
人口ピラミッドの変化は、文章で追うよりも、複数の時点を横に並べて形を見比べるのが近道です。1950年・1975年・2000年・2025年・2050年・2070年の6枚を並置すると、富士山のような形がしだいに崩れ、頂点の広いつぼ型へ移っていく過程がはっきり見えてきます。
1950年(昭和25年)に総人口の35.4%を占めていた14歳未満人口は、2025年には10.9%にまで縮小しました。同じ75年間で、65歳以上人口は4.9%から29.4%へと拡大しています。年少人口と高齢人口の比率は、ともに約25ポイントずつ反対方向へ動き、1997年ごろに逆転しました。日本の人口ピラミッドは、若年層が厚い「釣鐘型」から、高齢層がふくらむ「つぼ型」へと姿を変えてきました。
本記事では、総務省統計局の国勢調査・人口推計、国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口(令和5年推計)」などの一次情報を、6時点の人口ピラミッド・年齢3区分比率の推移・主要国の高齢化率比較・47都道府県のタイルマップ・戦後の人口イベント年表・出生数の推移といった複数の図解で整理します。戦後80年の実績と、2070年までの推計を重ねることで、人口構造がどのように変化してきたのかを観察していきます。
日本の人口ピラミッドは、戦後80年でどう姿を変えたのか?
釣鐘型からつぼ型へ。年少と高齢の比率が約25ポイント逆転した。
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1950年・釣鐘型からの出発|6時点で見る形の変遷

戦後80年の人口ピラミッドを6枚並べると、形の変化が一画面で追えます。底辺が広く頂点へ向かって細くなる釣鐘型から、二度のベビーブームでふた山が現れ、やがて頂点の広いつぼ型へと姿が移っていきます。
1950年(昭和25年)の人口ピラミッドは、低年齢層ほど人口が多く、年齢が上がるにつれてなだらかに細くなる「釣鐘型」でした。この年の総人口は約8,320万人で、14歳未満が35.4%、15〜64歳が59.7%、65歳以上はわずか4.9%です。75歳以上にいたっては総人口の1.3%(約106万人)にとどまり、ピラミッドの頂点はごく細いものでした。
1975年(昭和50年)になると、1947〜49年生まれの第1次ベビーブーム世代(団塊の世代)が20代後半に達し、さらにその子ども世代である団塊ジュニアの幼児期が重なって、20代後半と0〜4歳に二つのふくらみを持つ「ひょうたん型」へ変化しました。2000年(平成12年)には、団塊の世代が50代、団塊ジュニアが20代後半となり、二つの世代が中段に並ぶ「つぼ型」に近づきます。
2025年の推計値では、団塊の世代が75歳以上に到達し、ピラミッドの上部(70代後半)が大きくふくらむ形になりました。2050年・2070年の推計では、若年層がさらに細くなり、高齢層に人口が集中する逆三角形に近い形へと向かいます。6時点を並べると、釣鐘型からつぼ型、さらに逆三角形へという形状の変遷が、一連の流れとして観察できます。
年齢3区分比率の推移|1997年に年少と高齢が逆転

ピラミッドの形を3本の折れ線に要約すると、年少・生産年齢・高齢の3区分がどの年にどう交差したかが見えてきます。とくに年少人口と高齢人口の2本が交わる点に注目してみてください。
総人口を14歳未満(年少人口)・15〜64歳(生産年齢人口)・65歳以上(高齢人口)の3区分に分けて推移を追うと、変化の方向がより明確になります。年少人口の割合は1950年の35.4%から一貫して低下し、2025年には10.9%となりました。一方、高齢人口の割合は1950年の4.9%から上昇を続け、1985年に10%、2005年に20%を超え、2025年には29.4%に達しています。
この2本の折れ線は、1995年(年少16.0%・高齢14.6%)と2000年(年少14.6%・高齢17.4%)の間で交差しています。年少人口と高齢人口の割合がおよそ15%で並び、その後は高齢人口が年少人口を上回る関係に転じたのが1997年ごろです。国立社会保障・人口問題研究所の資料でも、この時期に年少人口と老年人口の大小関係が逆転したことが記録されています。
生産年齢人口(15〜64歳)の割合は、1990年代に約69〜70%でほぼ頭打ちとなり、その後は低下に転じました。実数では1995年の約8,726万人がピークです。令和5年推計では、生産年齢人口の割合は2070年に52.1%まで下がると見込まれています。3区分の推移を重ねると、年少人口の縮小と高齢人口の拡大が、ほぼ同じ幅で対称的に進んできたことが読み取れます。
2025年の現在地|主要国で最も高い高齢化率

