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「返納は増えているのか、減っているのか」は、12年分を1本の線で並べると答えが変わります。山があって下りきり、そこからまた上がる形を、まず1枚で見てください。
運転免許の自主返納は、2025年(令和7年)に435,067件でした。前年から7,153件増え、増加は2年続いています。ただし、この12年でもっとも多かった2019年の601,022件と比べると、72.4%の水準です。増えているという見方と、いちばん多かった年には戻っていないという見方が、同じ数字の上で同時に成り立っています。
本記事では、警察庁「運転免許統計 令和7年版」をもとに、2014年から2025年までの件数の推移、返納した人の年齢構成、運転経歴証明書の交付件数、そして47都道府県ごとの違いを図解で整理します。統計上の正式名称は「申請による運転免許の取消し」ですが、以下では検索でよく使われる「自主返納」に表記を統一します。
運転免許の自主返納は、いちばん多かった年の何割まで戻ったのか?
2年続けて増加。ただし最多だった年の7割強にとどまる。
2025年・全国
43.5万件
435,067件
申請による運転免許の取消し(全部取消)・2025年(令和7年)中・全国
うち75歳以上 260,915件(60.0%)
2年連続で増加
2019年・最多
60.1万件
601,022件
この12年でもっとも多かった年
2025年はこの水準の72.4%
比較の基準
2014 起点
2019 最多
2023 その後の底
2025 最新
この記事の要点
◆ 2025年の自主返納は435,067件で、2年続けて前年を上回りました。ただし最も多かった2019年の601,022件と比べると72.4%の水準です。
◆ 返納した人のうち75歳以上は260,915件で全体の60.0%。この割合は富山県80.8%、東京都36.4%と都道府県で開きがあります。
◆ 75歳以上の免許保有者は2022年末から1,685,375人増えた一方、保有者100人あたりの返納件数は4.10件から3.12件へ4年続けて下がっています。
出典:警察庁「運転免許統計 令和7年版」(2025年中の件数・2025年12月末現在の保有者数)。2014年・2015年の件数と2022年末・2023年末の保有者数は「運転免許統計 令和5年版」によります。
本記事は楓が調査・編集しています。掲載情報は執筆時点のものです。数値・制度・サービス内容は変更される場合があるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。
2025年の自主返納は43万5067件|12年の推移をたどる

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12年分を折れ線で並べると、ピーク・底・現在地の3点が一度に見えます。表で数字を追うより、線でたどるほうが位置関係をつかみやすい図です。
出典:警察庁「運転免許統計 令和7年版」(4) 申請による運転免許の取消件数の年別推移/2014年・2015年は「運転免許統計 令和5年版」(4)
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
ここで扱う件数は、免許のすべてを返す「申請による運転免許の取消し」です。免許のうち一部だけを返す一部取消しは含まれていません。2025年(令和7年)の件数は435,067件で、2024年の427,914件から7,153件増えました。前年を上回るのは2年続けてです。
12年をたどると、2014年の208,414件から2019年の601,022件まで増え、そこから2023年の382,957件まで減り、2024年・2025年と2年続けて増えています。2025年の435,067件は、最も多かった2019年の72.4%にあたります。起点を2014年に置けば2倍を超え、2019年に置けば7割強という、逆向きの見え方が同時に成り立ちます。
435,067件を1日あたりに直すと約1,192件で、およそ72秒に1件の割合です。返納が交通の場面でどのような位置を占めるかは、交通事故死者数の長期推移とあわせて見ると、時系列の並びとして確認できます。
返納した人の6割は75歳以上|年齢構成の12年

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総数の増減だけを見ていると、中身の変化が隠れます。年齢を3つに分けて積み上げると、どの層が動いているのかが帯の高さで分かります。
出典:警察庁「運転免許統計 令和7年版」(4) 申請による運転免許の取消件数の年別推移/2014年・2015年は「運転免許統計 令和5年版」(4)。3区分は掲載値からの差引きによります
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
2025年の内訳は、75歳以上が260,915件で全体の60.0%、65歳以上でみると413,330件で95.0%です。65歳未満は21,737件でした。返納する人のほとんどが65歳以上であるという構成は、12年を通して大きくは変わっていません。
一方で、3つの区分の動き方は同じではありません。65〜74歳は2019年の225,131件から2023年の105,277件まで減り、2025年は152,415件です。これに対して75歳以上は2017年以降おおむね25万〜35万件の幅にとどまり、総数ほど大きくは動いていません。総数の増減は、65〜74歳の層の動きをより強く映しています。
運転経歴証明書は100件あたり68件|返納と交付の差

