
市町村ごとの治安は、件数の多い順と人口あたりの発生率の高い順を分けて見るのが近道です。群馬県は件数の上位と発生率の上位で顔ぶれが大きく入れ替わる県で、地図と一覧表を並べるとその違いがはっきり見えてきます。
群馬県の刑法犯認知件数は、2025年(令和7年)の年間値で15,283件でした。前年の14,593件から690件、率にして4.7%の増加です。県全体を人口千人あたりに直すと8.0件(県警公式値)ですが、この数字は市町村ごとに大きな開きがあり、件数で見るか発生率で見るかで、上位に来る市町村の顔ぶれも変わります。
全国の中で見ると、群馬県の犯罪率は47都道府県で高い方から2番目に位置します(分母を令和7年国勢調査の速報人口とする全国版の基準で8.18)。人口規模が大きくない県でも率では上位に来る例で、全国での位置づけは「都道府県 犯罪率ランキング【2026年】」で確認できます。
本記事では、群馬県警察が公表した「市町村別の手口犯罪発生状況」と「市町村別人口1,000人当たりの犯罪発生状況」(いずれも令和7年中)をもとに、県内35市町村(12市15町8村)の件数と発生率を地図と一覧表で整理します。率と順位は県警の公式公表値をそのまま用い、指標によって像がどう変わるかを観察していきます。
群馬県の犯罪は、市町村ごとにどれくらい違う?
件数で見ると人口の大きい4市が並ぶが、人口あたりの発生率では草津町が最も高く、顔ぶれが入れ替わる。
本記事は楓が調査・編集しています。掲載情報は執筆時点のものです。数値・制度・サービス内容は変更される場合があるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。
群馬県全体の犯罪はどう動いてきたか

まず県全体の流れからです。市町村別の話に入る前に、県全体の件数がここ数年どう動いてきたかを押さえておくと、いまの水準の意味がつかみやすくなります。
群馬県の刑法犯認知件数は、令和3年(2021年)の9,079件を直近の底に、令和4年10,159件、令和5年13,326件、令和6年14,593件、令和7年15,283件と推移しています。令和3年を直近の底に4年連続で増え、令和7年は直近5年間で最も多い件数になりました。
増え方の幅は年によって異なり、令和5年の前年比+31.2%が最も大きく、令和6年は+9.5%、令和7年は+4.7%と、増加の勢いは緩やかになっています。15,283件という年間の件数は、単純に365日で割ると1日あたり約42件に相当します(15,283件÷365日・編集部試算)。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
認知件数が多いのはどの市町村か

ここからが市町村別の話です。最初は件数そのものが多いのはどこかを見ます。件数は人口の多さがそのまま反映されやすい指標です。
令和7年の認知件数を市町村別に見ると、最も多いのは高崎市の2,567件でした。前橋市2,466件、太田市2,450件、伊勢崎市2,160件が続き、5位の館林市は735件です。上位4市が2,000件台で並び、5位以下との間に大きな差があるのが群馬県の件数分布の特徴です。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
件数の集まり方を見ると、上位4市(高崎・前橋・太田・伊勢崎)の合計は9,643件で、市町村分15,124件の約64%を占めます。ただし1位の高崎市単独では約17%にとどまり、特定の1市に集中する形ではありません。二大都市の高崎・前橋と、東毛の太田・伊勢崎に分かれて集まる、4つの極を持つ構成です。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
前年からの増減では、太田市の+444件が県内で最も大きく、館林市の+128件、草津町の+35件が続きます。一方で伊勢崎市は85件の減少でした。件数の上位4市の中でも、増えた市と減った市が分かれています。
発生率が高いのはどの市町村か

次に、人口の大きさの影響を取り除いた、人口あたりの発生率で見ます。件数を人口で割ると、街の大きさに関係なく、住む人あたりでどれくらい起きているかを比べられます。
人口千人あたりの発生率(県警公式値)で並べ替えると、上位の顔ぶれが大きく変わります。最も高いのは草津町の13.7で、太田市11.0、板倉町10.9、大泉町10.6、伊勢崎市10.2と続きます。発生率の上位10のうち8つを、県東南部にあたる東毛の市町が占めています。
順位の変動も見逃せません。前年(令和6年)の発生率1位は伊勢崎市の10.6でしたが、令和7年は草津町が前年の8.0(8位)から13.7へと上がって1位になりました。草津町は人口約6千人の町で、件数は48件から83件へと35件増えています。率1位の顔ぶれが1年で入れ替わったことが、令和7年の大きな変化です。
地図にすると、発生率の地域差が面で見えてきます。東毛はほぼ全域で色が濃く、西毛・北毛の山間部の村では色が薄くなっています。北毛の中では草津町だけが濃い色で点のように浮かんでおり、面で高い東毛と、点で高い草津町という2つの形を1枚で確認できます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
「件数」と「発生率」で顔ぶれが入れ替わる

