
「若者は結婚したくないのか」という問いには、国立社会保障・人口問題研究所が1982年から続けている同じ設問の答えを、10回ぶん一本の線にして眺めるのが近道です。最新回だけでなく43年の形を見ると、どこで下がったのかが一目で分かります。
「若者は結婚したくないのか」。この問いに、国立社会保障・人口問題研究所(社人研)の出生動向基本調査は、2026年9月に公表された第17回(2025年実施)で次の数値を示しました。18〜34歳の未婚者のうち「いずれ結婚するつもり」と答えた割合は男性75.1%・女性77.8%で、1982年の調査開始以来、初めて8割を下回りました。一方、「一生結婚するつもりはない」は男性24.0%・女性21.5%で、初めて2割を超えています。
4人に1人が「一生結婚するつもりはない」と答え、4人に3人以上が「いずれ結婚するつもり」と答えたというのが、2025年時点の18〜34歳の未婚者の答えです(📊筆者試算・75.1%≒4人に3人)。本記事では、社人研が公表した第8回(1982年)から第17回(2025年)までの10調査回の結果を、男女2系列の折れ線、年齢層別の縦棒、50歳時の未婚割合との並置図など6点の図解で整理します。
対象は18〜34歳の未婚者で、既婚者や離別・死別した人は含みません。設問は「いずれ結婚するつもり」「一生結婚するつもりはない」の二者択一で、「結婚したいか」を尋ねたものではありません。数値がどう動いたかを、理由の説明を加えずに観察していきます。
18〜34歳の未婚者のうち、「いずれ結婚するつもり」と答える人はどれくらいいるのでしょうか。
2025年は男性75.1%・女性77.8%。1982年の調査開始以来、初めて8割を下回った。
男95.9 女94.2 1997
男85.9 女89.1 2021
男81.4 女84.3 2025
男75.1 女77.8
本記事は楓が調査・編集しています。掲載情報は執筆時点のものです。数値・制度・サービス内容は変更される場合があるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。
「いずれ結婚するつもり」は43年でどう動いたか|1982年から2025年へ

10回の調査を1本の折れ線にすると、大きく下がった時期と、ほとんど動かなかった時期が分かれて見えます。横軸は調査年に比例させているので、間隔の空いた2015年から2021年の落ち方もそのまま見えます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
第8回調査(1982年)で「いずれ結婚するつもり」と答えた18〜34歳の未婚者は、男性95.9%・女性94.2%でした。男性は第9回(1987年)91.8%、第10回(1992年)90.0%、第11回(1997年)85.9%と回を追って下がり、女性も第11回で89.1%になっています。1982年から1997年までの15年間で、男性は10.0ポイント、女性は5.1ポイント下がりました。
その後の第11回から第15回(2015年)までは、男性が85.7〜87.0%、女性が88.3〜90.0%の範囲で推移しています。図解の薄い帯がその区間です。5回の調査で男性の最大差は1.3ポイント、女性は1.7ポイントにとどまり、こども家庭庁の資料でも「9割程度で安定的に推移してきた」と表現されてきた期間にあたります。
第16回(2021年)は、新型コロナウイルス感染拡大の影響で調査が1年延期され、2021年6月に実施されました。この回で男性は81.4%、女性は84.3%となり、前回から男性4.3ポイント、女性5.0ポイント下がっています。続く第17回(2025年)では男性75.1%、女性77.8%で、前回からさらに男性6.3ポイント、女性6.5ポイント下がり、男女とも調査開始以来初めて8割を下回りました。
1982年から2025年までの低下幅を計算すると、男性は20.8ポイント、女性は16.4ポイントです(📊筆者試算)。男女差にも変化があり、1982年は男性のほうが1.7ポイント高かったのに対し、2025年は女性のほうが2.7ポイント高くなっています。
「一生結婚するつもりはない」の推移|2002年以降は男女とも毎回上昇

