
「日本の食料はどこから来ているのか」という問いは、国別の総額と品目別のシェアを分けて見ると答えやすくなります。総額の地図と品目ごとの地図を並べると、品目によって輸入相手国の顔ぶれが大きく変わることが見えてきます。
農林水産省の「農林水産物輸出入概況」によると、2025年の日本の農林水産物の輸入額は13兆8,143億円でした。相手国・地域別で最も多いのは米国の2兆3,481億円で、全体の17.0%を占めます。次いで中国が13.1%、タイが5.9%です。ただし品目ごとに見ると顔ぶれは大きく違い、とうもろこしは米国が97.1%、かつお・まぐろ類は上位3か国を合わせても47.3%です。
本記事では、財務省「貿易統計」の確々報値を基に農林水産省がまとめた2025年分の概況を使い、相手国別の輸入額を世界地図で、主な食料品目の輸入相手国を品目別の地図で整理します。なお、統計上の「農林水産物」には、たばこや木材など食料以外の品目も含まれます。
日本は食料を、どの国から輸入しているのでしょうか。
相手国別では米国が17.0%で最大。品目ごとに見ると、とうもろこしは米国が97.1%、かつお・まぐろ類は上位3か国を合わせても47.3%です。
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農林水産物の輸入額はいくらか|2025年は13兆8,143億円

まず全体の大きさと中身を押さえます。統計上の「農林水産物」は食料だけの集計ではないため、何が含まれているかを先に確認しておくと、この後の国別・品目別の数字が読みやすくなります。
2025年の農林水産物の輸入額は13兆8,143億円で、2024年の13兆4,131億円から3.0%増えました。1日あたりに直すと約378億円、国民1人あたりでは年間約11万2,000円にあたります(いずれも編集部算出)。
金額は輸入時のCIF価格(運賃と保険料を含み、関税を含まない価格)で、円建てで集計されています。為替レートの長期の動きは、円高円安の推移、50年のドル円レートで整理しています。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
内訳は農産物が9兆8,431億円(71.3%)、林産物が1兆8,258億円(13.2%)、水産物が2兆1,454億円(15.5%)です。統計上の農林水産物には、たばこ・天然ゴム・木材チップ・製材など、食料ではない品目も含まれます。輸入額上位20品目のうち、この4品目の合計は1兆5,337億円で、総額の約1割(11.1%)にあたります(編集部算出)。
このため本記事では、相手国別の総額を「農林水産物の輸入額」として示し、「食料の輸入額」とは呼びません。品目別の輸入相手国は、小麦・大豆・肉・魚介・果実などの食料の品目で見ていきます。国内でどれだけ自給しているかは、日本の食料自給率、60年の推移で整理しています。
相手国別に見ると、米国が17.0%で最大

相手国ごとの金額は、世界地図に塗り分けると分布が一目でわかります。濃い色の国がどの地域に集まっているかに注目してください。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
相手国・地域別の輸入額は、米国が2兆3,481億円(17.0%)で最も多く、中国が1兆8,065億円(13.1%)で続きます。米国と中国の2か国だけで、農林水産物の輸入額のおよそ3割(30.1%)を占めます(編集部算出)。
3位以下は、タイ(8,197億円)、ベトナム(7,712億円)、カナダ(7,649億円)、豪州(7,539億円)と、7,000億〜8,000億円台の国が並びます。地図で見ると濃い色の国は北米・東アジア・東南アジア・オセアニアに集まり、欧州ではフランス、イタリア、スペインなどが上位20か国に入ります。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
概況の国別の表は上位20か国までの掲載で、20か国の合計は輸入額全体の84.7%です。前年と比べると、ベトナムは22.2%、ルーマニアは31.3%増えました。一方で豪州は8.8%、メキシコは13.5%減っています。2024年に4位だった豪州は、2025年は6位でした。
輸入額の大きい品目は何か|上位20品目

品目別の金額は、横棒に並べると大小の関係がつかみやすくなります。食料の品目と食料以外の品目を色で分けて示します。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
品目別で最も輸入額が大きいのはたばこの7,923億円で、豚肉6,195億円、とうもろこし5,995億円、生鮮・乾燥果実4,722億円、牛肉4,658億円が続きます。食料の品目に限ると、1位は豚肉です。上位20品目のうち16品目が食料で、肉類・穀物・魚介・果実・飲料が並びます。
とうもろこしには飼料用も含まれます。概況の品目別統計表では、とうもろこしの輸入額5,995億円のうち飼料用が4,533億円で、約4分の3(75.6%)を占めます(編集部算出)。家畜の飼料として輸入される分も、この金額に入っています。
前年比が大きく動いた品目もあります。コーヒー生豆は輸入額が48.8%増えた一方、数量は0.3%減でした。大豆は輸入額が7.3%減、小麦は6.3%減です。金額と数量の動きは一致しないことがあるため、この2つは分けて見る必要があります。
主な食料6品目は、どの国から輸入しているか

