
携帯電話の歴史は、出来事の年表だけでも、契約数のグラフだけでも半分しか見えません。同じ年軸に重ねると、どの出来事がどの水準で起きたのかを1枚でたどれます。
携帯電話の歴史は、1979年12月に東京23区で始まった自動車電話サービスにさかのぼります。総務省の通信白書によると、1979年度末(1980年3月末)の開通数は1,557でした。それから47年後の2025年度末(2026年3月末)、携帯電話の契約数は2億3,745万(事業者の単純合算)に達しています。始点と現在を比べると約15万倍で、人口1人当たりでは約1.9契約にあたります。
本記事では、通信白書・情報通信白書と総務省の情報通信統計データベースをつなぎ、出来事の年表と契約数の推移を1枚の図に重ねました。端末売切制、iモード、iPhone 3G、5Gといった出来事が、契約数のどの水準で起きたのかを順に見ていきます。なお、始点は「開通数」、現在は「契約数」で、定義は同じではありません。この点は図の注記と本文でその都度示します。
携帯電話は、いつからどれだけ増えたのか?
1979年に自動車電話として始まり、契約数は47年で約15万倍になった。
(1979→2025年度末・概数) 15万倍 1979年度末 1,557(開通数)→ 2025年度末 2億3,745万(契約数・単純合算) 人口比 188.24% / Subscriptions
本記事は楓が調査・編集しています。掲載情報は執筆時点のものです。数値・制度・サービス内容は変更される場合があるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。
携帯電話はいつ始まり、どこまで増えたか|1979年から2026年までの年表図

上段に出来事、下段に契約数を置き、年軸は等間隔のままにしました。線がほとんど動かない最初の十数年も、そのまま見えるようにしています。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
図の上段は主な出来事8点、下段は年度末ごとの契約数です。下段の左端にある1979年度末から1982年度末までの4つの点は、0の線にほぼ重なっています。1982年度末の加入数は1万9,804で、5,000万刻みの縦軸では読み取れない水準でした。
線が立ち上がるのは1994年の前後です。端末売切制が導入された1994年4月の直前、1993年度末の契約数は213万でした。1年後の1994年度末は433万、2年後の1995年度末は1,020万で、2年続けて前年度末の2倍を超えています。
ほかの出来事も同じように水準を読み取れます。iモードが始まった1999年2月の翌月、1998年度末の契約数は4,153万でした。iPhone 3Gが発売された2008年度の年度末は1億748万です。図の右端、2025年度末の2億3,745万は2026年3月末の値です。
線が下向きになった年度は1つもありません。1988年度末から2025年度末までの38時点を並べると、契約数は毎年度、前年度末を上回っています。
自動車電話の時代|1979年度末の開通数は1,557

最初の数年は数が小さく、グラフでは線に見えません。この時期は、端末の重さを横棒で比べるほうが変化をつかみやすくなります。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
自動車電話サービスは1979年12月3日、日本電信電話公社が東京23区で始めました。昭和55年版の通信白書によると、1980年3月末時点の申込数は2,894件、このうち開通数は1,557でした。1980年11月には大阪でもサービスが始まっています。
その後の通信白書には、1980年度末の開通数6,406、1981年度末の加入数1万3,275、1982年度末の加入数1万9,804が記録されています。3年で約12.7倍になりましたが、1982年度末でも2万に届いていません。1983年度末から1987年度末までの5時点は、一次資料で値を確認できていないため、本記事の図と表には載せていません。
この時期の電話は車に載せるものでした。情報通信白書によると、1985年に肩から下げて持ち運べるショルダーホンが登場し、重さは約3kgでした。水を入れた2リットルのペットボトル1.5本分にあたります。1987年にNTTが「携帯電話」の名称でサービスを始めたときの端末は750g、1991年に発売されたmovaは約230gです。
1988年2月には、日本移動通信と関西セルラー電話が第一種電気通信事業の許可を受けました。総務省の統計で年度末の契約数が件単位でそろうのは、この1988年度からです。1988年度末は24万2,888、人口比では0.2%でした。
1,000万から1億へ|1995年度末から2007年度末まで