二者択一のもう一方、「一生結婚するつもりはない」を別の図にしました。縦軸を0〜30%にすると、前の図では見えにくかった右端の立ち上がりがはっきりします。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
「一生結婚するつもりはない」と答えた割合は、第8回(1982年)で男性2.3%・女性4.1%でした。第12回(2002年)は男性5.4%・女性5.0%で、ここまでは5%前後で推移しています。第13回(2005年)以降は男性が7.1%、9.4%、12.0%、17.3%、女性が5.6%、6.8%、8.0%、14.6%と、男女とも調査のたびに前回を上回りました。
第17回(2025年)は男性24.0%・女性21.5%で、調査開始以降で最も高い値です。2002年の値と比べると、男性は約4.4倍、女性は約4.3倍になりました(📊筆者試算)。社人研は結果の概要で、男性のおよそ4人に1人、女性のおよそ5人に1人が「一生結婚するつもりはない」と答えたと説明しています。
この変化について社人研は、結果の概要のなかで、結婚に利点がないと考える人が増えたことを背景として挙げ、結婚するには障害があると考える未婚者の一部が結婚する意欲を持たなくなった可能性を指摘しています。本記事ではこの説明を同研究所の見解として紹介するにとどめ、推移の観察を続けます。
年齢層別に見る|30〜34歳の下がり幅が最も大きい

全体の数字は、年齢層ごとに分けると動き方が違って見えます。ここでは2015年・2021年・2025年の3回に絞り、10回ぶんの一覧は下の切替表に置きました。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
「いずれ結婚するつもり」の割合を年齢層別に見ると、2025年は男性が18〜19歳80.6%、20〜24歳79.7%、25〜29歳75.7%、30〜34歳65.2%、女性が82.2%、81.0%、77.0%、70.0%でした。男女とも年齢が上がるほど低く、30〜34歳では「一生結婚するつもりはない」が男性34.1%・女性28.9%と社人研は報告しています。
30〜34歳の男性は2015年83.3%、2021年70.8%、2025年65.2%で、10年間で18.1ポイント下がり、4つの年齢層のなかで最も大きな低下幅です(📊筆者試算)。同じ期間に30〜34歳の女性は84.2%から70.0%へ14.2ポイント下がりました。直近の2021年から2025年では男性5.6ポイント、女性7.5ポイントの低下です。
社人研は結果の概要で、前回からの減少が大きい層として30〜34歳の女性(77.5%→70.0%)、25〜29歳の男性(83.1%→75.7%)、25〜29歳の女性(84.0%→77.0%)を挙げています。なお、下の一覧表にある1982年の30〜34歳女性72.7%は、客体数が少ない時代の値です。
調査回別の一覧|第8回(1982年)から第17回(2025年)まで
18〜34歳の未婚者に占める割合(%)。「いずれ」=いずれ結婚するつもり、「一生しない」=一生結婚するつもりはない。残りは不詳。調査年は第8回(1982年)から第17回(2025年)の順。
| 調査年 | 男性 いずれ | 男性 一生しない | 女性 いずれ | 女性 一生しない |
|---|---|---|---|---|
| 1982年 | 95.9 | 2.3 | 94.2 | 4.1 |
| 1987年 | 91.8 | 4.5 | 92.9 | 4.6 |
| 1992年 | 90.0 | 4.9 | 90.2 | 5.2 |
| 1997年 | 85.9 | 6.3 | 89.1 | 4.9 |
| 2002年 | 87.0 | 5.4 | 88.3 | 5.0 |
| 2005年 | 87.0 | 7.1 | 90.0 | 5.6 |
| 2010年 | 86.3 | 9.4 | 89.4 | 6.8 |
| 2015年 | 85.7 | 12.0 | 89.3 | 8.0 |
| 2021年 | 81.4 | 17.3 | 84.3 | 14.6 |
| 2025年 | 75.1 | 24.0 | 77.8 | 21.5 |
年齢層別「いずれ結婚するつもり」の割合(%・未婚男性)。
| 調査年 | 18〜19歳 | 20〜24歳 | 25〜29歳 | 30〜34歳 |
|---|---|---|---|---|
| 1982年 | 96.0 | 97.1 | 95.8 | 92.4 |
| 1987年 | 90.0 | 92.6 | 93.9 | 86.9 |
| 1992年 | 87.5 | 90.9 | 92.0 | 87.0 |
| 1997年 | 85.5 | 86.7 | 87.1 | 80.9 |
| 2002年 | 88.4 | 88.3 | 86.3 | 83.8 |
| 2005年 | 88.4 | 87.7 | 88.0 | 83.7 |
| 2010年 | 84.1 | 88.0 | 88.2 | 81.9 |
| 2015年 | 88.1 | 88.2 | 83.4 | 83.3 |
| 2021年 | 84.4 | 85.4 | 83.1 | 70.8 |
| 2025年 | 80.6 | 79.7 | 75.7 | 65.2 |
年齢層別「いずれ結婚するつもり」の割合(%・未婚女性)。
| 調査年 | 18〜19歳 | 20〜24歳 | 25〜29歳 | 30〜34歳 |
|---|---|---|---|---|
| 1982年 | 95.5 | 97.5 | 92.5 | 72.7 |
| 1987年 | 93.5 | 95.1 | 91.8 | 75.6 |
| 1992年 | 88.8 | 92.0 | 89.9 | 83.8 |
| 1997年 | 87.6 | 90.7 | 87.1 | 88.7 |
| 2002年 | 85.8 | 90.9 | 87.7 | 85.1 |
| 2005年 | 89.5 | 91.5 | 91.8 | 84.3 |
| 2010年 | 89.4 | 91.4 | 89.3 | 84.9 |
| 2015年 | 90.8 | 91.4 | 88.6 | 84.2 |
| 2021年 | 88.2 | 86.2 | 84.0 | 77.5 |
| 2025年 | 82.2 | 81.0 | 77.0 | 70.0 |
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
上の切替表は、男女総数の4系列と、年齢層別「いずれ結婚するつもり」の男女各4列を10調査回ぶん収めたものです。折れ線と縦棒で見た動きを、実際の値で確かめられます。
意思と実績を並べる|「一生結婚するつもりはない」と50歳時の未婚割合