ここからが品目別の話です。小麦・大豆・とうもろこし・牛肉・豚肉・さけ・ますの6品目を同じ形の地図に並べると、品目ごとに色の付く国が入れ替わる様子が見えてきます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
穀物と大豆の輸入相手国は、北米・南米・豪州に集まっています。小麦はカナダ40.2%、米国37.9%、豪州21.7%の3か国で99.8%です。大豆は米国が66.5%で、カナダとブラジルがそれぞれ16%台です。
とうもろこしは米国が97.1%で、ほぼ1か国からの輸入になっています。2024年の米国の割合は77.0%で、1年で約20ポイント上がりました(編集部算出)。2位のブラジルは2.4%、3位のフランスは0.3%です。
肉類では、牛肉は豪州49.4%と米国36.0%の2か国で85.4%を占めます。豚肉はカナダ26.6%、米国20.4%、スペイン19.6%と上位3か国がいずれも2割前後で、メキシコとブラジルも1割台です。同じ肉類でも、牛肉と豚肉では輸入相手国の広がり方が異なります。
さけ・ます(生鮮・冷蔵・冷凍)はチリが61.2%で、ノルウェー20.0%、ロシア7.8%が続きます。国内の漁獲量の推移はサケの漁獲量はどこまで減った?で整理しています。次の表に、6品目それぞれの上位5か国と構成比をまとめました。
主な食料6品目の輸入相手国 上位5か国(2025年)
構成比は各品目の輸入額(金額ベース)に占める割合。概況に掲載された上位5か国と「その他」です。
| 順位 | 国・地域 | 構成比 | 輸入額 |
|---|---|---|---|
| 小麦 輸入額 2,405億円(前年比 ▲6.3%) | |||
| 1位 | カナダ | 40.2% | 966億円 |
| 2位 | 米国 | 37.9% | 912億円 |
| 3位 | 豪州 | 21.7% | 522億円 |
| 4位 | フランス | 0.2% | 5億円 |
| 5位 | ルーマニア | 0.0% | 0億円 |
| その他 | 0.0% | 0億円 | |
| 大豆 輸入額 2,667億円(前年比 ▲7.3%) | |||
| 1位 | 米国 | 66.5% | 1,773億円 |
| 2位 | カナダ | 16.4% | 436億円 |
| 3位 | ブラジル | 16.1% | 429億円 |
| 4位 | 中国 | 1.1% | 29億円 |
| 5位 | パラグアイ | 0.0% | 0億円 |
| その他 | 0.0% | 0億円 | |
| とうもろこし 輸入額 5,995億円(前年比 +0.5%) | |||
| 1位 | 米国 | 97.1% | 5,819億円 |
| 2位 | ブラジル | 2.4% | 141億円 |
| 3位 | フランス | 0.3% | 16億円 |
| 4位 | ペルー | 0.1% | 5億円 |
| 5位 | ニュージーランド | 0.1% | 5億円 |
| その他 | 0.2% | 10億円 | |
| 牛肉 輸入額 4,658億円(前年比 ▲2.0%) | |||
| 1位 | 豪州 | 49.4% | 2,301億円 |
| 2位 | 米国 | 36.0% | 1,677億円 |
| 3位 | ニュージーランド | 5.7% | 264億円 |
| 4位 | カナダ | 5.6% | 262億円 |
| 5位 | メキシコ | 1.9% | 87億円 |
| その他 | 1.4% | 67億円 | |
| 豚肉 輸入額 6,195億円(前年比 ▲4.1%) | |||
| 1位 | カナダ | 26.6% | 1,646億円 |
| 2位 | 米国 | 20.4% | 1,264億円 |
| 3位 | スペイン | 19.6% | 1,212億円 |
| 4位 | メキシコ | 10.6% | 654億円 |
| 5位 | ブラジル | 10.1% | 624億円 |
| その他 | 12.8% | 796億円 | |
| さけ・ます 輸入額 3,006億円(前年比 +6.9%) | |||
| 1位 | チリ | 61.2% | 1,838億円 |
| 2位 | ノルウェー | 20.0% | 602億円 |
| 3位 | ロシア | 7.8% | 234億円 |
| 4位 | トルコ | 3.2% | 96億円 |
| 5位 | 米国 | 2.3% | 69億円 |
| その他 | 5.6% | 167億円 | |
輸入額1億円未満の国は「0億円」と表示しています。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
上位3か国への集中度は、品目で大きく違う