日本の高齢化を世界のなかに置いてみると、その水準と速さがより立体的に見えてきます。主要国の折れ線を1950年から2070年まで並べると、日本がいつ各国を追い抜いたかが分かります。
総務省統計局の2025年9月15日推計によれば、日本の高齢化率(総人口に占める65歳以上の割合)は29.4%で、過去最高を更新しました。統計局が比較した人口4,000万人以上の38か国のなかで、日本は最も高い水準にあります。2位以下のイタリア(約25%)・ドイツ(約24%)・フランス(約23%)と比べても、日本は数ポイント高い位置にあります。
時系列で見ると、日本の高齢化率は1980年代まで欧米主要国を下回っていました。1950年の日本は4.9%で、同年のフランス(11.4%)やイギリス、ドイツ(9.4%)よりも低い水準です。それが2000年代以降に急速に上昇し、各国を追い抜いて世界最高水準へと移っています。国際比較の折れ線では、日本の線が他国の線を下から上へ横切っていく様子が確認できます。
今後については、韓国や中国でも急速な高齢化が見込まれています。国連の世界人口推計(WPP2024)などの推計では、韓国は2040年代以降に日本を上回る可能性が示されています。日本の高齢化率も令和5年推計では上昇が続き、2070年には38.7%に達すると見込まれています。現時点では日本が最も高い水準にありますが、長期推計では複数の国が同程度の高齢化に向かう構図が描かれています。
都道府県別の地域差|秋田39.5%から東京22.7%まで

47都道府県の高齢化率は、横棒や表よりもタイルマップで見ると地理的な偏りが浮かびます。色の濃いタイルがどの地方に集まっているかで、地域差の輪郭がひと目で確認できます。
内閣府「令和7年版高齢社会白書」(総務省「人口推計」2024年10月1日現在を基に作成)によると、2024年の都道府県別高齢化率で最も高いのは秋田県の39.5%でした。次いで高知県36.6%、青森県・徳島県35.7%、山形県35.6%と続きます。最も低い東京都(22.7%)との差は16.8ポイントで、同じ年でも都道府県によって大きな開きがあります。
高い側には東北・四国・中国地方の県が、低い側には東京都(22.7%)・沖縄県(24.2%)・愛知県(25.8%)・神奈川県(26.0%)といった大都市圏や、出生率が比較的高い地域が並びます。タイルマップで見ると、高齢化率の高いタイルは東北・山陰・四国・九州西部に集まり、低いタイルは首都圏・中京圏・近畿圏の都市部に集中しています。高齢化率の地域差は、若年層の流出入や出生の動向、都市への人口集中といった人口移動の構造と対応する形で分布しています。
なお、令和5年推計の2050年予測では、秋田県が49.9%、青森県が48.4%に達するとされ、上位には東北地方の県が多く並びます。現在の高齢化率の地域差は、将来推計でもおおむね同じ順位の傾向が続く形で示されています。自分が暮らす都道府県のタイルがどの濃さに位置するかによって、人口構造の見え方の起点が変わってきます。
戦後80年の人口イベント年表|2度のベビーブームと人口減少

ピラミッドの形が変わった背景には、戦後80年に起きた一連の人口イベントがあります。横方向の年表に並べると、どの出来事がいつ起き、形の変化とどう対応するかが見えてきます。
戦後の人口ピラミッドの変遷は、いくつかの節目となる出来事と対応しています。1947〜49年の第1次ベビーブームでは、年間出生数が約270万人に達し、団塊の世代が生まれました。1971〜74年の第2次ベビーブームでは、団塊ジュニアが生まれ、1973年の出生数は約209万人を記録しています。この2度のベビーブームが、人口ピラミッドに二つのふくらみを作り、ひょうたん型・つぼ型の形状を生み出しました。
1989年には合計特殊出生率が1.57となり、それまで最低だった1966年(丙午)の水準を下回る「1.57ショック」が記録されました。1995年には生産年齢人口(15〜64歳)が約8,726万人でピークに達し、その後は減少に転じます。総人口は2008年の約1億2,808万人をピークに、減少局面へ入りました。
2025年には、第1次ベビーブーム世代が全員75歳以上となり、後期高齢者人口は2,124万人(17.2%)に達しています。令和5年推計では、総人口は2056年に1億人を割り、2070年には約8,700万人になると見込まれています。年表を通して見ると、出生のふくらみと人口減少の節目が、ピラミッドの形の変化と一連のつながりを持っていることが観察できます。
出生数の戦後推移|1947年の4分の1まで縮小

