
創業100年を超える企業の数は、全国の合計だけでなく、県ごとの割合と業歴の長さに分けて見ると輪郭がはっきりします。全国の数、47都道府県の階級、業歴と業種、世界との比較の順に図で並べていきます。
日本には、創業から100年を超える企業がいくつあるのでしょうか。帝国データバンクの「全国『老舗企業』分析調査(2025年)」によると、2025年12月時点で創業または設立から100年以上の老舗企業は全国に4万6708社あります。全企業に占める割合を示す老舗出現率は3.11%で、初めて3%を超えました。全国の企業のおよそ32社に1社が、100年以上続く老舗企業という計算です。
本記事では、同社の全国版と県版のレポート、日経BPコンサルティング・周年事業ラボの国際比較などの一次情報をもとに、都道府県別の老舗出現率、業歴の長さ、業種、世界との比較を図解で整理します。都道府県の数値は公表されている25都道府県だけを使い、公表されていない県は推計で埋めずに「非公表」として示します。
創業100年を超える企業は、日本にいくつある?
4万6708社。全企業の約32社に1社です。
本記事は楓が調査・編集しています。掲載情報は執筆時点のものです。数値・制度・サービス内容は変更される場合があるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。
創業100年以上の企業は全国に4万6708社|数え方と「約32社に1社」

老舗の数は、まず定義と数え方をそろえてから見るのが近道です。どの調査の、いつ時点の数字かが分かると、ほかの記事で見かける数字との違いも読み解けます。
本記事でいう老舗企業は、帝国データバンクの定義に合わせて「創業または設立から100年以上の企業」を指します。同社の企業概要データベース「COSMOS2」(2025年12月時点・約150万社収録)などをもとに数えた結果、2025年12月時点の老舗企業は4万6708社でした。1925年(大正14年)に創業した約1900社が、新たにこの数に加わっています。
全企業に占める老舗企業の割合、つまり老舗出現率は3.11%です。100を3.11で割ると約32になり、全国の企業のうち約32社に1社が創業100年を超えていることになります。なお、創業年が元号や時代までしか分からない企業は、その元号・時代の最終年を創業年として集計されています。実際にはもっと古い企業も、この数え方では新しい側に寄せて数えられます。
前年の2024年版(2024年9月時点)は4万5284社・2.75%でした。2025年版との差は1,424社ですが、集計の時点が9月から12月に変わっています。そのため、この差は1年間の増加分ではなく、調査の版の違いとして見ておくのが安全です。
老舗出現率が高い県・低い県|順位が公表された20府県

県別の出現率は、順位のついた横棒にして全国平均の線を1本引くと、上と下の距離が測れます。途中の順位は公表されていないため、空いている段は空いたまま並べています。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
都道府県別の老舗出現率は、京都府の5.45%が最も高く、山形県5.44%、新潟県5.07%が続きます。この3府県が5%を超え、4位以下は島根県4.59%、福井県4.56%、滋賀県4.52%、長野県4.50%、富山県4.01%と、4%台の5県が並びます。最も低いのは沖縄県の0.17%で、宮崎県1.56%、神奈川県1.63%、鹿児島県1.69%、福岡県1.82%が下位5県です。
最上位の京都府と最下位の沖縄県の差は、5.45を0.17で割って約32倍です。京都府では約18社に1社が老舗ですが、沖縄県では約588社に1社にとどまります。全国平均の3.11%を上回ったのは23府県と公表されています。
大都市圏は全国平均を下回りました。東京都は2.32%、大阪府は2.30%、愛知県は2.95%です。東京都は2024年版で老舗の社数が5301社と全国で最も多かった一方、出現率は38位でした(2024年9月時点)。社数の多さと出現率の高さは、別の物差しで動いています。
なお、帝国データバンクの全国版は1〜5位と43〜47位の数値だけを表で示し、6〜42位を省略しています。図の6〜12位は同社の福島県版、14位・33位・40位はそれぞれ三重県・群馬県・青森県の県版レポートで公表された値です。順位のない参考値のうち、栃木県3.07%と茨城県2.94%は群馬県版に記載されています。
47都道府県を4つの階級で見る|日本海側に高い府県が並ぶ

47都道府県の並びは、タイルマップに色を置くと地域のまとまりが見えてきます。数値が公表されていない県は灰色にして、色の付いた県だけで傾向を読んでいきます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
公表値のある25都道府県を、出現率で5%以上・4%台・3%台・3%未満の4階級に分けました。5%以上の京都府・山形県・新潟県と、4%台の島根県・福井県・滋賀県・長野県・富山県を合わせた8府県は、日本海側と近畿・中部に集まっています。帝国データバンクも、日本海側の地域を中心に5県が4%を上回ったとしています。
3%台には秋田県・佐賀県・福島県・石川県・三重県・栃木県の6県が入りました。3%未満は愛知県・茨城県・群馬県・東京都・大阪府・青森県・福岡県・鹿児島県・神奈川県・宮崎県・沖縄県の11都府県です。全国平均を上回った23府県のうち、名前と数値を確認できるのは1〜12位と14位の13府県です。
京都府が多いことについて、帝国データバンクは、古都として栄え、第二次世界大戦中の被害が比較的小さかったことが老舗の存続につながっていると考えられるとしています。灰色の22道府県は全国版で数値が公表されていないため、地図の色を推計で埋めることはしていません。出現率は県内の全企業を分母にした割合なので、県の規模そのものとは別に読む必要があります。県ごとの人口の規模は、都道府県の人口ランキングで確認できます。
100年を超えて、さらに続いている企業|200年以上は1836社

