
ゲームの市場規模は、年によって指標名も集計の範囲も違います。まず「どの調査の、どの定義の数字か」をそろえてから並べると、家庭用とスマホ向けの動きがはっきり見えてきます。
国内のゲーム市場は、2025年の国内ゲームコンテンツ市場規模が2兆5,885億円となり、前年から8.0%増えました。ただし指標名と調査方法は2024年を対象とする公表分から変わっており、2023年以前の金額とそのまま引き算することはできません。4年を通して並べられるのは、各年の白書がそれぞれの基準の中で示した前年比だけです。
本記事では、ファミ通ゲーム白書2023から2026までの発刊リリース、ファミ通マーケティング速報、CESAゲーム産業レポート2025といった公表資料をもとに、市場規模の年次値、金額の内訳、家庭用の店頭市場、デバイス別のゲーム人口、世界との対比を図解で整理します。金額で見た構図と人数で見た構図が違うことも、あわせて観察します。
国内のゲーム市場は、どう変わったのか?
2025年の国内ゲームコンテンツ市場規模は2兆5,885億円。
本記事は楓が調査・編集しています。掲載情報は執筆時点のものです。数値・制度・サービス内容は変更される場合があるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。
国内のゲーム市場はいくらになったか

最初に、金額そのものを年ごとに並べます。ただし棒を4本つなげて読むことはできません。区画を分けたうえで、前年比だけを別の帯に取り出しています。
角川アスキー総合研究所が2026年8月6日に公表した「ファミ通ゲーム白書2026」によれば、2025年の国内ゲームコンテンツ市場規模は2兆5,885億円でした。前年比は8.0%増で、同じ資料が示す世界市場の伸び率3.5%増を上回っています。この市場規模には、家庭用ゲーム機・PC・モバイル機器で動作するゲームソフトに加えて、追加コンテンツやアイテム課金、サブスクリプションなどの金額が含まれます。
1年前の「ファミ通ゲーム白書2025」では、2024年の国内ゲームコンテンツ市場規模を2兆3,961億円、前年比3.4%増としています。さらに前の版では、2023年の国内ゲーム市場規模を2兆1,255億円、2022年を2兆316億円と公表していました。金額の数字は4つ並びますが、後ろの2つと前の2つは指標名が異なります。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
金額の物差しは途中で変わっている

公表値どうしを突き合わせると、基準が変わったことが計算のうえでも確かめられます。年次データは切り替え表にまとめたので、3つの面を行き来しながら確認してみてください。
2兆1,255億円(2023年)から2兆3,961億円(2024年)への変化を単純に計算すると12.7%増になります。ところが「ファミ通ゲーム白書2025」は、同じ2024年の値を前年比3.4%増と公表しています。逆算すると、新しい基準での2023年はおよそ2兆3,173億円にあたり、前年に公表された2兆1,255億円とは約1,900億円ずれます。
指標名も「国内ゲーム市場規模」から「国内ゲームコンテンツ市場規模」に変わりました。「ファミ通ゲーム白書2025」の発刊リリースには、本年より調査方法を変更しているため昨年公表の数値と一部の定義が異なる、という注記が添えられています。2つの数字は、同じ名前の別の物差しで測られた値です。
したがって、この記事では基準をまたぐ差分や伸び率を計算しません。たとえば2022年の2兆316億円と2025年の2兆5,885億円を引き算した「3年で5,569億円増えた」という書き方は、測り方が途中で変わっているため成り立ちません。並べられるのは、各年の白書が自らの基準の中で示した前年比です。
| 対象年 | 指標名(公表どおり) | 金額 | 前年比 | 公表 |
|---|---|---|---|---|
| 2022年 | 国内ゲーム市場規模 | 2兆316億円 | +1.4% | 白書2023 |
| 2023年 | 国内ゲーム市場規模 | 2兆1,255億円 | +4.6% | 白書2024 |
| 2024年 | 国内ゲームコンテンツ市場規模 | 2兆3,961億円 | +3.4% | 白書2025 |
| 2025年 | 国内ゲームコンテンツ市場規模 | 2兆5,885億円 | +8.0% | 白書2026 |
2022・2023年は「国内ゲーム市場規模」、2024・2025年は「国内ゲームコンテンツ市場規模」で、定義が異なります。金額を基準をまたいで引き算することはできません。
| 区分 | 金額 | 前年比 |
|---|---|---|
| 家庭用ゲームハード | 2,098億円 | +3.4% |
| 家庭用ゲームソフト | 3,893億円 | +5.9% |
| オンラインプラットフォーム | 1兆6,568億円 | +0.9% |
| うちゲームアプリ | 1兆2,433億円 | −4.4% |
| うちPCゲーム | 1,892億円 | +43.2% |
| うち家庭用ゲーム機向けオンライン(編集部試算) | 2,243億円 | 非公表 |
| 国内ゲーム市場規模(公表総額) | 2兆316億円 | +1.4% |
家庭用ハードはゲーム機本体、家庭用ソフトは家庭用ゲーム機で動作するゲームコンテンツ、オンラインプラットフォームはスマートフォン・タブレット・PCなどネットワーク接続を前提とした区分です。公表資料の注記により、内訳グラフに限って家庭用ゲーム機向けのオンライン市場は「家庭用ソフト」に含められています。
| 対象年 | 総数 | モバイル | 家庭用 | PC |
|---|---|---|---|---|
| 2023年 | 5,553万人 | 非公表 | 2,971万人 | 非公表 |
| 2024年 | 5,475万人 | 4,278万人 | 2,951万人 | 1,452万人 |
| 2025年 | 5,639.3万人 | 非公表 | 非公表 | 非公表 |
「ファミ通ゲーム白書2025」には、本年より調査方法を変更しているため昨年公表の数値と一部の定義が異なる、との注記があります。2023年以前と2024年以降の人数を直接比較することはできません。2025年は前年比3.0%増で、家庭用とPCは前年をわずかに上回り、モバイルは前年を下回ったと公表されています。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
内訳の8割はどこにあるか