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返納の件数と、運転経歴証明書が交付された件数は別々に公表されています。2本の線を重ねると、開き方が年によって変わっていることが見えてきます。
出典:警察庁「運転免許統計 令和7年版」(4)(5) 申請取消件数・運転経歴証明書交付件数の年別推移/2014年・2015年は「運転免許統計 令和5年版」(4)(5)
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
2025年の運転経歴証明書の交付件数は297,359件でした。同じ年の申請取消件数435,067件と並べると、申請取消100件あたりの交付件数は68.3件になります。この値は2020年の89.9件から下がり続けており、2本の線の開きは2020年以降広がっています。
運転経歴証明書は、返納または免許の失効から5年以内であれば申請できます。過去に返納した人の申請も含まれるため、その年の申請取消件数の内数ではありません。実際に沖縄県のように100件あたりの交付件数が100を超える県もあります。
なお2025年3月24日から、マイナンバーカードへ運転経歴情報を記録できるようになりました。2025年の交付件数にはその記録件数が含まれています。前年までの数値と並べる際は、この点を確認しておく必要があります。
返納した人の年齢構成は都道府県で違う|80.8%と36.4%

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同じ「返納」でも、どの年齢層が返しているかは県によって違います。47都道府県を地図の形に並べると、濃淡の分かれ方が地域ごとにまとまって見えます。
出典:警察庁「運転免許統計 令和7年版」(6)ア 令和7年中の都道府県別申請取消件数
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
申請取消件数に占める75歳以上の割合は、全国では60.0%です。都道府県別に見ると、最も高いのは富山県の80.8%で、群馬県79.4%、福井県78.4%、長野県78.3%、山形県78.0%が続きます。最も低いのは東京都の36.4%で、富山県との間には2.2倍の開きがあります。大阪府44.0%、神奈川県52.8%、兵庫県53.6%、埼玉県53.7%と、下位には人口の多い都府県が並びます。
下の一覧では、申請取消件数の多い順と、75歳以上の割合が高い順の2つの並びを切り替えて47都道府県すべてを確認できます。件数の順位と割合の順位は一致しません。年齢構成そのものの地域差は、都道府県別の高齢化率とあわせて見ると位置づけを確認できます。
順位都道府県申請取消件数75歳以上
1東京42,066件36.4%
2神奈川37,346件52.8%
3埼玉28,816件53.7%
4大阪25,995件44.0%
5愛知25,402件64.4%
6千葉21,979件55.0%
7兵庫20,137件53.6%
8福岡16,486件59.7%
9静岡16,059件70.6%
10北海道15,311件54.8%
11広島9,367件60.9%
12茨城8,712件72.7%
13京都8,504件54.3%
14新潟7,843件71.0%
15長野7,326件78.3%
16岡山7,156件72.0%
17岐阜6,774件76.6%
18宮城6,570件62.2%
19栃木6,525件71.4%
20三重6,363件73.1%
21群馬6,316件79.4%
22福島6,280件73.0%
23愛媛5,928件66.4%
24鹿児島5,912件71.6%
25山口5,825件71.8%
26奈良5,267件62.7%
27熊本5,104件67.3%
28長崎5,103件60.3%
29山形4,974件78.0%
30滋賀4,757件71.6%
31大分4,693件73.6%
32香川4,237件72.9%
33富山4,067件80.8%
34岩手4,043件68.2%
35宮崎3,968件75.2%
36沖縄3,918件64.0%
37石川3,879件76.6%
38青森3,657件56.0%
39秋田3,026件69.2%
40佐賀2,980件75.0%
41和歌山2,816件69.7%
42福井2,812件78.4%
43山梨2,619件77.2%
44島根2,138件73.4%
45徳島2,088件70.7%
46高知2,024件69.7%
47鳥取1,899件70.6%
順位都道府県75歳以上の割合申請取消
1富山80.8%4,067件
2群馬79.4%6,316件
3福井78.4%2,812件
4長野78.3%7,326件
5山形78.0%4,974件
6山梨77.2%2,619件
7石川76.6%3,879件
7岐阜76.6%6,774件
9宮崎75.2%3,968件
10佐賀75.0%2,980件
11大分73.6%4,693件
12島根73.4%2,138件
13三重73.1%6,363件
14福島73.0%6,280件
15香川72.9%4,237件
16茨城72.7%8,712件
17岡山72.0%7,156件
18山口71.8%5,825件
19滋賀71.6%4,757件
19鹿児島71.6%5,912件
21栃木71.4%6,525件
22新潟71.0%7,843件
23徳島70.7%2,088件
24静岡70.6%16,059件
24鳥取70.6%1,899件
26和歌山69.7%2,816件
26高知69.7%2,024件
28秋田69.2%3,026件
29岩手68.2%4,043件
30熊本67.3%5,104件
31愛媛66.4%5,928件
32愛知64.4%25,402件
33沖縄64.0%3,918件
34奈良62.7%5,267件
35宮城62.2%6,570件
36広島60.9%9,367件
37長崎60.3%5,103件
38福岡59.7%16,486件
39青森56.0%3,657件
40千葉55.0%21,979件
41北海道54.8%15,311件
42京都54.3%8,504件
43埼玉53.7%28,816件
44兵庫53.6%20,137件
45神奈川52.8%37,346件
46大阪44.0%25,995件
47東京36.4%42,066件
出典:警察庁「運転免許統計 令和7年版」(6)ア 令和7年中の都道府県別申請取消件数
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
証明書の受け取り方にも地域差がある|103.0件と20.0件

