
「看護師は足りない」という言い方はよく耳にしますが、就業している看護師の人数そのものは、40年前からどう動いてきたのでしょうか。厚生労働省が2年ごとに数えている衛生行政報告例を、昭和59年末から令和6年末まで21時点並べて、看護師と准看護師の2本の線で見比べてみます。
就業看護師の数は、昭和59年(1984年)末の308,415人から令和6年(2024年)末の1,363,142人へ、40年で1,054,727人(約105万人)増えました。厚生労働省「衛生行政報告例(就業医療関係者)」の各年末現在・実人員の値で、4.42倍にあたります。隔年20回の調査すべてで前回を上回り、一度も減っていません。
一方、准看護師は平成14年(2002年)末の393,413人を頂点に、令和6年末には233,022人まで4割減りました。看護師は増え続け、准看護師は平成14年を境に減り続け、男性看護師は1割弱まで増えたというのが、この40年の輪郭です。人口10万人当たり1,101.1人という水準は、住民およそ91人に1人が就業看護師である計算になります(📊筆者試算:100,000÷1,101.1≒90.8。平成4年末の354.6人はおよそ282人に1人)。
本記事では、令和7年7月29日に公表された令和6年の概況を最新年として、昭和59年末からの21時点を1枚の折れ線で通し、男女別の推移、隔年の増加数、年齢構成と就業場所の変化を順に図解します。就業者数が増えたという事実から、不足が解消したとも、まだ足りないとも書きません。この統計が数えているものと、数えていないものを分けて観察していきます。
看護師は、この40年で何人増えたのか。
昭和59年末から令和6年末までに105万人増え、4.4倍になった。
出典:厚生労働省「衛生行政報告例(就業医療関係者)」(令和6年ほか・各年末現在)
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
本記事は楓が調査・編集しています。掲載情報は執筆時点のものです。数値・制度・サービス内容は変更される場合があるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。
就業看護師は40年で何人増えたか|昭和59年末から令和6年末までの21時点

21時点を表で追うと数字の列になってしまうので、看護師と准看護師の2本を同じ縦軸に重ねた折れ線にしました。片方が上がり続け、もう片方が途中で折り返す形が、1枚で見えてきます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
昭和59年(1984年)末の就業看護師は308,415人でした。平成2年(1990年)末に404,764人と40万人台に入り、平成12年(2000年)末には653,617人、平成26年(2014年)末には1,086,779人と100万人台に乗ります。令和6年(2024年)末は1,363,142人で、本記事が参照する昭和59年以降の21時点で最も多い値です。40年間の増加分は1,054,727人、倍率は4.42倍になります。
同じ期間の准看護師は、昭和59年末の281,762人から平成14年(2002年)末の393,413人まで増えたあと、反転しました。平成16年末以降は隔年11回連続で減り、令和6年末は233,022人です。看護師は隔年20回の調査すべてで前回を上回り、准看護師は平成14年を境に減少に転じたというのが、2本の線から読み取れる方向のねじれです。ピークからの減少幅は160,391人(−40.8%)、昭和59年末との比較では48,740人(−17.3%)の減少になります。
2職種を合計すると、昭和59年末の590,177人から令和6年末の1,596,164人へ2.70倍です。この合計に占める准看護師の割合は、昭和59年末の47.7%から平成14年末の35.9%、令和6年末の14.6%へと下がりました。准看護師の減少がどのような経緯で進んだのかについて、概況はその理由を示していません。本記事も理由には踏み込まず、人数の推移だけを観察します。
名称について1点補足します。平成14年3月から「看護婦(士)」「准看護婦(士)」は「看護師」「准看護師」に改称されました。図の平成12年以前の数値は改称前の名称で公表されたもので、統計の対象は同じです。本文では現在の名称で通しています。
増え方は一定ではない|隔年の増加数で見る20回

増え続けたことは折れ線で分かりますが、どの2年間にどれだけ増えたかは、増加数を棒で並べたほうがはっきりします。20本の高さの差を見ておきます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
前回調査からの増加数を20回分並べると、すべてプラスであることに加えて、その幅が一定ではないことが分かります。最も大きかったのは平成20年末から平成22年末にかけての75,541人で、最も小さかったのは令和2年末から令和4年末にかけての30,776人でした。直近の令和4年末から令和6年末は51,455人です。
昭和60年代から平成のはじめにかけては1回あたり3万人台から4万人台、平成8年以降は5万人台から7万人台の増加が続きました。令和4年末の30,776人は前後の回の半分程度にあたります。令和2年末から令和4年末の増加幅だけが、前後の回と比べて明確に小さい点は事実として記録できますが、概況はその理由を示していません。感染症の流行や離職と結び付ける説明は、この統計からは導けません。
男性看護師は何人になったか|平成4年末からの男女別推移