節目の数字を超えた年度を横棒で並べます。棒が長いほど、サービス開始から年数がたっていることを示します。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
契約数が初めて1,000万を超えたのは1995年度末で、1979年度から数えて16年後です。その4年後の1999年度末に5,000万を超え、さらに8年後の2007年度末に1億を超えました。最初の1,000万までに16年、そこから1億までは12年です。
この期間には、方式と制度の変更が続きました。1993年3月にデジタル方式(第2世代)のサービスが始まり、1994年4月には端末売切制が導入されて、利用者が端末を所有できるようになりました。1996年には携帯電話の料金認可制が廃止されています。
1999年には、1月に携帯電話とPHSの電話番号が10桁から11桁に変わり、2月にiモードが始まりました。2000年には、携帯電話とPHSを合わせた契約数が固定電話(加入電話とISDN)を上回っています。同じ年にカメラを搭載した端末が登場し、2001年10月には第3世代のFOMAが本格サービスを開始しました。
PHSの契約数は1997年度末の6,727,023件が最大
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
同じ統計表にはPHSの契約数も載っています。PHSは1995年にサービスが始まり、1995年度末は1,508,114件、1996年度末は6,029,691件と、1年で約4倍になりました。年度末値の最大は1997年度末の6,727,023件です。
その後は2013年度末まで375万から585万の間で増減し、2014年度末からは毎年度減っています。2022年度末は63,883件で、総務省の統計表には2023年度以降のPHSの値がありません。
契約数が人口を上回ってから|2011年度末以降

契約数を人口で割った比率を折れ線にしました。100%の目盛りを超えた年度が、契約数が人口を上回った時点です。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
総務省が公表する人口比(契約数を人口で割った値)は、1988年度末の0.2%から上がり続け、2011年度末に100.1%となりました。契約数が人口を上回ったのは、この2011年度末が最初です。その10年後の2021年度末に契約数は2億を超え、2025年度末の人口比は188.24%です。
188.24%は、人口1人当たり約1.9契約にあたります。総務省は2021年12月以降の人口比を、2020年国勢調査の人口1億2,614万6,099人で計算しています。2025年度末の契約数2億3,745万4,140をこの人口で割ると1.88となり、公表値と一致します。
契約数は、人の数ではなく回線の数を数えた統計です。総務省の四半期データには、移動系通信の契約数から通信モジュール(機器に組み込まれた通信回線)を除いた値も掲載されています。内訳ごとの増減は、本記事では扱っていません。
2億3,745万と2億3,131万|2026年3月末に2つの値がある
2026年3月末の携帯電話契約数には、総務省の資料の中に2つの値があります。長期の推移を示す統計表では2億3,745万(事業者の単純合算)、四半期データでは2億3,131万(グループ内取引調整後)です。後者は、同じグループ内の事業者間の取引による重複を調整した値です。
1988年度から続く長期の系列は単純合算でしかそろわないため、本記事の図と表は単純合算の値で統一しました。2つの値の差は約614万です。
通信方式の世代交代|第1世代から5Gまで

通信方式は、新しい世代が始まってもすぐには切り替わりません。開始と終了を帯で並べると、世代どうしが重なっている期間が見えます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
第1世代(アナログ方式)は1979年12月の自動車電話とともに始まり、総務省 関東総合通信局の資料によると2000年9月に終了しました。第2世代(デジタル方式)は1993年3月に始まり、2012年7月に終了しています。第1世代と第2世代が並行していた期間は7年6か月、第2世代と第3世代は10年9か月です。
第3世代は、NTTドコモのFOMAが2001年10月に本格サービスを開始しました。同社は2010年12月にLTE方式のXi、2020年3月に5Gの提供を始めています。FOMAとiモードは2026年3月31日に終了しました。本格サービスの開始から24年6か月です。
総務省の四半期データで方式別の契約数を見ると、2025年6月末の時点で5Gが1億1,571万、LTEが1億1,151万となり、5GがLTEを上回っています(同資料のグラフに記載の値)。2026年3月末は5Gが1億2,632万、LTEが1億885万です。
携帯電話の年表|1979年から2026年までの23の年