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返納の年齢構成とは別に、運転経歴証明書をどれだけ受け取っているかにも県差があります。上位と下位を左右に並べると、幅の違いがそのまま見えます。
出典:警察庁「運転免許統計 令和7年版」(6)ア・(6)イ 令和7年中の都道府県別申請取消件数・運転経歴証明書交付件数
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
申請取消100件あたりの交付件数は、全国では68.3件です。都道府県別では沖縄県の103.0件が最も多く、高知県95.4件、静岡県93.8件、徳島県87.9件、東京都86.7件が続きます。最も少ないのは山口県の20.0件で、沖縄県との間には約5.2倍の開きがあります。石川県23.5件、熊本県39.3件、宮崎県42.7件、岡山県43.2件が下位に並びます。
この値は「取得率」ではありません。運転経歴証明書は過去5年以内に返納した人や免許が失効した人も申請できるため、その年の返納件数の内数ではなく、100を超えることがあります。県ごとの車の使われ方は、世帯あたりの自動車保有台数でも県差が確認できます。
75歳以上の保有者は増え、100人あたりの件数は下がっている

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件数だけを見るのと、免許を持っている人の数で割ってみるのとでは、向きが変わります。棒と線を1枚に重ねて、その差を確かめます。
出典:警察庁「運転免許統計 令和7年版」(3)ウ・(4)/2022年末・2023年末の保有者数は「運転免許統計 令和5年版」(3)ア・(3)ウ
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
75歳以上の運転免許保有者は、2022年末の6,665,052人から2025年末の8,350,427人へ増えました。3年間で1,685,375人、率にして25.3%の増加です。返納した人の数だけを見れば、75歳以上は2022年の273,206件から2025年の260,915件へわずかに減っています。
そこで、その年の12月末現在の75歳以上運転免許保有者数を分母に置き、75歳以上の返納件数を100人あたりに直してみます。2022年は4.10件、2023年は3.59件、2024年は3.35件、2025年は3.12件でした。保有者が25.3%増える一方で、100人あたりの件数は4年続けて下がっています。
この値は「返納率」とは呼びません。分母は年末時点の保有者数、分子はその1年間の件数で、期首と期末のずれや年内に75歳へ到達した人の出入りが含まれるためです。高齢層の人口そのものの動きは、100歳以上人口の推移でも別の角度から確認できます。
楓のまとめ|同じ返納でも、分母を変えると向きが変わる

