
「ガソリンはいくらになったのか」を確かめるには、同じ調査で60年つないだ折れ線を見るのが近道です。値段の推移に税率の階段を重ねると、1Lのうちどこまでが税金なのかも一枚で読めます。
総務省統計局が東京都区部で続けてきた調査によると、ガソリン1Lの小売価格は1966年4月の50円から2026年8月の172円へ、60年で3.44倍になりました。この間の最高値は2025年4月の187円、1990年代の安値は1999年5月の97円です。1Lに含まれる揮発油税と地方揮発油税の合計は、1979年6月から2025年12月30日まで46年6か月にわたり53.8円のままで、2025年12月31日に28.7円へ引き下げられました。
本記事では、60年の推移は総務省統計局の東京都区部の調査を、直近の週ごとの動きは資源エネルギー庁の全国平均の調査を、それぞれ別の図で示しています。税率の沿革と、暫定税率廃止の前後で1Lの内訳がどう変わるかもあわせて整理します。全国平均170.0円(2026年9月7日)で内訳を置くと、1Lのうち約47円、約27.6%が税金という計算になります(消費税を税抜価格の10%として編集部が試算)。
ガソリン1Lの値段は、この60年でどう動いてきたのでしょうか。
東京都区部の1Lは50円から172円へ、60年で3.44倍。揮発油税等は53.8円から28.7円に。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
本記事は楓が調査・編集しています。掲載情報は執筆時点のものです。数値・制度・サービス内容は変更される場合があるため、最新情報は各公式サイトでご確認ください。
東京都区部で見る60年の推移|50円から187円、そして172円へ

725か月の値を一本の折れ線にすると、山と谷がどこにあるかが一目で並びます。税率の階段線を同じ軸に重ねたので、値段が動いても税金が動かなかった期間も読み取れます。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
総務省統計局の小売物価統計調査は、1966年4月から東京都区部で自動車ガソリン1Lの小売価格を毎月調べています。調査開始時の50円は同年8月まで続き、これが調査開始以来の最安値です。1973年12月に83円、1974年12月に111円と1970年代前半に100円台に乗り、1978年12月には101円まで戻りました。
1979年に入ると再び上がり、1982年9月から12月には177円を記録しました。その後は長い下り坂に入り、1990年代は120円前後で推移し、1999年5月には97円と再び100円を下回ります。1982年から1999年にかけて、東京都区部の値は17年間で80円下がったことになります。
2000年代は上昇に転じ、2008年8月に182円をつけました。2022年12月は167円、2023年9月は184円と続き、2025年4月には調査開始以降の最高値となる187円を記録しています。2025年12月に164円、2026年1月に156円と下がったあと、2026年3月は182円、直近の2026年8月は172円です。1966年4月の50円と比べると3.44倍になります。
総務省統計局の公式グラフには、第一次石油危機、第二次石油危機、リーマンショックの年代が注記されています。本記事の図解でも軸の下に年代ラベルとして置きましたが、どの出来事によって価格が動いたかを本記事は判定していません。値の推移と税率の階段を、同じ時間軸に並べて観察することに絞っています。
税率の沿革|1954年の13円から2025年の28.7円まで

税率は価格と違って、法律が変わった日にだけ階段状に動きます。1954年からの13段を横棒で並べ、揮発油税(国税)と地方揮発油税を色で分けました。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
揮発油税は1954年4月に1L当たり13.0円で道路整備の財源に充てられ、1955年8月に地方道路税(2009年に地方揮発油税へ改称)が創設されました。財務省の『平成財政史』によると、税率は1957年、1959年、1961年と引き上げられ、1964年4月に揮発油税24.3円、地方道路税4.4円の合計28.7円となりました。この28.7円が、2026年9月時点でも本則税率として残っている値です。
1974年4月には2年間の暫定措置として税率が引き上げられ、揮発油税29.2円、地方道路税5.3円の合計34.5円になりました。その後1976年7月に43.1円、1979年6月に53.8円となり、この53.8円が2025年12月30日まで46年6か月にわたり続きました。1993年12月には国税を3円増やし地方税を3円減らす配分の変更がありましたが、合計は据え置かれています。
2008年4月には暫定税率の根拠となる法律の期限が切れ、1か月間だけ本則の28.7円に戻り、5月1日から53.8円が再び適用されました。そして2025年12月31日、暫定税率(当分の間税率)が廃止され、揮発油税24.3円、地方揮発油税4.4円の合計28.7円になりました。国税庁の税率表では、53,800円/kLから28,700円/kLへの変更として示されています。
1974年4月の揮発油税については、財務省の資料の版によって29,000円/kLと29,200円/kLの表記揺れがあります。本記事は本則24,300円の1.2倍(29,160円)に整合する29,200円を採用し、図解と一覧表にその旨を注記しました。税率の沿革と、補助金を含む制度の経緯は下の年表にまとめています。
1Lの税金の内訳|暫定税率廃止の前後を同じ170.0円で比べる

