
「車は何年乗ってから手放されるのか」という問いには、自動車検査登録情報協会が毎年3月末に集計する「平均使用年数」と「平均車齢」の45年分の折れ線を並べるのが近道です。2つの指標は定義が違うので、混ぜずに別々の線で置いてみます。
自動車検査登録情報協会の集計では、乗用車(軽自動車を除く)の平均使用年数は2025年3月末現在で13.35年です。1981年の8.70年から45年で4.65年長くなり、前年より0.03年長い4年ぶりの長期化でした。同じ協会の集計で、保有されている乗用車の平均車齢は9.44年で、33年連続で高齢化しています。
読者が「手放す」と呼ぶ行為には売却と廃車がありますが、自動車検査登録情報協会の「平均使用年数」は、国内でナンバーが外れる(抹消登録される)までの年数です。売却された車は次の所有者が使い続けるため、この年数には含まれません。本記事は「使用年数」「車齢」「引取車の使用年数」という定義の異なる3つの数値を分けて観察します。
本記事では、自動車検査登録情報協会「令和7年版 わが国の自動車保有動向」、軽自動車検査協会の平均使用年数推移表、自動車リサイクル促進センターの引取報告件数と引取車台の平均使用年数を一次情報として、45年の折れ線、登録年別の残存率、車種別の3時点比較、軽自動車との並置、使用済自動車の引取件数の6つの図解で整理します。

車は何年乗ってから手放される?
乗用車(軽自動車を除く)の平均使用年数は13.35年。45年で4.65年長くなった。
本記事は楓が調査・編集しています。掲載情報は執筆時点のものです。数値・制度・サービス内容は変更される場合があるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。
乗用車の平均使用年数は45年でどれだけ延びたか

1981年から2025年までの45点をすべて折れ線で描くと、単年の数字を引用するだけでは見えない、10年台に入った年と過去最長の年の位置が一目でわかります。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
自動車検査登録情報協会の「平均使用年数」は、各年3月末を基準日として、初度登録年度ごとに1年前の保有台数との差を1年間の抹消台数とみなし、初度登録から抹消登録までの平均年数を経過年係数で加重平均したものです。減少台数には一時抹消登録が含まれるため、協会は「自動車が完全にスクラップされるまでの年数とは若干異なる」と注記しています。
乗用車(軽自動車を除く)の平均使用年数は、1981年の8.70年から2025年の13.35年へ、45年で4.65年長くなりました。1980年代から1990年代は9年台で推移し、初めて10年を超えたのは2001年の10.40年です。12年台は2010年の12.70年、13年台は2018年の13.24年で、過去最長は2021年の13.87年でした。
2022年以降は13.84年、13.42年、13.32年と3年続けて前年を下回り、2025年は13.35年と前年より0.03年長くなりました。協会は発表文で「4年ぶりに長期化へ転じた」「10年前の平成27年に比べて0.97年長期化」と記しています。45年間で使用年数が前年を下回った年は13回あり、長期化は一直線ではなく段差を刻みながら進んできました。

平均車齢と平均使用年数はどう違うか

同じ協会が同じ日に集計する2つの指標ですが、片方は「手放された車」、もう片方は「いま走っている車」を見ています。定義を凡例に書き添えたうえで2本の線を並べます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
「平均車齢」は、基準日に国内でナンバープレートを付けている自動車が初度登録から何年経過しているかの平均で、協会は「人間の平均年齢に相当する」と説明しています。抹消登録された車を対象にする平均使用年数とは母集団が異なるため、使用年数の方が車齢より長いのは定義上の当然です。
乗用車(軽自動車を除く)の平均車齢は、1980年の4.25年から2025年3月末の9.44年へ、45年で5.19年延び、2.22倍になりました。1992年の4.53年を底に、1993年以降は33年連続で上昇し、協会は「31年連続で最高齢を更新した」と発表しています。2025年の平均使用年数13.35年との差は3.91年です。
協会は平均車齢の説明として、新車販売台数が減少し自動車が長く使われると高齢化が進み、逆に新車販売が増え高齢車のスクラップや輸出が増えると若返る傾向にあると記しています。これは協会の説明であり、本記事はその要因を検証していません。本記事が観察できるのは、車齢が33年続けて上がり続けているという事実そのものです。
貨物車やバスは何年使われているか

