
ボーナスの「平均」は、どの統計の、どの範囲の平均かで数字が大きく変わります。厚生労働省の毎月勤労統計を軸に、夏と冬の推移や大企業との差を図解で並べてみました。
厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、2025年のボーナス(賞与)の平均は、夏が426,337円、冬が424,889円でした。どちらも事業所規模5人以上の、賞与を支給した事業所で働く労働者1人あたりの平均です。夏と冬を合わせると851,226円で、夏の金額は2004年以降で最も高い水準でした。
一方、ニュースで目にする「90万円台」は、労働組合のある大企業を集計した「民間主要企業」の妥結額で、2025年夏は946,469円と全国平均の約2.2倍です。賞与を支給した事業所に雇用される労働者の割合は2025年夏が84.6%で、100人いれば約15人は支給しなかった事業所で働いていた計算になります。
本記事では、毎月勤労統計の25年分の推移と、大企業・公務員・産業別の数字を、折れ線と横棒の図解で整理します。どの「平均」を見ているのかを確かめながら読み進めてください。
ボーナスの平均は、いくら?
2025年は夏42.6万円、冬42.5万円。全国平均はどちらも42万円台でした。
出典:厚生労働省「毎月勤労統計調査」特別集計・「民間主要企業夏季一時金妥結状況」(金額は事業所規模5人以上・賞与を支給した事業所の労働者1人平均。年表は夏季賞与)
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
本記事は楓が調査・編集しています。掲載情報は執筆時点のものです。数値・制度・サービス内容は変更される場合があるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。
夏と冬の推移|2025年はどちらも42万円台、最も低かったのは2012年

夏と冬の金額は、2本の折れ線を同じ軸に重ねると比べやすくなります。2003年と2004年の間は集計の系列が違うため、線を切って描いています。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
毎月勤労統計の特別集計から、事業所規模5人以上で賞与を支給した事業所の平均を2001年から並べました。2004年以降で見ると、夏は2004年の406,697円から2009年に364,191円となり、2012年の359,974円が最も低い金額です。その後は前年を下回る年を挟みながら、2025年は426,337円まで増えました。
冬も2012年の368,144円が2004年以降で最も低く、2025年は424,889円でした。冬の最高は2005年の432,312円で、2025年はそれより7,423円少ない金額です。夏は2004年以降の最高を更新した一方、冬は2005年の水準を下回っているという違いがあります。
2008年から2009年にかけては、夏が42,420円、冬が40,766円減りました。なお、2004年から2011年の値は時系列比較のための推計値で、2001年から2003年の値とは系列がつながりません。2001年の夏は438,079円でしたが、この値と2025年を直接比べることはできない点に注意が必要です。
前年比で見る増減|夏は2022年から4年連続のプラス

前年比は、0%の線を基準に上下へ伸びる棒で並べると、増えた年と減った年の並びが読み取りやすくなります。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
厚生労働省が公表している前年比を、2013年から2025年まで並べました。夏は2022年に2.4%増、2023年に2.0%増、2024年に2.3%増、2025年に2.9%増と、2022年から4年続けて前年を上回りました。冬も2021年から5年続けてプラスで、2025年は2.8%増です。
前年を下回った年は、夏が2015年(2.7%減)・2019年(1.5%減)・2021年(0.8%減)、冬が2015年(0.5%減)・2019年(0.1%減)・2020年(2.6%減)でした。この前年比は調査対象の入れ替えなどを調整した公表値で、金額から計算した増減率とは一致しません。たとえば2015年夏の公表値は2.7%減ですが、金額どうしを割ると3.8%減になります。
2012年以前は公表前年比の掲載がないため、本記事では金額の差で示しています。賃金全体と物価の動きは、物価と賃金の推移を比べた記事で別に整理しています。
大企業との差|2025年夏は全国平均の約2.2倍

全国平均と大企業の金額は、同じ縦軸に並べると、2本の線のあいだの幅として差の大きさが見えてきます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
ニュースで報じられる大企業のボーナスは、厚生労働省の「民間主要企業夏季・年末一時金妥結状況」の数字です。対象は資本金10億円以上・従業員1,000人以上で労働組合のある企業で、2025年夏の平均妥結額は946,469円でした。毎月勤労統計の全国平均426,337円の約2.2倍で、差は520,132円です。
冬は大企業が957,184円で、全国平均424,889円の約2.3倍でした。2004年に夏1.99倍・冬1.89倍だった差は、2025年には夏2.22倍・冬2.25倍に広がっています。2026年夏の大企業は976,043円で、3年連続で過去最高を更新しました。毎月勤労統計の2026年夏は11月上旬に公表される予定です。
大企業の前年比には、集計企業全体の平均どうしを比べた単純比較と、前年と比べられる同じ企業どうしの比較の2種類があります。2025年冬の前年比は、厚生労働省の発表(単純比較)が7.37%増、同一企業どうしでは3.18%増でした。
大企業のボーナスの推移|1970年の13.9万円から2026年は97.6万円