「結婚するつもりはない」という答えと、実際に50歳まで結婚しなかった人の割合は、別の調査の別の指標です。引き算はせずに、同じ縦軸に並べて眺めます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
50歳時の未婚割合(かつて生涯未婚率と呼ばれた指標)は、国勢調査の45〜49歳と50〜54歳の未婚率の平均値で、1980年は男性2.60%・女性4.45%、2020年は男性28.25%・女性17.81%です。同じころに18〜34歳の未婚者へ尋ねた「一生結婚するつもりはない」は、1982年が男性2.3%・女性4.1%、2025年が男性24.0%・女性21.5%でした。
2020年に50歳前後だった世代が18〜34歳にあたる1987年から2002年の調査では、「一生結婚するつもりはない」と答えた男性は4.5〜6.3%、女性は4.6〜5.2%でした。意思では5%前後だった世代の実績が、50歳時の未婚割合では男性28.25%・女性17.81%という並置です。2つの指標は母集団も定義も異なるので、差を引き算せず、並べて置くにとどめます。
1985年から2015年の50歳時の未婚割合は本記事では図に載せず、一次資料で直接確認できた1980年と2020年の2点に絞っています。指標の推移そのものは、社人研の人口統計資料集(表6-23)で確認できます。
「一生結婚するつもりはない」と答えた人のうち、考えが変わる可能性がある人の割合

「一生結婚するつもりはない」と答えた人に、社人研はさらに「今後変わる可能性はあるか」を尋ねています。答えの内訳を積み上げ横棒にしました。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
第17回(2025年)で「一生結婚するつもりはない」と答えた18〜34歳の未婚者に、今後「いずれ結婚するつもり」に変わる可能性を尋ねた結果は、男性が「あると思う」9.9%、「あるかもしれない」29.8%、「たぶんないと思う」19.1%、「ないと思う」39.0%、女性がそれぞれ11.2%、35.8%、18.5%、34.2%でした(残りは不詳)。
「あると思う」と「あるかもしれない」を合わせると男性39.7%、女性47.0%です(📊筆者試算)。社人研はこれを未婚男性で4割程度、未婚女性で5割弱と表現しています。「一生結婚するつもりはない」と答えた人の4〜5割が、変わる可能性を否定していないという内訳です。変わる理由としては「結婚したいと思う相手が現れる」が最も多く、次いで「収入や貯蓄が増える」が挙げられたと同研究所は報告しています。
この設問は第15回(2015年)から加わったもので、2区分の合計は2015年が男性44.2%・女性49.7%、2021年が男性43.9%・女性46.7%でした(📊筆者試算)。2025年の男性39.7%は3回のなかで最も低く、女性47.0%は2021年より高い値です。
交際相手をもたない未婚者の割合|2010年から2025年

