
「ひとり親世帯はいくつあるのか」という問いには、数え方の違う4つの数を並べて見比べるのが近道です。世帯数、働き方、収入の順に図解でたどると、母子世帯と父子世帯の姿が数字で見えてきます。
ひとり親世帯は全国にいくつあるのか。こども家庭庁(調査時は厚生労働省)の「令和3年度 全国ひとり親世帯等調査」によると、2021年11月1日現在のひとり親世帯は、母子世帯119.5万世帯、父子世帯14.9万世帯の計134.4万世帯です。母子世帯の母(いわゆるシングルマザー)の86.3%が働き、2020年の平均年間就労収入は236万円、月に直すと約19.7万円でした。父子世帯の父は88.1%が働き、平均年間就労収入は496万円です。
ただし、ひとり親世帯の数は数え方で変わります。祖父母などと同居する世帯を含めるか、どの調査を使うかによって、61.2万から134.4万まで4通りの数があります。本記事では、全国ひとり親世帯等調査と2025年の国民生活基礎調査などの一次情報をもとに、世帯数、ひとり親になった理由、働き方、収入、2024年の所得を図解で整理します。数字は2021年11月の調査時点のもので、次回の令和8年度調査は2026年11月に実施される予定です。
ひとり親世帯は全国にいくつあり、どう働き、どれだけの収入を得ているのか。
134.4万世帯。母子世帯の母の86.3%が働き、就労収入の平均は236万円。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
本記事は楓が調査・編集しています。掲載情報は執筆時点のものです。数値・制度・サービス内容は変更される場合があるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。
ひとり親世帯は全国にいくつある?|数え方で変わる4つの数

世帯数は、定義の違う4つの数を横棒で並べると、どこで差が生まれるのかが見えてきます。同居者を含めるか、どの調査を使うかで、棒の長さが変わります。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
全国ひとり親世帯等調査は、祖父母などと同居している世帯も含めてひとり親世帯を数えます。この数え方では、2021年11月1日現在の母子世帯は119万5,128世帯、父子世帯は14万8,711世帯で、合計134万3,839世帯(約134.4万世帯)です。このうち88.9%を母子世帯が占めます。
同じ調査で、母と子だけ、父と子だけで暮らす世帯に限ると、母子世帯77万4,627世帯、父子世帯8万17世帯の計約85.5万世帯になります。母子世帯の35.2%、父子世帯の46.2%には同居者がいて、親(子どもから見た祖父母)と同居している割合は母子世帯で24.2%、父子世帯で34.3%です。
別の調査では、さらに数が変わります。2020年の国勢調査で「ひとり親と20歳未満の子のみ」の一般世帯は約72.1万世帯、2025年の国民生活基礎調査の母子世帯・父子世帯は約61.2万世帯でした。最も多い134.4万と最も少ない61.2万の間には、約2.2倍の開きがあります。差の内訳は、同居者の扱い、調査の時点、親と子の年齢の上限といった定義の違いです。どれか1つだけが正しい数というわけではありません。
ひとり親世帯の数はどう動いてきた?|1988〜2021年度の7回の調査

調査ごとの世帯数は、調査年度の間隔をそのまま横軸にとった縦棒で並べると、母子世帯と父子世帯それぞれの動きが比べやすくなります。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
全国ひとり親世帯等調査(2011年度までは全国母子世帯等調査)は、おおむね5年ごとに行われています。母子世帯は1988年度の84.9万世帯から、1998年度95.5万、2003年度122.5万、2006年度115.1万、2011年度123.8万、2016年度123.2万と推移し、2021年度は119.5万世帯でした。
父子世帯は1988年度が17.3万世帯で、7回の調査で最も多かったのは2006年度の24.1万世帯です。その後は2011年度22.3万、2016年度18.7万、2021年度14.9万世帯でした。7回のどの調査でも、ひとり親世帯の8割以上を母子世帯が占めています。
なお、2011年度は岩手・宮城・福島の3県を除き、2016年度は熊本県を除いた結果です。2021年度は集計した世帯から全国の値を復元した推計値で、調査自身が前回との比較には留意が必要と注記しています。このため本記事では、増えた・減ったと言い切らず、各回の数をそのまま並べて示します。
ひとり親世帯になった理由は?|母子・父子とも離婚が最多

なった理由は、100%積み上げの横棒を母子世帯と父子世帯で上下に並べると、構成の違いがひと目で比べられます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
ひとり親世帯になった理由は、母子世帯では離婚が79.5%、未婚が10.8%、死別が5.3%でした。父子世帯では離婚が69.7%、死別が21.3%、未婚が1.0%です。どちらも離婚が最も多く、父子世帯では死別がおよそ5世帯に1世帯を占めます。
ひとり親世帯になったときの平均年齢は、母が34.4歳(末子4.6歳)、父が40.1歳(末子7.2歳)でした。調査時点の平均年齢は母41.9歳、父46.6歳です。離婚件数そのものの長い動きは、離婚件数の推移の記事で整理しています。
母と父はどう働いている?|就業率と雇用形態