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ここまで並べた図解を重ねて読むと、件数・年齢構成・地域差・保有者あたりの4つが、それぞれ別の向きを示していることが分かります。3つの観察事実に整理します。
「自主返納は増えているのか」という問いには、どの年を起点に置くか、何を分母に置くかで違う答えが出ます。データそのものに優劣をつけるのではなく、見え方の違いを観察事実として整理しておきます。
3つの観察事実
観察1. 2025年の自主返納は435,067件で、2年続けて前年を上回りました。ただし最も多かった2019年の601,022件と比べると、72.4%の水準です。2014年の208,414件から見れば2倍を超えており、どの年を起点に置くかで増減の見え方が変わります。
観察2. 返納した人のうち75歳以上は260,915件で、全体の60.0%を占めます。この割合は都道府県によって差があり、富山県の80.8%と東京都の36.4%では2.2倍の開きがあります。運転経歴証明書を受け取る度合いにも地域差があり、申請取消100件あたりでは沖縄県103.0件、山口県20.0件でした。
観察3. 75歳以上の運転免許保有者は2022年末の6,665,052人から2025年末の8,350,427人へ1,685,375人増えました。一方で保有者100人あたりの返納件数は4.10件から3.12件へ4年続けて下がっています。件数と割合は、同じ期間に逆の向きに動いています。
3つの観察事実を重ねると、件数は2年続けて増え、年齢構成は6割が75歳以上で、地域差は2倍から5倍の幅で残り、保有者100人あたりでは4年続けて下がっている、という並びになります。同じ「自主返納」という言葉でも、件数で見るか、割合で見るか、分母を保有者に置くかで、動きの向きは変わります。図解を並べて見えてくるのは、その分母の違いそのものです。
よくある質問(FAQ)

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自主返納の数字を読むときは、正式名称・年齢の区分・分母の3点をセットで確認してください。この3点が変わるだけで、読み取れる内容が変わります。
Q1. 運転免許の自主返納は増えているのですか?
2025年(令和7年)の件数は435,067件で、前年から7,153件増えました。増加は2年続いています。一方、この12年でもっとも多い2019年は601,022件で、2025年はその72.4%にあたります。2014年の208,414件を起点に置けば2倍を超えており、どの年と比べるかで答えが変わります。(出典:警察庁「運転免許統計 令和7年版」)
Q2. 返納した人はどの年齢層が多いのですか?
2025年は75歳以上が260,915件で全体の60.0%、65歳以上でみると413,330件で95.0%を占めます。65歳未満は21,737件でした。ただし75歳以上の割合は都道府県によって差があり、富山県は80.8%、東京都は36.4%です。(出典:警察庁「運転免許統計 令和7年版」)
Q3. 返納すると運転経歴証明書は自動で交付されるのですか?
自動ではなく、申請が必要です。返納または免許の失効から5年以内であれば申請できます。2025年の交付件数は297,359件で、同じ年の申請取消件数435,067件に対して100件あたり68.3件にあたります。過去に返納した人の申請も含まれるため、その年の返納件数の内数ではありません。(出典:警察庁「運転免許証の自主返納について」ほか)
🔍 この記事のファクトチェックについて

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当サイトはファクトチェックを実施しています。このページのファクトチェックのエビデンスを以下に掲載します。
記事内の主要な数値・事実について、確認の度合いを4段階で示しています。
✅ 一次確認:公式発表・省庁・原典で直接確認
🔍 二次確認:報道など二次情報で確認
📊 筆者試算:一次データを基にした独自計算
⚠ 要確認:状況により変わるもの
📊 筆者試算
75歳以上の免許保有者100人あたりの返納件数:2022年 4.10件(273,206 ÷ 6,665,052 × 100)/2025年 3.12件(260,915 ÷ 8,350,427 × 100)。分母はその年の12月末現在の75歳以上運転免許保有者数
算出元:警察庁「運転免許統計 令和5年版・令和7年版」 →
⚠ 要確認
2025年3月24日からマイナンバーカードへの運転経歴情報の記録が可能になり、2025年の運転経歴証明書交付件数にはその記録件数が含まれます。前年までの数値との比較にはこの点をご確認ください。
変更の可能性あり。警察庁の最新の掲載でご確認ください。
⚠ 要確認
運転経歴証明書は返納または失効から5年以内であれば申請できるため、同じ年の申請取消件数の内数ではありません。交付要件は変更される場合があります。
変更の可能性あり。交付要件は各都道府県警察でご確認ください。