図に載せきれなかった出来事を、年の順にすべて並べます。同じ年の出来事は1行にまとめました。
年表の出来事は、総務省の通信白書・情報通信白書、関東総合通信局の資料、事業者の公表資料で年を確認できたものに限っています。個々の機種の発売や料金プランの多くは載せていません。
同じ形式の年表は「ゲーム機の歴史を年表で図解」でも作成しています。国・地域別の利用状況は「世界のインターネット普及率、地域別データ」にまとめました。
年度末の契約数と人口比の一覧(1979〜2025年度末)
| 時点 | 携帯電話の契約数 | 人口比 |
|---|---|---|
| 1979年度末 | 1,557(開通数) | 記載なし |
| 1980年度末 | 6,406(開通数) | 記載なし |
| 1981年度末 | 13,275(加入数) | 記載なし |
| 1982年度末 | 19,804(加入数) | 記載なし |
| 1988年度末 | 242,888 | 0.20% |
| 1989年度末 | 489,558 | 0.40% |
| 1990年度末 | 868,078 | 0.70% |
| 1991年度末 | 1,378,108 | 1.10% |
| 1992年度末 | 1,712,545 | 1.40% |
| 1993年度末 | 2,131,367 | 1.70% |
| 1994年度末 | 4,331,369 | 3.50% |
| 1995年度末 | 10,204,023 | 8.10% |
| 1996年度末 | 20,876,820 | 16.60% |
| 1997年度末 | 31,526,870 | 25.10% |
| 1998年度末 | 41,530,002 | 33.10% |
| 1999年度末 | 51,138,946 | 40.70% |
| 2000年度末 | 60,942,407 | 48.00% |
| 2001年度末 | 69,121,131 | 54.50% |
| 2002年度末 | 75,656,952 | 59.60% |
| 2003年度末 | 81,519,543 | 64.20% |
| 2004年度末 | 86,997,644 | 68.50% |
| 2005年度末 | 91,791,942 | 71.80% |
| 2006年度末 | 96,717,920 | 75.70% |
| 2007年度末 | 102,724,567 | 80.40% |
| 2008年度末 | 107,486,667 | 84.10% |
| 2009年度末 | 112,182,922 | 87.80% |
| 2010年度末 | 119,535,344 | 93.30% |
| 2011年度末 | 128,204,758 | 100.10% |
| 2012年度末 | 136,043,361 | 106.20% |
| 2013年度末 | 144,014,699 | 112.50% |
| 2014年度末 | 152,697,747 | 119.20% |
| 2015年度末 | 156,562,122 | 123.20% |
| 2016年度末 | 163,496,760 | 128.60% |
| 2017年度末 | 171,074,475 | 134.60% |
| 2018年度末 | 178,850,091 | 140.72% |
| 2019年度末 | 185,977,613 | 146.33% |
| 2020年度末 | 195,450,892 | 153.78% |
| 2021年度末 | 204,060,101 | 161.76% |
| 2022年度末 | 211,844,256 | 167.94% |
| 2023年度末 | 223,160,098 | 176.91% |
| 2024年度末 | 229,794,999 | 182.17% |
| 2025年度末 | 237,454,140 | 188.24% |
出典:総務省「情報通信統計データベース 携帯・PHSの加入契約数の推移(単純合算)」(令和8年3月末時点)、通信白書(昭和55〜58年版)
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
楓のまとめ|年表から読み取れる3つの観察

ここまでの図と年表を、3つの観察にまとめます。評価や見通しではなく、資料から読み取れる事実だけを並べます。
携帯電話の47年を、出来事の年表と契約数の線を重ねて見てきました。始点の数、節目を超えた年度、通信方式の入れ替わりの3点に分けて整理します。
3つの観察を重ねると、年表の上で目印になる位置が2つあります。契約数が2年続けて倍増した1994年度から1995年度と、人口比が100%を超えた2011年度末です。前者は端末売切制の導入(1994年4月)と同じ時期、後者は第2世代の終了(2012年7月)の4か月前にあたります。出来事と数字を同じ年軸に置くと、こうした前後関係をそのまま確認できます。
よくある質問(FAQ)

年や数字を引用するときは、時点(年度末か暦年か)と定義(開通数か契約数か、単純合算か調整後か)をあわせて確認してください。
Q1. 日本で携帯電話が始まったのはいつですか?
起点は1979年12月3日に東京23区で始まった自動車電話サービスです。肩から下げて持ち運べるショルダーホンは1985年に登場し、「携帯電話」の名称のサービスは1987年にNTTが始めました。総務省の統計で年度末の契約数が件単位でそろうのは1988年度末(24万2,888)からです。
Q2. 契約数が人口より多いのは、どういうことですか?
契約数は人の数ではなく、回線の数を数えた統計です。総務省の公表値では、2011年度末に人口比が100.1%となり、2025年度末は188.24%でした。四半期データには、移動系通信の契約数から通信モジュールを除いた値も別に掲載されています。
Q3. 3G(第3世代)はいつ終わりましたか?
NTTドコモの第3世代サービス「FOMA」は、iモードとともに2026年3月31日に終了しました。2001年10月の本格サービス開始から24年6か月です。それ以前の世代は、総務省 関東総合通信局の資料によると、第1世代が2000年9月、第2世代が2012年7月に終了しています。
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