タイトルの「男女別」はこの図が担当します。男性の人数を棒、看護師全体に占める割合を折れ線にして、同じ図に重ねました。男女別の公表は平成4年分からなので、期間は32年になります。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
男性看護師は平成4年(1992年)末の10,810人から令和6年(2024年)末の118,068人へ、32年で107,258人増え、10.9倍になりました。看護師全体に占める割合は2.4%から8.7%です。割合は隔年17時点のすべてで前回を上回っており、8.7%は平成4年以降で最も高い値です。
女性看護師も同じ期間に430,499人から1,245,074人へ2.89倍に増えています。看護師全体の増加は男性の増加だけで説明できるものではなく、女性の増加分が人数の大部分を占めている点は、割合の推移だけを見ていると見落としやすいところです。平成4年末から令和6年末までの増加分を男女で分けると、男性が107,258人、女性が814,575人です。
准看護師の男性は、平成4年末の15,730人(4.4%)から令和6年末の17,691人(7.6%)で、人数はほぼ横ばいです。割合が上がっているのは女性の准看護師が減っているためで、看護師とは異なる形の変化です。男女比の変化をどう受け止めるかについて、本記事は評価を加えず、人数と割合の推移を記録するにとどめます。
増えた130万人の中身|年齢構成はどう変わったか

人数の増加を、誰が増えたのかに分けてみます。平成18年末と令和6年末の年齢構成を左右に並べ、最も人数の多い階級に色を付けました。山の位置が下へ移っているのが見どころです。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
就業看護師の年齢構成を平成18年(2006年)末と令和6年(2024年)末で比べると、最も人数の多い階級は25〜29歳(151,054人・18.6%)から45〜49歳(186,529人・13.7%)へ移りました。平成18年末は25〜34歳の2階級で35.8%を占めていましたが、令和6年末は同じ2階級で23.9%です。
60歳以上は、平成18年末の19,664人(2.4%)から令和6年末の143,481人(10.5%)になりました。令和6年の概況は60〜64歳(84,049人)と65歳以上(59,432人)を分けて公表しており、本記事は平成18年の区分に合わせて合算しています。18年間で60歳以上の就業看護師は7.3倍に増え、構成割合は4倍以上になったことになります。
准看護師では、令和6年末の最も人数の多い階級が65歳以上(44,314人・19.0%)です。看護師と准看護師の年齢構成の違いは、人数の推移の違いと合わせて見ておく必要があります。年齢構成の変化について、概況はその要因を示していません。
働く場所はどう変わったか|病院の割合と訪問看護ステーション

増えた看護師がどこで働いているかも、同じ概況の表から読めます。平成18年末と令和6年末の就業場所を100%の横棒で並べました。病院の幅が縮み、右側の朱色が広がっています。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
就業場所別に見ると、病院で働く看護師は平成18年末の613,027人(75.5%)から令和6年末の895,944人(65.7%)へ、人数は282,917人増えた一方で、割合は9.8ポイント下がりました。診療所は96,237人(11.9%)から194,665人(14.3%)へ2.02倍です。
訪問看護ステーションは23,354人(2.9%)から91,022人(6.7%)へ3.90倍、介護保険施設等は43,113人(5.3%)から107,984人(7.9%)へ2.50倍に増えました。この18年で最も倍率の高い就業場所は訪問看護ステーションで、病院の1.46倍を大きく上回っているのが、増えた130万人の中身の一つです。「介護保険施設等」の範囲は両年で異なり、令和6年は介護医療院を含みます。
令和6年末の常勤換算数は、看護師全体で1,244,944.4人(実人員1,363,142人)です。本記事の図解はすべて実人員で統一しており、常勤換算数とは一致しません。数値を引用する際は、年末現在・実人員・比較の相手を添えてお使いください。
年次データ一覧|看護師・准看護師・男女別の切替表