件数の上位5と発生率の上位5を並べて、同じ市町を線で結んでみます。規模で見るか密度で見るかで、どの街が上位に来るかが変わることが1枚で分かります。
件数1位の高崎市は発生率では17位、件数2位の前橋市は12位で、いずれも県全体の8.0を下回ります。逆に発生率1位の草津町は件数では22位、3位の板倉町は16位です。一方で太田市は件数3位かつ発生率2位、伊勢崎市は件数4位かつ発生率5位と、東毛の2市は両方の上位に登場します。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
規模の大きい街が率では下がり、小さな町が率では上位に来る入れ替わりは多くの県で見られます。その中で群馬県は、太田・伊勢崎のように件数と発生率の両方で上位に入る市があるのが特徴です。どちらの指標で見るかによって、県内の治安の地図は違う顔を見せます。
お住まいの市町村が県内で何位なのかは、次の一覧表で確認できます。全35市町村を、発生率の高い順と認知件数の多い順の2つのタブで収録しました。率と順位は群馬県警察の公式公表値をそのまま掲載しています。
群馬県 全35市町村 犯罪ランキング一覧(令和7年)
タブで「発生率が高い順」と「認知件数が多い順」を切り替えられます。発生率と順位は群馬県警察の公式公表値をそのまま掲載しています。表示上は同じ率でも、順位は県警の精密な値の順によります。
| 順位 | 市町村 | 発生率(千対) | 件数 |
|---|---|---|---|
| 1 | 草津町 | 13.7 | 83 |
| 2 | 太田市 | 11.0 | 2,450 |
| 3 | 板倉町 | 10.9 | 147 |
| 4 | 大泉町 | 10.6 | 441 |
| 5 | 伊勢崎市 | 10.2 | 2,160 |
| 6 | 館林市 | 10.0 | 735 |
| 7 | 明和町 | 9.8 | 105 |
| 8 | 千代田町 | 9.2 | 100 |
| 9 | みどり市 | 8.5 | 414 |
| 10 | 邑楽町 | 8.5 | 218 |
| 11 | 榛東村 | 7.7 | 112 |
| 12 | 前橋市 | 7.5 | 2,466 |
| 13 | 桐生市 | 7.3 | 734 |
| 14 | 東吾妻町 | 7.2 | 87 |
| 15 | 下仁田町 | 7.2 | 44 |
| 16 | 長野原町 | 7.1 | 36 |
| 17 | 高崎市 | 7.0 | 2,567 |
| 18 | 渋川市 | 6.7 | 481 |
| 19 | 藤岡市 | 6.6 | 404 |
| 20 | 高山村 | 6.4 | 21 |
| 21 | 富岡市 | 5.4 | 246 |
| 22 | 吉岡町 | 5.4 | 123 |
| 23 | 安中市 | 5.4 | 291 |
| 24 | 嬬恋村 | 5.0 | 45 |
| 25 | 玉村町 | 4.9 | 175 |
| 26 | 中之条町 | 4.7 | 67 |
| 27 | 沼田市 | 4.5 | 197 |
| 28 | 甘楽町 | 4.3 | 53 |
| 29 | みなかみ町 | 4.1 | 70 |
| 30 | 昭和村 | 3.7 | 26 |
| 31 | 神流町 | 3.3 | 5 |
| 32 | 川場村 | 3.0 | 9 |
| 33 | 片品村 | 2.0 | 8 |
| 34 | 上野村 | 2.0 | 2 |
| 35 | 南牧村 | 1.4 | 2 |
| 順位 | 市町村 | 件数 | 発生率(千対) |
|---|---|---|---|
| 1 | 高崎市 | 2,567 | 7.0 |
| 2 | 前橋市 | 2,466 | 7.5 |
| 3 | 太田市 | 2,450 | 11.0 |
| 4 | 伊勢崎市 | 2,160 | 10.2 |
| 5 | 館林市 | 735 | 10.0 |
| 6 | 桐生市 | 734 | 7.3 |
| 7 | 渋川市 | 481 | 6.7 |
| 8 | 大泉町 | 441 | 10.6 |
| 9 | みどり市 | 414 | 8.5 |
| 10 | 藤岡市 | 404 | 6.6 |
| 11 | 安中市 | 291 | 5.4 |
| 12 | 富岡市 | 246 | 5.4 |
| 13 | 邑楽町 | 218 | 8.5 |
| 14 | 沼田市 | 197 | 4.5 |
| 15 | 玉村町 | 175 | 4.9 |
| 16 | 板倉町 | 147 | 10.9 |
| 17 | 吉岡町 | 123 | 5.4 |
| 18 | 榛東村 | 112 | 7.7 |
| 19 | 明和町 | 105 | 9.8 |
| 20 | 千代田町 | 100 | 9.2 |
| 21 | 東吾妻町 | 87 | 7.2 |
| 22 | 草津町 | 83 | 13.7 |
| 23 | みなかみ町 | 70 | 4.1 |
| 24 | 中之条町 | 67 | 4.7 |
| 25 | 甘楽町 | 53 | 4.3 |
| 26 | 嬬恋村 | 45 | 5.0 |
| 27 | 下仁田町 | 44 | 7.2 |
| 28 | 長野原町 | 36 | 7.1 |
| 29 | 昭和村 | 26 | 3.7 |
| 30 | 高山村 | 21 | 6.4 |
| 31 | 川場村 | 9 | 3.0 |
| 32 | 片品村 | 8 | 2.0 |
| 33 | 神流町 | 5 | 3.3 |
| 34 | 上野村 | 2 | 2.0 |
| 34 | 南牧村 | 2 | 1.4 |
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
発生率が低いのはどの市町村か