働き方は、就業者を雇用形態ごとに分けた100%積み上げで見ると、母と父の構成の違いが浮かびます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
調査時点で働いている人の割合(就業率)は、母子世帯の母が86.3%、父子世帯の父が88.1%でした。就業者のうち正規の職員・従業員は母が48.8%、父が69.9%、パート・アルバイト等は母が38.8%、父が4.9%です。父は自営業が14.8%、会社などの役員が7.3%でした。
就業率の差は1.8ポイント、就業者に占める正規の職員・従業員の割合の差は21.1ポイントです。前回の2016年度調査では、母の就業率は81.8%、就業者のうち正規の職員・従業員は44.2%でした(2021年度は推計値のため、比較には留意が必要です)。
母子世帯になる前の母は78.8%が働いていて、そのうち正規の職員・従業員は35.2%、パート・アルバイト等は50.0%でした。働く人全体の正規・非正規の動きは、正規・非正規雇用の推移の記事で図解しています。
母と父の収入はいくら?|就労収入・自身の収入・世帯の収入

収入は、3つの定義ごとに平均を棒、中央値を印で重ねると、定義による違いと、平均と中央値の開きを同時に読めます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
全国ひとり親世帯等調査は、収入を3通りに分けています。就労収入は母(父)自身が働いて得た収入、自身の収入は就労収入に児童扶養手当などの社会保障給付、養育費、仕送りなどを加えた額、世帯の収入は同居する親族も含めた世帯全員の収入です。いずれも2020年1年間の額です。
2020年の平均年間就労収入は、母が236万円、父が496万円でした。自身の収入は母272万円・父518万円、世帯の収入は母子世帯373万円・父子世帯606万円です。平均で比べると、父の就労収入は母の約2.1倍です。
平均は一部の高い収入に引っぱられやすいため、真ん中の値である中央値も並べます。就労収入の中央値は母200万円、父400万円でした。母の平均236万円を12か月で割ると月約19.7万円で、これは税や社会保険料を差し引く前の額です。
就労収入を階級別に見ると、母は200万円未満が47.4%、父は400万円以上が55.5%でした。調査時点で働いている母の就労収入の平均は254万円で、正規の職員・従業員は344万円、パート・アルバイト等は150万円です。働いている父では正規の職員・従業員が523万円、パート・アルバイト等が192万円でした。
2024年の所得と相対的貧困率は?|国民生活基礎調査で見る

所得の内訳は、総所得の横棒を種類ごとに塗り分けると、何がどれだけを占めるかが見えてきます。母子世帯と児童のいる世帯を上下に並べると、構成の違いも比べられます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
ここからは厚生労働省の国民生活基礎調査の数字で、ここまでの全国ひとり親世帯等調査とは調査も年も違います。国民生活基礎調査の母子世帯は、配偶者のいない65歳未満の女性と20歳未満のその子だけで暮らす世帯で、祖父母などと同居する世帯を含みません。所得は2024年1年間の額です。
2024年の1世帯当たり平均所得は、母子世帯が345.3万円、児童のいる世帯が857.3万円でした。母子世帯の総所得は、児童のいる世帯の40.3%にあたります。母子世帯の内訳は稼働所得が277.3万円(総所得の80.3%)、年金以外の社会保障給付金が42.4万円(12.3%)で、児童のいる世帯ではそれぞれ93.1%と2.6%です。
同じ調査の相対的貧困率(等価可処分所得の中央値の半分に満たない人の割合)は、2024年の所得で15.0%でした。子どもがいる現役世帯のうち、大人が一人の世帯では44.7%、大人が二人以上の世帯では6.7%です。2021年はそれぞれ44.5%、8.6%でした。
ここでの「大人が一人」は、18歳以上の世帯員が1人で17歳以下の子どもがいる世帯という区分で、ひとり親世帯と同じではありません。祖父母と同居するひとり親世帯は「大人が二人以上」に入ります。相対的貧困率の長い動きは、相対的貧困率の推移の記事で図解しています。
このほか、母子世帯の平均貯蓄額は485.3万円、「貯蓄がない」世帯は21.8%でした(児童のいる世帯は1,035.7万円、10.5%)。生活意識の設問で「大変苦しい」「やや苦しい」と答えた母子世帯は82.1%、児童のいる世帯は61.5%です。
母子世帯・父子世帯の主要な指標|2016年度と2021年度