金額の内訳がそろって公表されている直近は2022年です。区分ごとの金額を足し算の形で並べると、公表総額との差がそのまま見えてきます。
「ファミ通ゲーム白書2023」によれば、2022年の内訳は家庭用ゲームハードが2,098億円、家庭用ゲームソフトが3,893億円、オンラインプラットフォームが1兆6,568億円でした。その内側では、ゲームアプリが1兆2,433億円、PCゲームが1,892億円です。1兆6,568億円は公表総額2兆316億円の81.6%にあたり、金額でみた市場の8割はネットワーク接続を前提とした区分にあります。
ここで注意が必要なのは、区分名と中身の対応です。オンラインプラットフォームはスマートフォンとタブレットに加えて、PCを含みます。スマートフォン・タブレット向けにあたるのはゲームアプリの1兆2,433億円で、1兆6,568億円をそのまま「スマホ市場」と読むことはできません。
3つの区分を単純に足すと2兆2,559億円になり、公表総額の2兆316億円を2,243億円上回ります。公表資料の注記によれば、家庭用ゲーム全体の規模を示すために、内訳グラフに限って家庭用ゲーム機向けのオンライン市場が「家庭用ソフト」側に含められています。オンラインプラットフォームの1兆6,568億円からゲームアプリとPCゲームを差し引いた2,243億円が、その分にあたります。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
紙と電子で構成が入れ替わっていく動きは、書籍の市場でも公表値をたどることができます。紙の本と電子書籍、売上構成11年の推移を図解【2026年】でも、同じように区分ごとの金額を並べて整理しています。
スマホ向けと家庭用、内側の動き

8割を占める区分の内側では、伸びている部分と横ばいの部分が分かれています。2つの年を線で結ぶと、その差がはっきりします。
「ファミ通ゲーム白書2024」によれば、2023年のオンラインプラットフォーム市場は1兆7,216億円で、公表総額2兆1,255億円の81.0%にあたります。そのうちゲームアプリ市場は1兆2,351億円で、前年比0.7%減でした。減少幅は前年より縮まったものの、ゲームアプリ市場が前年を下回るのは、この年で3年連続でした。
同じ資料で、PCゲーム市場は前年比24.9%増と公表されています。ただし2023年のPCゲーム市場の金額は公表されておらず、伸び率だけが示されています。この記事では、公表されていない金額を推計して図に載せることはしていません。
なお「ファミ通ゲーム白書2024」の発刊リリースは、冒頭の要約で国内ゲームアプリを1兆2321億円、内訳を説明する本文で1兆2351億円と、同じ資料の中で30億円異なる2つの値を示しています。この記事では、内訳を詳しく述べている本文側の1兆2,351億円を採用しました。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
同じように、既存の入口と新しい入口が並走している分野には映像もあります。映画館動員数と動画配信視聴時間の推移を比較図解【2026年】では、劇場と配信の数字を並べて観察しています。
家庭用の店頭市場は2025年にどう動いたか

家庭用ゲームには、白書とは別に、店頭での売上を集計した速報値があります。含まれる範囲が違うので、白書の金額とは混ぜずに、この系列だけで見ていきます。
KADOKAWAが2026年1月19日に公表した「ファミ通」マーケティング速報によれば、2025年の国内家庭用ゲーム市場規模は4,181.3億円でした。内訳はハードが2,826.9億円、パッケージソフトが1,354.4億円です。2024年は3,013.2億円(ハード1,894.0億円、パッケージソフト1,119.2億円)で、合計は前年同期比138.8%、ハードは149.3%、ソフトは121.0%と公表されています。
この系列は店頭および通信販売分で、ダウンロード販売・追加コンテンツ・アイテム課金などのデジタル決済を含みません。白書が示す市場規模とは集計の範囲が異なるため、同じ2025年の数字であっても、2兆5,885億円の内訳として4,181.3億円を差し引くような読み方はできません。
集計期間にも注意が必要です。2025年は2024年12月30日から2025年12月28日までの52週、2024年は2024年1月1日から12月29日までの52週ですが、2023年は53週で集計されています。その2023年の市場規模は4,038.8億円でした。
ハードの販売台数では、2025年6月に発売されたNintendo Switch 2が年末までに378.4万台、Nintendo Switchが152.0万台、プレイステーション5が87.9万台と公表されています。パッケージソフトでは『マリオカート ワールド』が266.8万本で年間首位でした。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
遊んでいる人の数で見るとどうか