最後に、発生率が低い側も見ておきます。高い側だけでなく低い側を見ると、県内の地域のまとまりがより分かりやすくなります。
発生率が最も低いのは南牧村の1.4で、上野村2.0、片品村2.0、川場村3.0、神流町3.3と続きます。下位5はいずれも西毛・北毛の山間部にある村と町です。下位10まで広げると、県内に8つある村のうち5つ(南牧・上野・片品・川場・昭和)がここに入ります。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
発生率の分母は住民基本台帳の定住人口です。草津温泉を抱える草津町のように来訪者の多い町では、来訪者に関わる事案も定住人口で割って計算されるため、率が高く出やすい構造があります。これは指標の計算上の仕組みであり、率の高さがそのまま住む人の危険度を意味するわけではない点には注意が必要です。
楓のまとめ|同じ県でも、見る指標で治安の地図は変わる
3つの観察を重ねると、「群馬県のどこで犯罪が多いか」という問いには、件数で答えるか発生率で答えるかで違う地図が現れることが分かります。件数なら人口の大きい4市、発生率なら草津町と東毛の市町が上位に来て、同じ県でも見る指標によって治安の像が変わります。規模と密度の両方を並べて見ることが、データを正確に読む手がかりになります。
よくある質問(FAQ)

市町村別の治安データを読むときに迷いやすい点を3つにまとめました。数値の確定度、件数と発生率の違い、同じ表示の率でも順位が分かれる理由についてです。
Q1. この件数は確定値ですか?
刑法犯認知件数は令和7年(2025年1〜12月)の年間値で、群馬県警察が公表した令和7年12月末現在の資料に基づきます。県全体の15,283件は警察庁「犯罪統計資料(令和7年分・確定値)」の群馬県の値と一致しており、年間の確定した件数として扱えます。発生率の分母は総務省の住民基本台帳に基づく人口(令和7年1月1日現在)です。
Q2. 「件数」と「発生率」はどう違いますか?
件数は、その市町村で1年間に認知された刑法犯の総数です。発生率(人口千対)は、その件数を人口で割って1,000を掛けた値で、人口規模の影響を取り除いて比べられます。人口の多い市は件数が多く出やすいため、街の大きさに関係なく比べたいときは発生率が使われます。
Q3. 表示が同じ発生率なのに順位が違うのはなぜですか?
本記事の発生率は県警の公表どおり小数第1位で表示しているため、下仁田町と東吾妻町の7.2のように、同じ表示になる市町村があります。順位は県警が公表する公式順位をそのまま使っており、表示前の精密な値の大小で決まっています。編集部でも再計算し、率・順位とも公表値と全35市町村で一致することを確認しています。
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当サイトはファクトチェックを実施しています。この記事の数値は、群馬県警察と警察庁の公表資料で確認したものです。どの数値をどの資料で確認したかを、下の一覧で開示します。