業歴の長さは、100年、200年、300年と区切って段々に並べると、段を下りるごとに数が細っていく様子が分かります。創業した時代の内訳は、1本の帯にまとめました。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
4万6708社の老舗のうち、業歴200年以上は1836社、300年以上は905社、500年以上は47社です。業歴1000年を超える企業は11社あり、最も古いのは578年創業の金剛組(大阪府)です。業歴200年以上の企業は老舗全体の約3.9%で、段を下りるごとに数は大きく減っていきます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
創業した時代で分けると、1603年以前が178社、江戸時代が3480社、明治時代が2万2070社、大正時代が2万980社です。4つの区分を足すと4万6708社になり、明治と大正の創業が合わせて約92%を占めます。
対象は「創業から100年以上」なので、2025年時点では1925年までに創業した企業が数えられています。人の長寿についても、100歳以上の人口の推移で同じ「100」を区切りにしたデータを整理しています。
老舗が多い業種|清酒製造業は9割超が老舗

業種は、老舗の中での内訳と、業種ごとの老舗の割合を別々の棒にすると読み違えません。上は老舗の中の構成比、下はその業種の企業のうち何割が老舗かを示しています。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
業種の大分類では、老舗企業の24.4%が製造業、22.2%が小売業、21.2%が卸売業で、この3業種を合わせると67.8%になります。老舗の約7割が、ものをつくる・売る業種に集まっている形です。
細かい業種で見ると、社数が最も多いのは貸事務所業の1552社で、清酒製造業938社、旅館795社が続きます。一方、その業種の企業のうち老舗が占める割合(出現率)では、清酒製造業が91.9%と突出しています。しょう油・食用アミノ酸製造業70.9%、味そ製造業62.9%と、醸造に関わる業種が上位に並びます。
売上高の規模では、1億円未満が41.8%、1億〜10億円未満が37.2%で、老舗の約8割は年商10億円未満です。一方で、売上高1000億円以上の企業に占める老舗の割合は19.4%で、大企業にも老舗が一定数含まれています。
世界の創業100年企業の半数は日本|2022年の国際比較

国際比較は国別の横棒にすると、日本と2位以下の距離がひと目で分かります。ただし調査の時点と数え方が国内の数字とは異なるため、同じ図には混ぜていません。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
日経BPコンサルティング・周年事業ラボが2022年に公開した国際比較では、世界の創業100年以上の企業7万4037社のうち、日本は37,085社で50.1%を占めて1位でした。2位の米国は21,822社(29.5%)、3位のドイツは5,290社(7.1%)です。日本の数は米国の約1.7倍にあたります。
創業200年以上に絞ると、世界2,129社のうち日本は1,388社で65.2%を占めます。米国265社、ドイツ223社が続きます。
この比較は、日本企業を帝国データバンクのCOSMOS2(2022年8月時点)、海外企業をビューロー・ヴァン・ダイク社のOrbis(2022年9月調査)で数えたものです。国ごとにデータベースの収録範囲が異なり、スウェーデンなどはデータの信頼性の観点から公表対象外とされています。日本の37,085社は2025年版の4万6708社と時点も集計も異なるため、2つの数字を直接比べることはできません。
楓のまとめ|老舗の数は「割合」と「業歴」で見え方が変わる

全国の数、県別の割合、業歴、業種、世界との比較と並べてきました。3つの観察事実に整理してみます。
創業100年企業の数は、合計だけを見ると4万6708社という1つの答えになります。ただ、県別の割合や業歴の段差に分けると、見え方はそれぞれ変わります。数字に優劣をつけるのではなく、観察できた事実として整理しておきます。
3つの観察事実を重ねると、日本の老舗は全国で約32社に1社の割合で存在し、その多くが明治・大正に生まれ、日本海側と近畿・中部で比率が高いという姿が見えてきます。出現率は全企業に占める割合なので、新しい会社が多く生まれる地域ほど低く出るという点を踏まえて、県別の数字を読むのが自然です。
よくある質問(FAQ)

老舗の数字を読むときは、どの調査か、いつ時点か、社数か割合か、の3点をセットで確認してください。同じ「100年企業」でも、この3点が違えば数字も変わります。
Q1. 老舗企業の数は、調査によって違うのはなぜですか?
数える会社と母数、時点が違うためです。帝国データバンクは2025年12月時点で4万6708社(企業概要データベース約150万社などが母数)、東京商工リサーチは2025年に創業100年を超える企業を4万6,601社としています(同社の企業データベース約430万社から抽出・2024年12月公表)。どちらもそれぞれの基準で数えた数字で、データベースの範囲が異なるため、1社単位で一致するものではありません。
Q2. 日本で最も古い企業はどこですか?
帝国データバンクの2025年版では、578年創業の金剛組(大阪府)が最も古い企業です。業歴1000年を超える企業は全国に11社あり、500年以上では47社、200年以上では1836社が確認されています(2025年12月時点)。
Q3. 自分の県の正確な順位は分かりますか?
全国版の調査は1〜5位と43〜47位の数値だけを公表しています。2025年版で県版レポートが確認できたのは、新潟県・福島県・三重県・青森県・群馬県などです(2026年10月時点)。本記事の地図で灰色になっている県は、出現率の数値が公表されていません。
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