高と最低の差は1.8歳にとどまり、全国どこでも30歳前後という点で地域差は大きくありません。50年前と比べた時代差のほうがはるかに大きく、晩婚化は特定の地域ではなく全国共通の現象として進んでいます。
件数の減少と年齢の上昇は同期している|3指標を重ねて見る

婚姻件数を棒、平均年齢を線にして1枚に重ねると、件数の減少と年齢の上昇が同じ時間軸で進んできたことが立体的に見えてきます。この記事の核心となる1枚です。
婚姻件数(棒・左軸)と、妻の平均初婚年齢・第1子出生時の母の平均年齢(線・右軸)を同じ時間軸に重ねると、件数が右肩下がりに減るのと並行して、2本の年齢の線が右肩上がりに上昇していることがわかります。1975年から2024年にかけて、婚姻件数は94.2万組から48.5万組へとほぼ半減し、同じ期間に妻の初婚年齢は24.7→29.8歳、第1子出生時の母の年齢は25.7→31.0歳へと上昇しました。件数の減少と年齢の上昇は、別々の現象というよりも、結婚と出産の時期が全体的に後ろへずれていく一つの大きな流れの、異なる断面として捉えられます。
出産の中心は20代後半から30代前半へ|母の年齢構成の変化

母の年齢階級別の出生数を構成比の積み上げ棒にして1975年と2024年を並べると、出産の「ボリュームゾーン」がどの年代に移ったかが直感的にわかります。
母の年齢階級別に出生数の構成比をみると、1975年は25〜29歳が41.1%で最も多く、20〜24歳の33.6%と合わせて、20代の出産が全体の約4分の3を占めていました。これが2024年には、30〜34歳が36.9%で最大となり、35〜39歳も23.7%まで増えています。一方で20〜24歳は6.2%まで縮小しました。出産の中心は20代後半から30代前半へと、ちょうど一階級分が後ろにずれた形です。これは第1子出生時の母の平均年齢が5歳以上上昇したことと整合する変化です。
まとめ|婚姻数と初婚・出産年齢の50年が示すもの

ここまでの推移と地域差を一通り並べると、件数の減少と年齢の後ろ倒しが同じ時間軸で連動してきたことが、図解の対比で確認できます。3つの観察事実に整理してみます。
「結婚と出産は50年でどう変わったか」という問いに対して、本記事で並べた図解は、婚姻件数の減少と、初婚・出産年齢の上昇が、同じ方向の大きな流れの中で進んできたことを示してきました。件数・年齢・地域、それぞれの角度から見ても、結婚と出産の時期が全体的に後ろへずれてきたという観察事実が浮かびます。数字に優劣をつけるのではなく、変化の形を観察事実として整理しておきます。
3つの観察事実を重ねて読むと、この50年の結婚と出産は、件数が減りながら時期が後ろへずれていく一つの大きな流れとして捉えられます。婚姻件数の半減と、初婚・出産年齢の5歳前後の上昇が、同じ時間軸で連動して進んできたことが、いまの少子化の背景にある人口動態の構造を最もよく映しています。「結婚と出産は50年でどう変わったか」への答えは、件数・年齢・地域のどの断面から見ても、全体が後ろへずれてきた、という観察事実そのものにあります。
よくある質問(FAQ)

結婚と出産のデータを読むときは、件数・年齢・地域の3点をセットで確認してください。同じ50年でも、どの指標を見るかで読み取れる物語が変わります。
Q1. 婚姻件数が減っているのは、結婚しない人が増えたからですか?
未婚化と、結婚適齢期の人口そのものの減少の両方が影響しています。婚姻件数は1972年の109.9万組をピークに、2024年には48.5万組へとほぼ半減しました。これは「結婚する人の割合」が下がったことに加えて、第2次ベビーブーム世代以降、結婚適齢期にあたる若い世代の人口が縮小し続けていることが大きく効いています。件数の減少は、結婚に対する意識の変化と人口構造の変化が重なった結果といえます。
Q2. 平均初婚年齢と出産年齢は、なぜ同じように上がっているのですか?
結婚の時期が遅くなれば、第1子を産む時期もそれに続いて遅くなるためです。1975年から2024年にかけて、妻の平均初婚年齢は24.7歳から29.8歳へ、第1子出生時の母の平均年齢は25.7歳から31.0歳へと、ほぼ並行して5歳前後上昇しました。両者の差はおおむね1歳前後で安定しており、初婚年齢の上昇(晩婚化)が出産年齢の上昇(晩産化)に直結する構造が、長期間にわたって保たれています。
Q3. 都道府県によって初婚年齢に大きな差はありますか?
地域差は思ったほど大きくありません。2024年の妻の平均初婚年齢は、最も高い東京都で30.7歳、最も低い福井県・香川県で28.9歳と、その差は1.8歳にとどまります。上位は大都市圏、下位は北陸・四国などに多い傾向はありますが、全国どこでも30歳前後という点では共通しています。地域による違いよりも、50年間で全国そろって5歳前後上昇した時代差のほうが、はるかに大きいといえます。
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