主な指標は、母子世帯と父子世帯をタブで切り替えられる表にまとめました。2016年度と2021年度の値を左右に並べています。
割合は、2021年度が推計値、2016年度が実数値(熊本県を除く)のため、比較には留意が必要です。収入は調査の前年(2015年・2020年)1年間の額、養育費の割合と月額は離婚・未婚などの生別の世帯が対象です。
| 指標 | 2016年度 | 2021年度 |
|---|---|---|
| 世帯数 | 123.2万世帯 | 119.5万世帯 |
| 平均世帯人員 | 3.29人 | 3.20人 |
| 理由:離婚 | 79.5% | 79.5% |
| 理由:死別 | 8.0% | 5.3% |
| 就業率 | 81.8% | 86.3% |
| 就業者のうち正規の職員・従業員 | 44.2% | 48.8% |
| 就業者のうちパート・アルバイト等 | 43.8% | 38.8% |
| 就業者のうち自営業 | 3.4% | 5.0% |
| 母自身の平均年間収入 | 243万円 | 272万円 |
| 母の平均年間就労収入 | 200万円 | 236万円 |
| 母の年間就労収入の中央値 | 169万円 | 200万円 |
| 世帯の平均年間収入 | 348万円 | 373万円 |
| 養育費の取り決めをしている | 42.9% | 46.7% |
| 養育費を現在も受けている | 24.3% | 28.1% |
| 養育費の平均月額 | 43,707円 | 50,485円 |
| 指標 | 2016年度 | 2021年度 |
|---|---|---|
| 世帯数 | 18.7万世帯 | 14.9万世帯 |
| 平均世帯人員 | 3.65人 | 3.42人 |
| 理由:離婚 | 75.6% | 69.7% |
| 理由:死別 | 19.0% | 21.3% |
| 就業率 | 85.4% | 88.1% |
| 就業者のうち正規の職員・従業員 | 68.2% | 69.9% |
| 就業者のうちパート・アルバイト等 | 6.4% | 4.9% |
| 就業者のうち自営業 | 18.2% | 14.8% |
| 父自身の平均年間収入 | 420万円 | 518万円 |
| 父の平均年間就労収入 | 398万円 | 496万円 |
| 父の年間就労収入の中央値 | 350万円 | 400万円 |
| 世帯の平均年間収入 | 573万円 | 606万円 |
| 養育費の取り決めをしている | 20.8% | 28.3% |
| 養育費を現在も受けている | 3.2% | 8.7% |
| 養育費の平均月額 | 32,550円 | 26,992円 |
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
養育費の取り決めをしている割合は、離婚・未婚などの生別の世帯で母子世帯46.7%、父子世帯28.3%、現在も養育費を受けている割合は28.1%と8.7%でした。持ち家の割合は母子世帯34.4%、父子世帯66.0%で、賃貸住宅は36.7%と17.6%、公営住宅は12.4%と3.1%です。
子どもの高校卒業後の進学率(大学・短大・専修学校などに在籍している19歳の割合)は、母子世帯66.5%、父子世帯57.9%でした。調査時点で生活保護を受けている割合は母子世帯9.3%、父子世帯5.1%、児童扶養手当を受けている割合は69.3%と46.5%です。
楓のまとめ|数え方で変わる世帯数と、母と父の働き方・収入

ここまでの世帯数・働き方・収入を一通り並べると、どの調査の、どの定義の数字かで見え方が変わることが、図解の対比で確認できます。3つの観察事実に整理してみます。
「ひとり親世帯はいくつあるのか」という問いに対して、本記事で並べた図解は、数え方によって数が変わることと、母子世帯と父子世帯で働き方と収入の構成が違うことを示してきました。データに優劣をつけるのではなく、見え方の違いを観察事実として整理しておきます。
3つの観察事実を重ねると、ひとり親世帯の数字は「どの調査の、どの定義の、いつの数か」で大きく姿を変えることがわかります。世帯数も収入も、定義と時点を確かめてから並べることで、母子世帯と父子世帯の違いが正確に見えてきます。次回の令和8年度調査の結果が公表された時点で、本記事の数値を更新します。
よくある質問(FAQ)

ひとり親世帯の数字を読むときは、どの調査か、どの定義か、いつの数字かの3点をセットで確認してください。同じ「ひとり親世帯」でも、この3点が変わると数が変わります。
Q1. ひとり親世帯は全国に何世帯ありますか?
全国ひとり親世帯等調査(2021年11月1日現在)では、母子世帯119.5万世帯、父子世帯14.9万世帯の計134.4万世帯です。これは祖父母などと同居する世帯を含む数で、母子・父子だけで暮らす世帯に限ると約85.5万世帯、2020年の国勢調査の「ひとり親と20歳未満の子のみ」の世帯は約72.1万世帯です。なお、児童扶養手当の受給者は約77.8万人(2024年度末)ですが、これは世帯ではなく受給者の人数で、所得制限のある制度の数です。
Q2. シングルマザーの平均年収はいくらですか?
全国ひとり親世帯等調査では、2020年の母子世帯の母の平均年間就労収入は236万円、中央値は200万円です。児童扶養手当や養育費などを含めた母自身の収入は平均272万円、同居する家族を含めた世帯の収入は平均373万円でした。どの収入を指すかで金額が変わるため、就労収入か、自身の収入か、世帯の収入かを確認すると比べやすくなります。
Q3. 「ひとり親世帯の貧困率44.7%」とは何の数字ですか?
厚生労働省の国民生活基礎調査で、子どもがいる現役世帯(世帯主が18歳以上65歳未満)のうち「大人が一人と17歳以下の子どものいる世帯」に属する世帯員に占める、等価可処分所得が貧困線(2024年は138万円)に満たない人の割合です。祖父母と同居するひとり親世帯は「大人が二人以上」に入るため、ひとり親世帯全体の数字とは一致しません。
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