乗用車だけを見ていると、他の車種との位置関係がわかりません。同じ数表にある貨物車と乗合車を、20年前・10年前・現在の3時点でグループ棒に並べます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
同じ数表の2025年3月末現在の値を車種別にみると、貨物車(軽自動車・被けん引車を除く)の平均使用年数は16.29年、乗合車は17.96年で、乗用車の13.35年よりそれぞれ2.94年、4.61年長くなっています。協会は貨物車について「13年連続で長期化するとともに、11年連続で過去最長を更新した」と記しています。
3時点の変化を編集部で算出すると、2005年から2025年の20年間で乗用車は10.93年から13.35年へ2.42年、貨物車は11.72年から16.29年へ4.57年、乗合車は15.34年から17.96年へ2.62年それぞれ長くなりました。3車種のうち20年間の延びが最も大きいのは貨物車で、乗用車の1.9倍にあたります。乗合車は2023年の20.41年を最長として、2024年、2025年と2年続けて短くなりました。
登録から何年で何%の車が残っているか

平均値の裏側には、登録年ごとの「残り具合」の階段があります。協会が平均車齢の算出データとして公表している残存率を、経過年0.5年から28.5年まで29本の棒で描きます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
自動車検査登録情報協会は、乗用車(軽自動車を除く)の平均車齢の算出データとして、初度登録年度別の保有台数と、新車台数に対する残存率を公表しています。残存率は保有台数を新車台数で割った原典の計算値で、登録から5.5年で86.56%、14.5年で47.12%、21.5年で8.83%です。90%を割るのは経過年5.5年、50%を割るのは14.5年、10%を割るのは21.5年でした。
保有台数の合計3,868万275台のうち、初度登録から10年を超える2014年度以前に登録された車は1,536万2,139台で、全体の39.7%を占めます(編集部算出)。13年を超える車に絞ると24.8%です。保有されている乗用車のおよそ4割は登録から10年を超えています。登録から29年以上の車は残存率が算出されていないため図には含めていませんが、保有台数は123万8,336台です。
同じ協会の平均使用年数算出データでは、2025年3月末までの1年間に減少した乗用車は266万5,481台で、前年の保有台数3,875万2,774台の6.9%にあたります(編集部算出)。登録年度別に減少台数が最も多かったのは2009年度に登録された車の24万3,834台で、経過年係数は15.5年でした。減少台数には一時抹消や輸出抹消が含まれます。

軽自動車は登録車より長く使われているか

軽自動車の平均使用年数は軽自動車検査協会が別に集計していて、算出のもとになる車両も方法も違います。1本の線に重ねずに、同じ縦軸の2枚のパネルに分けて並べます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
軽自動車検査協会の集計では、軽自動車(乗用車)の平均使用年数は2005年の11.49年から2025年の16.46年へ、20年で4.97年長くなりました。この系列は各年の永久返納車両をもとに暦年で算出したもので、一時抹消を含む減少台数から各年3月末で算出する自動車検査登録情報協会の系列とは方法が異なります。前年を下回ったのは2011年の12.61年の1回だけです。
同じ2005年から2025年の登録乗用車(軽自動車を除く)は10.93年から13.35年へ2.42年の延びでした。2枚を並べると、2025年の軽自動車16.46年は登録乗用車の13.35年より3.11年長い値ですが、算出基準が違うため本記事は差の大小を評価しません。軽自動車では貨物車の平均使用年数も18.22年(2025年)で、乗用車より長い値です。
使用済自動車として引き取られる車は何台か