「いくら安くなったか」ではなく「同じ値段の中で税金がいくらか」を見るために、小売価格を170.0円に固定して内訳を2本の横棒にしました。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
2026年9月7日の全国平均170.0円を例に、税金の内訳を置いてみます。消費税を税抜価格の10%として計算すると、税抜価格は154.55円、消費税は15.45円です。ここに揮発油税等28.7円と石油石炭税2.8円を加えると、税金の合計は46.95円、小売価格の約27.6%という計算になります。石油石炭税の2.8円には地球温暖化対策のための課税の特例が含まれています。
同じ170.0円を暫定税率廃止前の税率(揮発油税等53.8円)で置くと、税金の合計は72.05円、小売価格の約42.4%です。2本の差は25.1円で、これは揮発油税等の税率の差そのものです。消費税は税抜価格に対する10%のため、同じ小売価格であれば変わりません。25.1円に50Lをかけると1,255円で、50Lを1回満タンにした場合の暫定税率分の税額の差になります(消費税分を含めない単純計算)。
この図は小売価格を同じ170.0円に置いた場合の内訳の違いを示すものです。実際の価格は原油価格や為替などで変わるため、実際の値下がり幅を示すものではありません。資源エネルギー庁は暫定税率廃止の説明の中で、25.1円の税率の差と、その分にかかる消費税約2.5円をあわせて示しています。
全国平均の週次|2026年3月の190.8円から170.0円へ

直近の動きは、毎週月曜に調べている全国平均を折れ線にすると細かく追えます。制度の日付は縦線で置きましたが、価格がなぜ動いたかは線から読めない、という前提で見てください。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
資源エネルギー庁の給油所小売価格調査は、1990年8月27日から毎週月曜に全国のレギュラーガソリンの価格を調べ、水曜に公表しています。2022年以降の全国平均は、2022年3月14日に175.2円、2023年9月4日に186.5円、2024年12月23日に180.6円、2025年4月14日に186.5円と、年ごとの高値が180円台に並びます。
2025年11月4日の173.6円から週ごとに下がり、12月22日に158.0円、2026年1月19日には154.7円になりました。2月24日は157.1円、3月9日は161.8円で、3月16日には190.8円と、1990年8月の調査開始以来の最高値を記録しました。翌週の3月23日は177.7円、3月30日は170.2円です。
2026年4月以降は170円前後で推移し、9月7日は170.0円(前週比±0)でした。資源エネルギー庁は、2026年3月19日から中東情勢を踏まえた緊急的激変緩和措置として補助金を支給していると説明しており、9月7日時点の「補助なし価格」を196.2円と表示しています。170.0円との差は26.2円です。同庁は、2026年9月10日から16日のガソリンの支給単価を36.0円/Lとしています。
補助金の支給単価は週ごとに改定されます。本記事の数値は2026年9月9日公表分までのもので、その後の値は資源エネルギー庁の燃料油価格引下げ措置のサイトと、毎週の石油製品価格調査で確認できます。
本記事のものさし|2つの調査を同じ図に重ねない理由

東京都区部の月次と全国平均の週次は、対象も頻度も価格の表示も違います。数字を並べる前に、ものさしの違いを図にしておきました。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
本記事で使った調査は2つです。総務省統計局の小売物価統計調査は東京都区部を対象に月次で、1966年4月から2026年8月まで725か月分がつながっています。資源エネルギー庁の給油所小売価格調査は全国平均を対象に週次で、1990年8月27日から2026年9月7日まで1,837週分です。
2つの調査は対象地域と頻度が異なるため、本記事では同じ図に重ねず、大小を比べる文も書いていません。さらに資源エネルギー庁の調査は、2004年3月以前が消費税抜き、2004年4月以降が消費税込みの価格です。2003年以前と2004年以降の全国平均も、同じ文の中では比べていません。
総務省統計局の調査は品目の規定が何度か改正されています。1966年の設定は「自動車ガソリン(現金売り)レギュラーガソリン、オクタン価85以上」、2007年以降は「レギュラーガソリン、セルフサービス式を除く」です。本記事では「総務省統計局が東京都区部で調査している自動車ガソリン1Lの小売価格」として扱い、銘柄の細かな違いには立ち入っていません。
年平均と年別一覧|35年の全国平均と60年の東京都区部