金額のシェアと、遊んでいる人の数のシェアは別の話です。デバイス別の人数を並べると、合計が総数を上回るという特徴が見えます。
CESAが2025年12月15日に発刊した「CESAゲーム産業レポート2025」によれば、2024年の国内ゲーム人口は5,475万人でした。プラットフォーム別では、モバイルゲームが4,278万人で前年比1.8%減、PCゲームが1,452万人で0.5%増、家庭用ゲームが2,951万人で0.7%減です。
3つを単純に足すと8,681万人になり、総数の5,475万人を3,206万人上回ります。同じ人が複数のデバイスで数えられているためで、人数の内訳は足し算で総数に戻りません。「ファミ通ゲーム白書2025」も、家庭用・PC・モバイルのうち2つ以上のデバイスで遊ぶ人を2,478.2万人と公表しています。
金額では8割がオンライン経由(2023年)である一方、人数ではモバイルが4,278万人、家庭用が2,951万人(いずれも2024年)です。金額のシェアと利用者数のシェアは、同じ順序では並びません。なお2025年のゲーム人口は5,639.3万人で、前年から164.0万人増えたと公表されています。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
世界の中での日本の位置

最後に、世界の市場規模と並べます。世界の金額は円に換算された値なので、為替の前提もあわせて見ておくと読み違いが減ります。
「ファミ通ゲーム白書2026」によれば、2025年の世界ゲームコンテンツ市場規模は32兆1,024億円(2,145.6億ドル)で、前年比3.5%増でした。同一通貨ベースでは5.0%増です。円換算には期中平均レートが使われており、1米ドルは2025年が149.62円、2024年が151.69円とされています。
国内の2兆5,885億円を世界の32兆1,024億円で割ると8.1%になります。金額でみると、世界のゲームコンテンツ市場のおよそ12分の1が国内にあたります。カテゴリ別の前年比は、家庭用ゲームが8.0%増、PCゲームが5.8%増、モバイルゲームが1.3%増で、3つとも前年を上回りました。
1人あたりに直すと見え方が変わります。2025年の国内市場規模2兆5,885億円を、同じ年のゲーム人口5,639.3万人で割ると、1人あたり年およそ4万5,900円、月あたりおよそ3,800円にあたります。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
日本発のコンテンツが世界の市場でどのくらいの位置にあるかは、映像の分野でも数字が公表されています。アニメ産業の市場規模と輸出額をデータと図解で解説【2026年】では、国内と海外の売上を分けて整理しています。
楓のまとめ

同じ「ゲーム市場」という言葉でも、資料によって測っている範囲が違います。この記事で並べた数字を、最後に3つの観察事実として整理しておきます。
市場規模、内訳、店頭市場、人数、世界との対比という5つの角度から数字を並べてきました。どれも公表された値ですが、集計の範囲も対象年も一様ではありません。数字に順位をつけるのではなく、それぞれが何を測っているかを添えたまま、観察事実として整理します。
3つを重ねて読むと、「ゲーム市場はどう変わったか」という問いへの答えは、どの資料の、どの定義の数字を、どの年の範囲で見るかによって形を変えることが分かります。金額が伸びている区分と人数が減っている区分が同時に存在することも、公表値の中にそのまま示されています。
よくある質問(FAQ)

ゲーム市場の数字を調べるときは、指標名・集計範囲・対象年の3点をセットで確認してください。この3点が変わるだけで、同じ「市場規模」でも金額が変わります。
Q1. 国内のゲーム市場規模は、年によって出典が違うのはなぜですか?
ファミ通ゲーム白書は2025年版から、指標名を「国内ゲーム市場規模」から「国内ゲームコンテンツ市場規模」に変更し、調査方法も見直しています。そのため2022・2023年の値と2024・2025年の値は定義が異なり、金額をそのまま引き算することはできません。この記事では基準ごとに区分して掲載しています。年次データの切り替え表でも、どちらの基準の値かを添えています。
Q2. 「オンラインプラットフォーム」はスマホゲームのことですか?
スマートフォンとタブレットに加えて、PCも含む区分です。2022年の1兆6,568億円のうち、スマートフォン・タブレット向けにあたるゲームアプリは1兆2,433億円、PCゲームは1,892億円でした。残る2,243億円は、公表資料の注記により家庭用ゲーム機向けのオンライン市場にあたります。
Q3. 家庭用ゲームの市場規模が、記事の中で2つ出てくるのはなぜですか?
ファミ通ゲーム白書の年間推計(ダウンロードや課金を含む)と、ファミ通マーケティング速報の店頭販売分(ダウンロード販売・追加コンテンツ・アイテム課金を含まない)は、集計の範囲が異なるためです。2025年の店頭販売分は4,181.3億円で、白書が示す国内ゲームコンテンツ市場規模2兆5,885億円とは別の系列です。
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