最後に、廃車の側から見ます。自動車リサイクル促進センターには、引取業者が電子マニフェストで報告した使用済自動車の件数と、引き取られた車の平均使用年数の2つの系列があります。件数は棒、年数は折れ線の2枚組にします。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
自動車リサイクル促進センターの集計では、使用済自動車の引取報告件数は2018年度の337.9万件を最多として、2025年度は247.8万件でした。2018年度比で26.7%、90.2万件の減少です(編集部算出)。センターはデータBookで「2年連続で過去最低水準」と記し、その冒頭で中古車輸出の高水準を引取台数減少の一因として挙げています。本記事はこの説明を検証していません。
2025年度の247.8万件を365日で割ると、全国で1日あたり約6,800台の車が使用済自動車として引き取られた計算になります(編集部算出)。参考として、同じデータBookに引用された2025年度の新車販売台数は453万台、中古車輸出に伴う再資源化預託金等の返還台数は167万台でした。
引き取られてリサイクルに回った車に限ると、平均使用年数は2004年度の11.4年から2025年度の17.3年へ、21年で5.9年長くなりました。この系列は使用済自動車として引き取られた登録車と軽自動車が母集団で、抹消登録全体を対象にする自動車検査登録情報協会の13.35年とは母集団が異なるため、直接比較しません。引取件数は最多の2018年度から4分の1以上減り、引き取られた車の使用年数は毎年度延びています。
楓のまとめ|3つの数値を分けて観察する

ここまでの6つの図解を一通り並べると、「何年乗ってから手放されるか」への答えが、どの機関のどの定義の数値かによって13.35年、16.46年、17.3年と分かれることが確認できます。3つの観察事実に整理してみます。
「車は何年乗ってから手放される?」という問いに対して、本記事で並べた図解は、抹消登録ベースの使用年数、保有車の車齢、リサイクルに回った車の使用年数という3つの系列が、いずれも長期化の方向に動いていることを示してきました。数値の優劣や理由を論じるのではなく、定義の違いを観察事実として整理しておきます。
3つの観察事実を重ねて読むと、登録乗用車の平均使用年数13.35年という数字は、売却された車を含まず、一時抹消や輸出抹消を含む抹消登録ベースの平均であることがわかります。「何年乗るか」の答えは、どの機関が、どの車を母集団に、どの時点で集計した数値かで13.35年から17.3年まで変わります。本記事はその違いを分けて置くことを、この記事の観察の中心にしました。
よくある質問(FAQ)

平均使用年数の数字を読むときは、集計している機関・母集団・基準日の3点をセットで確認してください。同じ「使用年数」という言葉でも、この3点が変わると数値が変わります。
Q1. 日本の乗用車は平均で何年使われていますか?
自動車検査登録情報協会の集計では、乗用車(軽自動車を除く)の平均使用年数は2025年3月末現在で13.35年です。この年数は、国内で新車として登録されてから抹消登録されるまでの平均で、一時的に使用を中止する一時抹消も含まれます。1981年は8.70年、2015年は12.38年でした。
Q2. 平均車齢と平均使用年数は何が違いますか?
平均車齢は、その時点でナンバーを付けて保有されている車が、新車登録から何年たっているかの平均で、協会は「人間の平均年齢に相当する」と説明しています。平均使用年数は、抹消登録された車が登録から何年使われたかの平均です。2025年3月末現在で、乗用車(軽自動車を除く)の平均車齢は9.44年、平均使用年数は13.35年でした。
Q3. 車を売った場合は「使用年数」に数えられますか?
国内で中古車として売却され、次の所有者が登録を引き継いで使い続ける場合、その車はまだ抹消登録されていないため、平均使用年数の算出には含まれません。抹消登録には、使用済自動車として引き取られる場合のほか、輸出のための抹消や一時抹消も含まれます。使用済自動車として引き取られた車に限ると、自動車リサイクル促進センターの集計では2025年度の平均使用年数は17.3年でした。
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