週次の細かい動きを年平均にならすと、どの年が高かったかが棒の高さで並びます。年別の一覧はタブで切り替えられるようにしました。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
資源エネルギー庁の週次の値を各年で単純平均すると、消費税込みで比べられる2004年以降では、2008年が156.4円、2014年が163.1円、2016年が120.6円、2022年が170.4円、2023年が172.9円、2024年が175.0円、2025年が176.8円です。2022年から2025年まで、4年続けて年平均が170円を上回っています。
1991年から2003年の年平均は消費税抜きの価格で、1998年が93.7円、1999年が93.6円でした。この期間の値は2004年以降と表示方法が異なるため、図解では斜線で区別し、本文でも2004年以降と並べて比べていません。
下の一覧では、東京都区部の各年12月の値(1966年〜2025年・60行)、全国平均の年平均(1991年〜2025年・35行)、税率の沿革(13行)をタブで切り替えて確認できます。3つの表はすべて本文に常に含まれており、切り替えは表示の変更だけです。
| 年(12月) | 円/L |
|---|---|
| 1966年 | 53 |
| 1967年 | 55 |
| 1968年 | 53 |
| 1969年 | 55 |
| 1970年 | 55 |
| 1971年 | 58 |
| 1972年 | 59 |
| 1973年 | 83 |
| 1974年 | 111 |
| 1975年 | 112 |
| 1976年 | 122 |
| 1977年 | 119 |
| 1978年 | 101 |
| 1979年 | 149 |
| 1980年 | 149 |
| 1981年 | 167 |
| 1982年 | 177 |
| 1983年 | 150 |
| 1984年 | 152 |
| 1985年 | 144 |
| 1986年 | 115 |
| 1987年 | 127 |
| 1988年 | 120 |
| 1989年 | 127 |
| 1990年 | 142 |
| 1991年 | 131 |
| 1992年 | 129 |
| 1993年 | 127 |
| 1994年 | 122 |
| 1995年 | 111 |
| 年(12月) | 円/L |
|---|---|
| 1996年 | 108 |
| 1997年 | 104 |
| 1998年 | 99 |
| 1999年 | 103 |
| 2000年 | 110 |
| 2001年 | 105 |
| 2002年 | 105 |
| 2003年 | 105 |
| 2004年 | 119 |
| 2005年 | 128 |
| 2006年 | 133 |
| 2007年 | 156 |
| 2008年 | 117 |
| 2009年 | 125 |
| 2010年 | 131 |
| 2011年 | 143 |
| 2012年 | 146 |
| 2013年 | 154 |
| 2014年 | 149 |
| 2015年 | 123 |
| 2016年 | 126 |
| 2017年 | 139 |
| 2018年 | 145 |
| 2019年 | 147 |
| 2020年 | 134 |
| 2021年 | 164 |
| 2022年 | 167 |
| 2023年 | 174 |
| 2024年 | 175 |
| 2025年 | 164 |
| 年 | 年平均 円/L | 価格表示 |
|---|---|---|
| 1991年 | 126.6 | 消費税抜き |
| 1992年 | 123.7 | 消費税抜き |
| 1993年 | 124.0 | 消費税抜き |
| 1994年 | 120.9 | 消費税抜き |
| 1995年 | 115.3 | 消費税抜き |
| 1996年 | 107.4 | 消費税抜き |
| 1997年 | 103.9 | 消費税抜き |
| 1998年 | 93.7 | 消費税抜き |
| 1999年 | 93.6 | 消費税抜き |
| 2000年 | 101.2 | 消費税抜き |
| 2001年 | 102.5 | 消費税抜き |
| 2002年 | 99.5 | 消費税抜き |
| 2003年 | 101.6 | 消費税抜き |
| 2004年 | 111.0 | 消費税込み |
| 2005年 | 124.6 | 消費税込み |
| 2006年 | 135.7 | 消費税込み |
| 2007年 | 139.6 | 消費税込み |
| 2008年 | 156.4 | 消費税込み |
| 年 | 年平均 円/L | 価格表示 |
|---|---|---|
| 2009年 | 120.1 | 消費税込み |
| 2010年 | 133.1 | 消費税込み |
| 2011年 | 145.8 | 消費税込み |
| 2012年 | 146.9 | 消費税込み |
| 2013年 | 155.9 | 消費税込み |
| 2014年 | 163.1 | 消費税込み |
| 2015年 | 137.8 | 消費税込み |
| 2016年 | 120.6 | 消費税込み |
| 2017年 | 133.5 | 消費税込み |
| 2018年 | 149.9 | 消費税込み |
| 2019年 | 146.0 | 消費税込み |
| 2020年 | 136.4 | 消費税込み |
| 2021年 | 154.7 | 消費税込み |
| 2022年 | 170.4 | 消費税込み |
| 2023年 | 172.9 | 消費税込み |
| 2024年 | 175.0 | 消費税込み |
| 2025年 | 176.8 | 消費税込み |
| 適用開始 | 揮発油税(円/kL) | 地方揮発油税(円/kL) | 合計(円/L) |
|---|---|---|---|
| 1954年4月 | 13,000 | (1955年8月創設) | 13.0 |
| 1955年8月 | 11,000 | 2,000 | 13.0 |
| 1957年4月 | 14,800 | 3,500 | 18.3 |
| 1959年4月 | 19,200 | 3,500 | 22.7 |
| 1961年4月 | 22,100 | 4,000 | 26.1 |
| 1964年4月(本則) | 24,300 | 4,400 | 28.7 |
| 1974年4月(暫定税率導入) | 29,200 ※ | 5,300 | 34.5 |
| 1976年7月 | 36,500 | 6,600 | 43.1 |
| 1979年6月 | 45,600 | 8,200 | 53.8 |
| 1993年12月 | 48,600 | 5,200 | 53.8 |
| 2008年4月(失効・1か月) | 24,300 | 4,400 | 28.7 |
| 2008年5月 | 48,600 | 5,200 | 53.8 |
| 2025年12月31日〜 | 24,300 | 4,400 | 28.7 |
※ 1974年4月の揮発油税は財務省資料の版により29,000円/29,200円の表記揺れがあり、本表は29,200円を採用。地方道路税は2009年に地方揮発油税へ改称。
※ 公式データをもとに、可視化pedia編集部が独自に集計・編集したものです。
楓のまとめ|60年で3.44倍、税率は46年間据え置きのあと28.7円へ