大企業の数字は1970年までさかのぼれるため、57年分を1本の折れ線にすると長い期間の動きを一望できます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
民間主要企業の夏の妥結額は、1970年の138,892円から2026年の976,043円まで、名目値で約7.03倍になりました。冬は1970年の160,202円から2025年の957,184円です。夏冬とも1990年代後半に80万円前後に達し、2023年までは70万円台から80万円台で推移していました。
2025年は夏が946,469円、冬が957,184円で、夏冬とも90万円台になりました。2009年の夏は710,844円で、前年の842,270円から131,426円減っています。2004年に集計対象が「資本金20億円以上」から「資本金10億円以上」に変わったため、グラフでは2003年と2004年の間に区切り線を入れました。金額は物価の変動を調整していない名目値です。
5つの「平均」|見た数字はどの集計か

ボーナスの平均はいくつもあるので、同じ2025年夏の数字を横棒に並べ、それぞれの定義を添えて見比べます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
「ボーナスの平均」として目にする数字は、集計の範囲で大きく変わります。2025年夏で比べると、賞与を支給しなかった事業所の労働者も含めた全労働者の平均は360,681円、支給した事業所の平均は426,337円、事業所規模30人以上に限ると496,889円でした。30人以上の平均は5人以上の約1.17倍です。
大企業(民間主要企業)は946,469円、国家公務員(管理職を除く行政職・成績標準者)の2025年6月期は約706,700円です。公務員の金額は内閣人事局が支給月数と平均給与額から試算したもので、民間の統計とは集計方法が異なります。毎月勤労統計は中小企業を含む全体、主要企業は大企業に限った数字で、同じ「平均」でも対象がまったく違います。
平均は、一部の大きな値に引っぱられやすい性質があります。平均値と中央値の違いは、所得の平均と中央値を比べた記事で図解しています。
産業別のボーナス|最も高い電気・ガス業は飲食サービス業等の約11.8倍

16の産業を夏の金額の大きい順に並べ、夏と冬の棒を対にすると、産業ごとの水準の違いが一目で比べられます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
2025年夏の産業別の平均(賞与を支給した事業所)は、電気・ガス業が923,096円で最も高く、情報通信業788,065円、金融業,保険業721,295円と続きます。最も低いのは飲食サービス業等の78,097円で、生活関連サービス等173,561円、その他のサービス業251,754円でした。最も高い電気・ガス業と最も低い飲食サービス業等の差は約11.8倍です。
冬も電気・ガス業の941,438円が最も高く、飲食サービス業等の90,551円が最も低い点は夏と同じでした。医療,福祉は夏282,108円・冬314,546円、卸売業,小売業は夏379,774円・冬364,408円です。
きまって支給する給与(月給)に対する支給割合は、調査産業計で夏1.02か月分、冬1.08か月分でした。産業別の夏は、電気・ガス業の1.81か月分から飲食サービス業等の0.4か月分まで幅があります。
楓のまとめ|数字で整理するボーナスの平均

ここまでの図解を並べると、「平均」の数字は集計の範囲によって大きく変わることがわかります。3つの観察事実に整理します。
「ボーナスの平均はいくら?」という問いには、どの統計の、どの範囲の平均かを添えて答える必要があります。毎月勤労統計の推移と、大企業・公務員・産業別の数字から見えてきたことを、観察事実として整理しておきます。
3つの観察を重ねると、全国平均の42万円台と大企業の90万円台は、同じ「ボーナスの平均」でも別々の集計から出た数字だとわかります。毎月勤労統計の2026年夏の結果は11月上旬に公表される予定で、公表後に本記事の数字を更新します。
よくある質問(FAQ)

ボーナスの数字を見るときは、「どの統計か」「どの規模の事業所か」「支給しなかった事業所を含むか」の3点をセットで確認してください。
Q1. ボーナスの平均はいくらですか?
厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、2025年の平均は夏が426,337円、冬が424,889円で、合わせて851,226円でした。事業所規模5人以上の、賞与を支給した事業所で働く労働者1人あたりの平均です。賞与を支給しなかった事業所の労働者も含めると、夏は360,681円、冬は367,529円になります。
Q2. 大企業のボーナスの平均はいくらですか?
厚生労働省の「民間主要企業一時金妥結状況」では、2026年夏が976,043円、2025年冬が957,184円でした。対象は資本金10億円以上・従業員1,000人以上で、労働組合のある企業です。2026年夏は3年連続で過去最高額、2025年冬は集計開始以来の過去最高額と発表されています。
Q3. 中小企業を含めた全体の平均はいくらですか?
毎月勤労統計の事業所規模5人以上の数字が、中小企業を含めた全体の平均にあたります。2025年夏は賞与を支給した事業所の平均が426,337円、支給しなかった事業所の労働者も含めた全労働者の平均が360,681円でした。事業所規模30人以上に限ると496,889円です。
Q4. 公務員のボーナスの平均はいくらですか?
内閣人事局の試算では、国家公務員(管理職を除く行政職・成績標準者)の2026年6月期の期末・勤勉手当は約738,500円、支給月数は2.285月でした。前年の2025年6月期は約706,700円です。支給月数と平均給与額から計算した額で、民間の統計とは集計方法が異なります。
Q5. ボーナスは平均で何か月分ですか?
毎月勤労統計の2025年の特別集計では、きまって支給する給与(月給)に対する賞与の支給割合が、夏1.02か月分、冬1.08か月分でした。事業所規模30人以上では夏1.17か月分、冬1.22か月分です。産業別の夏は、電気・ガス業の1.81か月分から飲食サービス業等の0.4か月分まで幅がありました。
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