結婚意思と並んで公表されている交際状況も、同じ18〜34歳の未婚者の数字です。「交際相手がいない」と「そのうち交際を望まない」を重ねた棒で見ます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
異性の友人・恋人・婚約者のいずれもいない「交際相手なし」の割合は、2010年の男性61.4%・女性49.5%から、2025年は男性74.0%・女性65.4%になりました。15年間で男性は12.6ポイント、女性は15.9ポイントの上昇です(📊筆者試算)。恋人または婚約者がいる割合は2025年で男性19.6%・女性27.8%と社人研は報告しています。
そのうち「交際を望まない」と答えた人は、18〜34歳の未婚者全体に対して2025年で男性35.7%・女性35.3%でした。社人研は結果の概要で、未婚者の3人に1人は交際を望んでいないと表現しています。2010年の男性27.6%・女性22.6%と比べると、上昇幅は男性8.1ポイント、女性12.7ポイントです(📊筆者試算)。
楓のまとめ|「したくない」ではなく、数値がこう動いた

43年・10回の調査を6枚の図解で眺めてきました。最後に、観察できた事実を3つに絞って整理します。
タイトルの問い「若者は結婚したくないのか」に、楓は「したい」「したくない」のどちらとも答えません。答えとして置けるのは、2025年時点で18〜34歳の未婚者の75.1%(男性)・77.8%(女性)が「いずれ結婚するつもり」と答え、24.0%(男性)・21.5%(女性)が「一生結婚するつもりはない」と答えたという2つの数値です。
3つの観察を重ねると、「いずれ結婚するつもり」は43年で9割台から7割台へ、「一生結婚するつもりはない」は5%前後から2割超へ動いたことが分かります。どちらの数値も同じ二者択一の設問から出ており、片方だけを見ると像が偏ります。数値の背景の説明は社人研の見解にゆだね、次回の調査で値がどう置き換わるかを、同じ図の形で見ていきます。
婚姻数と初婚年齢の推移は婚姻数と初婚年齢、出産年齢の推移を図解【2026年】、出生数の推移は日本の出生数の推移、ピークの4分の1に|126年を図解【2026年】、離婚率の推移は日本の離婚率、戦後80年の推移を図解【2026年】、人口構成の変化は日本の人口ピラミッド、戦後80年の変遷を図解【2026年】で図解しています。
よくある質問(FAQ)

結婚意思のデータを読むときに迷いやすい点を、3つにまとめました。調査の対象と回収率、過去の報告書との数値の違い、今後の見方についてです。
Q1. 「若者の75%」ではなく「18〜34歳の未婚者」と書くのはなぜですか?
出生動向基本調査の独身者調査は18歳以上55歳未満の独身者を対象とし、「いずれ結婚するつもり」の集計は18〜34歳の未婚者に限っています。既婚者や離別・死別した人は含まれません。有効回収率は第15回76.5%、第16回55.9%、第17回42.7%で、第17回からはオンライン回答が導入されました。本記事では数値を伴う文の主語を「18〜34歳の未婚男性/女性」にそろえています。
Q2. 過去の報告書と数値が少し違うのはなぜですか?
第17回の結果の概要は、過去の調査回の結果を第17回調査と定義を厳密に一致させた変数で再集計しているので、過去の報告書の掲載値とわずかに異なる場合があると社人研は説明しています。また第17回の値は速報結果で、最終報告書では掲載数値がわずかな範囲で更新される可能性があると同研究所は注記しています。本記事の値は第17回結果の概要のグラフデータ(図表1-1・1-2)によるもので、第16回結果の概要の掲載値とも一致しています。
Q3. 今後はどうなりますか?
本記事では予測を書きません。社人研がほぼ5年ごとに出生動向基本調査を公表しており、最新の結果は同研究所の調査ページで確認できます。参考として、35〜49歳の未婚女性では「一生結婚するつもりはない」が53.4%、「いずれ結婚するつもり」が45.3%、未婚男性はいずれも5割前後と第17回結果の概要に記載されています。
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