ピラミッドの底辺の幅を決めるのは、その年の出生数です。1947年から2024年までの出生数を折れ線で追うと、2つの山と長期的な縮小がはっきり見えてきます。
厚生労働省「人口動態統計」によると、出生数は戦後に2つの山を描いてきました。1つ目の山は第1次ベビーブームの1947年で、年間約267.9万人です。2つ目の山は第2次ベビーブームの1973年で、約209.2万人でした。2024年の出生数は約68.6万人で、1947年の水準(約268万人)の4分の1程度まで縮小しています。
2つの山の間には、1961年(約159万人)や1966年の丙午(約138万人)といった一時的な落ち込みがありました。第2次ベビーブーム以降は、第3次ベビーブームと呼べるような大きな山は現れず、出生数はおおむね右肩下がりで推移しています。2005年に110万人を下回り、2016年には統計開始以降はじめて100万人を割り込みました。2019年に90万人、2022年には80万人を下回っています。
出生数の縮小は、人口ピラミッドの底辺が年々細くなっていることに対応します。令和5年推計(出生中位)では、出生数は今後も緩やかに減少し、2070年には年間約50万人になると見込まれています。ピラミッドの底辺が細いままで推移するため、若年層の少なさと高齢層の多さという形状は、推計期間を通して続く構図として描かれています。
楓のまとめ|年少と高齢が対称的に入れ替わった80年

ここまでの6つの図解を一通り並べると、人口ピラミッドの形が変わってきた過程が、数字の対比として確認できます。3つの観察事実に整理してみます。
「戦後80年で人口ピラミッドはどう姿を変えたか」という問いに対して、本記事で並べた図解は、年少人口の縮小と高齢人口の拡大が対称的に進んできたことを示してきました。形・比率・地域差・国際比較・出生数のいずれも、同じ方向の変化を別の角度から映しています。数値の良し悪しを判断するのではなく、観察できた事実として整理しておきます。
3つの観察事実を重ねて読むと、戦後80年の人口ピラミッドの変化は、年少人口の縮小と高齢人口の拡大という、向きの異なる2つの動きがほぼ同じ幅で進んできたものとして整理できます。釣鐘型からつぼ型への形の変化、1997年の年少・高齢の逆転、75歳以上の約20倍の拡大は、いずれも同じ人口構造の変化を別の側面から捉えた観察事実です。「人口ピラミッドはどう姿を変えたか」への答えは、どの図解を、どの時点で、どの地域で見るかによって表情を変えながら、同じ方向の変化を映している、という観察そのものに表れています。
よくある質問(FAQ)

人口ピラミッドのグラフを読むときは、時点の取り方・指標の選び方・実績か推計かの3点をセットで確認してください。同じデータでも、この3点が変わると読み取れる内容が変わります。
Q1. 人口ピラミッドの「釣鐘型」「つぼ型」とは何ですか?
人口ピラミッドは、年齢階級別の人口を男女別に左右へ並べたグラフで、その輪郭の形によって型が呼び分けられます。「釣鐘型(つりがね型)」は低年齢層が多く高年齢層へ向かって細くなる形で、1950年の日本がこれにあたります。「つぼ型」は出生数が減って底辺が狭まり、中高年層がふくらんだ形を指し、2000年以降の日本がこの形に近づいています。本記事では、釣鐘型→ひょうたん型→つぼ型という形状の移り変わりを6時点で並べて確認しています。
Q2. 高齢化率が最も高い都道府県と低い都道府県はどこですか?
内閣府「令和7年版高齢社会白書」(2024年確定値)によると、最も高いのは秋田県で39.5%、最も低いのは東京都で22.7%です。高い側には秋田・高知・青森・徳島・山形などの東北・四国の県が並び、低い側には東京・沖縄・愛知・神奈川などの大都市圏や出生率が比較的高い地域が並びます。1位と47位の差は16.8ポイントで、同じ年でも地域によって大きな開きがあります。
Q3. 2025年の高齢化率29.4%はどのくらい確実な数字ですか?
2025年の高齢化率29.4%は、総務省統計局が2025年9月15日現在で公表した推計値です。統計局の資料では、2025年の数値は「概算値から推計した値」と注記されており、確定値ではありません。国勢調査による確定値は5年ごとに公表され、直近では2020年(28.6%)が確定値です。2030年以降の数値は国立社会保障・人口問題研究所の令和5年推計(出生中位・死亡中位)に基づく推計値で、将来の出生・死亡の仮定によって変わる可能性があります。
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