図で見た21時点と17時点の値を、そのまま表にしておきます。看護師・准看護師・男女別の3つをタブで切り替えられます。お手元の資料と照らし合わせるときにお使いください。
| 年末 | 就業看護師(人) | 前回比(人) |
|---|---|---|
| 1984年(昭和59年)末 | 308,415 | (起点) |
| 1986年(昭和61年)末 | 339,258 | +30,843 |
| 1988年(昭和63年)末 | 373,143 | +33,885 |
| 1990年(平成2年)末 | 404,764 | +31,621 |
| 1992年(平成4年)末 | 441,309 | +36,545 |
| 1994年(平成6年)末 | 492,352 | +51,043 |
| 1996年(平成8年)末 | 544,929 | +52,577 |
| 1998年(平成10年)末 | 594,447 | +49,518 |
| 2000年(平成12年)末 | 653,617 | +59,170 |
| 2002年(平成14年)末 | 703,913 | +50,296 |
| 2004年(平成16年)末 | 760,221 | +56,308 |
| 2006年(平成18年)末 | 811,972 | +51,751 |
| 2008年(平成20年)末 | 877,182 | +65,210 |
| 2010年(平成22年)末 | 952,723 | +75,541 |
| 2012年(平成24年)末 | 1,015,744 | +63,021 |
| 2014年(平成26年)末 | 1,086,779 | +71,035 |
| 2016年(平成28年)末 | 1,149,397 | +62,618 |
| 2018年(平成30年)末 | 1,218,606 | +69,209 |
| 2020年(令和2年)末 | 1,280,911 | +62,305 |
| 2022年(令和4年)末 | 1,311,687 | +30,776 |
| 2024年(令和6年)末 | 1,363,142 | +51,455 |
各年末現在・実人員。前回比は2年前の年末との差(本記事で計算)。
| 年末 | 就業准看護師(人) | 前回比(人) |
|---|---|---|
| 1984年(昭和59年)末 | 281,762 | (起点) |
| 1986年(昭和61年)末 | 300,678 | +18,916 |
| 1988年(昭和63年)末 | 321,856 | +21,178 |
| 1990年(平成2年)末 | 340,537 | +18,681 |
| 1992年(平成4年)末 | 354,501 | +13,964 |
| 1994年(平成6年)末 | 369,661 | +15,160 |
| 1996年(平成8年)末 | 383,967 | +14,306 |
| 1998年(平成10年)末 | 391,374 | +7,407 |
| 2000年(平成12年)末 | 388,851 | −2,523 |
| 2002年(平成14年)末 | 393,413 | +4,562 |
| 2004年(平成16年)末 | 385,960 | −7,453 |
| 2006年(平成18年)末 | 382,149 | −3,811 |
| 2008年(平成20年)末 | 375,042 | −7,107 |
| 2010年(平成22年)末 | 368,148 | −6,894 |
| 2012年(平成24年)末 | 357,777 | −10,371 |
| 2014年(平成26年)末 | 340,153 | −17,624 |
| 2016年(平成28年)末 | 323,111 | −17,042 |
| 2018年(平成30年)末 | 304,479 | −18,632 |
| 2020年(令和2年)末 | 284,589 | −19,890 |
| 2022年(令和4年)末 | 254,329 | −30,260 |
| 2024年(令和6年)末 | 233,022 | −21,307 |
各年末現在・実人員。平成14年(2002年)末の393,413人が本記事の期間で最も多い年。
| 年末 | 男(人) | 女(人) | 男の構成割合 |
|---|---|---|---|
| 1992年(平成4年)末 | 10,810 | 430,499 | 2.4% |
| 1994年(平成6年)末 | 12,768 | 479,584 | 2.6% |
| 1996年(平成8年)末 | 14,885 | 530,044 | 2.7% |
| 1998年(平成10年)末 | 17,807 | 576,640 | 3.0% |
| 2000年(平成12年)末 | 22,189 | 631,428 | 3.4% |
| 2002年(平成14年)末 | 26,160 | 677,753 | 3.7% |
| 2004年(平成16年)末 | 31,594 | 728,627 | 4.2% |
| 2006年(平成18年)末 | 38,028 | 773,944 | 4.7% |
| 2008年(平成20年)末 | 44,884 | 832,298 | 5.1% |
| 2010年(平成22年)末 | 53,748 | 898,975 | 5.6% |
| 2012年(平成24年)末 | 63,321 | 952,423 | 6.2% |
| 2014年(平成26年)末 | 73,968 | 1,012,811 | 6.8% |
| 2016年(平成28年)末 | 84,193 | 1,065,204 | 7.3% |
| 2018年(平成30年)末 | 95,155 | 1,123,451 | 7.8% |
| 2020年(令和2年)末 | 104,365 | 1,176,546 | 8.1% |
| 2022年(令和4年)末 | 112,164 | 1,199,523 | 8.6% |
| 2024年(令和6年)末 | 118,068 | 1,245,074 | 8.7% |
各年末現在・実人員。男の構成割合は概況掲載値(小数1桁)。男女別の公表は平成4年分から。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
表の値はすべて各概況の掲載値をそのまま転記したもので、本記事側で丸めや補正は加えていません。男性の構成割合は概況の掲載値(小数1桁)で、本記事側で男÷総数を再計算した結果と全17時点で一致することを確認しています。前回比の列は、前回調査との差を本記事側で計算した値です。
この統計が数えているもの|衛生行政報告例の読み方