ここまでの2つの調査と税率の沿革を並べると、値段と税金が別々の時間で動いてきたことが図解で確認できます。3つの観察事実に整理してみます。
「ガソリン価格はどう動いてきたのか」という問いに対して、本記事で並べた図解は、月次の値段の折れ線と、法律の日付にだけ動く税率の階段を、同じ時間軸に置いてきました。税制や補助金の是非には踏み込まず、公表された値だけを観察事実として整理しておきます。
3つの観察事実を重ねると、60年の値段の推移と、法律の日付にだけ動く税率の階段が、別々のリズムで積み重なってきたことが見えてきます。「ガソリンはいくらか」という問いには、どの調査を、どの期間で、どの価格表示で見ているかを添えて答える必要がある、という点が本記事の観察です。
よくある質問(FAQ)

ガソリン価格の数字を読むときは、調査の主体・期間の取り方・価格の表示方法の3点をセットで確認してください。同じ「1Lいくら」でも、この3点が変わるだけで指している値が変わります。
Q1. ガソリン1Lのうち、税金はいくらですか?
2026年9月時点の税率は、揮発油税24.3円と地方揮発油税4.4円の合計28.7円、石油石炭税2.8円(地球温暖化対策のための課税の特例を含む)、そして消費税10%です。全国平均170.0円(2026年9月7日)を例にすると、税抜価格154.55円に対する消費税が15.45円で、税金の合計は46.95円、小売価格の約27.6%という計算になります。小売価格が変われば消費税の額と割合も変わります。
Q2. 暫定税率の廃止で、ガソリンはいくら安くなりましたか?
本記事では値下がり幅を評価していません。公表資料で確認できるのは、揮発油税等の税率が2025年12月31日に53.8円から28.7円に変わり、差が25.1円であることです。資源エネルギー庁はこの25.1円と、その分にかかる消費税約2.5円をあわせて説明しています。同庁は、ガソリンの価格は原油価格や為替の動向などの影響も受けると説明しており、実際の店頭価格の変化は税率の差だけでは決まりません。
Q3. 今後のガソリン価格や補助金はどうなりますか?
本記事は将来の価格や制度を予測していません。全国平均の価格は資源エネルギー庁が毎週月曜に調査し水曜に公表しており、補助金の支給単価も同庁の燃料油価格引下げ措置のサイトで週ごとに示されています。東京都区部の月次の値は総務省統計局の小売物価統計調査で翌月末に公表されます。最新の値はこれらの公表先で確認できます。
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