この記事でいちばん見てほしいのがここです。品目ごとに「上位3か国で何%を占めるか」を横に並べると、100%近い品目と半分程度の品目がはっきり分かれます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
輸入額上位20品目のうち食料の16品目について、上位3か国の構成比を合計しました(編集部算出)。鶏肉・菜種が99.9%、小麦・とうもろこし・鶏肉調製品が99.8%で、5品目は上位3か国でほぼ全量を占めます。大豆(99.0%)と牛肉(91.1%)も9割を超えます。
一方、かつお・まぐろ類は47.3%、えびは56.4%で、上位3か国以外からの輸入が4割以上あります。ナチュラルチーズ(64.8%)、アルコール飲料(63.8%)、豚肉(66.6%)も6割台です。穀物・油糧種子・鶏肉は少数の国に集まり、魚介・乳製品・飲料は多くの国に分かれていることが、数字の上で確認できます。
1つの国が複数の品目で登場する|品目と国の早見表

最後に、国の側から見てみます。主な9品目の上位3か国を1枚の表にまとめると、複数の品目で名前が出てくる国と、特定の品目だけに出てくる国が分かれます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
米国は9品目のうち6品目(小麦・大豆・とうもろこし・牛肉・豚肉・生鮮・乾燥果実)で上位3か国に入ります。カナダとブラジルは3品目ずつ、豪州・ベトナム・ニュージーランドは2品目ずつです。相手国別で1位の米国は、穀物から肉・果実まで複数の品目にまたがって上位に入っている点が特徴です。
一方で、1品目で大きな割合を占める国もあります。チリはさけ・ますで61.2%、フィリピンは生鮮・乾燥果実で28.8%、インドはえびで22.4%を占め、いずれも9品目のうち1品目だけで上位3か国に入っています。
楓のまとめ|総額の1位と品目ごとの顔ぶれは分けて見る

ここまでの国別・品目別の図解を並べると、「どこから輸入しているか」への答えは、総額で見るか品目で見るかで変わります。3つの観察事実に整理してみます。
「日本は食料をどこから輸入しているか」という問いに対して、本記事では相手国別の総額と、品目別の輸入相手国を分けて見てきました。数字の大小に良し悪しをつけるのではなく、見え方の違いを観察事実として整理しておきます。
相手国別の総額では米国が17.0%で最大ですが、品目ごとに見ると、上位3か国の合計は99.9%から47.3%まで大きく開いています。どの品目の話をしているのかを確かめてから国別の数字を読むことが、輸入データを正確に読む手がかりになります。各国の食料自給率との比較は、世界の食料自給率、主要国と日本の比較で整理しています。
よくある質問(FAQ)

輸入の統計を読むときに迷いやすい点を、3つにまとめました。統計の範囲、構成比の意味、データの新しさについてです。
Q1. 「農林水産物の輸入額」と「食料の輸入額」は同じですか?
同じではありません。農林水産省の統計でいう農林水産物には、食料のほかに、たばこ・天然ゴム・綿・羊毛・木材チップ・製材なども含まれます。2025年の輸入額上位20品目では、たばこ・木材チップ・製材・天然ゴムの4品目の合計が1兆5,337億円で、総額の約1割でした。本記事では相手国別の総額を「農林水産物の輸入額」と呼び、食料は品目ごとに見ています。
Q2. 構成比は、重さ(数量)の割合ですか?
本記事の構成比は、すべて輸入額(金額)に占める割合です。同じ品目でも国によって単価が異なるため、数量で見た割合とは一致しない場合があります。金額は輸入時のCIF価格で、運賃と保険料を含み、関税は含みません。
Q3. 最新の値はいつ出ますか?
農林水産省が年に1回、「農林水産物輸出入概況」としてまとめています。2025年分は2026年5月に作成され、6月30日に政府統計の総合窓口(e-Stat)で公開されました。月ごとの輸出入額は、同省の「農林水産物輸出入情報」で確認できます。
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