ここまで見てきた数字は「就業している人数」です。必要な人数や不足の有無は、この統計の守備範囲の外にあります。数字を持ち帰る前に、読み方を4点に整理しておきます。
「看護師不足」という言い方が広く流通する一方で、本記事が並べた就業者数は40年間で一度も減っていません。ただし、この2つは矛盾する情報ではなく、別の問いに答えているものです。衛生行政報告例は就業している人数を数える統計で、必要な人数がいくつなのかを示していないため、就業者数が増えた事実から、不足が解消したとも、まだ足りないとも導くことはできません。
「不足」という言葉が、免許保持者に対する就業者の割合を指すのか、施設ごとの配置基準に対する充足を指すのか、地域差を指すのかは、この統計だけでは分かりません。厚生労働省の看護課による需給の推計は別系列の資料で、衛生行政報告例の実人員とは定義が異なります。本記事の図解には載せていません。
都道府県別の人口10万対の看護師数は、令和6年末の全国値が1,101.1人で、都道府県によって開きがあります。地域差は本記事の対象外とし、医師については公開済みの都道府県別の医師数で図解しています。看護師の地域差は、同じクラスターの別記事で扱う予定です。
楓のまとめ|増えた・減った・変わったを一枚に

21時点の推移、男女別、年齢構成、就業場所を一通り並べると、「増えた」「減った」「変わった」の3つに整理できます。4枚目の「答えていないこと」を含めて、観察事実として置いておきます。
「看護師は何人増えたか」という問いに対して、本記事の図解は、昭和59年末から令和6年末までの1,054,727人という答えと、その中身を示してきました。人数の推移に評価を加えず、見えたことだけを3つの観察事実にまとめます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
3つの観察事実を重ねると、この40年は「同じ看護師という職種が、人数・年齢・働く場所・男女比のすべてで別の姿になった40年」として整理できます。就業者数は増え続けているが、この統計は必要な人数がいくつなのかを示していないという4枚目の観察を添えて、数字を持ち帰っていただければと思います。次回の令和8年末分が公表されたとき、21時点の線がどこへ伸びたのかを、同じ図で確かめる予定です。
よくある質問(FAQ)

看護師の統計を読むときは、年末現在か、実人員か常勤換算か、看護師か看護職員4職種の合計かの3点をセットで確認してください。この3点が変わると、同じ「看護師数」でも数十万人の差が出ます。
Q1. 日本の看護師は何人いますか?
令和6年(2024年)末現在の就業看護師は1,363,142人です(厚生労働省「令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」、令和7年7月29日公表、実人員)。准看護師は233,022人で、保健師63,536人・助産師38,721人を合わせた看護職員4職種の合計は1,698,421人になります。常勤換算数は看護師で1,244,944.4人と実人員より少なく、どの数字を引用しているかで値が変わります。
Q2. 看護師が増えているのに「看護師不足」と言われるのはなぜですか?
衛生行政報告例では答えられない問いです。この統計は就業している人数を数えるもので、必要な人数、充足率、離職は調査していません。就業者数が40年で4.42倍になったという事実と、「不足」という言い方は、別の問いに答えているものです。「不足」が免許保持者に対する就業者の割合を指すのか、配置基準に対する充足を指すのか、地域差を指すのかは資料によって異なるため、本記事は就業者数の推移だけを記録しています。
Q3. 准看護師はなぜ減っているのですか?
概況はその理由を示していません。本記事で分かるのは、准看護師が平成14年(2002年)末の393,413人を頂点に隔年11回連続で減り、令和6年(2024年)末に233,022人(ピーク比−40.8%)になったこと、令和6年末の最も人数の多い年齢階級が65歳以上(44,314人・19.0%)であること、男性准看護師の人数は平成4年末の15,730人から令和6年末の17,691人とほぼ横ばいであることまでです。制度や養成の経緯と結び付ける説明は、この統計からは導けません。
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